愛知(地方参事官)の地域農政情報
地方参事官ホットライン
現場と国との双方の意思疎通を図るため、地方参事官ホットラインを開設しています!
農林水産省では、各都道府県に、農政を伝え、現場の声を汲み上げ、ともに解決する地方参事官を配置しています。
農業者・消費者・行政関係者の皆さまからの、農政に関するご相談、事業や制度へのご質問などを受け付けています。
愛知県につきましては、以下の連絡先にお気軽にお問い合わせください。
地方参事官ホットライン(愛知)
電話:052-763-4492
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地方参事官ニュース (令和6年度)
豊橋市の柿園におけるバイオ炭施用試験に係る情報交換会に参加しました
令和7年2月7日、愛知県拠点は、愛知県豊橋市の百年柿園ベル・ファーム(以下「ベル・ファーム」という。)の柿園を訪問しました。現地では、柿の剪定枝を活用した無煙炭化器による炭化作業とバイオ炭の施用試験を行っています。
現地調査のあと、中部電力株式会社技術開発本部電力技術研究所バイオグループ(以下「中部電力バイオグループ」という。)の研究主査 鈴村 素弘(すずむら もとひろ)さん、ベル・ファーム 代表の鈴木 義弘(すずき よしひろ)さん、JA豊橋営農部指導推進課、東三河農林水産事務所農業改良普及課および東海農政局 宮廻持続的食料システム戦略推進官が情報交換を行いました。
中部電力バイオグループでは、JAあいち中央(ミニバラ)、JA豊橋(柿)と連携して、農業分野の地球温暖化対策としてのバイオ炭の有効性調査に取り組んでいます。また、バイオ炭の農地への施用(注1)については、土壌改良の効果が期待できることに加え、温室効果ガス削減の取り組みとして認められるとJ-クレジット制度(注2)の活用が可能となります。
ベル・ファームのバイオ炭施用試験では、バイオ炭を施用して深さ0~20cmの土壌pHの推移を約1年間にわたって計測したところ、施用後のpHが上がり土壌が改良されたことが確認されました。鈴木代表から、「今までは、剪定枝を粉砕し畑への散布等によって処分していたが、令和6年から中部電力株式会社とJA豊橋が連携して無煙炭化器によるバイオ炭を製造、柿園へのバイオ炭施用による効果等を検証しており、地域で課題となっている剪定枝の処分対策と環境問題の解決につながるよう取り組んでいる。」と説明を受けました。
また、中部電力バイオグループの鈴村主査は、「消費者の皆さんに農地へのバイオ炭の施用が温室効果ガス削減に効果があり、地球温暖化対策となることを周知していきたい。バイオ炭を施用した農産物を選んで購入いただき、バイオ炭施用が付加価値となり農産物の販売単価が向上するよう研究に取り組んでいきたい。」と抱負を語りました。
(注1)バイオ炭の農地施用は、政府の地球温暖化対策計画(令和3年10月閣議決定)において、たい肥や緑肥等有機物の農地施用などとともに、農地土壌吸収源対策として位置付けられている。これは、木材やもみ殻を炭化させたバイオ炭を土壌に投入すると長期間土壌中に炭素が貯留され、大気中へ放出される温室効果ガス削減につながるという考え方に基づいている。
(注2)J-クレジット制度は、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。
ベル・ファーム柿園内における無煙炭化器でのバイオ炭製造風景(令和7年2月7日撮影)
炭化した剪定枝を一斗缶に投入し蓋をして消火する作業風景(令和7年2月7日撮影)
JA豊橋第六事業所における情報交換風景(令和7年2月7日撮影)
「恵実生産者グループ」の代表で、有機農業を実践している生産者を訪問し、意見交換を行いました
令和6年12月11日、野中地方参事官が、愛知県豊橋市で環境保全型農業に取り組む「恵実(えざね)生産者グループ」を訪問し、同グループの代表を務める安藤 成彦(あんどう なるひこ)さんと意見交換を行いました。
