制度の趣旨
患者申出療養を含む保険外併用療養費制度について
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我が国においては、国民皆保険の理念の下、必要かつ適切な医療は基本的に保険収載しています。その上で、保険収載されていないものの、将来的な保険収載を目指す先進的な医療等については、保険外併用療養費制度として、安全性・有効性等を確認するなどの一定のルールにより保険診療との併用を認めています。
患者申出療養は、困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、先進的な医療について、患者の申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにするものです。
これは、国において安全性・有効性等を確認すること、保険収載に向けた実施計画の作成を臨床研究中核病院に求め、国において確認すること、及び実施状況等の報告を臨床研究中核病院に求めることとした上で、保険外併用療養費制度の中に位置付けるものであるため、いわゆる「混合診療」を無制限に解禁するものではなく、国民皆保険の堅持を前提とするものです。
患者申出療養を含む保険外併用療養費制度についてのPDF [1.4MB]
患者申出療養までのプロセス
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患者申出療養を申出するときは
- 申出をしようとする患者と主治医は、患者の病状にあった治療法について、まずよく相談していただくことが必要です。
- 相談された主治医は大学病院等と連携して対応します。
- 保険外の治療方法が患者さんに適しているかの検討や情報収集
- 既存の患者申出療養や先進医療で行われている、又は治験実施中の治療かどうか情報収集
- 治療のための計画を立てるために十分な情報(科学的根拠)があるか情報収集
- 治験・先進医療が行われている治療法のときは
- 治験の場合、治験に参加できるかまず検討してください。
- 先進医療の場合、先進医療として実施できるかまずは検討してください。
患者申出療養までのプロセスについてのPDF [197KB]
- 患者申出療養の実施に当たり、製造販売業者に未承認薬・適応外薬の手配を依頼する場合は、下記のスキームを活用してください。
患者申出療養制度下での薬剤アクセススキームについてのPDF [23KB]
根拠となる法令、告示、通知等
患者申出療養に関する主な条文
健康保険法(一部抜粋)
(療養の給付)
第六十三条 (略)
- 次に掲げる療養に係る給付は、前項の給付に含まれないものとする。
- 一・二 (略)
- 三 厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、前項の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養 (次号の患者申出療養を除く。)として厚生労働大臣が定めるもの(以下「評価療養」という。)
- 四 高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、前項の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるもの(以下「患者申出療養」という。)
- 五 (略)
- (略)
- 第二項第四号の申出は、厚生労働大臣が定めるところにより、厚生労働大臣に対し、当該申出に係る療養を行う医療法第四条の三に規定する臨床研究中核病院(保険医療機関であるものに限る。)の開設者の意見書その他必要な書類を添えて行うものとする。
- 厚生労働大臣は、第二項第四号の申出を受けた場合は、当該申出について速やかに検討を加え、当該申出に係る療養が同号の評価を行うことが必要な療養と認められる場合には、当該療養を患者申出療養として定めるものとする。
- 厚生労働大臣は、前項の規定により第二項第四号の申出に係る療養を患者申出療養として定めることとした場合には、その旨を当該申出を行った者に速やかに通知するものとする。
- 厚生労働大臣は、第五項の規定により第二項第四号の申出について検討を加え、当該申出に係る療養を患者申出療養として定めないこととした場合には、理由を付して、その旨を当該申出を行った者に速やかに通知するものとする。
Q & A
- 患者申出療養の対象となる医療の類型にはどのようなものがありますか。
- 患者申出療養として実施されることが想定される医療の類型については次のとおりです。
- 先進医療の対象にならないが、一定の安全性・有効性が確認された以下のような医療
- ①既に実施されている先進医療を身近な医療機関で実施することを希望する患者に対する療養
- ②先進医療の実施計画(適格基準)対象外の患者に対する療養
- ③既に実施されていて、新規組入が終了した先進医療を実施することを希望する患者に対する療養
- ④先進医療として実施されていない療養
- 現行の治験の対象外の患者に対して治験薬等を用いる医療
なお、患者申出療養は、一定の安全性・有効性等が確認され、保険収載を目指すものを対象としています。
- これまでに患者申出療養相談窓口に寄せられた相談のうち、治療に結びついたものはどの程度ありますか。
- 患者申出療養制度が平成28年4月に開始されてから、平成30年12月までに、患者申出療養相談窓口に計118件の患者申出療養に係る相談があり、このうち、平成30年12月末時点で、治験や先進医療等の他の臨床試験へ参加したものが19件、既存の患者申出療養に参加したものが4件、新たな患者申出療養として実施されたものが6件となっています。
- 臨床研究中核病院で実施計画の作成が困難な医療技術を、臨床研究中核病院以外で患者申出療養として実施することは可能ですか。
- 患者申出療養制度においては、臨床研究中核病院が実施計画を作成することとされており、作成が困難な医療技術を患者申出療養として実施することはできません。
- 臨床研究中核病院以外の特定機能病院で受けた患者からの相談に対して、前例のない患者申出療養を当該特定機能病院で実施する場合には、どのような手続きを行えばよいですか。
- 患者申出療養制度においては、臨床研究中核病院が実施計画の作成等を行うこととされています。そのため、前例のない患者申出療養を当該特定機能病院で実施する場合には、臨床研究中核病院との共同研究として患者申出療養を実施していただくことになります。
- 患者申出療養は基本的に臨床研究として実施されますが、予定症例数の設定は必要ですか。
- 患者の申出を起点として実施される臨床研究であるため、必ずしも生物統計学的観点等の根拠をもとに予定症例数を設定する必要はなく、予想される適格基準該当患者数を勘案したうえでの、目安としての位置づけでもかまいません。また、予定症例数の設定が困難な場合には、予定登録期間のみの設定でも差し支えありません。
- 治療対象が当該申出患者以外に想定されない場合であっても、患者申出療養として実施することは可能ですか。
- 可能です。ただし、その場合であっても、臨床研究中核病院における実施計画の作成等の手続きや国の審査が必要となります。
- 患者申出療養の実施計画を作成するにあたり、安全性を中心とした評価項目を設定することは可能ですか。
- 対象症例数が少ない等の理由で、仮に有効性の評価が困難な場合には、安全性を中心とした評価項目を設定することも可能です。
- 既に先進医療として実施されている臨床研究を患者申出療養として実施する場合に、先進医療の臨床研究計画書等を活用することは可能ですか。
- 既存の先進医療の臨床研究計画書等を活用し、新旧対照表を添付する形式での申請も可能です。ただし、倫理審査委員会や認定臨床研究審査委員会等の審査については、当該委員会が求める書類の作成が必要となります。
- 将来的に患者申出療養として申請がなされる可能性が高い技術については、予め臨床研究計画書等を作成しておくことは可能ですか。
- 可能です。ただし、患者申出療養は患者の申出を起点とする療養であるため、実際に患者が当該療養を希望した後に、臨床研究中核病院が作成した臨床研究計画書等を添えて、患者から国に対して申出を行うこととなります。
関連するwebサイト
現在実施されている患者申出療養について
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未承認薬・適応外薬等について
難病等について
患者申出療養評価会議について
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