第6回選定結果(令和元年12月3日)
東海農政局版優良事例として6地区及び2名を選定しました
東海農政局では、「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」(第6回選定)に応募のあった94地区及び10名から、東海農政局版の優良事例として、次の6地区及び2名を選定しました。
6地区及び2名の概要を紹介します。
団体部門
- 有限会社萬里(ばんり) 飛騨えごま本舗(岐阜県高山市)
飛騨の伝統食である飛騨えごまのブランド化による全国展開と、飛騨全域でえごま栽培する「飛騨えごまバレー構想」で地域活性化に取り組んでいます。平成27年から30年の間でえごま栽培農家は4軒から79軒に、取扱量は190kgから2,000kgに増加しており、平成30年度の売上は約2,000万円となっています。
主力製品の飛騨生搾りえごま油と飛騨えごま実
- 株式会社飛騨の森でクマは踊る(岐阜県飛騨市)
チップとなって安価で飛騨市外に流出していた小径の広葉樹を使った家具、什器、内装材等の商品を開発・販売し、平成30年度の売上は約4,100万円となっています。これまで地域になかった森林・木材に関する体験ツアーを企画・実施し、参加者は延べ約3,000人、宿泊者も約1,000人に上っています。また、海外の建築家を目指す学生等に学びの場を提供しています。
チップになる小径広葉樹から作ったスツール
- 株式会社デイリーファーム(愛知県常滑市)
養鶏場として大正より営業しており、平成27年6月から洋菓子店(ココテラス)を開店、たまごの直売と加工品を販売しています。来客数は年間約12万人で、平成30年度の売上は約1億2,400万円となっています。さらなる卵の可能性を消費者に提供するため、平成30年6月に国家戦略特区を活用して、農家レストラン「レシピヲ」をオープンしています。
たまごをたっぷり使用した手作り人気スイーツ
- 一般社団法人三重県障がい者就農促進協議会(三重県津市)
農業分野における障がい者の就農への支援、情報発信、ネットワークづくりを推進し、ジョブコーチの農業版である「農業ジョブトレーナー」を延べ170人育成しています。また、農業分野における障害者の就労体験のコーディネート(延べ19件)の実施や、農福連携マルシェの開催、農業高校や企業と連携した商品開発にも取り組んでいます。
農業ジョブトレーナー養成講座の農業実習
- 海女小屋(あまごや)はちまんかまど 有限会社兵吉屋(ひょうきちや)(三重県鳥羽市)
平成16年に、日本で初めて実際に使用している海女小屋を開放し、現役海女が米国のお客様をもてなしたことがきっかけで、海女小屋体験サービスを開始しています。平成30年の海女小屋総受入人数は約2万3,000人で、うち9,000人強が外国人となっています。海女小屋体験が、海女の生きがい、海女の収入増加、雇用の創出、新たな観光地の誕生等、海女文化と食文化の継承にも貢献しています。
ロシア観光客の海女着体験
- 三重 紀北町 海・山こだわり市(三重県紀北町)
6次産業化や紀北町ブランド構築に向け、農林漁業者が一丸となる「海・山こだわり市」を開催(平成30年度来場者数3,300人)するとともに、気楽に食べ歩きのできる「食べ歩き棒」対決で、商品化にも至っています。第一次産業の就業者を増やすための体験ツアーを実施・運営し、Iターン者(2名)の就業(移住)に成功しています。
三重県東紀州地域を巻き込んで広域イベントへ成長
個人部門
- 小池 永司(こいけ えいじ)氏(岐阜県下呂市)
渓流魚の生息環境や美しい農村景観を保全するため、馬瀬川沿いの森林を、全国初となる「渓流魚付き保全林」への指定や、NPO「日本で最も美しい村」連合への加盟に尽力されました。地域の食や景観などの新たな魅力を発掘し、集落の野外を活用した博物館(里山ミュージアム)の開設や、鮎火ぶり漁の観光化、農業及び自然体験ツアーを開発し、新たに3,000名程度の観光客が増加しています。また、インバウンド客の誘致等にも努力されています。
非公開であった鮎火あぶり漁を公開し観光化
- 篠木 優果(しのぎ ゆうか)氏(三重県鈴鹿市)
