はばたけ! 農業高校生
高校で学んだことは、確実に生徒の実力になります。
実力を試すことができる成果発表の機会をいくつか紹介します。
日本学校農業クラブ全国大会
「日本学校農業クラブ連盟」は、農業高校・農業学科の生徒が所属する自主的・自発的な全国組織。この農業クラブの生徒たちが、日頃の活動成果を発表し、発表会や競技会を通して交流する全国大会が年1回開かれます。2023年度は、熊本大会が10月24日から開催予定です。
2022年北陸大会での式典の様子。
写真:水野浩志
和牛甲子園
和牛甲子園は、和牛を飼育する農業高校生が日頃の飼育の取り組みや育てた牛の肉質を競う全国大会です。2023年1月に開催された第6回大会には、過去最多となる40校が出場し、55頭の和牛が出品されました。
第6回大会総合評価部門で最優秀賞を獲得した岐阜県大垣養老高等学校の皆さん。
全国農業高校お米甲子園
食と農の未来を担う農業高校生たちに、日本のお米や米づくりに誇りを持ち、その発展を目指してほしいという思いから毎年開催されている大会。参加校は高校の実習田で収穫したお米を出品し、そのおいしさを競います。
https://www.syokumikanteisi.gr.jp/kon-24/top.html
米・食味分析鑑定コンクール内(2023年度HPは作成中)
2022年度の「全国農業高校 お米甲子園 2022」の「食味部門」では、
群馬県立利根実業高等学校が出品した「ゆうだい21」が最高金賞を受賞。
全国高校生農業アクション大賞
農業高校の生徒たちがグループで取り組む、農や食に関するプロジェクトや課題研究を支援するものです。地域と連携して実践する3か年の計画を提出し、認定されると3年間の活動に対する支援金が贈られます。また、優れた実績を残したグループには、3年目に賞などが贈られます。
2022年11月に大賞に輝いたのは、サトイモの超促成栽培に取り組んだ山形県立村山産業高等学校。
ディスカバー農山漁村
(むら)の宝募集中!
農山漁村の有するポテンシャルを引き出すことにより地域の活性化や所得向上に取り組んでいる優良な事例を選定し、全国への発信を通じて他地域へ横展開を図るという取り組みです。農業高校で行われている地域活性化につながる取り組みなども選定の対象となります。第10回「ディスカバー農山漁村(むら)の宝アワード」応募は、2023年8月27日まで受付。
特産品などを使った商品開発を地元企業と行っている農高は数多くあります。
開発から販売まで行った生徒にお話しを聞いてみました。
「こういうパンを食べてみたい!」を実現
青森県立三本木農業恵拓高等学校
「スチュリンコッペパン」の
共同開発に参加したメンバー。
青森県立三本木農業恵拓高等学校は、地元の農作物や食を通して地域を元気にしたいという思いを実現するため、10年ほど前から(株)ローソンとのコラボレーションを行っています。2022年度は、青森県が出荷量日本一のりんご(農林水産省「令和4年度作物統計」)とスチューベン(ぶどう)を使用した「スチュリンコッペパン」の共同開発プロジェクトに取り組みました。
リンゴの食感と
スチューベンの酸味が味わえる
「スチュリンコッペパン」。
プロジェクトには学科の枠を超えて有志の生徒たち18名が集まりました。
普通科3年の田嶋芽以さんは「活動内容を聞いて興味をもったから」、植物科学科3年の佐々木麻衣さんは「『こういうのを食べたい』を形にしてみたくて」といった理由から活動に参加しました。
昨年は6月頃に商品アイデアを出し合い、(株)ローソンの担当者から商品開発を教わる勉強会やパン工場の見学などを行い、知見を広めました。「パンの製造方法を知ることができたり、いつも身近にあったコンビニの仕組みや考え方も分かってよかったです」(佐々木さん)
パンの製造・販売を行う工藤パンで工場見学。
理想の味を求めて試作を重ねる。
