事業者へのインタビュー:三本珈琲株式会社:農林水産省
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農林水産省

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事業者へのインタビュー:三本珈琲株式会社

sdgのロゴ 事業者へのインタビュー

三本珈琲株式会社
本社にて
三本珈琲株式会社 常務取締役 山本将人さん
同 サステナビリティ推進室 室長 正木陽子さん
インタビューで取り上げたSDGs
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   三本珈琲株式会社は1957年に横浜で創業、「コーヒーを、どこまでも。」をスローガンに、ロースターとして企画、製造、物流の体制を確立し、現在ではコーヒー豆の焙煎・加工・販売、コーヒー関連商品の取り扱いの他、カフェを始めとした店舗企画・運営等、コーヒーに関わるさまざまな事業を行っています。
   この度企業のSDGsの取り組みについて三本珈琲株式会社の常務取締役 山本将人さん、製造部門 統括本部 サステナビリティ推進室 室長 正木陽子さんにお話を伺いましたので、その内容を紹介します。

取材日:2021年12月20日 三本珈琲株式会社鎌倉総合工場にて
世界中で愛されるコーヒーから「ちょっとした幸せを、世界中のひとに届ける」を目指しています

社会・コーヒー業界での存在意義

   横浜の小さな喫茶店にコーヒーを卸すところからスタートした当社は、地場に根付く企業を目指して運営を始め、現在では全国に支店を構える企業に成長しました。1989年には地元横浜で開催されたYES’89横浜博覧会に「MMCコーヒー地球体験館」を出展、その頃から社会との繋がりを大切にし、社会に貢献できる取り組みを始めていこうと考え、会社としては、しっかりと経営をしながら、社会にとってどのような役割があるのかを考えてきました。
   当社は、自社で使用するコーヒー生豆の大部分を生産国やコーヒーサプライヤーから直接輸入するなど、自分達で産地の状況を把握しながら、責任ある仕入れ体制を構築しています。また、お客様の「おいしい」のために、それぞれのご要望に寄り添う味づくりを強みとして製造を行っています。その結果、製品構成は小ロット多品種になりますが、コーヒーの魅力を様々なお客様へお届けすることができます。
   さらに、当社がSDGs活動を推進することによって、コーヒー業界から持続可能な世界づくりを広げることに貢献できると考えています。

吟煎プレミアム
三本珈琲
三本珈琲のこだわりの製品
吟煎プレミアム(左)   三本珈琲(右)

おいしいと安全品質を追求

   当社の研究開発は、医学博士の学位を持つなど個性豊かなメンバーが揃った食品安全・開発研究チームが行っています。
   コーヒーが持つ酸味、苦味、旨味、コク感などを数値化する「味覚センサー」を活用した商品開発スキームにより、お客様の求める味を数値化し、おいしい味の見える化を実現しています。
   味の見える化により、生活シーンや一緒に食べるものに合わせたコーヒーの説明にも説得力や根拠が生まれ、それを実際に試飲して「なるほど」とご納得いただける満足度の高い提案ができるようになっています。
   また、おいしいとともに食品にとって必要不可欠な食の安全を守るため食品安全マネジメントシステムを構築し積極的に取り組んでおり、鎌倉・仙台総合工場ではFSSC22000を取得しています。
   そのほか、有機JAS認証、レインフォレスト・アライアンス認証やフェアトレード認証など認証製品も取り扱っており、おいしいと安全・安心、そして品質にこだわった製品づくりをしています。

味覚センサー
開発の様子コーヒーの味の見える化を実現
味覚センサー(インテリジェントセンサーテクノロジー社製、味認識装置TS-5000Z)

持続可能な世界を、
一粒のコーヒーから

   SDGsという言葉を耳にするようになる前から、当社の事業活動には社会貢献活動が取り込まれており、それは創業者や経営層の強い想いによるものでした。
   20年以上前から始めた有機生豆の取扱いや認証豆の積極利用、被災地の支援などその活動は多岐に亘っていましたが、2021年にそれらの取り組みと想いを継承して、当社のSDGs活動を組織的なものにするためにサステナビリティ推進室を設置しました。
   改めて当社の強みや個性を考え、SDGsへの貢献という目線で向き合ってみるとどんどん新しい提案が生まれ、その中で再認識させられた当社の良さを大切に活動しています。
   こうした活動の社内への共有も大事だと考えていて、パート職員を含めた全従業員向け定期教育にSDGsと自分たちの仕事の関わりを盛り込むなどして「自分ごと」に感じてもらえるように工夫しています。
   特に各種メディアに当社の活動が取り上げられるなど、当社の取り組みを外部から評価いただくことは社内に大きな影響を与えるようで、「自分たちの仕事がSDGsに貢献している、社会の役に立っている」という実感につながり、この活動の重要性が社内にも広がっていると感じます。
   第一歩を踏み出して初めて知る困難や喜びとともに、この活動を組織の中で育てていきたいです。

