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女性と依存症 ライフステージごとの「生きづらさ」の解消へ
現代の女性には、時代や環境の変化から、さまざまな「生きづらさ」が生じています。その生きづらさを紛らわすため、特定の物や行為に依存するようになり、やめたくてもやめられない状態、いわゆる「依存症」に陥ってしまうこともあります。
本特集では、女性と依存症の問題にスポットを当て、依存症の“入り口”や、その種類とリスク、本人・家族の相談先や周囲ができることについて考えます。
<Part3>
悩んだときの相談先 安心して自分の気持ちを話せる場所を見つけよう
依存症という病気は、自分も周囲も信用できず、心の安心感がなくなっているのが特徴です。自分一人で抱えきれなくなったとき、コントロールができなくなったときはぜひ、相談支援を行っている相談機関や医療機関を頼ってみてください。パート3では、相談支援のポイントや主な相談先を紹介します。
解説者
田中増郎(たなか ますお)
社会・援護局 障害保健福祉部
精神・障害保健課 依存症対策推進室
◎「迷う」気持ちを理解し共感し寄り添うことが大切
相談支援で重要なのは、相談者にとって相談先は「悩みを打ち明けることができる、安心して話すことができる場所である」ということなのです。
依存症の特徴の一つとして、心の安心感がなくなっている状態が挙げられます。そのため、たとえば公的な相談機関の精神保健福祉センターでは秘密を守って相談を受けていますし、医療機関も守秘義務があり相談の秘密を守ることが原則ですので、活用してみるのがお勧めです。
身近な信頼できる家族や友人に相談することも手段の一つですが、すべてを自分たちだけでどうにかしようと考えず、相談機関を頼ることも選択肢のなかに入れておいていただきたいです。
なぜなら、たとえばエアコンの取り付けをしたいとき、私たちはすべてを家族でやるわけではありません。日頃の手入れや軽度のメンテナンスは自分たちでできても、取り付けや修理などは専門の業者を当たり前のように利用しているのではないでしょうか。
日常的に接することがない相談機関に相談したり、医療機関を受診したりするのを躊躇するのは自然だと思います。ためらい迷うのは「ダメなこと」ではなく、自分を守るために大変重要な場合もあります。精神科医という専門的な立場や役所の立場で言えば「少しでも早く来てほしい」という気持ちもありますが、迷っている方の「迷う」という気持ちも尊重したいと考えています。安心して自分の気持ちを話してもらうためにも、自分のタイミングを大事にしてほしいです。
また、周囲の方々に申し上げたいのは、共感や「相談しにくい」「話しづらい」気持ちを理解し、寄り添ってあげることが大切だということです。
どうしても相談を受ける側のペースで進めてしまいたくなりがちですが、相談をする当事者の方のペースで聴いてあげてもらえればと思っております。
◎自分に合った相談先を見つけてほしい
相談機関や医療機関などを活用する際には、私は複数箇所、実際に行ってみることをお勧めしています。
何でもそうかもしれませんが、いきなり自分にぴったり合うところを見つけるのは難しいものです。依存症の場合、相談内容や悩みの程度、性格などを含めて個別性が大きいため、ぴったり合うところは簡単には見つからないこともあります。比べてみたり、時間を置いてまた違うところに行ってみたりして、「ここなら安心して話せるかな」と思える場所を見つけてほしい。
「自分に合ったものはすぐに見つかりづらい」という前提に立って、選んでいただいたほうがうまくいく確率が上がるかもしれません。相談や支援を受けに行くことは「勇気」のいることなので、そう決断した自分をやはりしっかり褒めてあげてほしいです。
依存症は、つらい気持ちや不安な気持ちを紛らわすために特定の物や行為に依存してしまい、自分も他人も信じることが難しくなった病気だと考えています。
相談機関や医療機関、自助グループなどを活用して生きづらさについて相談することで、「人を、自分を信じてもいいんだ」という気持ちを持ってもらいたいです。
【相談窓口】
▶精神保健福祉センター・保健所
精神保健福祉センターは、各都道府県・指定都市にある公的な相談窓口です。当事者や家族などからの依存症に関する相談に対応しています。当事者・家族に向けたグループワークを開催していたり、地域の医療機関や自助グループ・弁護士・司法書士などさまざまな情報が得られます。
保健所でも、依存症一般について医師や保健師・精神保健福祉相談員などが相談に対応しています。
▶依存症専門医療機関
各都道府県や指定都市において「依存症専門医療機関」が選定されています。依存症の診断や専門的な治療、グループワークやカウンセリングなどを行っています。全国の依存症専門医療機関は、依存症対策全国センターのHPで検索できます
依存症対策全国センターのHPはこちら
▶自助グループ
依存症からの回復をめざす当事者や家族が自主的に運営するグループです。回復を続けるための経験をわかり合い、依存物質・依存行為を必要としない新たな生き方を見いだします。安全な居場所として、プライバシーは厳重に守られます。依存症者の家族や恋人、友人などが集まるグループもあります。
▶回復を支援する団体(リハビリ施設)
依存物質・依存行為をやめることだけでなく、社会的なサポートもします。規則正しい生活を取り戻し、回復プログラムで気づきやこれからの生き方を利用者やスタッフと一緒に学んだりします。依存症によるさまざまな問題の解決のため、医療機関や弁護士・司法書士・行政など地域の専門機関と連携することもあります。
回復支援団体(リハビリ施設)はこちら
【電話連絡先】
【依存症かも?】
出典 : 広報誌『厚生労働』2024年2月号 発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト) 編集協力 : 厚生労働省 |