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ダイバーシティ&インクルージョンの時代に 治療と仕事の両立で自分らしく働く
多様な人材が労働参加をしている現代では、さまざまな特性や背景を抱える人を含めたすべての人が生きがいや働きがいを持って、各々がその能力を発揮できるダイバーシティ&インクルージョン※の社会が求められています。病気の治療と仕事を両立できるという選択肢、両立へ向けて活用できる資源があるということ、そして具体的な両立支援の進め方などをお伝えします。
※年齢や性別、国籍、学歴、特性、趣味嗜好、宗教などにとらわれない多種多様な人材が、お互いに認め合い、自らの能力を最大限発揮し活躍できること
Part1:状況と取り組み
知っておきたい!
両立支援を巡る状況と国の取り組み
現在、治療と仕事の両立支援を巡る状況はどうなっているのでしょうか。基本的なデータや関連の法律、国の支援策などを通して紐解きます。あわせて、当事者の経験や思いも紹介します。
データでみる「病気を抱える労働者の状況」
ガイドラインを活用して
両立支援の職場づくりを
近年、診断技術や治療方法の進歩により、「不治の病」とされていた病気でも生存率が向上し、「長く付き合う病」に変化しつつあります。
病気を抱えながら働き続けたいと希望する方が、適切な治療を受けながら、安心・安全に仕事を続けられるような支援が必要です。
労働安全衛生法では、事業者による労働者の健康確保対策に関する規定が定められており、治療と仕事の両立支援も含まれています。
治療と仕事の両立支援の取り組みとして、関係者の役割分担や連携、環境整備などが大切です。特に環境整備は、支援を行うための準備事項として、職場風土の醸成や意識啓発、社内制度・体制等の整備などの取り組みが望ましいです。厚生労働省の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」などを活用して進めていきましょう。
<国の支援策>
働き方改革実行計画から5年
安心して働ける職場づくりを支える
2017年に決定された働き方改革実行計画で、「病気の治療と仕事の両立」について取り組むことが決まって5年が経ちました。国の行ってきた支援とその成果について、担当者に聞きました。
立原 新
労働基準局 安全衛生部 労働衛生課
治療と仕事の両立支援室 室長
●「治療と仕事の両立」は2本柱で取り組む
「働き方改革実行計画」では、病気を抱えた労働者が安心・安全に仕事を続けられるように、会社の意識改革と受け入れ体制の整備、治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組み(トライアングル型支援)の整備等を推進することが盛り込まれています。
これまで国は、ガイドラインの普及促進や、都道府県の産業保健推進支援センター(以下、さんぽセンター)による企業等への個別訪問指導・相談対応、企業・医療機関の連携マニュアルの作成・普及や、両立支援コーディネーターの養成・配置などに取り組んで参りました。
また、ポータルサイト「治療と仕事の両立支援ナビ」を開設し、総合的な情報を発信しています。
出典:治療と仕事の両立支援周知リーフレット(企業向け)より抜粋
●トライアングル型で支える両立支援
治療と仕事の両立の円滑な支援のためには、病院と企業の連携が不可欠です。
両立支援コーディネーターは、医療や心理学、労働関係法令や労務管理に関する知識を身につけ、患者、主治医、会社などのコミュ二ケーションのハブとして重要な役割を果たします。
全国のさんぽセンターや労災病院、がん診療連携拠点病院などに配置されている両立支援コーディネーターが、主治医と会社の連携の中核となり、個々の患者ごとの治療と仕事の両立に向けたプラン作成などを支援します。
病院、企業と両立支援コーディネーターによる社会的なサポート体制の構築を進めることで、全国の病院や職場で両立支援が可能となる社会をめざしています。
●ダイバーシティ&インクルージョンをめざして
少子高齢化により労働力人口が減少していく日本では、さまざまな特性や背景を抱える人を含めたすべての人が生きがい、働きがいを持って各々活躍できるダイバーシティ&インクルージョン社会の実現が求められています。
治療と仕事の両立支援の取り組みは、社会的な意義だけでなく、企業や病院にもプラスになる取り組みです。
企業は、労働者の健康確保対策とともに、貴重な人材資源の離職防止や定着が図れます。また、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現や「健康経営」の取り組みとして生産性の向上などが期待できます。
病院は、仕事が原因の治療中断や病気の悪化を防ぐことができます。また、医療費などの経済的負担による治療変更や中断を防ぐことで、効果的に病気の治療を進めることが可能となります。
●一人で悩まずまずは相談を
誰しも、病気だと診断されたときは、仕事のことを考える余裕がなくなります。不安や、治療に専念したい気持ちから仕事を辞めてしまう人もいるかもしれません。
大きな決断をする前に、一人で悩まず、まずは相談してみてください。病院の主治医や看護師、患者相談窓口、職場の上司や人事労務担当、産業保健スタッフ、さんぽセンターといった支援機関など、相談先は身近にあります。
そして、病気を抱えた労働者が安心して相談できるように、企業には職場の環境づくりを、病院には一言「仕事のことはどうですか?」と患者さんに声かけをお願いしたいと思います。
広報誌『厚生労働』2022年9月号
発行・発売:(株)日本医療企画
※年齢や性別、国籍、学歴、特性、趣味嗜好、宗教などにとらわれない多種多様な人材が、お互いに認め合い、自らの能力を最大限発揮し活躍できること
Part1:状況と取り組み
知っておきたい!
