広報誌「厚生労働」2022年1月号 特集|厚生労働省

かかりつけ歯科医を持とう 歯を健康に保つ秘訣


歯や口腔の健康を守ることは、「口から食べること」や「人と話すこと」などの機能を維持することにつながっています。そして、それは自分で行うセルフケアと歯科医院で行うプロフェッショナルケアにより守ることができます。

本特集では、歯の健康に関する状況や、歯の健康を保つ重要性を伝えるとともに、かかりつけ歯科医や訪問歯科診療についても解説します。





<Part1>

高齢になっても歯を健康に保つために


国では、乳幼児期から高齢期まですべての国民を対象に、歯科口腔保健に関する施策の推進に取り組んでいます。歯科口腔保健の現状と世代別の課題について、厚生労働省の担当者に聞きました。




解説:奥田章子
医政局歯科保健課課長補佐


●8020達成者が半数に 子どものむし歯数も減少

8020(ハチマル・ニイマル)は、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という取り組みで、1989年から推進しています。具体的には国や自治体が呼びかけたり、歯科健診の取り組みなどを行ったりしてきました。その効果もあり、取り組みが始まった当初は8020達成者率が10%未満だったのに対して、現在は約50%、二人に一人の割合にまで上昇しています(図表1)。

また、子どもの歯科保健の状況をみても、3歳児と12歳児の一人平均のむし歯数とむし歯有病率が減少してきています(図表2)。








こうした改善には、国や自治体の呼びかけ効果もありますが、国民の「健康意識」の高まりも影響していると思います。歯磨きにマウスウォッシュや歯間ブラシを取り入れたり、定期健診にきちんと行ったりしていることも、その一助となっています。

歯・口腔の健康は、健康で質の高い生活を営むうえで基礎的かつ重要な役割を持っていることや、日常生活のなかで予防に取り組めることを、今後も発信していきます。





●セルフケアと定期健診で口腔機能の維持・向上を

むし歯や歯周病にならないだけでなく、口腔機能の維持も重要です。

特に高齢になると、飲み込む力が弱くなってしまったり、口を閉じられなくなってしまったりします。また、小児だと近年は「口腔機能発達不全症」と言われる、年齢に合わせた食べる機能の習得などがうまくできていない子どもも一定数います。歯の健康とあわせて、口腔機能の維持・向上も大切であることを知っておいていただきたいです。

歯の健康や口腔機能を維持するためには、毎日の歯磨きなど自身でできる「セルフケア」と、定期的に健診や治療を受ける「プロフェッショナルケア」の両輪で取り組む必要があります。

国も、市町村などが行う歯科健診を補助するなどして後押しをしています。まずは日々の歯磨きなどで予防するとともに、自発的に歯科健診を受けるなどして、歯や口腔の健康を守っていただきたいです。それが、高齢になっても「歯を健康に保つ人」につながる第一歩だと考えます。
 

 

 
出  典 : 広報誌『厚生労働』2022年1月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省