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未来(あした)のつぼみ
法務省のなかの蛙、厚生労働省を知る
大きな制度改正に限らず、日々の地道な積み重ねが厚労行政の可能性を広げています。ここでは、厚生労働省の若手職員たちの取り組みや気づきを紹介します。
今回の執筆者
西尾洸平
社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課 企画法令係長
私は本年4月に、法務省の矯正局という部署からの出向で、障害保健福祉部精神・障害保健課に参りました。当課では障害者の保健の向上に関すること、国民の精神的健康の増進に関することを中心に、多様な施策を行っています。
当課の大きなミッションとして、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、精神障害者の権利擁護を図るものであることを明確にするとともに、地域生活の支援の強化などにより精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制を整備するため、昨年度に改正された「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の施行に向けたさまざまな調整があります。
改正法に対応して政令・省令などの法令改正も必要であり、今はこれらの業務に携わっています。施行される法律は既に決まっていても、実際の運用面について細かく詰めて決定するのはこの段階であって、運用をどのようにするべきか、現場の運用での不都合や現場からの意見も聴きながら検討を進めています。さまざまな意見や考え方があるなかでも、どこかで政府としての結論と考え方を固めなければならず、これらを模索していくのは、法令業務に限らず行政官としての仕事のやりがいを感じる点でもあり、同時に難しさを実感する点でもあります。
私はこれまで法令作成業務などに携わったことがなかったため、日々勉強させていただいているところですが、先達の行政官によって連綿と続いてきた法令作成の技術(ともすれば職人技術も光るもの)には尊敬の念を覚えます。
そのほかに幅広く業務を担当させていただいているなかでも訴訟対応については、被告である国を代表して対応することになるため、文書作成から、裁判所に認められる主張をどのように構成するかまで、普段の業務とは違った視点で所掌の制度を見つめ直す機会となっています。
私は外部から来た人間ですが、それ故に厚生労働省で働く皆さんに共通している「社会の誰かのために」働くというマインドを日々実感しています。上司、部下を問わず議論活発で、そうした議論のなかで、日本のこれからを少しでも良くしようと考えている皆さんの考えが政策の魂になっていると感じます。
厚生労働省に来たことで、法務省にいるだけでは得られないさまざまなことを学ばせていただいています。今後も、皆さんと志を同じくする一人の行政官として、より良い社会にできるよう引き続き邁進してまいります。
法令内容の打ち合わせをしている様子
出典 : 広報誌『厚生労働』2023年10月号 発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト) 編集協力 : 厚生労働省 |