原材料調達
貢献するSDGs
明治グループサステナビリティ2026ビジョン
活動テーマ
原材料調達に関する目標
2026中期経営計画
マテリアリティ:人権・環境に配慮したサプライチェーンの構築
主な取り組み | 指標 | 参考実績 | 目標 | |
---|---|---|---|---|
2022年度 | 2026年度 | |||
1 | サステナブル調達アンケートの結果分析によるリスク評価、監査を含むエンゲージメントの実施 | 重要サプライヤーへの監査実施数 | N/D | 累計30社以上 |
2 | 海外グループ会社サプライヤーに対するリスク評価実施 | N/D | 2024年度中に 目標設定 |
|
3 | メイジデイリーアドバイザリー(Meiji Dairy Advisory:MDA)を通じた、酪農現場の人材マネジメントによる人の成長および人権、アニマルウェルフェア、GHG排出量削減などの社会課題の解決支援 | Meiji Dairy Advisory(MDA)取り組み戸数 | 44戸 (累計) |
累計100戸以上 |
4 | 生乳酪農家におけるGHG排出量削減に向けた取り組みの推進 | GHG排出量削減に取り組む酪農家戸数 | 2戸 (累計) |
累計30戸以上 |
5 | カカオメイジカカオサポート(Meiji Cocoa Support:MCS)を通じ、農家支援を実施した地域で生産された明治サステナブルカカオ豆の調達拡大 | 明治サステナブルカカオ豆の調達比率 | 62% | 100% |
6 | カカオ全ての調達先における農園までのトレーサビリティの確立 | カカオ農園までのトレーサビリティ比率 | 100% | 100% |
7 | カカオ児童労働監視改善システム(CLMRS)もしくは同等のシステムの導入による、児童労働ゼロに向けた取り組みの推進 | 児童労働監視改善システム導入率 | N/D | 100% |
8 | カカオGPSマッピングなどによる農園の実態把握と森林の保護回復を目的とした取り組みの推進 | GPSマッピング等の実態把握率 | N/D | |
9 | パーム油森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスクの特定検証による、森林減少に関与していないパーム油の調達推進 | 森林減少に関与していないパーム油の調達比率 | N/D | 2024年度中に 目標設定 |
10 |
大豆 第一集荷所までのトレーサビリティの確立もしくは認証品の調達 |
対象原料(検討中)のトレーサビリティ比率 | N/D | 2024年度中に 目標設定 |
11 | 紙製品の容器包装の環境配慮紙100%維持および事務用品や定型発行物の環境配慮紙への切り替え | 拡張した対象範囲における環境配慮紙の比率 | N/D | 100% |
2023中期経営計画
サステナビリティ活動KPI (2021年度から) |
実績 | 達成目標 | |||
---|---|---|---|---|---|
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2023年度 | 2026年度 | |
2021年度までに国内グループ会社のサプライヤーを対象にしたサステナブル調達アンケートの開始【明治G国内連結】 | 未実施 | 2社を対象に実施 | 31社を対象に実施 | 2021年度までに開始 | ー |
2022年度までに主要海外グループ会社のサプライヤーを対象にしたサステナブル調達アンケートの開始【明治G海外連結】 | 46社を対象に実施 | 17社を対象に実施 | 7社を対象に実施 | 2022年度までに開始 | ー |
酪農家の経営に関する支援活動 Meiji Dairy Advisory(MDA)の実施【明治国内連結】 | 475回/年 | 477回/年 | 522回/年 | 400回/年 以上 |
ー |
累計1,423回 | 累計1,900回 | 累計2,422回 | 累計2,150回以上 | ||
明治サステナブルカカオ豆の調達比率拡大【明治連結】 | 42% | 62% | 62% | 65%以上 | 100% |
RSPO※1認証パーム油への代替【明治連結】 | 84% | 90% | 100% | 100% | ー |
環境配慮紙への代替※2【明治G連結】 | 98% | 98% | 100% | 100% | ー |
人権・環境に配慮した原材料調達
責任あるサプライチェーンの構築
原材料調達に対する考え方
