事業者へのインタビュー:不二製油グループ本社株式会社:農林水産省
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事業者へのインタビュー:不二製油グループ本社株式会社

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不二製油グループ本社株式会社
取材写真
取材日:2019年2月21日(不二製油東京支社にて)
インタビューで取り上げたSDGs
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   不二製油グループでは、植物性食品素材事業を通した社会課題解決(Plant-BasedFoodSolutions」を目指しています。
   この度、企業のCSR活動とSDGsの取組について、不二製油グループ本社株式会社のCSRチーム、シニアマネージャー・四方敏夫さんとグリーバンスマネージャー・山田瑶さんにお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。

写真左:CSR・リスクマネジメントグループリーダー 兼 CSRチームリーダー
シニアマネージャー   四方 敏夫さん
写真右:CSR・リスクマネジメントグループ CSRチーム
アシスタントマネージャー / グリーバンスマネージャー   山田 瑶さん
更新情報
2020年9月11日 更新セクション *1   
更新セクション *2    
更新パート *3

不二製油が目指す社会課題解決とは?
      植物性食品素材を通した
社会課題解決
~Plant-Based Food Solutions~

   不二製油グループでは、植物性食品素材を通した社会課題解決を推進していきたいという意志を、「Plant-Based Food Solutions」(PBFS)というキーワードに込めています。中でも「健康」は、SDGsでも掲げられる重要な課題ですが、不二製油グループはこの「健康」を、「人と地球の健康」と「おいしさと健康」の二つの点から考えています。

「人と地球の健康」
   今後、地球の人口は2050年には98億人へと増加することが見込まれ、食資源の不足が危惧されていますが、その中で、森林の乱開発に起因する気候変動等、地球の健康が危惧されています。人は地球上の存在ですので、地球の健康は人が健康であることの前提であると認識し、人と地球の健康に貢献する事業活動を推進しています。

「おいしさと健康」
   不二製油グループでは「おいしさ」と「健康」は不即不離であると考えています。いくら健康な食べ物であっても、おいしいものでなければ食べ続けることはできません。さらに、人は健康でなければ食べ物をおいしいと感じることもできません。時代の変化をとらえながら、おいしくて健康な食の素材を社会に提供し続けることを目指します。

不二製油経営概念図

不二製油グループの経営理念は?
      不二製油グループ憲法
~人のために働く~

   不二製油グループでは世界10ヵ国31社(18年7月末時点)のグループ会社の共通言語として、不二製油グループ憲法を作っています。その憲法はミッション(使命、存在理由)、ビジョン(目指す姿)、バリュー(私たちが行動するうえで持つべき価値観)、プリンシプル(行動原理)からなり、役員及び従業員全員が、国籍や世代を超えて価値観の共有ができるよう、また、グループ活動の拠り所や求心力となるものとして制定されています。

不二製油憲法

   この中で、特に、バリューの中にある「人のために働く」という価値観が特徴的であると自負しています。「人のために働く」は、ステークホルダーを尊重しながら日々の事業活動をおこなうことを意味します。この価値観の背景には、「企業は社会の一員」という考え方が有ります。社会の一員として、社会のためになるかどうかを拠り所に事業活動を行っていきたいという思いを込めています。

不二製油グループのDNAは?
      挑戦と革新

   不二製油グループの創業は戦後の1950年であり、原料が簡単に入手できなかった時代です。他社と同じことをしていては、生き残ることができませんでした。「人マネをしては道はない」という精神で、当時他社が利用していなかった南方系油脂(ヤシ油)に着目し、日本初となる圧搾抽出方法によるヤシ油の搾油に成功しました。1955年には、チョコレートに必要な原料(カカオ+砂糖+ココアバター)の中で希少とされているココアバターに代わる新しい素材としてのハードバター(ココア脂類似油脂)の製造に至りました。
   その油脂も最初のうちは代用品の扱いであったことから、お客様の理解を得難い時代もありました。しかし、ココアバターを使用した硬いチョコレートでは出来ないコーティング適性や、融解温度の変化を実現させ、さまざまな形状と口どけのおいしいチョコレートの誕生につながり、いまではなくてはならないものと認知されるに至っています。