同グループは、安藤代表の父親の代に地域住民から「安全でおいしい野菜を作ってほしい」という要望を受けて、地域の農業者から有志を募り昭和49年に結成したグループで、現在は14名の生産者が化学肥料・化学農薬を低減した栽培方法で、野菜や果樹などを栽培しています。メンバーの経営規模が小さいため、収穫した農産物はグループで取りまとめて「コープあいち」に出荷しています。また、毎月第4金曜日に開催している「えざね朝市」でも販売し、消費者と接する機会を設けています。
今年、グループ結成から50周年を迎え、新たな取り組みとして「えざね協同ファーム」という協同管理の農場運営を試行的に始めています。安藤代表は「現在は消費者向けの農業体験の場として運営しているが、将来的には、地域住民が同グループの野菜の出荷・調製作業や地元農地の管理を行うなど、協同ファームを通じて地域住民が農業に関わる仕組みを作りたい。」と考えています。
また、安藤代表自身は約50年以上前から有機栽培に取り組んでいる父親のもとで30年以上前に就農し、試行錯誤を重ねながら土作りにこだわった有機農業を続け、現在約3ヘクタール(施設0.4ヘクタール、露地2.4ヘクタール、水田0.2ヘクタール)の農地で、特に施設では小松菜や水菜などの葉物野菜を中心に栽培しています。有機農業では、特に除草対策が大きな課題ですが、夏場にソルゴー等を植えて緑肥としてすき込み、太陽熱養成処理(注1)を行い、微生物やミネラル分をEM菌(注2)等の有機質由来の資材で補うことで、雑草が生えにくい土壌環境を作っています。
意見交換の中で、安藤代表は、「みどりの食料システム戦略の策定や食料・農業・農村基本法の見直しによって環境保全型農業に焦点が当たり、この先の国の施策に期待している。今後は国全体でスピード感を持って、食料システムに関わる者全ての理解醸成や協力を得ながら、食料安全保障の観点からも有機農業の技術確立などの施策を推進していく必要がある。自らも有機栽培の技術確立に向けて努力していきたい。」と政策に対する意見や抱負を語りました。
(注1)太陽熱養成処理とは、作付け前のほ場に有機物や有用菌を入れて透明マルチシートで土を被覆することで、微生物の分解機能を利用した土作りや太陽熱及び発酵熱による土壌中の病原菌や害虫の防除を行うもの。
(注2)EM菌(Effective Microorganisms)とは、主に土壌改良や農業、環境保全などに利用される微生物の集合体。
安藤農園施設内における意見交換風景、(奥:安藤 成彦さん、手前:野中地方参事官)(令和6年12月11日撮影)
安藤農園における小松菜や山東菜などの葉物野菜の有機栽培の様子(令和6年12月11日撮影)
食(FOOD)フェスタ2024に参加しました ~日本の食と農を考える~
令和6年12月7日、8日の2日間、東海農政局愛知県拠点は、イオンモール名古屋茶屋と愛知県立南陽高等学校(以下「南陽高校」という。)と連携して、食に関するイベント「食(FOOD)フェスタ2024 ~みんなで考えよう食のこと~」に参加しました。
当拠点では「みどりの食料システム戦略」(以下「みどり戦略」という。)に基づき、持続可能な食料システムを構築するため、食料システム全体での環境負荷低減の取り組みや国民理解の醸成に向けて、環境負荷低減の取り組みの「見える化」(注1)(以下「見える化」という。)を推進しています。
本フェスタでは、当拠点の働きかけにより、南陽高校が農産物の環境負荷低減の取り組みを星の数で分かりやすく表示した「みえるらべる(注2)」を貼付した米を販売しました。各日250袋を用意したところ、両日ともお昼には完売と大盛況でした。
当拠点は、大人も含めた消費者向けのクイズを実施し、日本の農業の現状と課題に加え、食品ロス削減、環境にやさしい農産物の選択等、消費者自らが取り組めることについて啓発しました。また、農業に触れる機会の少ない子ども向けに「お米ができるまで」のVR体験を実施しました。
なお、みどり戦略に関し実施したアンケートでは、環境負荷低減農産物を選ぶ状況として、「購入できる場所が近くにあれば」との回答が最も多く、みどり戦略に消費者が参画していただくためには、これらの農産物の販売場所を増やし、身近な商品として提供することが重要であることを、あらためて認識したところです。(アンケート結果は別図参照)
