事業者へのインタビュー:大塚ホールディングス株式会社
事業者へのインタビュー
![大塚グループのロゴ](./attach/img/otsuka-4.jpg)
![推進メンバー](./img/ootsuka01.jpg)
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大塚グループは、「Otsuka-people creating new products for better health worldwide(世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する)」 という企業理念のもと、疾病の診断から治療までを担う「医療関連事業」と日々の健康の維持・増進をサポートする「ニュートラシューティカルズ(NC)関連事業」[*1]の2大コア事業を中心に、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指して事業を展開しています。
この度、サステナビリティの実現に向けた取り組みとSDGsへの貢献について、サステナビリティ推進メンバーの方々にお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。
大塚ホールディングス株式会社東京本部にて
令和6年5月14日 最新情報に更新しました。
大塚の礎
創業者の大塚武三郎は、当時、平均耕地をはるかに上回る農家であったと言われていたものの、工業への想いを募らせ、さらなる飛躍を目指し、1921年に徳島県鳴門の地で塩田残渣(にがり)から炭酸マグネシウムをつくる化学原料メーカーを興しました。創立時の従業員は10名。現在は世界全体で約34,000名もの社員を抱え、32の国と地域、168のグループ会社を持つ企業[*2]に成長しました。
【大塚グループ構成図】
![構成図](./attach/img/otsuka-6.jpg)
大塚グループは、医療関連事業とNC関連事業の2つの大きな柱で事業を展開しています。NC関連事業の製品としては「ポカリスエット」や「カロリーメイト」などが知られていますが、それらの製品は医療関連事業で培われたノウハウを活かし、研究開発された、科学的根拠を持つ製品です。今まで世になかった「健康に寄与する製品」を生み出し、消費者の理解を獲得して市場に受け入れられるためには、丁寧で粘り強い啓発活動が必要です。「ものまねしない」という企業文化を持つ大塚グループは「大塚だからできること」「大塚にしかできないこと」を追求し続けています。
この背景には、歴代経営者による大塚の礎があります。「流汗悟道」「実証」「創造性」という教えを胸に、しっかり事業を展開していくという姿勢が今も昔も変わらない大塚グループの考え方です。
企業理念の追求が
サステナブルな社会の実現へ
大塚ホールディングスは、2016年11月に「国連グローバル・コンパクト」に署名し、10の原則を支持するとともに、SDGsの目標達成に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献する姿勢を改めて表明しました。
大塚グループでは“事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献”という考えのもと、2018年に「大塚グループサステナビリティ推進委員会」を設置しました。本委員会は、大塚グループ全体のサステナビリティの推進を目的としており、その方向性や計画の策定を行っています。
![サステナビリティ推進体制](./img/ootsuka04.png)
世界の人々・地球の健康に貢献するのが大塚の使命
「健康」は、大塚グループの企業理念にも掲げられています。疾病の診断から治療、そして日々の健康維持・増進を担うトータルヘルスケアカンパニーとして、健康に貢献していきたいと考えています。
NC関連事業は、医療関連事業の知見・ノウハウなどを活かして、科学的根拠に基づいた製品を開発・販売しています。 例えば代表的な製品である「ポカリスエット」は、手術後の医師が水分補給のために点滴液を飲むのを見た研究員が「飲む点滴液」というアイデアを提案。また、海外出張時に脱水症状に陥ったという自らの体験も踏まえ、水分と電解質(イオン)をスムーズに補給できる「汗の飲料」というコンセプトで開発されました。
これまでに無い新しい製品でしたので、甘い飲み物が主流であった1980年の発売当時は「味が薄くて飲みにくい」との声もあり、評価はあまり高くありませんでした。
この状況を打開するため、「とにかく多くの人に飲んで体感してもらい、水分・電解質補給の必要性について伝えれば、この製品のコンセプトを理解いただけるはず」という信念で、サウナや野球場など汗をかくことが多い場所に出向き、製品を配布し説明しながら実飲いただく活動を続けた結果、徐々にイオン飲料という新分野の市場が創られていきました。現在では当たり前にあるイオン飲料ですが、当時市場に受け入れてもらうのには、かなりの労力と時間がかかりました。
その後、1982年から海外展開を開始し、水分・電解質補給の重要性に関する啓発活動と各地域に根付いたプロモーション活動で、現在は世界20以上の国と地域で販売されています。
また、全国都道府県をはじめとする自治体と健康に関する包括的な連携協定を締結し、医療関連事業とNC関連事業で培ってきた健康情報やノウハウを活かした取り組みを実施しています。日々の健康維持増進や疾病管理、さらには災害時の健康支援など、地域ごとに異なる課題に対してトータルヘルスケア企業として幅広く専門的な情報等を提供し、地域の方々と共に健康づくりを推進しています。
大塚グループでは、人々の健康維持・増進に貢献する製品開発を行うとともに、健康啓発にも積極的に取り組んでいます。
- 「熱中症対策」に対する取り組み