両立支援を巡る状況と国の取り組み
現在、治療と仕事の両立支援を巡る状況はどうなっているのでしょうか。基本的なデータや関連の法律、国の支援策などを通して紐解きます。あわせて、当事者の経験や思いも紹介します。
データでみる「病気を抱える労働者の状況」
ガイドラインを活用して
両立支援の職場づくりを
近年、診断技術や治療方法の進歩により、「不治の病」とされていた病気でも生存率が向上し、「長く付き合う病」に変化しつつあります。
病気を抱えながら働き続けたいと希望する方が、適切な治療を受けながら、安心・安全に仕事を続けられるような支援が必要です。
労働安全衛生法では、事業者による労働者の健康確保対策に関する規定が定められており、治療と仕事の両立支援も含まれています。
治療と仕事の両立支援の取り組みとして、関係者の役割分担や連携、環境整備などが大切です。特に環境整備は、支援を行うための準備事項として、職場風土の醸成や意識啓発、社内制度・体制等の整備などの取り組みが望ましいです。厚生労働省の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」などを活用して進めていきましょう。
<国の支援策>
働き方改革実行計画から5年
安心して働ける職場づくりを支える
2017年に決定された働き方改革実行計画で、「病気の治療と仕事の両立」について取り組むことが決まって5年が経ちました。国の行ってきた支援とその成果について、担当者に聞きました。
立原 新
労働基準局 安全衛生部 労働衛生課
治療と仕事の両立支援室 室長
●「治療と仕事の両立」は2本柱で取り組む
「働き方改革実行計画」では、病気を抱えた労働者が安心・安全に仕事を続けられるように、会社の意識改革と受け入れ体制の整備、治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組み(トライアングル型支援)の整備等を推進することが盛り込まれています。
これまで国は、ガイドラインの普及促進や、都道府県の産業保健推進支援センター(以下、さんぽセンター)による企業等への個別訪問指導・相談対応、企業・医療機関の連携マニュアルの作成・普及や、両立支援コーディネーターの養成・配置などに取り組んで参りました。
また、ポータルサイト「治療と仕事の両立支援ナビ」を開設し、総合的な情報を発信しています。
出典:治療と仕事の両立支援周知リーフレット(企業向け)より抜粋
●トライアングル型で支える両立支援
治療と仕事の両立の円滑な支援のためには、病院と企業の連携が不可欠です。
両立支援コーディネーターは、医療や心理学、労働関係法令や労務管理に関する知識を身につけ、患者、主治医、会社などのコミュ二ケーションのハブとして重要な役割を果たします。
全国のさんぽセンターや労災病院、がん診療連携拠点病院などに配置されている両立支援コーディネーターが、主治医と会社の連携の中核となり、個々の患者ごとの治療と仕事の両立に向けたプラン作成などを支援します。
病院、企業と両立支援コーディネーターによる社会的なサポート体制の構築を進めることで、全国の病院や職場で両立支援が可能となる社会をめざしています。
●ダイバーシティ&インクルージョンをめざして
少子高齢化により労働力人口が減少していく日本では、さまざまな特性や背景を抱える人を含めたすべての人が生きがい、働きがいを持って各々活躍できるダイバーシティ&インクルージョン社会の実現が求められています。
治療と仕事の両立支援の取り組みは、社会的な意義だけでなく、企業や病院にもプラスになる取り組みです。
企業は、労働者の健康確保対策とともに、貴重な人材資源の離職防止や定着が図れます。また、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現や「健康経営」の取り組みとして生産性の向上などが期待できます。
病院は、仕事が原因の治療中断や病気の悪化を防ぐことができます。また、医療費などの経済的負担による治療変更や中断を防ぐことで、効果的に病気の治療を進めることが可能となります。
●一人で悩まずまずは相談を
誰しも、病気だと診断されたときは、仕事のことを考える余裕がなくなります。不安や、治療に専念したい気持ちから仕事を辞めてしまう人もいるかもしれません。
大きな決断をする前に、一人で悩まず、まずは相談してみてください。病院の主治医や看護師、患者相談窓口、職場の上司や人事労務担当、産業保健スタッフ、さんぽセンターといった支援機関など、相談先は身近にあります。
そして、病気を抱えた労働者が安心して相談できるように、企業には職場の環境づくりを、病院には一言「仕事のことはどうですか?」と患者さんに声かけをお願いしたいと思います。
広報誌『厚生労働』2022年9月号
発行・発売:(株)日本医療企画