当拠点は、今後も環境に配慮して生産された農産物について、「見える化」の普及を通じて積極的なみどり戦略の情報発信を行い、消費者を含めた幅広い関係者への理解浸透に努めていきます。
(注1) 環境負荷低減の取り組みの「見える化」とは、温室効果ガスの削減や生物多様性を保全するために、環境にやさしい栽培方法で生産された農産物に星の等級を付け、消費者に環境への配慮を見える化する取り組みのこと。
(注2) 「みえるらべる」とは、消費者がこのラベルを「みて」、環境負荷低減に資する農産物を「えらべる」ように付けられた愛称のこと。
イベントブースの様子(令和6年12月8日撮影)
クイズに挑戦する様子(令和6年12月8日撮影)
「みえるらべる」を貼付した南陽高等学校のお米(令和6年12月7日撮影)
アンケート結果
(アンケート回答者数: 263名)
Q:普段、何を基準に農産物を購入していますか?(複数回答)
Q:普段、環境にやさしい取組を行っている、またはこれから取組みたいと考えていることはありますか?(複数回答)
Q:どのような状況であれば環境にやさしい農産物を購入しようと思いますか?(複数回答)
第51回岡崎市農林業祭に参加し、みどりの食料システム戦略をPRしました
令和6年11月2日、3日の2日間、東海農政局愛知県拠点は、岡崎市農林業振興推進実行委員会が主催する「第51回岡崎市農林業祭」に参加しました。
当拠点では「みどりの⾷料システム戦略」(以下「みどり戦略」という。)に基づき、持続可能な食料システムを構築するため、食料システム全体での環境負荷低減の取り組みや国民理解の醸成に向けて、環境負荷低減の取り組みの「見える化」(注1)(以下「見える化」という。)を推進しています。
農林業祭では、岡崎市協力のもと、当拠点の働きかけにより農産物の環境負荷低減の取り組みを星の数で分かりやすく表示した「みえるらべる(注2)」を貼り付けした米や米加工品などが販売され、生産者と消費者の間で会話や買い物を通じた交流が盛んに行われていました。
当拠点は、消費者の理解と支持を得るため、みどり戦略について学べるコーナーを設置したところ、家族連れを中心とした多くの方で賑わいました。
また、みどり戦略に関するアンケートを実施したところ、「見える化」した農産物の購入については、多数の方から「積極的に購入したい」又は「見つけたら購入したい」との回答を得ました。(別図参照)
当拠点は、今後も環境に配慮して生産された農産物について、「見える化」の普及を通じて積極的なみどり戦略の情報発信を行い、消費者を含めた幅広い関係者への理解浸透に努めていきます。
(注1) 環境負荷低減の取り組みの「見える化」とは、温室効果ガスの削減や生物多様性を保全するために、環境にやさしい栽培方法で生産された農産物に星の等級を付け、消費者に環境への配慮を見える化する取り組みのこと。
(注2) 「みえるらべる」とは、消費者がこのラベルを「みて」、環境負荷低減に資する農産物を「えらべる」ように付けられた愛称のこと。
来場者で賑わう愛知県拠点のみどり戦略について学べるコーナー(令和6年11月3日撮影)
みどり戦略を説明する愛知県拠点職員(令和6年11月2日撮影)
「みえるらべる」を貼付した米加工品および茶を販売する生産者(右)、岡崎市役所職員(左)(令和6年11月2日撮影)
「みえるらべる」を貼付した米および弁当を販売する生産者(令和6年11月3日撮影)
みどりの食料システム戦略に関するアンケート結果(193名から回答)
性別
年齢
普段、何を基準に農産物を購入していますか。(複数回答)
普段、環境にやさしい取組を行っている、またはこれから取り組みたいと考えていることはありますか。(複数回答)
農林水産省では、生産者の環境にやさしい取組を星の数で評価し、分かりやすく伝える「見える化」を推進しています。「見える化」された農産物を購入しようと思いますか。
次世代園芸施設であるイノチオファーム豊橋を訪問しました ~新しい農業をここから始める~
令和6年10月9日、秋葉東海農政局長と野中地方参事官が、イノチオみらい株式会社を訪問し、同社代表取締役社長の大門弘明(おおかど ひろあき)さんと意見交換を行いました。