熱中症という言葉がまだ浸透していない1990年代から様々な機関と協働し、「水分・電解質補給の重要性」の訴求を実施してきました。現在に至るまで、夏の熱中症対策、スポーツシーンのみならず、職場での労働安全衛生、入浴、高齢者の水分補給など幅広いテーマで、科学的根拠に基づいた情報提供を続けています。
- 「子どもたちの健康」に対する取り組み
子どもたちに身体のしくみや健康への関心と理解を深めてもらうため、「OTSUKAまんがヘルシー文庫」を1989年に創刊しました。
日本医師会と日本学校保健会が監修し、日本小児科医会の推薦を得て、毎年テーマを変えて1巻ずつ発刊し、全国の全小学校や特別支援学校、海外日本人学校、公立図書館など約2万3000カ所に寄贈しています。学校では子どもの読み物としてだけでなく、学習指導要領との対照表を作成し、理科や保健体育、食育などの教材としても利用されています。- 「女性の健康」に対する取り組み
大塚製薬は、女性が生き生きと活躍するためには、女性自身やその周りの人々がライフステージごとの心身の変化を理解し、各人に合った対処法の選択をすることが重要だと考え、様々な方法で情報を提供しています。2015年から全国で「女性の健康」に関するセミナーを開催。今では自治体・企業・団体などと協働で取り組みを進めており、女性の健康に貢献することで、女性活躍・推進をサポートしています。
さらに、地域の健康サポートを行う薬剤師などを対象にしたOATHAS(ヘルシーエイジングサポーター養成プログラム)で、地域の健康サポートに必要な知識習得だけではなく、実践技能の習得を行える機会を提供しています。
そのほかにも、自社ウェブサイトでは、情報サイト「女性の健康推進プロジェクト」「更年期ラボ」「PMSラボ」を開設し、より広い世代の女性に寄り添いながら、日々の健康をサポートする取り組みを行っています。- 栄養の大切さを伝える食育活動
- 栄養補助食品の製品開発のノウハウをもとに、栄養の大切さを伝える食育活動を続けています。子どもたちが正しい食生活や栄養の知識を身につけづらい環境にあるという課題に着目した食育アプリ「おいしいおえかきSketchCook」や「もぐもぐタウン」を配信しています。また、忙しい現代人向けにスマートフォンで食事を撮影することで簡単に栄養分析ができる「サプリメントチェック」を提供するなど、全世代に向けて栄養の大切さを伝えています。
![目標2のロゴ](https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/img/sdg_icon_02_ja.jpg)
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大塚グループでは、環境方針や、活動指針、目標を共有化し、ワンチームとなって活動をするために、2015年よりグループ横断の環境活動組織を発足し活動を進めています。
環境への取り組みにおける重要項目を「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」「ウォーターニュートラル」とし、事業活動におけるすべての環境負荷をゼロにするという2050年環境ビジョン「ネットゼロ」を掲げました。グループ各社間の協働による相乗効果を発揮し、グループ一体となって地球温暖化に関するグローバルな社会課題の解決に貢献する取り組みを行っています。
- カーボンニュートラルに対する取り組み
- 大塚グループは、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指す国際的なイニチアチブ「RE100」に2022年4月に加盟。2017年比でCO2排出量を50%削減するという2028年目標に向かって、再生可能エネルギー導入の拡大とエネルギー利用効率の最大化に向けた取り組みを進めています。
例えば、国内では、2020年に大塚製薬釧路工場に自家消費型の太陽光発電設備の導入を開始し、現在大塚製薬の徳島工場や徳島美馬工場にも導入を拡大しています。また、2023年末までには大塚グループ6社における国内全25工場にCO2フリー電力の導入を完了するなど、再生可能エネルギーの導入により22年度は約260,000トンのCO2排出量を削減しました。(2017年比で-29.6%)
![太陽光設備](./attach/img/otsuka-21.jpg)
- 新しい統合エネルギーサービス体制の構築と推進
- 大塚グループは、国内でのエネルギーを一元化し、高度な需給管理体制を構築することで、再生可能エネルギ―の利用拡大とともに大塚グループにおけるエネルギーベストミックス[*3]を追求する目的で、大塚グループ新電力(小売電気事業者)としての統合エネルギーサービス体制を構築しました。
2022年4月より、生産施設が多く存在する四国エリアでグループ5社[*4]を対象に、発電事業者などから再生可能エネルギーの電力を調達し、グループ事業所内へ電力供給を開始しています。
2023年4月には四国エリアでは関連会社および福利厚生施設、そして東北、北陸、関東エリアも新たに加わり、供給を拡大しています。
[*4] 大塚製薬、大塚製薬工場、大鵬薬品、大塚化学、大塚食品
- サーキュラーエコノミーへ向けた取り組み
- ● PETボトル水平リサイクル「ボトルtoボトル」の推進
「ボトルtoボトル」とは、使い終わったPETボトルを別の商品ではなく、再び新しいPETボトルにすることで、資源を繰り返し循環する仕組みです。大塚グループでは、「ボトルtoボトル」を推進し、2030年までにすべてのPETボトルにおけるリサイクル原料および植物由来原料の割合を100%にすることを目指しています。
