農泊実施による効果分析:農林水産省
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農林水産省

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農泊実施による効果分析

分析の目的

農林水産省では、農山漁村に宿泊し、滞在中に豊かな地域資源を活用した食事や体験等を楽しむ「農泊」の推進に取り組んでいます(「農泊」の推進について)。
農林水産省統計部では、令和4年度に、農泊実施による農山漁村地域への効果や農泊の満足度等を明らかにし、農泊推進に係る施策の検討等に活用することを目的とした分析を実施し、令和5年6月に分析結果を公表しました(農泊実施による効果・満足度分析)。
本分析は、同分析のうち「農泊事業の農家売上金額への影響に関する分析」について、政策部局である農村振興局の要望等を踏まえ、新たな条件等を設定した上で分析することにより、「農泊」に係る政策立案・政策評価に資する資料を作成することを目的としています。

使用データ及び分析方法

  1. 使用データ
     ・2015年及び2020年農林業センサスデータ
     ・2017年~2019年までの農泊地域の採択履歴データ(農村振興局提供)
     ・2015年国勢調査データ〔外部リンク〕
     ・2023年の国土地理院面積調データ〔外部リンク〕

  2. 分析方法
     ・傾向スコアマッチングと差の差分析

分析結果の概要

1. 農泊地域全体での効果
農泊実施による地域への効果を把握するため、2017年~19年までに採択された農泊地域が含まれる市町村(介入群)における2015年~20年にかけてのアウトカム変数の伸び率平均と、それ以外の市町村(対照群)での当該伸び率平均について比較しました。なお、比較に当たっては、比較する2つのグループ(介入群と対照群)間で農泊実施の有無以外の因子や条件が異なっている場合に生じる差異(バイアス)を除去するために、傾向スコアマッチングという手法を用いました。
その結果、農泊地域が含まれる市町村の全農業経営体については、「農業生産関連事業全体」及び「農家民宿」の売上並びに「常雇人数」に係る伸び率が大きいことが確認できました。

農業生産関連事業売上総額の伸び率比較

農家民宿に係る売上の伸び率比較

常雇人数の伸び率比較

また、個人経営体については、上記に加えて「農作物の加工」の売上に係る伸び率が大きいことが確認できました。

農産物の加工に係る売上の伸び率比較


2. 人口5万人以上の市町村での効果
分析対象の市町村に追加的な条件を設定した上で、同様の比較を行いました。
まず、人口5万人以上の市町村のうち、農泊地域が含まれる市町村においては、法人経営体について「農作物の加工」及び「農家民宿」の売上に係る伸び率が大きいことが確認できました。

農産物の加工に係る売上の伸び率比較

農家民宿に係る売上の伸び率比較


3. 農産物販売金額が40億円より高い市町村での効果
農産物販売金額が40億円より高い市町村のうち、農泊地域が含まれる市町村においては、
 ・全農業経営体・個人・法人経営体について、「農家民宿」の売上に係る伸び率が大きい
 ・全農業経営体について、「貸農園・体験農園など」の売上、法人経営体について、「農業生産関連事業全体」及び「農作物の加工」の売上に係る伸び率が大きい
といったことが確認できました。

農家民宿に係る売上の伸び率比較

農業生産関連事業売上の伸び率比較

 ※上の2つのグラフは、いずれも法人経営体についての比較結果になります。


4. 地域全体で農泊に取り組んでいる市町村での効果
(1)アルベルゴ・ディフーゾ(※1)を実施している市町村
アルベルゴ・ディフーゾを実施している市町村においては、全農業経営体・個人経営体について、「常雇人数」に係る伸び率が大きいことが確認できました。
 ※1 イタリアで始まった、街中や集落の古民家を客室に見立て、地域一帯で宿泊経営を行う分散型宿泊施設の考え方

農家民宿に係る売上の伸び率比較

 ※上のグラフは、全農業経営体についての比較結果になります。

(2)渚泊(※2)を実施している市町村
渚泊を実施している市町村においては、全農業経営体・個人経営体について、「農業生産関連事業売上全体」及び「農作物の加工」の売上に係る伸び率が大きいことが確認できました。
 ※2 漁村地域における滞在型旅行のこと

農業生産関連事業売上総額の伸び率比較

農産物の加工に係る売上の伸び率比較

 ※上の2つのグラフは、いずれも個人経営体についての比較結果になります。

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