広報誌「厚生労働」2022年7月号 特集|厚生労働省

コラボヘルスを活用して生産性・モチベーションを高める 会社を元気にする健康経営のススメ


企業が生産性・業績を高める「投資」として、従業員の健康維持・増進に努める「健康経営R」※への関心が高まっています。実際、コラボヘルスや働き方改革の観点から取り組む企業は増えており、離職率の低下などの成果が上がりつつあります。本特集では健康経営の意義やメリット、進め方や企業事例などを紹介します。

※「健康経営R」は特定非営利活動法人健康経営研究会の商標登録です。




皆さんの会社では、いくつチェックがついたでしょうか。「健康経営」は、上記の項目すべてを網羅しなければならないというわけではありません。まずは、できることから始めてみることが大切です。


●Part2
保険者と事業主が問題意識を共有するための支援策
コラボヘルスの推進による予防・健康づくりの活性化


データヘルスやコラボヘルスの推進で健康経営の“側面”支援を行っている厚生労働省。保険者と事業主が同じ目線で健康増進や疾病予防に取り組むためのヒントについて聞きました。



大山悠太
保険局 保険課 主査



●従業員の健康管理を考えるきっかけに

厚生労働省では、経済産業省が2015年度から推進している「健康経営」とともに、省庁の垣根を超えて“車の両輪”として推進するものとして「データヘルス」事業に取り組んできました。

データヘルスとは、健康保険組合をはじめとする医療保険者が、加入者の健康データを活用・分析し、個人の状況に応じた保健指導や効果的な疾病予防・健康づくりを行うものです。被用者保険者が加入者(従業員)の疾病予防・健康づくりを効果的に実施するためには、保険者と企業(事業主)が連携し、一体となって取り組むことが重要であり、この取り組みを「コラボヘルス」と呼んでいます。





コラボヘルスの取り組みが推進されることによって、保険者と企業間の情報共有や保健事業の実施体制の整備等が進展。企業も自社の従業員の健康をどのように管理していくかを考えるきっかけを得られ、「従業員と健康管理について話すようになった」との声も届いています。

つまり、コラボヘルスの推進は保険者と企業が従業員の健康づくりに対する目線を合わせ、それぞれの「健康経営」や「データヘルス」の取り組みを進めることに役立つものとなっているのです。


●健康スコアリングレポートを活用してほしい

健康経営やデータヘルスの推進に向けたコラボヘルスの取り組みは企業(事業主)と保険者が一体となって行う必要があるため、厚生労働省・経済産業省・日本健康会議(日本に住む一人ひとりの健康寿命の延伸と医療費の適正化に向けて、民間組織が連携し、行政の全面的な支援のもと、実効的な活動を行うために組織された活動体)は、その両者の対話のきっかけをつくるコミュニケーションツールとして「健康スコアリングレポート」を作成・通知しています。





健康スコアリングレポートとは、加入者(従業員)の健康状態・生活習慣のリスクや医療費などについて、経年で全健康保険組合平均や業態平均と比較したデータを見える化したもので、自組織の立ち位置を把握することができます。これをぜひ活用してほしいと思います。

コラボヘルスの取り組みについては、企業(事業主)と保険者の双方が主体となることができると考えており、厚生労働省としては、保険者への支援を行うべく、健康スコアリングレポートの作成に加えて、コラボヘルス推進のためのガイドラインを示したり、コラボヘルスの好事例の収集と横展開をしています。

保険者によってはコラボヘルスの取り組みに力を入れているところがある一方で、まだ十分に取り組みが浸透していないところもあり、さらなる推進の余地があるのが現状で、引き続き取り組みを進めることに注力していきたいと考えています。



広報誌『厚生労働』2022年7月号
発行・発売:(株)日本医療企画