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aff 2022 OCTOBER 10月号
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“農泊”を楽しもう 雄大な景観やのどかな田園風景 自然を楽しむ農泊

“農泊”を楽しもう 雄大な景観やのどかな田園風景 自然を楽しむ農泊

農山漁村に泊まり、その土地ならではの食や体験を楽しむ“農泊”。自然や伝統文化に親しんだり、農作業を体験するなど、さまざまな楽しみ方があります。今回は、豊かな自然や景観を心ゆくまで楽しめる北海道と岐阜県内の農泊事例を取り上げます。

“農泊” とは?

全国に点在する農山漁村地域に宿泊し、滞在中に地域資源を活用した食事や体験などを楽しむ「農山漁村滞在型旅行」のことです。各地の農山漁村には、それぞれの地域ならではの魅力あふれる資源があり、その魅力を味わえる宿泊プランや体験プログラムが提供されています。普段の旅行やレジャーとはひと味違った、日本ならではの伝統的な生活体験や地元の人々との交流など、貴重な体験ができるのが農泊の魅力です。

農山漁村の
豊かな地域資源

食:食文化、ジビエ、旬の農産物
体験:農作業体験、自然体験、文化体験
宿泊:農家民宿、古民家
景観+α:農業遺産、棚田、森林
採択地域数(R3年度末時点累計)

道東の雄大な自然に抱かれて暮らすように滞在する ハートンツリー 北海道阿寒郡鶴居村 道東の雄大な自然に抱かれて暮らすように滞在する ハートンツリー 北海道阿寒郡鶴居村

heart’n tree

北海道の釧路の市街地から北へ車で1時間弱の場所にある鶴居村は、阿寒の山々と釧路湿原に挟まれた丘陵地にある小さな村です。名前の通り、タンチョウの生息地や繁殖地として知られ、冬季には村内の給餌場に200羽ほどが飛来します。緩やかな丘陵牧草地が広がり、乳牛を中心とした酪農が盛んな同村の高い丘のてっぺんにあるのが“丘の上のオーベルジュ(宿泊施設を備えたレストラン)”「ハートンツリー」。阿寒町出身の服部佐知子オーナーは、大阪で食の仕事に携わっていましたが、子育てを機に北海道に戻ってきました。そして家族とのドライブ中に偶然この丘を通り、そこからの景観に魅せられました。「丘を上がっていく道が、まるで空に昇っていくようで。そして頂上に着いたら、素晴らしい景色が広がっていました。その瞬間に『ここに住みたい』と思ったんです」。そして暮らし始めてから2年後、美しい眺めや豊かな自然の恵みを他の人にも知ってもらいたいと思い、1999年にレストランを開き、さらに翌年からゲストハウスもオープンしました。

丘の上に佇むハートンツリー。広い敷地内には、服部さんと家族が住む母屋にレストラン、ゲストハウスにコテージ、チーズ工房などが点在しています。

高台から東南方向を見渡すと、眼下には釧路湿原が広がり、晴れた日にはその向こうの釧路の街や太平洋まで望むことができます。また振り返って西方を見やれば、阿寒の雄大な山々を正面に見ることができます。

ハートンツリーの庭は、そのままなだらかな丘陵の牧草地へと続いていきます。時には庭でタンチョウの姿を見かけることも。「気づいたら、一緒に朝日を眺めていたんですよ」と言う服部さん。

庭では不定期ですがインストラクターを招き、ガーデンヨガを行っています。優しいヨガによって、日々の生活のなかで固くなった身体と心も自然の中で解放。1時間ほどのヨガの後は、庭でランチを楽しみます。今後はハートンツリーから足を延ばして屈斜路湖でのピクニックヨガも予定しているそうです。

チーズ工房では地元農場の新鮮な牛乳を使ってチーズやホエイキャラメルを作っています。またゲストハウス兼体験工房の「グーテンガーデン」では、ストリングチーズやパンなどの手作り体験ができます。

