「珈琲店タレーランの事件簿3 心を乱すブレンドは 」入手。
登場人物が多岐にわたるのと、舞台がバリスタ・コンペというイベント会場ゆえのアウェイ感があって、美星バリスタの「ツン」で「でれ」な要素がちと不足気味、というのが三分の一ほど読んだ印象。
これから先を楽しみに。
岡崎琢磨はん著、「珈琲店タレーランの事件簿3 心を乱すブレンドは 」読了。
※ここから先、若干のネタバレがあるかもしれません。
以前のエントリにも書いたが、今週末は桜の見頃。
巡礼がてら、旅のお供にこの一冊、みたいなことを書きましたが、読後感はこの内容を修正するものとなってしまいました。
まず、京都である必要がなくなっちゃったね、舞台。
これが大きいです。
バリスタ・コンペティションの舞台となる伏見にあるコンベンションセンター、といわれても、さすがに巡礼し
ようとは思いません。
よって、モデルとなった施設も調べる気にはなりませんでした。
物語がほぼここだけで展開するため、前2作のように、京都の地理に明るくないヒトたちを置いてきぼり、みたいな巡礼小説としての魅力はまったく、と言っていいほどありません。
2巻もそのきらいはありましたが、3巻にして、長編です。バリスタ・コンペティションが開催される二日間に起こる謎に、出場者でもある切間美星バリスタが挑むというお話です。
既刊であった、短編の集まりが、終盤に集約していく感じを期待していましたが、肩透かしを食らったかな。
いや、集約はしてるんだけど。。。
外野の声に耳を傾けすぎなのか、アオヤマの「んぐぁ。」は序盤に1回しか聞かれません。
京都の地理に明るくないヒト置いてきぼり感の無さも然り。
加えて、終盤の謎解きにまつわる過去の暗澹としたエピソードは重く、トリックも雑かなあ。
だから残念なことに、この3巻には、「京都に行きたい」と思わせるものが足りません。というか、ありません。
理由は冒頭述べたことに加え、美星の「デレ」要素が希薄なのが大きい。
お約束的にラスト近く、美星とアオヤマとの間で交わされるチョイ・ラブ描写が弱いんです。
1作目では表題ともなった「また会えたなら・・・」、2作目では「だから、どこへも・・・」という圧倒的に読者の胸に飛び込んで来る萌え台詞がないんです。
いや、あるにはあるんだけど、弱い。
逆な言い方をするなら、前2作のラストで零れる美星の台詞が、それだけメガトン級だったということなんですけどね。
よって萌えない。残念ながら萌え死なない。萌え死ねないんです。
一応4巻への布石を打った形で3巻は終了します。ってことは次作の舞台はイタリア?ってことになるんですが、美星とアオヤマの恋の行方も、情熱の国・イタリアで進展するのでしょうか。
ますます京都から遠ざかる。。。
もっとも、回想の形で散りばめられるのでしょうけど。
ただ、少しだけ贔屓目に書くと、シリーズ完結に向けてのブリッジとして、3巻では敢えて萌え要素を排除した、と取れなくもないんです。
あっ、ハードルあげちゃった?
だから、これを書いているワタシは3巻の売上の方がちと心配なのだが。

珈琲店タレーランの事件簿 3 ~心を乱すブレンドは (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 作者: 岡崎琢磨
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2014/03/24
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (13件) を見る