七島藺(しちとうい)
七島藺(しちとうい)とは
七島藺は、いぐさと同じく畳表の材料となる植物ですが、いぐさはイグサ科、七島藺はカヤツリグサ科の異なる植物です。
人気の琉球畳は、元はこの七島藺の畳表を使用した畳のことを指していました。また、昔は柔道畳としても全国各地で使われており、1964年に行われた東京オリンピック(第18回オリンピック競技大会)の柔道会場でも使用されました。
栽培や製織の機械化が進んでいないことなどから数を減らしていきましたが、文化的な価値や強度等の優れた特性を持つ七島藺を絶やしてはならないという志の下、現在、数軒の農家が生産しており、畳表の他、様々な工芸品なども制作されています。
平成28年12月、地理的表示保護制度(GI)に「くにさき七島藺表」として登録されました。また、平成25年5月にFAOの世界農業遺産の認定を受けた、大分県国東半島宇佐地域の農林水産業システムを構成する要素の一つに、七島藺が含まれています。
七島藺の栽培
七島藺は苗作りから始まります。苗床に残った前年度の枯れた七島藺を焼くことで、雑草や害虫を駆除し、その後新芽が生えてきます。これをビニールトンネルで覆い生育を促します。
苗を掘り上げて、4月末頃から植え付けが始まります。植え付けは、掘り上げた苗を株分けなどの調整をして、昔ながらの手植えで行われます。
7月~8月頃、伸びてきた七島藺の先端を刈り払う梢切り(うらぎり)という作業が行われます。高さを揃えることで色や太さにムラが出るのを防ぎ、若芽を伸ばし茎数を増やします。
刈り取りは7月末頃から始まります。刈り取った七島藺は重く、重労働で、手刈りで行われます。刈り取り後は選別と七島藺特有の作業である分割を行った後、乾燥機で乾燥させます。分割とは三角形の七島藺の茎を二つに割く作業です。乾燥後に丸太に叩きつけて根元のはかまを落とし、再度乾燥機にかけます。
こうして出来上がった七島藺で製織を行い、七島藺表の完成です。ここまでを各農家で行います。また、近年は七島藺表だけでなく、多くの工芸品も制作されています。
(写真左から:植え付け/刈り取り/選別/七島藺の断面(分割前))
(写真左から:乾燥機(下からの熱風で浮き上がらないようむしろをかけています)/乾燥前(手前)乾燥後(奥)/はかま落とし/製織/仕上げ)
関連HP
写真提供:七島藺工房 ななつむぎ 七島藺工芸作家 岩切千佳様
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