国産チーズの消費拡大に向けた施策への提案分析
分析の目的
本分析は、令和5年度「国産チーズの消費拡大に関する意識・意向調査」(以下、「意識・意向調査」とする。)を起点として、消費者の属性や購入・喫食頻度別の国産チーズの需要や意識・意向を把握するとともに、国産チーズの製造事業者における課題や改善点、今後の意向等について、製造規模や地域別の特徴を把握することで、国産チーズの競争力を高めるために必要な施策の検討のための基礎資料とすることを目的としています。
使用データ及び分析方法
1.使用データ
2.分析方法
- クロス集計
- X2検定
- クラスター分析
分析結果の概要
1.消費者分析
(1)購入理由に関する特徴分析
チーズを購入する理由の違いによる消費者の特徴について、クロス集計及びX2検定を用いて把握しました。
「チーズを購入する理由」としては嗜好を意識した回答が多い一方で、チーズの栄養・健康面を意識した回答も多く見られました。このことから栄養・健康面を意識した回答のいずれかを選択した者と全体とを、「チーズ購入時に重視すること」の回答について比較しました。
その結果、「添加物の少なさ」「高栄養」「産地」「メーカー」「種類(タイプ)」「賞味期限」「献立との関係」という回答に統計的に有意(※)な差が見られましたが、「おいしさ」「価格」では有意な差はありませんでした。
(2)年代別の特徴分析
年代別にチーズを食べる理由の特徴について、クロス集計を用いて把握しました。
チーズを食べる理由については、年代が高くなるにつれ「カルシウムが摂取できるから」「たんぱく質が摂取できるから」「健康によいイメージがあるから」といったチーズの栄養・健康面を重視した回答を選択した消費者の割合が増える傾向にありました。
(3)クラスター分析による類型化
意識・意向調査で調査した、消費者におけるチーズの購入頻度、購入理由、喫食理由の嗜好面の回答数、栄養・健康面の回答数を基に、クラスター分析による類型化を実施し、分類したクラスターごとの特徴を把握しました。
類型化された4つのクラスター別に、性別、居住地や世帯年収などのクロス集計を行った結果、各クラスターの特徴として、以下について考えられます。
ID:1 年齢が高く、たまにチーズを喫食している。美味しさ・低価格を重視。
ID:2 年齢が若く、ほとんどチーズを購入・喫食しない。
ID:3 年齢が若く、定期的にチーズを購入・喫食している。首都圏在住者が多く、外国産もしくは国産の小さな工房のチーズを選ぶ消費者が多い。
ID:4 年齢が高く、定期的にチーズを購入・喫食している。健康・栄養面を重視。
2.製造事業者分析
(1)販売規模拡大意向別の製造事業者の特徴分析
今後1年でチーズ製品の販売規模を拡大する意向である製造事業者の特徴について、クロス集計及びX2検定を用いて把握しました。
「今後1年のチーズ製品の販売規模拡大/縮小の予定」については「拡大する予定である」と回答した製造事業者と「同程度の予定である」と回答した製造事業者がそれぞれ4割程度で全体の8割を占めました。このことから拡大予定の製造事業者と同程度予定の製造事業者とを「製造における課題」について比較しました。
その結果、「課題はない」「設備の導入資金調達」という回答以外は拡大予定の製造事業者の方が同程度予定の製造事業者より回答割合が高い状況でしたが、特に「独自技術開発」「生産性の向上」「原材料コスト削減」という回答については、統計的に有意(※)な差がありました。
(2)製造規模及び地区別の製造事業者の特徴分析
製造規模及び地区別に今後1年のチーズ製品の販売規模拡大/縮小意向の特徴について、クロス集計を用いて把握しました。
販売規模拡大/縮小の意向については、製造規模が大きいほど「拡大する予定である」という回答割合が高くなる傾向でした。また、北海道の方が都府県より「拡大する予定である」という回答割合が高いという結果でした。
(3)クラスター分析による類型化
製造事業者における販売規模拡大/縮小の意向の回答、製造規模、地区を基に、クラスター分析による類型化を実施し、分類したクラスターごとの特徴を把握しました。
類型化された4つのクラスター別に、販売経路の希望と現状や課題などのクロス集計を行った結果、各クラスターの特徴として、以下について考えられます。
ID:1 製造規模が大きく、北海道にある製造事業者が多い。今後、事業を拡大予定で、原材料・製造・物流・販売コスト削減、生産性の向上、人手不足が課題。
ID:2 製造規模が比較的大きく、東海以南にある製造事業者が多い。今後、事業を拡大予定で、技術習得、副産物の廃棄処理、販路の確保・新規販路の獲得、製品知名度の向上が課題。
ID:3 製造規模は中~小、東海以北にある製造事業者が多い。資金調達、新規販路の獲得、物流コスト削減が課題。
ID:4 製造規模が小さく、北海道にある製造事業者が多い。SNSの活用割合が低く、技術習得・販路の確保が課題。
分析結果資料詳細版(PDF:768KB)
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