広報誌「厚生労働」2023年12月号 未来のつぼみ|厚生労働省

未来(あした)のつぼみ

多様な観点から考える姿勢・力を磨く

大きな制度改正に限らず、日々の地道な積み重ねが厚労行政の可能性を広げています。
ここでは、厚生労働省の若手職員たちの取り組みや気づきを紹介します。

今回の執筆者

塚本早弥華
医政局 地域医療計画課(研修生 北九州市職員)

●さまざまな観点で考える力を磨く

私は昨年4月に、福岡県北九州市からの出向で医政局地域医療計画課に参りました。北九州市では、高齢者もその家族も安心して過ごせる地域をめざして、「北九州医療・介護連携プロジェクト会議」の開催や、市民が受けた医療・介護などの情報の一部をネットワークを通して医療機関間で共有することができる「とびうめ@きたきゅう」という取り組みに力を入れています。

出向先の厚生労働省では外来・在宅医療対策に携わっており、特に外来機能報告制度については昨年度の制度開始から運用に携わっています。本制度は、患者が医療機関を選択する際に、外来機能の情報が十分得られず、一部の医療機関への患者の集中などの課題があることから、報告対象となる医療機関に外来医療に関する事項をご報告いただく仕組みで、外来医療の機能分化や明確化を進めていくことを目的としています。

こうした取り組みを通じて患者の流れを円滑化していくには、受診の流れや医療機関の機能・役割について住民に周知・啓発を行うことが必要です。周知・啓発のための資材作成を進めるなかで、「伝える」難しさを痛感しました。誤解を招く表現となっていないか、わかりやすい内容となっているか、多くの方にご意見をいただき、新たな気づきがありました。

これからもさまざまな観点で考える力を磨き、幅広い視野をもって職務を遂行していきたいと思います。


今回の執筆者

高橋拓巳
医政局 地域医療計画課(研修生 群馬県職員)

●自ら考える姿勢の重要性を痛感

私は昨年10月に、群馬県からの出向で医政局地域医療計画課に参りました。出向元では厚生労働行政に関する業務として、周産期・小児救急医療を約1年間、その直前には難病患者への医療費助成などを約半年間担当していました。

出向先の厚生労働省では医療計画と地域医療構想を担当しています。医療計画は、都道府県が地域の実情に応じた医療提供体制の確保を図るために策定し、国はこれを支援します。

また、地域医療構想は、生産年齢人口が急減するなかで限られた医療資源を効率的に活用し切れ目ない医療提供体制を構築するため、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向け、都道府県が主体となって、地域の関係者が協力して医療機関の役割分担や連携の仕組みを構築する取り組みです。

担当業務としては、地域医療構想にかかる予算管理や予算要求、有識者会議の運営、地域医療構想を地域の関係者で協議するうえで必要なデータの分析体制を構築する新規事業の運営などを行っています。

医療計画や地域医療構想において都道府県には相応の主体性が求められますが、日々の業務のなかで、自治体職員のマインド次第で当該自治体の当該分野の成否は変わりうることを目の当たりにし、自治体職員が自ら考える姿勢の重要性を強く感じています。決められたことを淡々とこなすだけでなく、自ら考え、かつチームで協働して課題を発見して解決にあたる姿勢を実践できるよう、業務に邁進します。

 

出典 : 広報誌『厚生労働』2023年12月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省