三本珈琲の取り組み
食品ロス・食品リサイクルの取り組み
全員参加型食品ロス削減推進モデル
   コーヒーを製造する過程で必ず発生してしまう規格外品等、品質には問題がないが製品にできなかった「もったいない」原料を使用したコーヒーを製造管理にひと手間かけて製品化したのが、「三本珈琲オリジナルブレンド」で、これを起点に「全員参加型食品ロス削減推進モデル」が始まります。
   まずはじめに、売上金の一部を社会貢献に使用するというこの製品のコンセプトに賛同いただける販売店を募ります。規格外品のコーヒーから作る製品のため、作れる数も限られ、沢山注文がきても対応できないこともあります。欠品は販売店にとって大きな問題ですので、それを理解の上で販売に協力いただくことは、社会貢献への想いと当社との強い信頼関係がなくては成り立たず、協力いただける販売店があってこその取り組みです。
   買い手である消費者は、販売店でこの製品を購入するだけで自然に社会貢献活動に出資し、参加できる上に、ちょっとお得においしいコーヒーを購入できます。 さらにこの社会貢献費用で、販売店で発生する食品ロスを買い取り、フードバンクなどの食べ物を必要としている団体に寄付することで、製造者、販売者双方の食品ロスを削減し、必要な家庭に食べ物を届けることができる、全員参加型のシステムです。
消費者庁主催の令和3年度食品ロス削減推進大賞にて審査委員会委員長賞を受賞
食品ロスの取り組み
勿体ないコーヒー
授賞式のようす授賞式の様子
(令和3年度食品ロス削減推進大賞にて)
パートナーシップの強化
副産物活用でつなげるパートナーシップ
   コーヒーの焙煎作業時に発生する「シルバースキン」と呼ばれるコーヒーの薄皮。ふわふわしたもみ殻のようなものですが、これを動物園や牧場の蹄のある動物の床敷材として活用したり、消臭剤として使用する取り組みを進めています。
   また、バイオマスの発電燃料や、パンや焼き菓子に練りこむなど、食べ物としての利用方法の開発も進め、これまでただ捨てられるだけだった副産物の有効活用で世界を豊かにする方法を、様々なパートナーシップにより探求しています。
   コーヒーは植物であり自然に育まれたものなので、それを自然に返す循環型の事業活動により、廃棄物を「ゼロ」にすることを目指しています。
シルバースキンシルバースキン
象写真提供:横浜市立金沢動物園
チャフドッグパンチャフドッグパン
(シルバースキンを練り込んだパン)
環境への取り組み
紙素材パック「紙」としてリサイクル可能な包装資材を使
用した「オーガニックドリップコーヒー」
紙や生物由来の資源を活用、森林の適切な利用と保全のために
   コーヒー製品のパッケージに、従来のプラスチック素材から、紙を使用した素材や、生物由来の資源(バイオマス)を活用した素材を積極的に採用し、2030年までに取り扱っている一杯抽出型ドリップコーヒー包材の50%を紙に変えることを目標としています。 「紙」としてリサイクル可能な包装資材を使用した
「オーガニックドリップコーヒー」
紙素材グラフ

SDGsは組織と世界が
共に生きるための必達の目標

   当社にとってSDGsとは「組織と世界が共に生きるための必達の目標」と考えています。明日からではなく、今すぐ何かを始めるという姿勢を大切に取り組み続けています。
   また、パートナーシップを活かすことも大切であると考えており、そのためには「三本珈琲がこんな面白い取り組みをしている」ということを多くの方に効果的に発信していくことが重要と考えています。
   実際、様々な方面から取り組みへの協力のお声がけをいただく機会も増えており、活動を共に作り上げ双方で発信することでどんどん世の中に取り組みの輪が広がっていくように感じています。
   一つの組織で取り組むよりも多くの参加者がいたほうがその輪は大きくなるので、そのような相乗効果が未来にまで伸びて繋がる、世界と共に生きる役に立つ企業として、今後も「ちょっとした幸せを、世界中のひとに届ける」取り組みを続けていきます。

三本珈琲株式会社の皆様、
インタビューのご協力ありがとうございました。
※インタビューで扱った内容は
企業が取り組むSDGsの一部です。

お問合せ先

大臣官房 新事業・食品産業部 企画グループ

代表:03-3502-8111(内線4139)
ダイヤルイン:03-6744-2065