広報誌「厚生労働」2021年6月号 新型コロナウイルス最前線|厚生労働省

新型コロナウイルス最前線


第8回
“使う人”目線の広報をめざして コロナ禍の雇用・女性支援プロジェクト②

世界中で大問題となっている新型コロナウイルス感染症。本連載では、その動向や対策等を紹介しています。今回取り上げるのは、「コロナ禍の雇用・女性支援~もっとあなたを支えたい~」プロジェクトチーム(PT)の第4回会合(5月13日)です。併せて、感染防止対策広報活動としての『はたらく細胞』(講談社)との協力や、医療現場からの感染拡大防止の呼びかけについても紹介します。



情報発信の仕組みから
広報の課題を探る

 コロナ禍で女性を中心に雇用等への影響をはじめ多くの問題が顕在化しています。そこで、困難な問題を抱える方々に必要な支援が十分に行き渡るようにすることを目的に「コロナ禍の雇用・女性支援~もっとあなたを支えたい~」プロジェクト(PT)を発足。本PTの第4回会合が5月13日に厚生労働省内で開催されました。

 今回の会合の議題にはまず、「厚生労働省の情報発信の仕組みについて」が挙げられ、大臣官房総務課広報室の野﨑伸一広報室長が現在の人員体制や情報発信の仕組み、取り組んでいる広報改革について説明しました。

 「広報室では『マーケティングPR(政策広報)』と『コーポレートPR(厚労省広報)』の両輪で進めています。併せて、国民のライフスタイルの中心にあるスマホ(インターネット)を通じた『デジタルPR』も強化しています」

 PTからは人員増員の必要性が指摘されました。一方で、広報室の取り組みについてGoogle活用等を評価し、厚生労働省の管轄する女性や子どもの貧困等の分野の情報発信でも活用すべきとの提案もありました。


使う人目線でポスターや
リーフレットを改良

 会合の後半では、第3回までの指摘事項への対応状況の報告が行われました。

 雇用・人材開発支援や生活支援、職場における女性活躍支援や子育て支援等、各分野のコロナ禍での対策を発信するリーフレット等を、PTからの指摘を受けて修正したものを提示。広報物のあり方について、金子恵美委員からは「根本的に制度を理解できていない人や、情報を正常に受け取れない状況にある人たちにとって見やすいものでなければいけない」と問題提起がなされ、ハイヒール・リンゴ委員や古市憲寿委員からも「伝えたい人目線」ではなく「使う人目線」であるべきというコメントがありました。

 今後は、これまでの会合で出た意見をもとに報告書を作成し、第5回会合で取りまとめていく予定です。

ディスカッションの様子
 


<事務局メンバーから>


 

 本PTの動画編集を担当しています。普段は庶務や経理などの仕事をしていますが、PTメンバーとして、始めはほとんど知識もなく参加し、緊張でいっぱいでした。ベテランの方々の背中を間近で拝見し、趣味であった動画編集をお手伝いさせていただき、また違う景色を見させていただいています。引き続き頑張っていきたいと思います。

大西あゆみ
職業安定局総務課 書記室経理係
 

 困っている方や支援の必要な方の力になりたいという想いでこれまで働いてきましたが、本PTに携わってみて、想像以上に施策が対象者に届いていないことを痛感しています。PTのメンバーの皆さまのご意見を伺って、新しい視点をたくさんいただいているので、これからの自分の業務にも活かしていきたいと思います。

早川直樹
職業安定局総務課企画法令係長
 

 どんなに良い制度であっても、利用する人がいなければ存在しないのと同じだということを、本PTを通じて強く感じました。当たり前のことではありますが、良い制度をつくり、そしてその良さがしっかりと発揮されるよう届けるところまでを含め、しっかりデザインできるよう頑張りたいと思います。

細田和希
職業安定局雇用政策課雇用政策係



<雇用支援の取り組み>

◎在籍型出向

 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、事業の一時的な縮小などを行う企業が、人手不足などの企業との間で「在籍型出向」を活用して従業員の雇用維持を図る取組がみられています。
 厚生労働省では、地域の関係機関等と連携することなどにより、出向情報やノウハウの共有、出向の送り出し企業や受け入れ企業の開拓などを推進しています。