同社は、愛知県や豊橋市などを構成員としてコンソーシアムを組織し、次世代施設園芸のモデル拠点として、愛知県豊橋市に約3.6haの栽培棟「イノチオファーム豊橋」を平成28年に整備しました。「イノチオファーム豊橋」では、化石燃料使用量の低減と高度な環境制御技術による計画的、安定的な生産を目標として、ミニトマトの養液栽培を行っています。
化石燃料使用量の低減の取り組みとして、施設に隣接する浄化センターから排出される放流水を熱源として栽培施設の冷暖房に活用。また、内気循環や外気の取り入れ、栽培技術などを組み合わせることにより、全体の化石燃料使用量を約46%削減することに成功しています。
計画的、安定的な生産の取り組みとして、施設内の環境を制御・モニタリングする「エアロビート」、潅水・液肥管理を行う「アクアビート」などの制御システムを導入し、1週間単位で生育状態の確認と検証を行って、年間で約580tミニトマトの周年出荷を実現しています。収穫されたミニトマトは、「GABA」の含有量が高く、生鮮ミニトマトでは日本初の「機能性表示食品」として地元のスーパー等に出荷しています。
大門社長は、「今後も先端技術を開発および普及していく立場として、施設のゼロ・エミッション化や高温障害による収量の減少への対策、生産性向上のためのスマート技術の導入などを行っていきたい」と抱負を語りました。
ミニトマト栽培施設「イノチオファーム豊橋」の設備について大門社長(左)から説明を受ける秋葉東海農政局長(中央)、野中地方参事官(右)(令和6年10月9日撮影)
ミニトマト栽培施設「イノチオファーム豊橋」(令和6年10月9日撮影)
四谷の千枚田において産官民が連携した環境保全活動に参加しました ~四谷の千枚田区域内の特定外来植物の伐根・駆除活動~
令和6年9月12日、東海農政局愛知県拠点は、横浜ゴム株式会社新城工場の生物多様性保全チームが主体となって行う四谷の千枚田(新城市)における環境保全活動に参加しました。当拠点の野中地方参事官から、参加者に対して農林水産省の施策である「つなぐ棚田遺産」、「みどりの食料システム戦略」および「農村の振興」の取り組みについて説明し、棚田を含む農村地域における環境保全活動や社会全体として環境を守る活動の必要性を伝えました。
横浜ゴム株式会社新城工場は、四谷の千枚田の景観及び環境保全に貢献することを目的として、休耕田におけるビオトープの造成・管理や生物多様性調査および清掃や草刈りの活動に取り組んでおり今年で約17年目となります。長年にわたる活動に対して、令和5年度には当省から「つなぐ棚田遺産」感謝状を贈呈しています。
今回の活動には、横浜ゴム株式会社新城工場、豊橋オートバックス株式会社クライム、鞍掛山麓(くらかけさんろく)千枚田保存会、新城市および新城設楽生態系ネットワークから約35名が参加し、産官民が連携して四谷の千枚田区域内の特定外来植物(注)の伐根・駆除活動を行いました。
横浜ゴム株式会社新城工場の担当者からは、「四谷の千枚田の素晴らしい景観を維持し、未来につなげるため、今後も賛同者を増やして活動の輪を広げていきたい」との抱負が語られました。
(注)特定外来植物:繁殖力が強く、地域の在来植物と競合して、駆逐してしまう恐れがある植物(アメリカセンダングサ、セイタカアワダチソウ等)
棚田保全活動の参加者に説明する野中地方参事官(左)(令和6年9月12日撮影)
特定外来植物の駆除をする野中地方参事官(令和6年9月12日撮影)
棚田保全活動集合写真(令和6年9月12日撮影)
愛知県農業会議の研修会において「改正食料・農業・農村基本法」等の講演を行いました
東海農政局愛知県拠点は、一般社団法人愛知県農業会議が主催する「令和6年農業委員・農地利用最適化推進委員等研修会」(令和6年9月6日(稲沢市)、10日(知立市)および12日(豊川市))に講師として出席しました。
同研修会は、農業委員会における農地利用の最適化を一層推進する目的で行われたものです。研修会では、当拠点職員が「食料・農業・農村基本法の改正内容」について、講演しました。
研修会参加者(総勢約1,000名)は熱心に耳を傾け、改正基本法等に対する関心の高さがうかがえました。