障害者手帳を持ちつつも労働意欲があり、平成24年11月に社会福祉法人朋友へ就労、農業部門「わか菜の杜」で水耕栽培を担当することとなりました。毎日農業をする中で、作物の芽が出て葉が大きくなる変化を喜びと感じ、心も体も元気になりました。その後、三重県のカフェ事業で設置した「こっち菜」のオープンスタッフに抜擢され、平成28年には弁当、野菜販売等を行う「こっち菜デリ」の店長に就任し活躍、障害者手帳を返上しました。平成30年の「こっち菜デリ」の売上は約2,100万円となっています。
「こっち菜デリ」の外観
全国選定で東海農政局管内から3地区及び2名が選定されました
内閣官房及び農林水産省は、令和元年10月21日(月曜日)に「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」第3回有識者懇談会を開催し、全国で31地区及び5名の優良事例を選定しました。
そのうち東海農政局管内(岐阜県、愛知県及び三重県)からは3地区及び2名が選定されました。
3地区及び2名の概要を紹介します。
団体 コミュニティ部門
- 鞍掛山麓(くらかけさんろく)千枚田保存会(愛知県新城市)
自然豊かな景観と生物多様性に富んだ「四谷の千枚田」は、平成22年10月に名古屋で開催された、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の誘致に貢献し、海外から中山間地の米作りの農業視察が増加しています。地域の教育機関と連携した農業体験学習や、企業と連携した社員研修・ボランティア活動を積極的に受け入れ、平成26年から30年の間で見学者・訪問者が1万5000人から2万5000人に増加しています。
棚田の風景「四谷の千枚田」
団体 ビジネス部門
- 西尾南部ベイエリア協議会(愛知県西尾市)
地域の大学と連携し、「うなぎの蒲焼き体験」などの体験プログラムを開発しました。また、地域の高校及び企業と連携し、うなぎを使用した新商品を開発、平成30年には約1億5000万円を売り上げました。日本語版と英語版のパンフレットやポスターの作成・配布や、SNSで動画を配信するなど、国内外へ積極的にPRを実施し、平成29年から30年の間に、宿泊者数は7,400人から9,000人に増加しています。
日本語版、英語版のパンフレット作成
- ミナミ産業株式会社(三重県四日市市)
農研機構などと連携し、高機能性大豆「ななほまれ」の研究を行い、高付加価値大豆の普及を図っています。また、地域の大学と農商工連携を進め、平成30年には、にがりを使用した大豆栽培面積が160haまで拡大しています。さらに大豆製品の海外販路開拓事業に取り組み、海外28ヶ国へ輸出しており、海外で食育イベント等も実施しています。平成26年から30年の間の輸出額は約3,600万円から5,100万円に増加しています。
自家製豆腐作り(海外事例)
個人部門
- 大島 光利(おおしま みつとし)氏(岐阜県恵那市)
過疎化に伴い増加する空き家を改修して、移住・定住を促進する古民家リフォームの取り組みに従事され、平成23年以降、28件の空き家を改修し、令和元年7月現在で70人の移住者を受け入れています。また移住者や林業技術者などとともに、継続的な森林整備や担い手づくりを目的とした里山づくりにも従事し、平成26年以降、57haの森林整備を実施しています。
古民家リフォーム塾第1号物件「田舎暮らし体験館 結の炭家」
- 北川 静子(きたがわ しずこ)氏(三重県多気町)
高齢化や後継者不足の中、農村で生まれる産物・豊かな文化・お年寄りの持つ技術を活かそうと、地元女性と共に有限会社を設立しました。農産物買上額、地元雇用により地元への貢献金額は平成30年で6,000万円となっています。農家レストラン、加工所などで地元農産物を使用した料理や商品を生産し、農家レストランへの来場者数は平成30年で年間9万5000人となっています。
地元の子どもたちからのつくしの買い取りは15年続く
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農村振興部都市農村交流課
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