キャットミントやレディースマントル、マリーゴールドなど、約100種類に及ぶハーブが育つハーブガーデン。6月から9月ごろまでは花々が庭に彩りを与えてくれます。今年からはハーブティーを楽しむお茶会を月1回開催しています。

新鮮な牛乳、旬の野菜やハーブなど、地元の食材をたっぷり使った人気のランチセット「ガーデンランチ」。レストランはもちろん、天気のよい日には庭のテーブルで楽しむこともできます。

オーナーの服部佐知子さん。子どものころに憧れたのは、『大草原の小さな家』や『赤毛のアン』のような生活を送る幸せ。その幸せをおすそわけしたいという思いでハートンツリーを営んでいます。

北海道に戻ることを決めたときには、牧場を営む夢も持っていたという服部さんですが、最終的には得意な料理で村に貢献しようと決めたそうです。「地域の酪農の応援団のつもりで、レストランでお出しするすべての料理に、村の牛乳を使っています」。毎朝、搾りたての牛乳をくれる酪農家さんの所には、牛を見てみたいという滞在中のお客さんと一緒に行くこともよくあります。またハートンツリーではガーデンヨガ、チーズやパンの手作り体験、料理教室にワイン会などさまざまな催しを行っていますが、それとは別に、時間が合えばお客さんと鶴居村周辺へ予定外のピクニックに行くこともあるとか。連泊するとまるで親戚や友人の家に泊まっているような感覚になり、自由な服部さんの人柄に惹かれて国内外から多くのリピーターが訪れます。また有機農業の体験と交流を図る「WWOOF(ウーフ)」のホストとして、年間40人ほどの外国人を受け入れており、国際色豊か。大自然に包まれて、暮らすように滞在できる。それがハートンツリーという特別な場が持つ魅力なのです。

ハートンツリー 北海道阿寒郡鶴居村
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外部リンク

サイクリングで
鶴居村の自然を満喫

自然や食などの地域資源を活かした滞在型コンテンツ開発によって、令和3年度の観光入込客数が前年度比で4,600人増加した鶴居村。これまでの取組が認められ、「美しい村・鶴居村観光協会」が「第14回観光庁長官表彰」を受賞しました。牛の放牧風景が楽しめる丘陵地から釧路湿原の絶景まで、見所が豊富な鶴居村を巡るには、電動アシスト機能付き自転車が便利。「Bicycle Square(バイスク)」では、スポーツタイプの電動アシスト自転車の貸し出しの他、さまざまなサイクリングツアーを開催しています。

Bicycle Square

公式サイトはこちら
外部リンク

飛騨の自然を五感で満喫するE-Bikeのサイクリングツアー UMESEKO TOUR 岐阜県下呂市 飛騨の自然を五感で満喫するE-Bikeのサイクリングツアー UMESEKO TOUR 岐阜県下呂市

UMESEKO TOUR

岐阜県東部、南飛騨の山間に位置する下呂市馬瀬(まぜ)。この地域を表す言葉に「馬瀬七里十里五十淵」があります。南北約28キロメートル(七里)の間に10の集落が連なり、その中央を縫うように流れる馬瀬川には50もの淵がある、という意味です。全国有数の清流として知られる馬瀬川は、変化に富んだ水辺の景観を生み出すとともに、古くから流域の人々にさまざまな恵みを与えてきました。馬瀬ではフランスの地方自然公園制度をモデルに、人々の暮らしも含めた全体を「馬瀬地方自然公園」と捉え、地元住民が中心となって自然と共生しながら農村の持続的な発展を目指す活動を行っています。そんな馬瀬をE-Bike(イーバイク)で巡るのが「UMESEKO TOUR(ウメセコツアー)」です。代表兼ツアーガイドの世古乃佑(せこだいすけ)さんは、地域おこし協力隊として2017年に馬瀬へ移住した後、翌年にツアー事業を開始。2019年には大手旅行プラットフォーム「トリップアドバイザー」のトラベラーズチョイスアワードを受賞しました。

