慢性臓器疾患は、全世界の死因の半数近くを占めていますが、現行の治療方法では臓器移植以外の根治療法がありません。しかし、臓器移植はドナー不足等の問題があり、治療は症状を緩和させる方法が中心です。
メトセラは、世界最大の健康問題である慢性臓器疾患に対する根治療法となりうる細胞治療の技術開発を行う、臨床段階のバイオ医薬品企業です。
JRM-001は、機能的単心室症を対象とした自家細胞治療薬で、心臓内に存在する幹細胞(CSC:Cardiac Stem Cell)を主成分とする自家再生医療等製品です。
「CSCを用いたパイプライン」に関する基礎技術は、京都大学が出願人となり特許化された技術で、心臓由来の幹細胞であるCSCは心臓への組織適合性が高く、心疾患に対する有効な治療製品になると期待されています。
CSCの発見者である王英正教授(岡山大学病院)らの研究グループによって、CSCを用いた世界初となる機能的単心室症を対象とした臨床研究が実施され、その安全性と有効性が報告されています(Phase 1: TICAP 、Phase 2: PERSEUS)。心臓移植が困難な日本において、小児心不全に対する新たな治療法に繋がる可能性へ期待が寄せられています。
当社は事業推進のため、独占的ライセンスを受けるとともに、岡山大学から製造法や臨床応用に関する技術指導を受け、実用化に向けた開発を進めております(jRCT1080223307)。
JRM-001は、株式会社日本再生医療(JRM社)を子会社化した後、JRM社の創業者であり開発リーダーである戸田光太郎をはじめとする開発コアチームが当社で継続して開発を行なっています(プレスリリース)。また、当製品は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)のスタートアップ型(ViCLE)に採択され(プレスリリース)、再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目(第一回番号3)および希少疾病用再生医療等製品指定品目((R3再)第21号)に指定されています。
機能的単心室症は、心臓の構造において両方の心室(右心室と左心室)のどちらかが正常に機能していない、または完全に欠如している状態を指し、難病指定を受けています。この疾患は先天的に発生することが多く、1つの心室しか機能しないため、心臓は血液を適切に送ることができません。その結果、体と肺への血流の分配が正常に行われず、酸素供給が不足することがあります。
多くの症例は、乳児期から幼児期にかけてGlenn手術およびFontan型手術を経て、Fontan循環と呼ばれる血流循環で体内の酸素供給をできるだけ効率的に行うことを目指します。Fontan循環を受けた患者は、適切な管理と治療を受けることが重要です。依然として、長期的な合併症や心臓の機能低下のリスクは高いため、特別な医療的監視が必要です。患者の予後は個々の病状や手術後の経過に大きく依存します。
自家細胞治療とは、患者自身の細胞を使って治療を行う医療技術です。この治療方法では、患者の体から採取した細胞を培養・加工し、再び患者に戻すことで、特定の疾患の治療や回復を目指します。自家細胞治療は、免疫拒絶反応を避けることができるため、他人の細胞を使う治療(異種細胞治療、他家細胞治療)に比べて安全性が高いことが期待されています。
MTC001は、成人心不全治療のために開発された自家細胞治療薬であり、心組織の回復に特に適した特殊な線維芽細胞(VCF:VCAM-1-positive Cardiac Fibroblast)と専用カテーテルを組み合わせた製品です。
カテーテル投与は、開胸手術を伴う投与と比較して低侵襲であり、患者さまの身体的・経済的負担を軽減し、医療現場への導入ハードルを引き下げることが期待されます。
MTC001は自家細胞であるため免疫抑制剤を必要とせず、安全かつ低侵襲で有効性を持つ治療法となるよう設計をしています。