愛知県拠点では、今後も生産現場の意見、要望等をくみ上げ、現場と共に課題を解決していけるよう、引き続き対応していきます。
講演を聴く農業委員会各委員等(令和6年9月12日撮影)
改正基本法等について説明する愛知県拠点職員(左から令和6年9月6日、10日、12日撮影)
若手女性農業者と意見交換を行いました
令和6年9月3日、稲沢市で露地野菜を栽培している農業女子プロジェクトメンバーの佐藤あやかさんと東海農政局愛知県拠点の野中地方参事官が意見交換を行いました。
佐藤さんは、岐阜県農業大学校の「農業で夢再発見研修」やJA愛知西、一宮市および稲沢市が運営している「はつらつ農業塾」で栽培技術を学び、令和2年から稲沢市で就農しています。
あいちの伝統野菜(注1)「愛知本長なす(注2)」やトマト、オクラ等の野菜を生産する一方、今年は農業女子プロジェクトのヘルスラボ(注3)アンバサダーとして、女性農業者の健康に関する学びにつながる企画のサポートもされています。
積極的に情報収集を行い、育苗や袋詰め作業を行うハウスの自作や、環境負荷低減の取り組みを行うなど、農業に対して意欲的に取り組んでいる佐藤さんの姿が印象的でした。
今後、トイレや更衣室を整備する等、労働環境を良くするための新たな挑戦もしていきたいと、ますます地域の担い手としての活躍が期待されます。
(注1)あいちの伝統野菜
愛知県が選定した当地において栽培されている伝統野菜。選定に当たり(ア)昭和30年頃に栽培されていたもの(イ)地名、人名がついているものなど愛知県に由来しているもの(ウ)今でも種や苗が現存しているもの(エ)種や生産物が手に入るもの、といった4つの定義を満たしているものが選定される。(出典:愛知県Webサイト)
(注2)愛知本長なす
あいちの伝統野菜のひとつ。昭和10年頃から夏から秋に収穫する品種として栽培が始まる。実は濃い黒紫色で光沢があり、長さが18~20cmの食味の良い品種。
現在は尾張北部、特にあま市美和地区を中心に栽培されている。(出典:愛知県Webサイト)
(注3)ヘルスラボ
女性農業者自身の健康を考える取り組み
佐藤さん(右)が自ら整備したハウスを見学する野中地方参事官(左)(令和6年9月3日撮影)
愛知本長なすのほ場で、佐藤さん(奥)から生育状況の説明を受ける野中地方参事官(手前)(令和6年9月3日撮影)
耕作放棄地や休耕地を活用した営農型太陽光発電を行っているアグリガスコム株式会社を訪問しました
~暮らしの根幹を支える農業に、エネルギーで新たな可能性を生み出す~
令和6年7月18日、東海農政局愛知県拠点は、アグリガスコム株式会社(本社:愛知県豊橋市)が運営する上長山(かみながやま)ソーラーファーム(愛知県豊川市)を訪問し、同社代表取締役 西山暢一(にしやま のぶいち)さんと意見交換を行いました。
同社は、上長山ソーラーファームをはじめとした、耕作放棄地や休耕地を利用した営農型太陽光発電(注1)の事業のほか、豊川市内で60aの施設(植物工場)内で年間通して収穫が可能となったブルーベリーの栽培を行っています。
上長山ソーラーファームは、耕作放棄状態であった上長山地域の休耕地に開設されました。約4haの農地に簡易かつ容易に撤去できる支柱の上に、総発電容量2,200kwのソーラーパネルが千鳥格子状に配置され、その下では、「にら」が栽培されており、「豊川ニラ」のブランドで、地元スーパーをはじめ名古屋市内の百貨店や食品製造事業者へ出荷されています。
この営農型太陽光発電を皮切りに、同地域に設置された営農型発電所では、中部電力ミライズ株式会社(本社:愛知県名古屋市)とオーエスジー株式会社(本社:愛知県豊川市)との三者で、中部エリア初の「営農型オフサイトPPAサービス(注2)」の協定を締結しました。
植物工場で栽培しているブルーベリーは、東京農工大学と産学連携をして年間通して収穫が可能となるシステムを確立しました。冬場に出荷のピークを迎えるよう調整し、夏季出荷の露地ブルーベリーと比べて、高値で販売しています。同社では正社員4名のほか、パート従業員30名を雇用し、地域の雇用創出にも貢献しています。
