広報誌「厚生労働」2024年6月号 特集2|厚生労働省

始まる!「出産なび」

分娩施設の情報提供Webサイト開設

厚生労働省は5月30日、全国の分娩施設の費用とサービスの情報が入手できる、今までにないWebサイト「出産なび」を開設しました。
このサイトを使い、「都道府県名」→「市区町村名」→「詳細条件」を選択して、妊婦や家族の方がそれぞれのニーズに合った分娩施設を検索すると、「施設の情報」「助産ケア」「付帯サービス」「費用等」の情報を得ることができます。

<PART 1>
「出産なび」の主要ページを紹介します

パート1では、「出産なび」の主な画面を紹介します。分娩施設に関する情報を必要とされている方はぜひ、アクセスしてみてください。

▶出産なびはこちらから


 

<PART 2>
自分が重視する項目と地域で簡単検索!
妊産婦支援サポーターが語る「出産なび」の使い勝手

厚生労働省保険局保険課では、「出産なび」開設に当たって妊娠・出産経験者などのリアルな意見を参考とするために、課長補佐の発案で省内の職員から「妊産婦支援サポーター」を募集し、80名以上のサポーターとともに「出産なび」の設計を行ってきました。
ここでは、サポーターのお二人に、「出産なび」登場以前の出産情報の収集事情と、その視点から見た「出産なび」の使い勝手を語り合ってもらいました。

自分で全部調べるのはかなり大変

――お二人の「出産にあたっての不安」の経験を教えてください。
太田●私は「痛い」のが苦手で、出産の痛みへの不安が大きく、最初から無痛分娩希望でした。妊娠は病気とは違いますけど、それこそ何が起こるかわからない。妊娠前から出産直前までナーバスな状態が続きました。

福嶋●私の場合は、初めての妊娠だったこともあり、全てが不安といった感じで、「何がわからないのかもわからない」ところから始まりました。太田さんの言うとおり、「痛い」ことへの恐怖がまずあり、次に出産費用についてはやはり不安でした。

特に「妊娠・出産に総額いくらぐらいかかるのか」については実際に自分が妊娠するまであまり考えたことがなかったので、そこが見えないことは不安でした。出産育児一時金(現在50万円)を利用できるのは知っていましたが、入院してから退院するまでに、トータルでどれほどかかるのか、産院のHPを見てもはっきり書いていないことも多く、よくわからないことも多かったです。

太田●出産にまつわるサービスはいろいろあって、自分で選ぶことができる半面、同じ施設でも人によってかかる費用はばらばらです。私も、入院前に思っていた費用感とはちょっと異なる結果になりました。

福嶋●産院によって、サービスごとの価格が明記されずに、「分娩費用」としてざっくり記載されているところも多いですね。そもそも、その施設ではどんなサービスを受けられるのかも、電話で問い合わせないとわからないところもありました。

――産院選びの情報はどのように集めたのですか。
太田●まず、ネットで自宅から通える範囲にある無痛分娩施設を1軒1軒検索して、「24時間対応」「平日の日中のみ無痛分娩対応」といった情報やその金額を抽出して、エクセルで私独自のデータベースをつくりました。今回できた「出産なび」を自分で作っていた感じです。さらに、夫の立ち合い出産や母子別室ができるかも重視した結果、適合したところは1軒だったので、そこに決めました。

ただし、産院のHPだけでは情報が少なく、ネット上でその産院で出産経験のある方が書いているブログも参考にしました。ブログでは、一つの経験談として、食事の中身やお産の状況、金額まで明示している方が何名かいたので、それらを全部見て情報として集めた格好です。

福嶋●私の場合は家から近い産院が8軒ほどあり、うち無痛分娩を行っている産院が3軒ほどあったのですが、自宅から一番近い無痛分娩対応の産院は、分娩予約を取ろうとした妊娠2カ月の時点で、私の予定日の月については「分娩予約が満杯で受付終了している」とのことだったので、家から2番目に近い無痛分娩に対応している産院を選びました。そこにするにあたっては、SNSや、妊産婦さんたちが多く参加するアプリで情報交換されている産院の利用経験談を参考にしたりしました。

太田●口コミは個人の体験談で、個々の母子の状況によっても変わるので、口コミだけで決めるのは不安ですよね。なるべく正確な情報を集めて判断したいところですが、正直、体調も万全ではないなか、ネットのあちこちから情報を集めるのはしんどかったです。



こんな追加項目・機能はいかがですか?

――そうした経験を踏まえると、今回新設の「出産なび」の使い勝手はどうですか。

太田●地名で検索できるのはとてもいい。都道府県レベルでチェックできる項目を3つまで入れて検索可能なので、県境を越えて幅広く探すことができます。逆に、市区町村単位で絞り込んで検索することもできます。

福嶋●その産院で受けられるサービスなどについての項目が細かく確認できるところがいいなと思いました。あと、産院の情報のみならず、出産育児関係の制度全般についてのリンクページもあり、関連する情報が一元的にまとまっているサイトになっているのがいいと思います。

――さらに充実してほしい点はありますか。
太田●項目を追加するとしたら、「プレママ・プレパパ体験」を実施している産院かどうかもいいかなと。皆さん、気になる点はいろいろだと思いますが、私の場合はそこも重視したので。それと、2人目を産んだ経験で言うと、「キッズルームのある・なし」の項目があるとありがたいですね。

福嶋●産前産後のサービスの情報についても、もっとこのサイトでわかるようになるといいなと思います。自治体によっても差があると思うので、そうした情報もここで得られるようになれば。せっかく多くの情報がまとまっているので、「妊娠したらこのサイトを見ればいい!」と言えるくらい、広く使ってもらえるサイトになるといいですね。


 

 

出典 : 広報誌『厚生労働』2024年6月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省