事業者へのインタビュー:ナッシュ株式会社:農林水産省
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事業者へのインタビュー:ナッシュ株式会社

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ナッシュ株式会社
高山氏
ナッシュ株式会社  副社長執行役員  高山 雄史さん
インタビューで取り上げたSDGs
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   ナッシュ株式会社は、糖質と塩分に配慮したメニューの冷凍弁当を自社で開発・製造し、サブスクリプションサービスでお客様に宅配で提供しています。
   この度、企業のSDGsの取組について、ナッシュ株式会社 副社長執行役員 高山 雄史さんにお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。

取材日:2023年12月19日

「食事」を通して社会全体を健康に

ナッシュが掲げる
ユーザーとの7つの約束
安価であること
健康的であること
美味しくあること
手軽であること
飽きないこと
安全であること
持続可能であること

   当社は、私を含めた2名で2016年に創業しましたが、当時は、社会への貢献や人を健康にするということを特別に意識はしていませんでした。ただ、ベンチャー企業である以上、as usual(従来どおり)な事業をやるのでは意味がないと考えていました。そこで、困っている人の問題を持続可能なビジネスモデルで解決することを念頭に、困っている人が多く、他の会社がまだ解決できていない社会課題を探しました。
   我々は、もともと大阪の小さなお葬式を提供する会社の上司と部下だったのですが、遺された方々に向けたお葬式というサービスを提供する中で、貢献できることが少ないと感じていました。そこで、生きている人に向けて幸せを提供するような仕事ができないかと思い、生活習慣病の予防ということに着目しました。
   生活習慣病について調べたところ、食事が原因になっていることが多く、特に糖質と塩分を取り過ぎていることが分かりました。それらに配慮した健康的な食事に特化して提供するサービスであれば、戦後の日本を培ってきた安くてお腹一杯食べられる食事の提供とは方向性が違うため、我々のようなベンチャー企業が参入しやすいと考え、「食事」を通して社会全体を健康にすることを目指すサービスを始めることになりました。

「ナッシュのSDGsへの取組み」を
公開

   最初からSDGsを意識していたわけではなかったのですが、お客様や社会が求めていることが考慮されている商品を提供しようと考えている過程で、自然とSDGsへの貢献を検討する必要があると考えるようになりました。そこで、SDGsのゴールを一つずつ調べて、できることを見つけて、商品やサービスに反映させてきたというのが実状です。小さな会社なので、マーケティング部門も商品開発部門も同じ部屋で働いていて、経営陣だけでなく両部門の責任者なども常に集まって議論をしながら業務改善を進めてきました。こうして、これまで取り組んできた内容を整理し、6つのテーマにまとめてWeb上に公開しました。

責任ある消費と生産
クリーンエネルギー
環境保護と持続可能性
雇用創出
持続可能なビジネスモデル
透明性と報告

「責任ある消費と生産」の取組

取組の紹介
弁当容器をプラスチック製から紙製へ変更
   弁当の容器は当初プラスチックで作っていましたが、社会からプラスチックの削減が求められている中で、弁当の量とともにプラスチックの使用量が増えていくことに歪さを感じており、減らすならいっそのことゼロにしようということで、紙容器を導入することにしました。
   当時、紙容器のコストはプラスチック容器の4倍ほどでした。食品業界は利益率があまり高くないため、原価率が上がることはかなり厳しいのですが、製造ラインの切替えや機械の導入などの業務改善を行うことで、紙容器のコストを吸収するように努めました。コストを抑えるといっても、人件費はむしろ上げて優秀な人を採用して生産性を上げることを目指しています。
   工場での製造、物流、広告などは外注している会社が多いと思いますが、当社はこれまで多数の工程を苦労して内製化してきたため、業務改善によるコスト削減を実現しやすい環境が整っていると感じています。
ナッシュの商品
取組の紹介
食品ロスの削減
   食品製造業で廃棄が発生するのは、製造段階、流通段階とお客様の手元に入ってから廃棄されるという3つのポイントだと思います。当社の商品は冷凍弁当ですので、流通段階における廃棄はほぼゼロと言ってもいいと思います。
   また、製造についても、サブスクリプションというサービスの性質上、作ったものは全てお客様に届けられるので、作り過ぎによる廃棄はなく、調理工程で生じる廃棄が原料の3%ほどと低くなっています。廃棄量を減らすことで、無駄なコストを削減でき、お客様に手に取りやすい価格で商品をお届けすることが可能になります。

「クリーンエネルギー」の取組

   当社は、製造工場に太陽光発電を導入し、クリーンエネルギーの活用を進めています。今後は、これから新しく作る工場において導入を進めるとともに、倉庫への太陽光発電の導入も取り組みたいと考えています。

「持続可能なビジネスモデル」の取組

   持続可能であるためには、会社としての方向性をしっかりと定めた上で、時代によって変わっていくお客様のニーズに対して、商品やサービスに柔軟に適用し続けることが必要だと考えています。
  当社には、プログラマーやSEと言われるようなIT系の職種をベースとする人材が多数在席しており、原材料の購入から製造、流通までを可視化するシステムを内製化しています。これは当社の一番の強みだと認識しており、お客様からのニーズを柔軟にとらえて実現する際の意思決定にも役立ちますし、需給予測により作り過ぎを抑えて廃棄を減らすことにも貢献しています。
   物流の2024年問題は当社でも課題になっています。配送を外注している部分は安くできないですし、外注コストが上がると当社で吸収するのも限界があるので、持続的に利益を出しながら商品を安くお届けすることが難しくなってしまいます。引き続き業務改善を行いながら、ドライバーを自社で雇うなどの内製化を進めることなどにより、コスト削減に取り組みたいと考えています。なお、最近の取組としては、トラックによる配送の一部を飛行機に変更してコストを削減した例があります。北海道への冷凍配送なのですが、珍しい動きとして話題になりました。

ナッシュ

読者へのメッセージ

   SDGsというと横文字でとっつきにくくハードルが高いように感じてしまうと思いますが、少し調べてみると、意外と既に取り組んでいることが当てはまることが分かりました。身近なところで貢献できることはありますし、それに気が付けば、取組を更に進めることは意外と簡単だと思います。あまり難しく考えずに始めてみてはいかがでしょうか。

ナッシュ株式会社の皆様、
インタビューのご協力ありがとうございました
※インタビューで扱った内容は
企業が取り組むSDGsの一部です。

お問合せ先

大臣官房 新事業・食品産業部 企画グループ

代表:03-3502-8111(内線4139)
ダイヤルイン:03-6744-2065