近年、企業は「公正かつ自由な競争ならびに適正な取引、責任ある調達を行う」ことが国際的に求められています。その実現には、自社のみならず取引先を含むサプライチェーン全体で社会的責任を果たし、児童労働や強制労働、環境破壊などの社会課題に取り組む必要があります。
明治グループは「明治グループ調達ポリシー」で人権と地球環境に配慮した調達活動を掲げ、サプライヤーとともに責任ある調達の実現を目指し、付随するリスクに対する予防・軽減策の実行に努めています。2020年6月には、サプライヤーに対して社会的責任を果たすことを求める「明治グループサプライヤー行動規範」を策定しました。以降、年月が経過することにより、サステナビリティにおける社会課題が多岐にわたり、より多面的な対応が必要になったことを鑑みて、2023年4月に改訂し責任あるサプライチェーン構築に向けて取り組んでいます。
本行動規範の適用範囲は、(株)明治、Meiji Seika ファルマ(株)、KMバイオロジクス(株)ならびに、国内・海外のグループ会社(連結)のサプライヤーとしています。
また、明治グループはザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)のメンバーとして各種ワーキンググループに参加し、人権侵害や環境破壊など社会課題の解決に向けて、協議を重ね改善に取り組んでいます。
サプライヤー行動規範に関する説明会の実施
2023年度には国内サプライヤーに対し、明治グループサプライヤー行動規範の説明会を対面またはオンライン形式にて行い、合計で約1100社のサプライヤーに参加いただきました。また、本行動規範に記載されている内容に同意されたサプライヤーには、同意確認書の提出を依頼しています。
明治グループサプライヤー行動規範 問い合わせ窓口
明治グループのサプライヤーの概況
明治グループは、グローバルの約3,100社のサプライヤーから、食品および医薬品の原料、包装材料、完成品・半製品を調達または製造委託しています。
重要サプライヤーについての考え方
明治グループは、国内・海外のグループ会社(連結)の取引実績から総サプライヤー数を把握し、その中から調達金額や調達原材料の代替可否等を考慮の上、重要サプライヤーを特定しています。
次のステップとして、重要サプライヤーの中からサステナブル調達アンケートによりサステナビリティリスク評価を行い、リスクの懸念があると考えられるサプライヤーには改善の要請や直接対話によるエンゲージメントを行っています。
サステナブル調達アンケートによるサステナビリティ評価
サプライチェーンにおける人権、労働、環境、企業倫理等に関する潜在的悪影響は、事業の継続発展性および企業のレピュテーションに影響します。人権、労働、環境、企業倫理等に関する企業の管理慣行は、企業の所在国・地域、業界、規模等によって異なります。明治グループは事業に重大な影響を及ぼす潜在リスクを特定し、適切に対処するために、以下の方法によりリスク評価を行い、管理しています。
評価対象
重要サプライヤーについての考え方に基づき特定された、重要サプライヤーを評価対象としています。
評価方法
包括的な企業の社会的責任(CSR)評価サービスを提供するEcoVadis社の評価システムもしくは明治オリジナル版アンケートを活用した「サステナブル調達アンケート」を実施し、サプライチェーン上における人権や環境に関する課題の有無を把握し、改善が必要な項目がある場合には、サプライヤーと連携・対話を進めながら、社会課題の解決とより強固な責任あるサプライチェーンの構築に努めています。
評価項目
労働と人権、安全・健全な職場環境、環境、倫理、公正性、持続可能な調達、救済制度の整備と報復行為の禁止等
評価頻度
サステナブル調達アンケートの結果からリスク評価を実施し、評価結果を元にサプライヤーへアンケートへの再受審を依頼しています。
評価結果が基準を満たすサプライヤー:2年後に再評価
評価結果が基準を満たさないサプライヤー:1年後に再評価
サステナブル調達アンケート実施実績
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
総サプライヤー数 | 約3,100※社 | ||||||||
リスク評価を行ったサプライヤー数 |
単年度 | 74社 | 77社 | 33社 | 82社 | ||||
累計/総サプライヤー数に対する割合 | 74社 | 2.3% | 151社 | 4.9% | 184社 | 5.9% | 266社 | 8.5% |
エンゲージメントの実施概要
アンケート結果から、取り組みの強化もしくは改善が必要と考えられるサプライヤーへのエンゲージメントを2022年度より実施しました。