不二製油グループのCSR活動とは?
      CSRを果たすことは経営そのもの

*1   更新セクション(2020年9月11日更新)

   不二製油では「CSRを果たすことは経営そのもの」と位置付けています。社会の企業に対する期待の高まりと変化を踏まえ、2018年3月にCSR重点テーマを特定しました。この過程では国際社会の期待・課題認識に基づくことが重要だと考え、国際ガイドライン等を基に社会課題をリストアップし、優先順位づけのためマッピングを行いました。その後、有識者のアドバイスを踏まえて、取締役会の諮問機関であるESG委員会で纏め上げ、CSR重点テーマを特定しました。(※1)
   CSR重点テーマは、大きく「製品を通じて解決に貢献する社会課題」と「事業プロセスを通じて解決に貢献する社会課題」の2種類に分けて整理されます。製品を通した社会課題解決と、事業プロセスを通した社会課題解決をわけて考えることで、メーカーとして事業プロセスにおいても社会に与える負の影響の低減や是正をすることを明確に位置づけました。

(※1)
現在は「ESG経営の重点テーマ」へと名称を変更しています。最新の重点テーマについては不二製油グループ本社のWEBサイトをご覧ください。https://www.fujioilholdings.com/csr/materiality/[外部リンク]

「製品を通じて解決に貢献する社会課題」
   不二製油グループは、製品を通して解決に貢献する社会課題として、「食資源不足」と「健康寿命」を挙げています。例として、「食資源不足」への取り組みについてご紹介します。世界人口の爆発的な増加と食料資源不足の深刻化が危惧される中で、当社グループは大豆が動物性たんぱく源に比べ、少ない水と資源で生産されることに早くから注目していました。50年の長きにわたり、大豆が将来の動物性たん白源の不足を補うと信じ、技術革新を重ねてきました。2012年には、生乳の分離法に近い方法で、大豆を豆乳クリームと低脂肪豆乳に分離するUSS製法を開発し、特許を取得。チーズ風豆乳素材やホイップクリームなどの様々な加工品への展開を可能にしました。更なる技術革新と普及活動を通して、植物性たん白で食資源不足に貢献していきたいと考えています。

「事業プロセスを通じて解決に貢献する社会課題」
   事業のプロセスで環境や人権問題が生じては、本当の意味で社会課題を解決していることにはなりません。事業プロセスに関する社会課題としては、「環境・人権に配慮した主原料調達」「食の安全安心品質」「CO2排出量削減」「ダイバーシティの推進」等を重点テーマとしています。

重点テーマを特定したことによる
効果は?
      ステークホルダーとの
コミュニケーションに活用

   こうして重点テーマを特定したことで、ステークホルダーに対して、なぜこの取組をするのかを説明しやすくなりました。また、不二製油グループには日本国内に約2000人、海外に約4000人の従業員がいますが、自分の仕事が社会の課題にどのように繋がっているかを一人ひとりが意識しやすくなり、社会とのつながりの気づきになっています。

製品を通じた社会課題解決
[ …2018年度重点テーマ ]

重点テーマのPDCAは?
      目標を設定し、取締役会の諮問機関「ESG委員会」で進捗を管理

*2   更新セクション(2020年9月11日更新)

   それぞれの重点テーマには、目標を設定し、進捗を管理できるようにしています。進捗は、取締役会の諮問機関である「ESG委員会」において確認しています。
   環境への取組では、2030年を目標年とした「環境ビジョン2030」を、2018年度に新たに策定しました。中でも、CO2排出量削減目標については、パリ協定に準じて、「基準年の2016年対比で、目標年である2030年に24%削減」を定めました。(※2)

(※2)
2020年5月に、「目標年である2030年にスコープ1と2について総量で40%削減を、スコープ3(カテゴリ1)について総量で18%削減」へと目標を修正しました。また、2020年3月には「Science Based Target(SBT)」の認定を取得しました。

