広報誌「厚生労働」2021年10月号 TOPICS|厚生労働省

国際保健分野の国際交流~194カ国と61テーマについて議論~


今年5月24~31日に行われた第74回WHO(世界保健機関)総会。ここでは全194加盟国が参加し、7日間で全61議題について協議しました。今回、総会に初めてかかわった厚生労働省の担当者に話を聞きました。



大臣官房国際課 国際機関専門官
山井美香

民間企業勤務を経て公衆衛生学修士号を取得した後、NGO職員としてザンビアに勤務。2012年に日赤病院の国内外の救援活動部署に入職し、ハイチ、ヨルダンでも勤務。2017年から今年4月まで国連人口基金(UNFPA)職員としてニューヨーク、バンコク、バングラデシュに駐在。今年5月より現職。





主張するだけではない「言わない」姿勢を学ぶ

 私は、今年の5月に厚生労働省に入省しました。入省までは国連の機関で、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)や性暴力に関する業務を担当していました。日本での仕事は約7年ぶりで、公務員として働くのは初めてのことです。

 入省してからすぐに、同月末に開かれるWHO総会の準備に参加しました。全体を知ってからというよりも、総会の準備をしながら一つひとつの業務を紐づけていき、把握していくような感覚でした。

 WHOの事務局からの文書に対して、日本がこれまでどう取り組んできたのか、総会で日本の対処方針をどのように発言するのか、過去の資料をベースにしてまとめ、わからないところを課内の上司や同僚などに教えてもらいながら形にしていきました。課内の同じ班には14人のスタッフが在籍し、私のような新しく入った者でも挑戦するチャンスがもらえ、かつフォローしてもらえる体制があることが、とてもありがたかったです。

 総会当日はオンライン開催だったので、会場の雰囲気を直接肌で感じることはできませんでしたが、画面越しでも緊張しました。その場でいろいろな議論が噴出したり、準備していた発言内容を急遽変えたり、言う言わないの駆け引きをしたりと、私一人では判断がつかないことも多くありました。

 実際の国際会議の舞台を通じて、主張するだけでなく、「言わない」姿勢もあることを知るなど、たくさんのことを学びました。
この貴重な経験を経て、私はまだまだ国際保健と、日本の国際保健分野における立場についても勉強を深めなければならないと感じました。そうすることで、今後さまざまな方針を決める場面に、正確な状況分析の視点や多角的な視点を持ってかかわっていきたいと考えています。







 
出  典 : 広報誌『厚生労働』2021年10月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省