一部の主要原材料サプライヤーとは、エンゲージメントを通じて、気候変動、水資源、廃棄物等の環境負荷低減に関する目標と実績を相互に共有し、環境課題等への取り組み状況を確認することで、GHG排出量削減や水リスク等の社会課題解決を推進しました。
また、国内の明治グループ会社に対してもエンゲージメントを実施し、責任あるサプライチェーンの構築を推進しています。
〈2023年度実施企業数〉
- 取り組み強化もしくは改善の必要なサプライヤー:5社
- 主要原材・包材サプライヤー:17社
生乳の調達
明治グループは、牛乳生産に関しておいしさの追求はもちろんのこと、環境や牛の健康にも配慮した酪農の在り方を支援することも大切な取り組みの一つと考えています。「明治グループ調達ポリシー」「明治グループファームアニマルウェルフェアポリシー」に基づき、取引先と協働で人権、環境、アニマルウェルフェアに配慮した調達活動に取り組んでいきます。
また(株)明治はグローバル・デイリー・プラットフォーム(GDP)およびJミルクのメンバーとして持続可能な酪農の推進と乳製品の健康価値の訴求などに取り組んでいます。
生乳流通と品質管理
生乳の生産地トレーサビリティ
生乳のトレーサビリティを確保しています。(国内および海外のグループ連結子会社実績)
高品質な生乳を安定調達するための取り組み
生産現場
- 牛の飼育環境や飼料の確認
- 生産者団体へ生乳の風味に関する勉強会の開催
工場搬入時
- 風味専門パネラーの育成と搬入時の検査徹底
研究所
- 品質の維持向上に向けた成分、物性などの理化学分析
- おいしさの評価ならびに情報発信
- 検査をより正確かつ迅速に行うための技術開発
Meiji Dairy Advisory(MDA)による酪農経営支援
MDAは、人材マネジメントにフォーカスし、農場の作業改善や経営管理技術の向上を通して酪農に関わる人の成長を支援する活動です。MDAは農場が経営目標を達成し続けるために、リーン生産方式に基づきカイゼン文化を定着していく仕組みであり、明治スタッフは農場とともに考え、農場スタッフの気づきを通してより良い環境や仕組みを構築する支援をする、アドバイザリーという形を採用しています。さらに、カイゼンの進捗に併せて、アドバイザリーは立ち位置を変えていきます。
2021年5月には「MDAを年間400回実施、および2023年度までに累計2,150回以上実施」というKPIを掲げました。こういった活動をより一層強化し、持続可能な生乳生産の実現に貢献していきます。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | ||
---|---|---|---|---|
Meiji Dairy Advisoryの実績 | 年間 | 475回 | 477回 | 522回 |
累計 | 1,423回 | 1,900回 | 2,422回 |
カカオの調達
カカオの生産の現場では、木の高齢化や病虫害、農業資材入手の難しさ、栽培技術の周知不足が収穫減につながり、十分な収入を得ることができなかったり、国や地域によっては、児童労働や森林減少という社会課題にも直面しています。こうした状況を改善して、カカオ生産を持続可能とし、おいしいチョコレートを安定的に届けることが、meijiの使命です。
明治グループは、2026年度までに、農家支援を実施した地域で生産された「明治サステナブルカカオ豆」の調達比率100%を目指しています。「明治グループ調達ポリシー」に基づき、サプライヤーと連携しながら、人権や環境に配慮した調達を行い、カカオ豆の生産地域や農家が抱える課題を解決し、持続可能なカカオ豆生産の実現に貢献していきます。
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|
明治サステナブルカカオ豆調達比率(%) | 40 | 42 | 62 | 62 |
メイジ・カカオ・サポート
2006年に始めた明治独自のカカオ農家支援活動「メイジ・カカオ・サポート」。カカオ豆生産の持続可能性を高めるために、産地に直接足を運んだり、さまざまなパートナーと協働したりしながら、カカオ豆の品質向上への技術支援や農家の生活向上、地域の環境保全・回復等の社会課題解決に取り組んでいます。さらに、この活動の維持・推進のために、カカオ豆調達時にプレミアム価格で購入しています。
メイジ・カカオ・サポートカカオ産地への支援
メイジ・カカオ・サポートは、現在9カ国で展開しています。カカオを生産する国や地域によって、抱える課題はさまざまです。明治はそれぞれの課題と向き合いながら、解決に向けて、産地が求める最適な支援を行っています。
取り組みの詳細についてはこちら児童労働撤廃への取り組み