SDGsがCSR推進にどう影響している?
      ステークホルダーとの
コミュニケーションに活用

   CSR重点テーマの特定にあたっては、企業行動憲章などのガイドラインを参照しましたが、それらの国際ガイドラインはすべてSDGsを向いてつくられており、当社が取り組む課題も自ずとSDGsにつながりました。
   世界の共通言語であるSDGsができたことは本当によかったと感じています。海外の取引先に対しても、お客様に対しても、不二製油の目指すものを、一から説明するのはとても大変ですが、SDGsがあることで、より認知されやすいものとなりました。
   また、お客様、株主、サプライヤー、NGOなど、様々なステークホルダーとのコミュニケーションを推進する上で、お互いにSDGsという共通の目標をめざしている認識があると、同じ方向を向くことができるので、課題解決に向けた対話がしやすくなったと感じています。

取組の紹介
*3   更新パート(2020年9月11日更新)
パーム油のサステナブル調達とSDGsの活用
   不二製油グループでは、2016年3月に「責任あるパーム油調達方針」を策定し、当社のパーム油サプライチェーン上の「森林破壊ゼロ」「泥炭地開発ゼロ」「搾取ゼロ」実現に向けて取り組んでいます(※3)。2016年からサプライチェーン改善活動を開始し、2018年からグリーバンス(苦情処理)メカニズムを運用しています。
   当社グループは農園を所有しておりませんので、現地の農園に対しては、サプライヤーを通しての関わりのみで、直接的なやりとりがなく、直接接点を持つことは非常に難しいです。しかしながら、SDGsという世界が掲げる共通の目標に基づいて直接取引のあるサプライヤー様と対話することで、協力関係を築き、協働で改善活動をすることに繋がっていると実感しています。
(※3)
2020年6月には、「児童労働撤廃」と「森林破壊防止」をはじめとする人権・環境問題の改善に向けた、パーム油とカカオのサステナブル調達に関する中長期目標を策定・公表しました。
サステナブル調達の図
取組の紹介
社会貢献活動 ~食育プロジェクト~
   不二製油グループでは、次代を担う子どもたちに、食品を通じて、社会の課題を学んでもらうための食育活動を、〝放課後NPOアフタースクール″様と連携して行っています。
   具体的には、当社の従業員が講師として小学校へ出前授業に赴き、世界の食料不足を救う“大豆のチカラ”について授業を行っています。社員が自ら先生を行うことで、社員にとっても「相手の立場に立って説明する」ことを意識する貴重な学びの機会になっています。
   また、″Think the Earth″様による、学生にSDGsを考えてもらうための活動である「SDGs for school」に協賛しています。「SDGs for school」の出前授業において、パーム油を使ったチョコレートと、ココアバターを使ったチョコレートを当社が提供し、学生の皆様にパーム油を知ってもらうとともに、世界の食資源不足や環境問題について意識をもって貰うきっかけを提供しています。
出前授業の様子<出前授業の様子>

CSRを推進する上で、大切にしていきたいことは?
      これからも「スーパー正直」に

   不二製油グループのCSRは、ステークホルダーの方々や社会の声をきっかけに、国際社会の基準等を実直に実現するよう努めてきました。日本では先駆けとなった取組もありますが、海外の企業と比べた場合には、まだまだ課題があります。
   特に、持続可能な調達に関しては、膨大な数の農園とその労働者に対して、言語の壁もクリアしながら対応することは、一社だけでは不可能です。同じ問題に各社がバラバラに対応することは非効率ですし、今後は産業界や政府機関とも連携し、国際社会の課題へ貢献していきたいと考えています。
   また、これまで、機関投資家に対するIR(Investor Relations)と、一般の方に対するPR(Public Relations)には力を入れてきましたが、従業員に対するER(Employee Relations)については今後一層注力していきたいです。IRとPRでは、不二製油グループのCSRを「スーパー正直」に伝えることを意識していますが、ERではさらに「スーパー正直+自分事化」を狙って、自分の仕事と社会との関係が意識されるように、情報発信していきたいと思います。

不二製油グループ本社株式会社の皆様、
インタビューのご協?
ありがとうございました。
インタビューで扱った内容は
企業が取り組むSDGsの一部です。
詳しくは以下のサイトをご参照ください。

お問合せ先

大臣官房 新事業・食品産業部 企画グループ

代表:03-3502-8111(内線4139)
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