試作を何度か繰り返して商品を完成させましたが、「りんごよりスチューベンの味が強くて、そのバランスを取るのに苦労しました」(田嶋さん)、「参加した18名の味の好みが違って、酸っぱいのが好きな人甘いのが好きな人、生クリームが好きな人嫌いな人、色々な意見を最終的に一つの味にまとめるのが大変でした」(佐々木さん)と苦労も多い活動でした。
11月からの店舗販売に先駆けて文化祭で販売した際は、地域の人が開発商品を心待ちにしてくれており、すぐに売り切れました。佐々木さんの友人もパンを購入し、「おいしい!」と喜んでいました。発売当日にはローソンの店頭販売に参加し、開発から販売まで一連の流れを実際に体験する貴重な経験ができました。
もう一度食べたいと思う梅ポテトチップスを
福岡県立福岡農業高等学校
原料の梅は生徒たちが太宰府市内で収穫。
梅の加工も
梅研究班で行った。
福岡県立福岡農業高等学校がある福岡県太宰府市では、市の花であり元号令和の由縁ともなった梅をスイーツやご当地グルメに加工し、地場土産産業を盛り上げる「梅」プロジェクトを推進しており、同校は2009年から参画しています。2013年度からは、地域に根差した商品開発に取り組むカルビー(株)と共同開発で、“地元の梅を使用した商品で、受験生を応援したい”をコンセプトにした「ポテトチップス合格する 梅(ばい)」シリーズを販売しています。
共同開発は食品科学科の梅研究班が取り組みます。3年生の香月暁さんは「中学生のころから『ポテトチップス合格する梅』シリーズのことを知っていて。自分好みの味がつくれるチャンスだと思った」と参加を決めました。商品に使う梅肉パウダーは、市内の史跡地にある梅の実を収穫し、生徒たちが食品製造にかかわる授業の一環としてつくります。
商品開発について、
企業のレクチャーを受講。
開発を始めるにあたり、梅味を基本としてどんな味にするかアイデアを出し合い、班員で話し合って決めていきます。香月さんは「個々人の味覚の違いで感想が違うのが楽しかったです」と話します。カルビー(株)が試作品を作成して生徒が試食し、味の改善を重ねて完成を目指します。その間も店舗用のPOP をつくったり、カルビー(株)の担当者と営業にまわって自分たちが開発した商品のアピールポイントを企業の人にプレゼンしたり、普通の学校ではできない製造から販売までを体験しながら学んでいきます。
キャッチコピーやパッケージデザインも生徒たちで考えた。
今年度も12月の発売を目指し、カルビー(株)の担当者が学校を訪れ、前年度のレポートを踏まえて想定客層やどんな味にするかを決めている最中です。「自分が買いたくなるもの。もう一度食べたいと思うものをつくりたいです」(香月さん)
秋の恒例行事
「全国農業高校収穫祭」は
2023年も開催予定
大丸東京店(東京駅八重洲北口)で毎年11月に開催され、昨年で14回目を迎えた「全国農業高校収穫祭」。
「農」や「食」を学ぶ農業高校等(全国農業高等学校長協会加盟校)の生徒がつくった農作物や加工品などを自らが販売することを通じて、学習や将来の就農への意欲を高めるとともに、農業高校生の活動を百貨店の来店客に伝えることを目的としています。
会場で配布された
「2022 全国農業高校
収穫祭」のチラシ。
来場したお客さんで賑わう会場の様子。
昨年開催された「2022全国農業高校収穫祭」は、12都道府県の延べ39校が参加。大丸東京店内の会場で開かれました。参加校の農産品や畜産物、加工食品などが並べられ、多くの人で賑わいました。また、デパ地下の総菜店と農業高校のコラボメニューが初登場し、担当した生徒たちがはつらつと店頭販売を行いました。
今年も同時期に開催予定とのことで、どんな農産品などが並ぶのか楽しみです。
コラボメニューを店頭でPRする販売実習を実施。
高校の学校内外での活動を紹介する壁新聞パネルを展示。
写真提供:毎日新聞社
お問合せ先
大臣官房広報評価課広報室
代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449