広報誌「厚生労働」2023年3月号 新型コロナウイルス最前線|厚生労働省

新型コロナウイルス最前線

第29回
マスク着用の考え方の見直しと感染予防、感染後の対応について

本連載では、新型コロナウイルス感染症の動向や対策などを紹介しています。今回は感染予防から感染後の対応について、Q&Aでご紹介します(2月16日時点)。

●マスクの着用は個人の判断が基本に

――マスク着用の考え方の見直しについて教えてください。

屋内では原則着用、屋外では原則不要としている現在の取り扱いを改め、3月13日からは行政が一律にルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることが基本となります。


――見直し後も引き続き着用した方がよい場面など、注意が必要なことがあれば教えてください。

重症化リスクの高い方(高齢者、基礎疾患を有する方、妊婦など)への感染を防ぐため、医療機関を受診するとき、高齢者施設などを訪問するとき、通勤ラッシュ時など混雑した電車・バスに乗車するときは、マスクの着用をしましょう。


──重症化リスクの高い方が自身を感染から守るためにどのような場面でマスクを着用したらよいでしょうか。

感染が拡大しているなか、重症化リスクの高い方が混雑した場所に行くときは、マスク着用が効果的です。


──そのほか、見直しに関して留意点はあるでしょうか?

大きく3点あります。
1点目は、本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、個人の主体的な判断が尊重されるような配慮が必要です。
2点目は、事業者が感染対策上または事業上の理由などで、利用者がマスク着用を求められる場合や従業員がマスクを着用している場合があります。
3点目は、感染が大きく拡大している場合には、政府より一時的に場面に応じた適切なマスクの着用を呼びかけるなど、より強い感染対策を求めることがあり得ます。


――今後の感染対策はどのようにしたら良いのでしょうか。

「適切なマスクの着脱」「手洗い等の手指衛生」「3密(密接・密集・密閉)回避」「換気」などの基本的な感染対策を行うことや、発熱などの症状がある場合の外出を含む、感染リスクの高い行動を避けるなどの基本的な対策に取り組むことが大切です。


──感染した場合の備えとして、どのように準備・対応したらよいでしょうか。

発熱などの体調不良時に慌てないように、新型コロナ抗原定性検査キットや解熱鎮痛薬を準備しておきましょう。
検査キットを購入する際は、医療用または一般用検査キット(OTC:「体外診断用医薬品」または「第1類医薬品」と表示されています)として国が承認したものを使いましょう。医療用は薬局で、OTCは薬局だけではなく薬店やインターネットでも購入することができます。

インターネットサイトなどでは「研究用」と称するものが多く販売されていますが、国で承認されたものではなく、性能などが確認されていません。国が承認した医薬品を使いましょう。


――検査結果が陽性・陰性だった場合は、どのように対応したらよいでしょうか。

検査キットの検査結果が陽性で症状が軽い場合は、自治体の健康フォローアップセンターなどに連絡し、速やかに自宅などで療養を開始することができます。なお、高齢者や基礎疾患がある方、お子さんや妊娠している方などが受診を希望する場合は、身近な発熱外来を受診してください。

陰性だった場合でも、マスク着用や、こまめな手洗いなどの基本的な感染予防対策を継続しましょう。


――熱を下げる市販薬には、どのようなものがありますか。

市販されている解熱鎮痛薬には、アセトアミノフェン製剤や非ステロイド性抗炎症薬などがあります。アセトアミノフェン製剤は、低年齢の方や妊娠中・授乳中の方でもご使用いただけますが、製品ごとに対象年齢などが異なります。対象年齢を確認のうえ、ご使用ください。

治療中の病気がある方は飲み合わせの問題もあるので、医師や薬剤師に相談してください。


――自宅療養に備えて、日頃から用意しておくとよいものは何でしょうか。

体温計、薬(常備薬・解熱鎮痛薬)、検査キット、日持ちする食料(5~7日分程度)などを用意しておきましょう。また、近隣の診療・検査医療機関やお住まいの自治体の健康フォローアップセンター等の情報などを事前に調べておきましょう。


●症状が長引く場合はかかりつけ医などに受診

――療養後も症状が長引いていると感じた場合、どうすればいいのでしょうか

新型コロナウイルス感染症に罹患した後、感染性は消失したにもかかわらず、長引く症状があるときには、かかりつけ医などや地域の医療機関に受診・相談しましょう。かかりつけ医などの医療機関では、ほかの疾患による症状の可能性も含めて診察します。罹患後症状の多くは、時間経過とともに改善することが多いとされていますが、その過程で、症状を和らげるなどの各症状に応じた対症療法をすることもできます。

つらい場合は、我慢せず受診しましょう。



マスクの着用についてはこちらから
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html

 

出  典 : 広報誌『厚生労働』2023年3月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省