17の目標と食品産業とのつながり:目標1に対する取組
17の目標と食品産業とのつながり
この目標は、2030年までに、世界中で極度の貧困にある人をなくすこと、様々な次元で貧困ラインを下回っている人の割合を半減させることなどを目指しています。貧困とは、単に収入や資産がないことだけではなく、飢餓・栄養不良、教育や基本的サービスへのアクセス不足、社会的な差別や排除、意思決定からの除外なども含むものです。また、弱い立場にある人たちが、気象変動や災害などの影響をより強くうけることも防ぐ必要があります。
- 上記の目標の訳は、どなたにでもわかりやすいよう、公益財団法人 日本ユニセフ協会の広報資料から引用しています。
- 各企業の取組の多くは、SDGsの複数の目標に関連しています。
この目標をめぐる状況
【日本では】
「国民生活基礎調査」によると、全世帯員の相対的貧困率は、2015年には15.7%となりました。年齢別の相対的貧困率を見ると、17歳以下の貧困率(子どもの貧困率)は2015年には13.9%、18~64歳は13.6%、65歳以上(高齢者)は19.6%となっています。(平成29年版厚生労働白書より)。
児童のいる世帯のうち、ひとり親家庭の世帯の割合は上昇傾向にありますが(2017年:7.5%)、ひとり親家庭の平均所得は、他の世帯と比べて大きく下回っており、子供の大学進学率も低い状況にあります(令和元年版子供・若者白書より)
【世界では】
世界の極度の貧困にある人の割合は引き続き減少していますが、そのスピードは減速しています(1990年:36%→2010年:16%→2015年:10%)。このままのペースでは、2030年に極度の貧困で生活している人は6%になると予測され、2030年までに貧困を終わらせるという目標の達成には至りません。世界で1日1.9ドル未満で暮らす7億3600万人のうち、4億1300万人が、紛争や政変の多いサブサハラ・アフリカに住んでいます。また、貧しい人ほど災害の影響を受けやすく、災害によって生じる死者の90%以上が、低所得・中所得国の人々です。
貧困の苦しみを緩和・予防するためには社会保障プログラムが必要ですが、世界人口の55%が十分な社会保障を受けていません。(国連SDGsレポート2019より)
この目標と食品産業
所得が食事の内容に影響する「食の格差」が様々な調査で指摘されています。
また、所得によって教育などへの機会格差が生じ、企業の持続的な発展に必要な人材の確保という点でも問題となります。 さらに、食品産業の多くが海外に原材料を依存する状況では、持続可能な農林水産物の確保に向けて、生産者の生活を安定させる必要があります。
各社の取組
株式会社モスフードサービス
モスグループでは、「食に対する関心の低下の解消」、「未来のモスファンづくり」、「地域行政との連携」の観点から、出張授業「モスの食育プログラム」や、一人親家庭の子供たちを対象にした学習支援、子ども食堂支援などの活動に取り組んでいます。
また、自治体の「子育て支援パスポート事業」への参加にも取り組んでいます。https://www.mos.co.jp/company/csr/[外部リンク]
- こども110番の店
- 子育て支援パスポート事業
エスビー食品株式会社
エスビー食品では、人権への配慮や公正な取引、お取引先様との共存共栄を柱とした購買基本方針を定め、これに基づいて原料や資材を調達しています。国際フェアトレード認証(※)を2009年に取得し、現在も継続して認証付き商品を展開しています。
※フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、生産者・労働者の生活改善と自立を促し、経済格差をなくす貿易の仕組みです。https://www.sbfoods.co.jp/company/sustainability/[外部リンク]
エスビー食品は、市場より高い価格での購入を保証するとともに、原料の購入数量に応じて、生産者組合に直接フェアトレード・プレミアム(奨励金)を支払います。奨励金は各生産者グループに分配され、グループごとに話し合いで用途を決定します。これらは農機具や子どもの教材、共同の水タンクの設置など生活向上のために使われています。
生活協同組合コープさっぽろ
コープさっぽろでは、食品ロスへの対応と児童養護施設の子供たちへの支援の一環として、トドックフードバンク事業を行っています。https://www.sapporo.coop/corporate/csrreport/[外部リンク]
- 返品商品を利用し『もったいない』を解決
コープさっぽろでは、この「もったいない」を解決しようと2016年度から「トドックフードバンク」を開始しました。宅配トドックで注文ミスなどによって返品された食品で品質に問題がないものを、一時提供先である児童養護施設やファミリーホームに提供しています。同年11月には「トドックフードバンク基金」を設立し、活動の趣旨に賛同する食品関連事業者7団体と協定を結んでいます。その結果、2017年度は2016年度の提供量を大きく上回り、提供先の児童養護施設からは喜びの声が聞かれました。また2017年度からはファミリーホーム17施設、児童自立支援施設1施設への提供も始まっています。
- 情報管理を徹底し適切な食品利用を促す
また、里親や卒園生にも二次提供先として商品を提供しています。その場合は併せて商品提供報告書の提出を求めています。
三本珈琲株式会社
三本珈琲株式会社は、2022年5月に「SUNSHINE COFFEE PROJECT」を発足し、国連世界食糧計画(WFP)を通じて途上国の学校給食を支援しています。https://www.mmc-coffee.co.jp/sdgs/redcup/[外部リンク]
「SUNSHINE COFFEE PROJECT」参加企業は、三本珈琲のレッドカップキャンペーン製品を購入し、その売上の一部はプロジェクトを通じて国連WFPに寄付されます。
オイシックス・ラ・大地株式会社
オイシックス・ラ・大地は、食品寄付を行うサポート企業と子どもの食生活を支援する団体を繋ぐ「WeSupport」の仕組みを通して、ひとり親世帯を中心に「食」でサポートをしています。https://wesupport.jp/[外部リンク]
2020年4月から2021年11月までは、新型コロナウイルス患者の治療にあたる医療従事者に向けた食品支援を行う『WeSupport Medical』を実施しました。
2021年12月からは、ひとりで子育てをする親とその子どもたちが、栄養バランスの取れた食事を摂りよりよい未来につながる毎日が送れるように、ひとり親世帯を中心とした困窮家庭を「食」でサポートする「WeSupport Family」を実施しています。食品をただ届けるだけでなく、体験格差にも着目し、食の楽しさを感じてもらえるような食の体験も提供していきたいと考えています。
これからも、ひとり親家庭の困窮という社会課題の実態を社会に伝える活動を行い、支援の輪を広げて、多くの家庭を支えていくことを目指しています。
お問合せ先
大臣官房 新事業・食品産業部 企画グループ
代表:03-3502-8111(内線4139)
ダイヤルイン:03-6744-2065