ウクライナとロシアの戦争の勃発から1年が経ち、日本のメディア各社は総じてウクライナ有利との見方をしています。しかし、ウクライナ軍とロシア軍の死亡者数も真実はわかっていません。事実もわからずに全体を論じる日本のメディアは、もはや報道の体をなしていません。(『 ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで 』吉田繁治)
※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』2023年2月27日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
事実がわからぬウクライナ情勢
ウクライナ戦争後1年が経過し、メディア各社は特集を組んでいます。共通した見方は、ロシアの不利、西側の兵器支援でウクライナ有利、戦争は長引くというものです。
報道は、「事実→データ→評価または予想」という論理構造をもつものです。
しかし、ウクライナ戦争については、戦場の事実とデータが分からない。
現場にはいないメディアや専門家が予想できる根拠は「ない」。
現場にいても、局所の情報であり、かえって、全体が見えない。
(被害を受けたウクライナ人へのインタビュー記事がこれです)
事実をもとにしていない全体の予想や評価は、ロシア側かウクライナ側に味方する「党派的なもの」になります。
与党と野党では同じ事実をもとにしても、経済や社会問題への見方と政策が、正反対になることと同じです。
2000年代に、世界のメディアの党派性は、高まっています。西側の主流メディアは、現在、全部が米国民主党寄りです。
「事実の客観的な立脚点からの報道」はない。皆無に近くなっています。
死者数もわからないのに「ウクライナ有利」と断言できるのか?
戦局は、軍人の戦死者数に、もっとも強く現れます。有利なら死者数は少なく、不利なら多いでしょう。
ところが1年の、軍人の戦死者数は、以下とされています。
(2023年2月24日:朝日新聞朝刊:この数字は朝日が作ったものではないと思われます)
【ウクライナ側の発表】 【ロシア側の発表】
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軍人死者数 ウクライナ 1万3000人 ウクライナ6万1207人
ロシア 14万4400人 ロシア 5937人
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・米軍の推定 ウクライナ軍の死者数 10万人
・英国防省の推定 ロシア軍の死者数 4万から6万人
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ウクライナ軍の死者数については、以下の違いがあります。
・ウクライナの発表 1万3000人
・米軍の推定 10万人
・ロシアの発表 6万1207人
死者データの誤差としては、大きすぎます。7.7倍の違いがあって、西側のメディアは、事実の根拠があやふやなまま、総じてウクライナが有利、ロシアが不利としています。
ロシアは、1桁まで出しています。数字は「ウクライナの発表1万3000人+米軍の発表10万人」のほぼ真ん中の、6万1207人です。
ロシアの発表が正しいかどうかは分からない。双方のプロバガンダ情報の、中点の死者数であることは事実です。
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