広報誌「厚生労働」2021年9月号 新型コロナウイルス最前線|厚生労働省

新型コロナウイルス最前線


第11回
陽性結果が出たときに知っておきたいこと

世界中で大問題となっている新型コロナウイルス感染症。本連載では、その動向や対策などを紹介しており、今回は、PCRなどの検査で陽性だった場合の療養についてQ&Aで解説します。症状がある場合も、ない場合も、慌てずに冷静な判断で行動する必要があります。療養解除の基準や同居家族の対応についてもお伝えします。
 

<療養のための知識 Q&A>

Q1
濃厚接触者とは?

A1
 濃厚接触者とは、陽性となった人と一定の期間に接触があった人をいいます。ここでいう一定の期間は、症状のある人では症状出現から2日前、症状のない人では検体採取時から2日前の期間です。
 この期間に、以下の条件に当てはまる人を濃厚接触者といいます。

□陽性者と同居している人
□陽性者と長時間接触した人(車内、航空機内などを含む。機内は国際線では陽性者の前後2列以内の列に搭乗していた人、国内線では周囲2m以内に搭乗していた人が原則)
□適切な感染防護なしに患者(確定例)を診察、看護もしくは介護していた人
□陽性者の気道分泌液や体液などの汚染物質に直接触れた可能性が高い人
□マスクなしで陽性者と1m以内で15分以上接触があった人

 ただし、これはあくまで原則であり、あらゆる状況を聞き取ったうえで保健所が総合的に判断します。
 

Q2
濃厚接触者の接触者はどのように対応すればよいのでしょうか。

A2
 濃厚接触者が陽性となった場合に改めて濃厚接触者に該当するかを判断されるので、それまでは特に制限はありません。ただし、濃厚接触者は感染している可能性が高いので、日々十分に感染対策をして過ごすことが重要です。
 

Q3
感染者がほかの人に感染させてしまう可能性がある期間を教えてください。

A3
 新型コロナウイルスの感染者がほかの人に感染させてしまう可能性がある期間は、発症の2日前から発症後7~10日間程度とされています。この期間のうち、発症直前・直後で特にウイルス排出量が高くなると考えられています。
 そのため、新型コロナウイルス感染症と診断された人は症状がなくても不要・不急の外出を控えるなど、感染防止に努める必要があります。
 

Q4
PCRなどの検査で陽性だった場合、いつから何日、療養すればよいのでしょうか。

A4
 症状がある場合は、症状が出た日から10日以上かつ症状軽快後72時間経過後(または軽快後24時間以上空けて2回PCRなどの検査を行い陰性だった場合)に療養解除となります。
 症状がない場合は、検体採取日から10日経過後(または採取日から6日経過後に24時間以上空けて2回PCRなどの検査を行いともに陰性が確認された場合)に療養解除となります。
 当初無症状であっても、途中で症状が出現してしまったら、発症から10日間は感染性があるとされているため、発症日が起算日になります。
療養解除については、保健所の指導に従ってください。


Q5
一度陽性になった場合も、ワクチン接種はしたほうがよいのでしょうか。

A5
 一度陽性になった場合にも、通常どおり2回のワクチン接種をします。再感染の可能性や、ワクチンを接種することでより強固な免疫ができるという報告があるからです。感染歴がある人のほうが、ない人よりも高い抗体価が得られたという報告もありますが、今のところ2回接種をしたほうが確実です。一方で、発熱といった全身性の副反応や、接種部位の痛みといった局所の副反応が、感染歴のない人と比べて高い割合で発現するといった報告もあります。
 感染後や治療後は、接種まで一定の期間をおく必要がある場合もありますので、いつから接種できるかが不明な場合は、主治医に確認してください。
 

Q6
同居している家族の自宅待機はいつまでですか。

A6
 同居家族は原則濃厚接触者と判断され、陽性者との最終接触から14日間となります。接触後14日間は発症する可能性があるからです。その期間は、陽性者と別室で生活し極力その部屋から出ないようにする、マスクを着用する、手で触れる共有部分を消毒する、適切にゴミを処理するなどの対応をお願いします。
 家族と適切に距離が取れないような状況では、陽性者の療養解除から14日間になることもあります。



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出  典 : 広報誌『厚生労働』2021年9月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省