UMESEKO TOURの世古乃佑さん。「E-Bikeは電動アシスト機能を搭載したスポーツタイプの自転車です。運動性能が高く、快適に長距離を走れます」。出発前にはブレーキを始め、E-Bikeの扱い方をガイドがしっかり説明してくれます。

今回、世古さんに紹介していただくツアーは、約24キロメートルの道のりを3時間半ほどで回る「馬瀬E-Bikeツアー‐ハーフ」。JR飛騨萩原駅を出発し、山向こうの馬瀬へ。宿場町として栄えた江戸時代や明治時代の面影が残る萩原の町並みや木曽の山並みを一望できる場所など、さまざまなビュースポットを巡ります。

山道を15分ほど上り、峠の頂上付近から始まるトンネルをくぐって下りると馬瀬の風景が広がります。馬瀬川に沿って北上していくと、川は場所や季節ごとにさまざまな表情を見せてくれます。

絶景ポイントを目指してE-Bikeを走らせます。傾斜のきつい上り坂もありますが、E-Bikeなのでラクラク。地元住民が手作りした展望テラスからは、山と川に挟まれたわずかな平野部に美しい田園が広がる馬瀬の姿が見られます。またツアー中にはいくつかのポイントで自転車を停め、ガイドが地域の文化や山間部の人々の暮らしについて話してくれます。

馬瀬川の連続する淵の中には、河原が広く、ひっそりとした雰囲気と相まってプライベートビーチ気分が味わえる所もあります。帰り道の途中でこの隠れ家的スポットに寄り、その場で挽いた豆で淹れたおいしいコーヒーを楽しみます。

Other Tour

より充実した内容の
ツアーもあります

馬瀬のE-Bikeツアーには、所要時間約6時間の「馬瀬E-Bikeツアー」もあります。このツアーでは神社や酒蔵見学に加え、地元の食材をふんだんに使ったランチがつきます。さらに「馬瀬E-Bikeツアー‐プレミアム」では、農家での農業体験や老舗旅館での懐石料理を楽しむことができます。

より気軽に参加できる
萩原の各種ツアー

UMESEKO TOURでは、宿場町として栄えた萩原町の歴史に触れたり、飛騨川沿いの風景を楽しめるツアーも用意しています。またE-Bikeでのサイクリング以外に、街歩きや和菓子作り体験などのツアーも用意しています。

「E-Bikeの魅力は、ちょうどよいスピード感。歩くよりも短時間で広範囲を回ることができる一方で、車では速すぎて気づかないポイントもしっかり楽しむことができます。また坂も座ったままスイスイと上れるので、程よくカラダを動かしている実感を得つつ、景色を見たり、会話を楽しむ余裕があるのもよいところ。大小50もの淵があるだけに、馬瀬川沿いに広がる景色は変化に富み、走りながらその移り変わりを見ていると飽きません」と語る世古さん。桜や紅葉のような決まった時期だけでなく、通年楽しめるように、できるだけガイドブックに載っていない穴場スポットをコースに取り入れるなどの工夫をしているそうです。「人の役に立ちながら自分の望む生き方をしたいという思いで地域おこし協力隊に応募し、こちらに移住して約5年になりました。ここは本当に住んでいて心地がよく、きれいな川があることに誇りが持てる場所です。飛騨地域のありのままの自然とそこに暮らす人々の日常を感じられる点が馬瀬の大きな魅力。ぜひ体験してください」

UMESEKO TOUR 岐阜県下呂市
公式サイトはこちら
外部リンク

今週のまとめ

日本の豊かな自然とその美しい景観は、
眺めているだけでも
心を癒やしてくれますが、
体を使った体験をすることで、
さらに楽しむことができます。

(PDF:17,970KB)

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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