カカオ産地の一部では、子どもたちが学校に行けずに身体的な危険にさらされたりしています。明治は、現地のパートナーや地域社会と協力しながら、児童労働撤廃に向けて活動しています。
取り組みの詳細についてはこちら森林減少停止への取り組み
カカオ生産と豊かな自然の両立を目指して、森林保護・回復に関する啓発活動やアグロフォレストリーの推進など、さまざまな取り組みを行っています。
取り組みの詳細についてはこちらパーム油の調達
パーム油は熱帯地域で栽培されるアブラヤシから採れる植物油脂で、加工食品の原料などの用途に幅広く使われていますが、パーム油の生産地においては、強制労働や児童労働などの人権課題や、農園の開発に起因する、森林の減少や泥炭地の破壊などの環境課題を抱えています。「明治グループ調達ポリシー」では、NDPE方針(No Deforestation, No Peat, No Exploitation=森林減少ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)を支持し、取引先とともに社会的責任に配慮したパーム油の調達活動に取り組むことを規定しました。
認証パーム油の導入推進
明治グループは、2016年にRSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパーム油のための円卓会議)に加盟し、2022年10月までに国内18工場、海外5工場でRSPOサプライチェーン認証を取得、2023年度にはマスバランス方式でのRSPO認証パーム油の調達100%を達成しました。2024年度からは、社会課題のさらなる解決に向けて、森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスク検証を行い、森林減少に関与していないパーム油の調達を推進しています。
また、ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)の日本サステナビリティ・ローカル・グループ(JSLG)にメンバー企業として参加し、パーム油の生産現場の課題や認証制度、企業の取り組みについての情報収集と共有に取り組んでいます。2019年にはパーム油の原産国であるマレーシアの農園を視察しました。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|
RSPO認証パーム油の割合(%)※ | 21 | 68 | 84 | 90 | 100 |
パーム油のトレーサビリティの確認
調達するパーム油の生産地域で、森林減少や泥炭地破壊、搾取などが行われていないことを確認するために、サプライヤーから定期的に搾油工場(ミル)までのトレーサビリティ情報を入手し、ミルリストを公開しています。
大豆の調達
大豆は世界中で広く栽培、利用されている食品原料であり、食用以外でも家畜の飼料などさまざまな用途で利用されています。明治グループの事業にとって重要な原材料のひとつですが、ブラジルを中心に農園の乱開発による森林減少や人権に関する課題が指摘されています。明治グループは、「明治グループ調達ポリシー」に基づき、サプライチェーンパートナーとの協働により社会的責任に配慮した大豆の調達活動に取り組んでいきます。
紙の調達
自社の製品や各種印刷物などに使用する紙原材料において、「明治グループ調達ポリシー」に基づき、取引先と協働で人権・環境に配慮した調達活動に取り組んでいきます。
環境に配慮した紙の使用拡大
製品の容器包装や各種印刷物などで、FSC®※やPEFCなどの森林認証を受けた紙など環境配慮紙の使用拡大を推進し、2023年度にグループ全体で生産する製品の容器包装する紙において、環境に配慮した紙原材料100%を達成しました。製品の容器包装と同様に、事務用品(名刺、封筒、紙袋等)や定期発行物(会社案内等)においても、環境配慮紙の使用拡大を推進しています。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|
森林認証紙(FSC, PEFC)および古紙を含む紙原材料の使用率(%) | 60 | 77 | 98 | 98 | 100 |
FSC®認証紙を使用している主な商品と使用拡大に向けての取り組み
「明治おいしい牛乳 900ml」「きのこの山」「たけのこの里」など多くの商品で環境に配慮紙を使用しています。
また、2020年10月には、FSC認証紙の使用拡大に向けてヨーグルトやチョコレートの生産工程におけるFSC®-COC認証(ライセンス番号:FSC®-C159538)※を(株)明治が取得しました。