西山さんは、「今後も耕作放棄地や休耕地を有効活用しながら、大規模レモン栽培やブルーベリーの観光農園化等を進めて、農業に新たな付加価値をもたらしたい」と抱負を語りました。
(注1)営農型太陽光発電
一時転用許可を受け、農地に簡易な構造でかつ容易に撤去できる支柱を立てて、上部空間に太陽光を電気に変換する設備を設置し、営農を継続しながら発電を行う取り組み
(注2)営農型オフサイトPPAサービス
PPA(Power Purchase Agreementの略称で日本語では電力販売契約)事業者が設置した営農型太陽光発電所で発電した電気を、販売事業者を介して需要者に供給する自家消費型太陽光発電モデル。
今回の場合、PPA事業者がアグリガスコム株式会社、販売事業者が中部電力ミライズ株式会社、需要者がオーエスジー株式会社となる。
アグリガスコム株式会社上長山ソーラーファームの風景(アグリガスコム株式会社写真提供)
営農型太陽光発電によるにら栽培の様子(アグリガスコム株式会社写真提供)
営農型太陽光発電によるにら栽培の様子(令和6年7月18日撮影)
水耕栽培と水産養殖を組み合わせた次世代の循環型農業「アクアポニックス農園」を訪問しました
令和6年7月4日、愛知県拠点野中地方参事官が、愛西市にある「アクアポニックス農園(つなぐファーム)」を訪問し、当園の生産・管理を担っているアクアテック株式会社の野村 昌史(のむら まさふみ)さんから「アクアポニックス」について説明を受けました。
アクアポニックスとは、水耕栽培と水産養殖を掛け合わせ、魚の排泄物を微生物が分解し、植物がそれを栄養として吸収、浄化された水が再び魚の水槽へと戻る循環型農法で、環境への負荷がほとんどなく、農薬や化学肥料を必要としない、持続可能な農法として世界的にも注目されています。
水耕栽培では主にリーフレタス、水産養殖にティラピア(別名:イズミダイ)とホンモロコを育てています。リーフレタスは、通常の水耕栽培と比較して、ヨウ酸が約2倍多く、カリウムが40%低くなっています。ティラピアは、タイに似た味であることから日本でも食されており、ホンモロコは、関西地方で高級魚として認識されています。
循環水は、病原菌やウイルスのリスクを避けるため、河川水ではなく水道水を利用しています。使用した水は8割以上再利用されるため高い節水効果があります。
生産管理上の難点は魚の体調管理ですが、魚は日によって餌を食べない時があり、餌の量の調整のほか、魚の排泄物が減り野菜に必要な栄養が不足する時は、ミネラルであるカリウム、カルシウムや鉄を含んだ有機JAS認定の土耕栽培用の資材を水に溶かして調整しています。
アクアポニックスは、日本ではまだなじみのない農法ですが、今年7月には東京ビッグサイトで展示会に出展された後、来年の大阪万博では「大阪ヘルスケアパビリオン」で展示される予定です。
(つなぐファームより資料提供)
水の循環装置の説明を受ける野中地方参事官(左)、野村昌史さん(右)(令和6年7月4日撮影)
水槽内の様子を伺う野中地方参事官(令和6年7月4日撮影)
JA愛知みなみのフラワーステーションを視察し、カラーリングマムの体験をしました
令和6年6月6日、東海農政局森局長と野中地方参事官がJA愛知みなみのフラワーステーションを訪問しました。
同施設はJA愛知みなみに3か所ある花きの集出荷貯蔵施設の1つで、輪菊のほかスプレーマムやバラ、その他多くの洋花類を取り扱っています。田原市内の生産者から出荷された輪菊を1日当たり平均10万本選花・選別・箱詰めするほか、生産者から箱詰めされた多くの花が持ち込まれています。
愛知県は60年連続で花きの農業産出額日本一を誇る主産県であり、県全体の花き産出額の約60%を田原市が占めています。
JA愛知みなみ職員による施設の概要説明を受けた後、JA愛知みなみ輪菊部会TeamMAX副代表の林 正彦(はやし まさひこ)、林 さとみ(はやし さとみ)夫妻の指導により、カラーリングマム(注)の染色作業を体験しました。
さとみさんは、花育の取り組みとして田原市の小学生を対象に出前授業も行っており、「花を捧げる美しい文化を未来につなげていきたい。」と抱負を語っていました。
(注)カラーリングマムとは、ブルームマムに染料を混ぜた水を吸収させて花弁を着色した輪菊です。