大塚製薬では、2022年11月、PETボトルの回収から製造、販売までを、アルテック(株)、(株)ジャパンパワーボトラーズと包括的な連携協定を締結しました。また2023年2月には、徳島県鳴門市、豊田通商(株)と資源循環のための連携協定を締結しました。さらに、2023年7月には、徳島県とPETボトルの水平リサイクル「ボトルtoボトル」推進のための協定を締結し、徳島県および協定を締結している県内12自治体とともに、「ボトルtoボトル」の取り組みを推進しています。 - ● PETボトルの資源循環
大塚グループではプラスチック容器包装の軽量化や、ラベルレス製品の販売など、これまでもプラスチック使用量の削減に取り組んできました。国内では、リサイクルPET樹脂を利用したPETボトルを「ポカリスエット」「ポカリスエット イオンウォーター」「アミノバリュー」「クリスタルガイザー」などに展開しています。
- ウォーターニュートラルへ向けた取り組み
大塚グループでは、創業以来、水と深く関わりをもち、生命を支える水を原料とした製品などを通じて、人々の疾病の治療と予防のみならず、健康の維持・増進に積極的に貢献してきました。そのため、私たちにとって水は大切な資源であり、その保全は世界的にも重要課題の一つであると認識しています。 また、水資源は国や地域によって偏在性があり、リスクもそれぞれ異なることから、私たちはあらゆるステークホルダーと協働し、取水から排水に至る水の保全に継続的に取り組む(水を育み、大切に使い、水をキレイに還す)ことで、持続的な水利用を目指します。
例えば国内では、徳島県の地球温暖化対策推進条例に基づく「とくしま協働の森づくり事業」のパートナーシップ協定を締結し、100ha以上の大規模でまとまった森林を中心に、毎年、植樹活動を行うなど、集中的に森づくりに取り組む活動に参加しています。
2022年度はグループ8社[*5]が森林CO₂吸収量19.25t-CO₂に相当する4.73ha(東京ドーム約1個)に広葉樹などを整備しました。
- 生物多様性への取り組み
- 地域の生態系に配慮した事業活動
- ● 自然保護への取り組み
大塚グループは、法令に基づいた動植物の保全のほか、地域に根ざした自然の保護などに取り組んでいます。生産拠点を有する国内外の事業会社に毎年環境アンケートを実施し、法律など(IUCN保護地域管理カテゴリー、ラムサール条約、国内法令)で定められた保護すべき動植物の生息について法令遵守状況や保護活動の実施有無をモニタリングしています。今後も工場周辺地域における生態系リスクの把握および対策に努めていきます。
● ビオトープ[*6]の設置
大塚グループでは、大塚製薬 徳島板野工場と岡山大鵬薬品の工場にビオトープを造成、工場から排水される冷却水などを再利用し、自然を再現した水路に排水しています。水辺には四季折々の草花や昆虫、野鳥が飛来し、自然との共生を実現しています。
![大塚製薬徳島板野工場に飛来する野鳥や動物](./img/ootsuka13.jpg)
![目標6のロゴ](https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/img/sdg_icon_06_ja.jpg)
![目標7のロゴ](https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/img/sdg_icon_07_ja.jpg)
![目標12のロゴ](https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/img/sdg_icon_12_ja.jpg)
![目標13のロゴ](https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/img/sdg_icon_13_ja.jpg)
![目標14のロゴ](https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/img/sdg_icon_14_ja.jpg)
![目標15のロゴ](https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/img/sdg_icon_15_ja.jpg)
大塚グループにとって
SDGsは共通言語
大塚グループは企業理念のもと、事業活動を通じた社会課題の解決を目指しており、それこそが私たちのサステナビリティの実現に向けた取り組みであると考えております。自らの持続的な成長と健康でサステナブルな社会の同時実現に向けて、E(Environment:環境)・S(Society:社会)・G(Governance:ガバナンス)の観点を踏まえて、日々活動を行っております。
すなわち、「持続可能な社会を創る」というSDGsの方向性は、大塚グループの事業活動そのものであり、同社ではSDGsをステークホルダーとの「共通言語」であると考えています。SDGsをコミュニケーションツールとして、同社の事業活動と結び付けて話しを進めていくことで社内外への浸透も目指してまいります。
また、大塚グループではグローバル・コンパクトの理念やSDGsの目標を、より具体的に実践するために、2018年に大塚ホールディングスとして「消費者志向自主宣言」を表明しました。すべてのステークホルダーとの対話により、適切な意思決定を行い、消費者志向を企業の社会的責任として推進していくことを基本方針としています。
今後もあらゆるステークホルダーとの対話にSDGsという共通言語を用い、事業活動を通じた持続可能な社会の実現に向けて貢献していきたいと考えています。
インタビューのご協力
ありがとうございました。
企業が取り組むSDGsの一部です。
お問合せ先
大臣官房 新事業・食品産業部 企画グループ
代表:03-3502-8111(内線4139)
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