物流現場で働いているとよく目にするツールに段ボールのこ〈物流くん〉というカッターがあります。一般にカッターと聞けば、刃をスライドさせて使うタイプをイメージされる方も多いでしょうけれど、この記事を見てくれているような方なら、長谷川刃物株式会社からリリースされている【CANARY】シリーズの段ボール用カッターは馴染み深いでしょう。現場で貸与される場合もあるし、私物を持ち込んで構わない(要するに持参してねと)現場もあるので、menehuneも自前で1本所有しています。現場で段ボールを開梱したり、潰したりする際に重宝しますし、固めのPPバンドには歯が立ちませんが、プラ紐程度なら対応できます。
そんな物流現場から支持されている〈物流くん〉なのですが、ある日の現場でこんな恐ろしいことが起きたのです。その出来事をご紹介する前に、menehuneが所有する現物で仕様を紹介しておきます。
元箱の説明書に書いてある「ストッパー」が今回のキーワードです。実際の現場では必ずしも守られていないのですが、「ご使用の際はストッパーを掛けてください。また、保管の際は刃を収納し、ストッパーを掛けてください」と書かれています。
これが〈物流くん〉を分解した状態です。切れ味の悪くなった刃を換える際はこのように分解しますが、ストッパーが二つのパーツに分解できるようになっています。もちろん刃を本体ら繰り出す際に使うのですが、小さいほうの部品を右にスライドさせることで、刃が不用意に動くことを防止する役目があるんですね。
で、どんな恐ろしいことが起こったのか、という話に戻ります。この二つに分解できるストッパーの小さいほうのパーツの紛失が発覚したのです。無くなった経緯がわかるくらいならそもそもこんなことにはなっていなかったでしょう。で、どうなったのかというと、前日と今日出荷用にストックしておいた段ボールをすべて開梱してこの小さなパーツを探す作業が発生することになってしまったのです。費やした時間はおよそ2時間。そしてパーツは出てきませんでした。異物混入を指摘されるリスクはなくなりましたが、今後に課題を残すインシデントでした。
もちろん管理する側の担当者は派遣社員に貸し出した備品が正常な状態を保っているか厳しくチェックする必要があるでしょう。しかし、現場で使用される備品を製造するメーカーも、このような事案を発生させないような開発を行なう余地があるのかもしれません。もっとも、この手の議論は包丁や鉄砲を製造するメーカーではなく、それらを使う人間側に問題がある場合があるとされるケースがほとんどなので、今回のケースでも現場の人間が備品の構造と使用リスクに対しての認識を共有することで事故を防ぐべきなのでしょう。