フラワーステーションでJA愛知みなみ職員から説明を受ける野中地方参事官(左側)、森局長(中央)(令和6年6月6日撮影)
カラーリングマム染色体験の様子(左:林正彦副代表、右:森局長(令和6年6月6日撮影))
カラーリングマム染色体験の様子(左:林さとみ氏、右側中央:野中地方参事官(令和6年6月6日撮影))
五月晴れの四谷の千枚田で、料理人を目指す若者と田植えを行いました
令和6年5月9日、愛知県拠点は四谷の千枚田(新城市)で開催された、豊橋調理製菓専門学校による田植えに参加し、野中地方参事官から「つなぐ棚田遺産」及び「みどりの食料システム戦略」の取り組みを説明しました。
同校の一年生(26名)は、「稲作の大変さと一粒の大切さ」を学ぶために、平成18年から毎年、四谷の千枚田で年4回(田植え、除草、稲刈り、脱穀)の農作業を実施しています。四谷の千枚田は、鞍掛山(くらかけやま)から広がる美しい景観を誇る棚田として農林水産省の「つなぐ棚田遺産」に認定されています。
生徒たちは、鞍掛山麓(くらかけさんろく)千枚田保存会 会長の小山 舜二(こやま しゅんじ)さんから、田植えの方法や棚田保全の大変さの説明を受けて田んぼに入り、どろんこになりながら田植えを行いました。
野中地方参事官は生徒たちに対し、日本の棚田はそれぞれ長い歴史があり、国民への食料供給のほか、国土保全とともに景観形成といった大きな役割を果たしてきたことと、今後も先人の遺産として次の世代に引き継ぐため、国を挙げて棚田の保全に取り組んでいくことを話しました。また、「みどりの食料システム戦略」について、「プロの料理人を目指す皆さんには、『食』と『農』、『生産者』と『消費者』とのつなぎ役となり、今回の田植えが、環境のために何ができるかを考えるきっかけとなるようにしていただきたい。」と投げかけました。
四谷の千枚田の上からの風景(令和6年5月9日撮影)
四谷の千枚田の下からの風景(令和6年5月9日撮影)
生徒に説明する野中地方参事官(令和6年5月9日撮影)
野中地方参事官の田植え風景(令和6年5月9日撮影)
豊川市のスプレーマム生産者と意見交換を行いました
令和6年4月22日、豊川市でスプレーマムを栽培している山田 裕也(やまだ ゆうや)さんと野中地方参事官が意見交換を行いました。
山田さん(40歳)は、現在、80aのハウスで10品種によりスプレーマムの周年栽培を行うほか、豊川市の農業委員会会長として地域農業の将来について話し合いを重ね、地域計画策定に向けて奮闘しています。
もともと、JAひまわりで営農指導員として働きながら、大学で経済学を学んでいた山田さんは、その知識を生かして実家のスプレーマム経営を分析したところ、単収の増加と機械化等による労働時間削減により、平均的な労働時間で十分な所得が得られるとの結論に達し、就農を決意したそうです。
平成23年に新規就農した後は、作業を半自動化できる花ロボ、自走式防除機、頭上潅水装置等による機械化を進め、オランダの生産方式や国内先進農家の技術などの情報を経営に積極的に取り入れ、令和2年には「スマート農業技術実証プロジェクト」において、環境制御システムを導入し、年間4.4作体系という全国でもトップレベルの作付回転数と年間165万本の販売を実現しました。
そのモデルを、自らが所属しているJAひまわりスプレーマム部会に還元することで地域全体の生産性向上に寄与しているほか、農福連携で障害者の雇用創出に大きく貢献し、定植作業等を人材派遣会社と請負契約することで外国人労働者の雇用にも力を入れています。
これらの実績が評価され、山田さんは令和6年2月、「第33回花の国づくり共励会 花き技術・経営コンクール」で農林水産大臣賞を受賞しました。
山田さんは、当部会の高齢化や後継者不足等の課題を乗り越え、今後も現状の作付面積や販売実績を維持し、地域農業の発展に貢献していきたいと抱負を語っていました。
ほ場で意見交換の様子(右:山田裕也氏、左:野中地方参事官)(令和6年4月22日撮影)
施設内のスプレーマム栽培の様子(令和6年4月22日撮影)
環境と調和のとれた食料システムの確立に向けた取り組みをPRしました!