詳しくはこちら



 

<『はたらく細胞』(ムービングコミック)「新型コロナウイルス編」及び「感染予防編」等を通じて感染症予防の大切さを発信>

◎『はたらく細胞』とは?
人間一人あたりの細胞の数、およそ37兆個。そこには細胞の数だけ仕事(ドラマ)がある! ウイルスや細菌が体内に侵入したとき、アレルギー反応が起こったとき、ケガをしたとき等白血球と赤血球を中心とした体内細胞の人知れぬ活躍を描いた「細胞擬人化漫画」の話題作です。現在、コミックは欧米やアジア等、世界16の国や地域で出版され、アニメは約130の国や地域で配信されています。また、『はたらく細胞BLACK』などのスピンオフ作品も多数出版されています。


厚生労働省は、感染防止対策広報活動の一環で『はたらく細胞』(講談社)と協力しています。その取り組み内容や反響について、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部広報班に聞きました。


——取り組みの内容を教えてください。

 厚生労働省では、株式会社講談社と協力し、『はたらく細胞』(ムービングコミック)「新型コロナウイルス編」及び「感染予防編」を通じた発信を開始しました。また、厚生労働省×『はたらく細胞』の感染予防啓発ポスターも作成し、ダウンロードして自由にご活用いただけるよう公開しています。

——取り組みの目的は?

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、情報発信強化の一環として、最前線で闘う医療従事者の皆さまに感謝を込めつつ、漫画を通じて新型コロナウイルス感染症の理解を深めることにより、感染症予防の啓発を図るためです。どの世代にも親しみのある漫画という日本の文化であるコンテンツを通じて、わかりやすく広く発信していきたいと考えています。なお、ムービングコミックについては、国立国際医療研究センターの忽那賢志医師が医療監修を行い、JICA(国際協力機構)の支援を得て英語やヒンディー語に翻訳され配信も行います。

——反響はいかがですか。

 情報発信後は「こういう発信を待っていた」、「子どもと一緒に学びながら見たい」「細胞の働きを知って体を大切にしたい」とのコメントを多くいただいています。テレビやラジオ、Webニュース等でも幅広く取り上げていただき、大使館や地方自治体、大学等からもお問い合わせをいただいています。引き続き積極的にご活用いただきたいと考えています。

——今後についてメッセージをお願いします。

 新型コロナウイルス感染症防止対策に取り組んでくださっているすべての方に感謝申し上げます。一人ひとりの感染予防と声掛けが、かけがえのない暮らしと大切ないのちを守ることにつながります。日本の文化である漫画・アニメ『はたらく細胞』を通じて、新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識・情報が多くの人に届くことを願い、今後も、正確な情報を迅速にお届けするため、メディアを活用しての情報発信の強化・充実化を進めていきます。

厚生労働省×『はたらく細胞』
新型コロナウイルス感染予防啓発ポスター

ポスターダウンロード
 

◎協力者のコメント

 難解な新型コロナウイルス感染症のメカニズムや感染予防の大切さを世界中の人々にわかりやすく伝えたいという思いで企画しました。ウイルスに感染したとき、私たちの体のなかで何が起こるのか。手洗いやマスクの着用、三密の回避がなぜ大切なのか。細胞たちの視点で描く漫画が一人ひとりの意識や行動に変化を与えることを願っています。

古賀義章さん
(株)講談社 国際ライツ事業部




 


◎医療現場より感染拡大防止の呼びかけも

現場の声を届ける 政府広報動画を制作・配信

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を目的とし、国立国際医療研究センター(NCGM)の協力を得て、医療現場で新型コロナウイルス感染症患者等の対応をされている医療従事者の皆さまからの切実な声も踏まえて制作した動画をテレビ・電車・Web等で配信しました。

動画はこちら



 

出  典 : 広報誌『厚生労働』2021年6月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省