広報誌「厚生労働」2023年6月号 新型コロナウイルス最前線|厚生労働省

新型コロナウイルス最前線

第31回 5類感染症移行後の対応について

5月8日に、新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけが「2類相当」から「5類感染症」へと変更となりました。移行後の変更ポイントや医療提供体制、症状が長引く際の対応などについてまとめました。


【変更のポイント】
●政府として一律に、日常における基本的な感染予防対策を求めることはない。
●感染症法※に基づく、新型コロナ陽性者および濃厚接触者の外出自粛は求めない。
※感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律
●限られた医療機関でのみ受診可能であったのが、幅広い医療機関で受診できるようになる。
●医療費などについて健康保険が適用され、1割から3割は自己負担していただくことが基本となるが、一定期間は公費支援を継続する。

新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について
https://www.mhlw.go.jp/stf/corona5rui.html



●身近な医療機関でも受診できるように

——5類感染症移行後の変更ポイントについて教えてください。
新型コロナウイルス感染症が確認されてからこの3年間、法律に基づき行政がさまざまな要請・関与をしながら対応してきましたが、移行に伴い、個人の選択を尊重し、国民の皆さんの自主的な取り組みを基本とする対応に大きく転換しました。

——体調に異変を感じた場合は、どのように対応すればよいでしょうか。
体調に異変を感じた際は、医療機関に行く前に慌てずに症状や常備薬を確認し、国が承認した検査キットを使用しましょう。もし陽性だった場合は、一定期間は外出を控えることが推奨されます(後述)。体調が悪化したときなどは、自治体が設置する新型コロナ相談窓口まで速やかにご相談ください。陰性だった場合でも、症状があればマスクの着用や手洗いなどの基本的な感染予防対策を継続しましょう。

重症化リスクの高い方(高齢者、基礎疾患を有する方、妊婦など)や、症状が重いなど受診を希望される方は、まずは医療機関に連絡してください。医療機関、高齢者施設などに行くときは、重症化リスクの高い方を守るためにもマスクを着用するなど感染予防対策を行いましょう。

——医療提供体制について教えてください。
幅広い医療機関で新型コロナウイルス感染症の患者が受診できるように、これまで対応してきた医療機関に引き続き対応を求めるとともに、新たな医療機関に参画を促す取り組みを進めています。具体的には、季節性インフルエンザの診療体制を念頭に、外来については最大約6.4万施設、入院については全病院約8,200施設で対応することをめざします。
なお、外来に対応する医療機関の情報は、各都道府県のHP等で公表するとともに、受診・相談センターの情報については厚労省のHP(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-jyushinsoudancenter.html)でも公開しています。

——今後の感染状況はどのように確認すればよいでしょうか。
これまで法律に基づく届出などから、感染者数や死亡者数の総数を毎日把握・公表していましたが、今後は、定点医療機関(全国約5,000カ所のインフルエンザ/COVID-19定点)からの報告に基づき、毎週月曜日から日曜日までの1週間の患者数を公表します。これに加え、重症者数や新規入院者数、病床や救急等の医療体制、血清疫学調査や下水サーベイランス研究等の重層的なサーベイランス体制を構築し、流行状況を把握し、必要な対策を講じていきます。また、変異株の動向についても調査を継続していきます。これらの情報については、厚生労働省のHP(https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html#h2_1)にて確認することができます。

●外出を控えるかどうかは個人の判断に

——新型コロナウイルス感染症にかかったら、どのくらいの期間、外出を控えればよいのでしょうか。
新型コロナウイルス感染症患者は、法律に基づく外出自粛は求められません。外出を控えるかどうかは、個人の判断に委ねられます。一般的にコロナ発症2日前から発症後7~10日間はウイルスを排出しているといわれています。発症後3日間は、感染性のウイルスの平均的な排出量が非常に多く、5日間経過後は大きく減少します。特に発症後5日間は他人に感染させるリスクが高いことから、発症日を0日目として5日間は外出を控えることや、5日目に症状が続いていた場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどの症状が軽快して24時間程度が経過するまでは外出を控え様子を見ることが推奨されることを情報提供しています。症状が重い場合は、医師に相談しましょう。

また、学校においても、「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」を新型コロナによる出席停止期間としています(学校保健安全法施行規則。なお保育所等も同様の期間を「登園のめやす」として示しています。図表参照)。





——家族が新型コロナウイルス感染症にかかった際の注意点について教えてください。
ご家族、同居されている方が新型コロナウイルス感染症にかかった場合は、可能であれば部屋を分け、感染されたご家族のお世話はできるだけ限られた方で行うようにしましょう。そのうえで、外出する際は、新型コロナにかかった方の発症日を0日目として、特に5日間はご自身の体調に注意してください。7日目までは発症する可能性があります。
——症状が長引く場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について、実態把握などのための研究を推進するとともに、罹患後症状に悩む方に適切な医療が提供されるよう取り組みを進めています。症状が改善せず続く場合は、かかりつけ医や地域の医療機関などに相談するようにしましょう。
各都道府県において、罹患後症状に悩む方の診療をしている医療機関を公表しています。


新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html

各都道府県における罹患後症状に悩む方の診療をしている医療機関を掲載しているWEBページ一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya_00005.html

 

出  典 : 広報誌『厚生労働』2023年6月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省