令和6年4月5日から7日(3日間)、東海農政局愛知県拠点は、中部電力株式会社技術開発本部およびJAなごやと連携し、イオン大高店(名古屋市緑区)で環境と調和のとれた食料システムの確立に向けた取り組みをPRしました。「みどりの食料システム戦略」や「ニッポンフードシフト」(注1)のパネル展示等に加え、消費者が食と農のつながりを実感できるよう、もみすり・精米体験コーナーを設置しました。体験者からは「稲からお米になる過程を初めて見た!」と驚く声があり、「食」について考えるきっかけづくりができました。
一方、中部電力株式会社技術開発本部およびJAなごやは、地域農業における脱炭素化と農業生産性向上の両立を目指し、バイオ炭(注2)を活用した、あいちの伝統野菜「大高菜(おおだかな)」の栽培実証等に関する展示を行い、バイオ炭の有効性をPRしました。
注1:ニッポンフードシフトとは、農林水産省が、日本の食の未来を守るために、Z世代と呼ばれる未来を担う若者たちを重点的なターゲットとして、国産の農林水産物を積極的に選択するといった行動変容につなげていくために展開している国民運動のこと。
注2:バイオ炭とは、「燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物」と定義された炭のことであり、土壌への炭素貯留効果が認められている。
イベントブースの様子(令和6年4月5日撮影)
もみすり・精米体験の様子
もみ殻をバイオ炭にすることによる温室効果ガス排出抑制を説明する野中地方参事官(中央)(令和6年4月5日撮影)
バイオ炭を活用して栽培した「大高菜」の展示(令和6年4月5日作成)
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農福連携の取り組み
農福連携を紹介する動画を作成しました!
農福連携の取り組みをみなさんに「知ってもらう」ことを目的に動画を作成しましたので、ご覧ください。
【農福連携】スーパーで見つけた謎のシールの正体とは!?
一般の消費者の方に少しでも「農福連携」の取り組みを理解していただくために、愛知県春日井市の「障がい者就労継続支援B型事業所すまいる」の皆さんを取材させていただきました。
農福連携を知ってもらうために「チラシ」を作成しました!
農福連携については「知られていない」、「踏み出しにくい」、「広がっていかない」といった課題があり、少しでも農福連携の取り組みを「知ってもらう」ために農業者向けのチラシを作成しましたので、ご活用ください。
【農福連携チラシ(農業者向け)】(PDF : 259KB)
身近な農福連携事例集(三河地区)を作成しました!
農福連携は、障がい者が農業分野で活躍することを通じて、自信や生きがいを持って社会参画を実現する取り組みです。高齢化が進む農業分野での新たな働き手となることも期待されており、令和元年に策定された「農福連携等推進ビジョン」等に基づき推進しているところです。
このような状況の中で、当参事官室では、農福連携に興味がある農業者や福祉施設の皆様が、農福連携に取り組むきっかけとなるよう、身近な農福連携事例集(三河地区)を作成しましたので、ご覧ください。
農福連携事例集(三河地区)
全体版
【全体版 農福連携事例集(三河地区)】(PDF : 3,543KB)
分割版
【分割版(1)農福連携事例集(三河地区)】(PDF : 1,715KB)
【分割版(2)農福連携事例集(三河地区)】(PDF : 1,830KB)
【分割版(3)農福連携事例集(三河地区)】(PDF : 899KB)
【分割版(4)農福連携事例集(三河地区)】(PDF : 847KB)
参考資料(支援事業)
全体版
【全体版 参考資料(支援事業等)】(PDF : 2,690KB)
分割版
【分割版(1)参考資料(支援事業等)】(PDF : 1,832KB)
【分割版(2)参考資料(支援事業等)】(PDF : 907KB)
業務体制及び相談窓口について
東海農政局愛知県拠点
郵便番号:466-0857
住所:名古屋市昭和区安田通4-8
電話番号:052-763-4492(代表)
周辺の案内図
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お問合せ先
企画調整室
担当者:主任農政推進官
代表:052-201-7271(内線2324)
ダイヤルイン:052-223-4628