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介護報酬に関する意見 (平成14年5月13日)

 平成14年5月13日開催の社会保障審議会・介護給付費分科会に介護報酬に関する意見を提出しました。  
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介護報酬に関する意見
 
 
 介護保険制度については、施行後2年が経過し、都市自治体においては、多くの不安を抱えながらもその円滑な運営を図るべく懸命に努力してきた。
 平成13年10月からは1号保険料の全額徴収が始まったところであるが、生活保護を受給しておらず、生計が困難と認められる者に対する措置や利用者負担に係る国の特別対策については問題も多く、国の制度として総合的統一的な低所得者対策の確立を図る必要がある。
 また、介護サービス基盤整備の進捗、高齢化の進展、制度の普及により保険料は今後、確実に上昇することが見込まれている。
 介護保険制度は在宅重視を基本理念に掲げ、要介護者等ができる限り在宅生活が可能となるような支援体制の確立を目指している。介護保険制度のもとで、在宅サービスの利用量は飛躍的に伸びてきており、一方で、特別養護老人ホームの入所申込者も急増している。
このような状況の中で、今回の介護報酬の見直しにあたっては、在宅サービスの充実が図られるよう見直しを行うとともに、介護報酬の改定が保険財政に大きな影響を与えることのないよう、特に次の事項について適切な措置を講じられたい。

Ⅰ.居宅サービス
1.介護報酬の加算・減算について
介護報酬の区分支給限度基準額に含まれるサービスについては、基本額とは別に各種加算が設けられているため、利用者にわかりにくく、また、区分支給限度基準額の管理が複雑になり、ケアマネジャーの事務も煩雑なものとなっている。区分支給限度基準額のサービスについては、加算の廃止や、加算を介護報酬の基本額に含めるなど包括的な介護報酬の体系とすること。 
2.訪問介護について
訪問介護の身体介護、家事援助、複合型の3区分については、身体介護と家事援助の単価に3倍近くの格差があることから、その業務等の実態を踏まえ、2区分を前提として身体介護及び家事援助の介護報酬について適正化を図ること。 
3.医療系介護サービスについて
介護保険の医療系サービスについては、診療報酬の改定に伴い、診療報酬との整合性を図ること。  
4.福祉用具貸与・購入について
(1)車椅子や特殊寝台等、長期に使用することが多い品目については、実態上購入と変わらない費用負担となっている。利用者が貸与か購入のどちらかを選択することができるよう、貸与品目と購入品目を共通化すること。 
(2)福祉用具貸与・購入については、利用者のニーズや福祉用具の進歩にあわせ、品目の見直しについて検討を行うこと。 
5.通所介護・通所リハビリテーションについて
通所介護及び通所リハビリテーションについては、これまでの利用実績を踏まえ、送迎加算を基本報酬に組み入れるなど、適切に算定すること。    
6.短期入所生活介護・短期入所療養介護について
短期入所者であっても、施設サービスとほぼ同様なサービスを受けることから、ホテルコストの徴収について検討すること。 
7.痴呆対応型共同生活介護について
介護保険施設は夜間勤務を前提とした報酬単価となっているが、グループホームは宿直を前提とした報酬単価となっている。入居者は、夜間の徘徊やトイレ誘導など24時間の介護体制を必要としていることから、夜間勤務を介護報酬に組み入れるなど、適切に算定すること。 
8.区分支給限度基準額について
要支援の区分支給限度基準額については、支給限度額の一本化に伴い、短期入所サービスの利用日数が7日から1日減少していることから、短期入所サービスの介護報酬の見直しを含め、適正な区分支給限度基準額に見直すこと。 
9.居宅介護支援について
(1)居宅介護支援の介護報酬については、介護支援専門員の資質向上や事務の簡素化を講じるとともに、地域差にも配慮した適正な介護報酬に見直すこと。
(2)住宅改修理由書作成に係る費用は、ケアマネジャーの本来業務と考えられるので、居宅介護支援の介護報酬に含めること。
 
Ⅱ.施設サービス
1.特別養護老人ホームについて
(1)新型特別養護老人ホームについては、ホテルコストを徴収することなど、在宅における介護の負担との均衡を図ること。 
(2)特別養護老人ホームの定員規模別報酬については、大規模施設はスケールメリットが働くが、小規模施設は固定費の割合が高く、スケールメリットが働かない。小規模施設の介護報酬の適正化を図るため、定員規模別の介護報酬の設定とすること。 
(3)施設サービスが必要な者が入所待ちをしている実態から、家庭における介護力及び要介護度など本人の状況を考慮し、必要な者から優先して入所ができるよう、必要な措置を講じること。 
2.介護老人保健施設について
現在、在宅復帰(中間施設)として位置付けられている介護老人保健施設については、中間施設として在宅復帰の機能を有しながらも、在宅復帰が困難な者に対しては、引き続き入所できるよう利用者の状態にあった弾力的な運営を行うこと。  
3.介護療養型医療施設について
(1)介護療養型医療施設については、医療保険適用と介護保険適用との区別が実態的に不明確であるので、明確にすること。 
(2)介護療養型医療施設については、診療報酬の改定に伴い、診療報酬との整合性を図ること。  
(3)看護6:1、介護3:1の人員配置に係る報酬については、平成15年3月31日までの経過措置とされているところであり、この期限どおり廃止すること。 
(4)おむつ代は、特別養護老人ホーム、老人保健施設と同様に、引き続き報酬に含めること。