水路やため池の通水障害を起こす外来生物の見分け方_ボタンウキクサ
ボタンウキクサ
国内分布
- 1920年代に沖縄・小笠原に導入。関東以西では1990年代から帰化。
- 国立環境研究所の情報によれば、沖縄県を含め関東以西に広がっており、32都府県で分布が確認されている(2023年1月時点)。
(出典:「侵入生物データベース」国立環境研究所)
主な生育場所
- ため池、水路などに広く分布。耐塩性もあり、内湾や汽水域でも繁殖。
- 水温が15~20℃くらいになると枯れることが多いが、平均水温12℃程度なら生育し、子株の形成が可能との報告もある。
- 過繁茂して水面を覆うと、遮光して他の植物の光合成を阻害したり、水中の酸素不足や水温・水質低下を招き、様々な生物の生息環境悪化の原因となる。
頭首工での発生状況(11月)
ダムでの大繁茂の状態(6月)
ボタンウキクサ
(写真提供:環境省)
ため池での繁茂の状況(9月)
繁殖・生育拡大の方法
- 親株の基部から横に這う茎(走出枝、そうしゅつし)を伸ばし、その先に子株をつけて増える(クローン繁殖)。
- 温度、光、栄養条件が十分になると、次々と子株、孫株をつくり、急激に増殖する。
形態・特徴
- 水中に根を垂らし、水面に浮いた状態で生活する浮遊植物(多年生)。
- 形が牡丹の花に似ていることから名前がついた。ウォーターレタスとも呼ばれる。
- 葉は丸みを帯びた扇形で、水面上か斜め上に向かってつき、ロゼット状に(葉牡丹のように)広がる。葉は厚みがあり、葉の表面にはビロード状の柔らかい毛が生え、水をはじく。
- 葉の長さは10~30cm、葉の幅は5~20cmで、株の直径は5~20cm、大きいものでは30cm以上の大きさに成長する。
- 開花期は5~10月。一つの株に雄花と雌花がつく。5mmほどのラッパ状の総苞(仏炎苞、ぶつえんほう)に包まれた黄緑色の花をつけるが、小さくて目立たない。
ボタンウキクサの葉(左)と花(右)
(写真(左)提供:環境省、一部改変)
間違えやすい種との見分け方
- ボタンウキクサは、同じく外来種のホテイアオイと似ている。
- これら2種は、葉の特徴(毛、膨らみ、長さ)や花の特徴(色、形)で区別することが可能。
![](./attach/img/gairai_soukihakken_botanukikusa-7.jpg)
注意すべき事項
- ボタンウキクサは、外来生物法により「特定外来生物」に指定されており、拡散を防ぐため、栽培、保管・運搬、譲渡、放出等が禁止されている。ただし、死んだ(枯れた)個体は規制対象外となる。
- 適切な手続きをとらずに生きた個体を移動等させてしまうと法律違反となるので、取り扱いには十分な注意が必要。
- 地域住民やボランティア等による駆除の場合、広報誌等による事前告知、運搬時の拡散防止対策を行うことで、生きた個体を焼却施設等に運ぶことが可能となる。
参考情報
- 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所:淡水魚・水生植物・外来種・大阪府の水辺の生物図鑑 水草図鑑(外来種),https://www.knsk-osaka.jp/zukan/zukan_database/mizukusa_gairai/list.html
- 福岡県環境部:侵略的外来種防除マニュアル2021,https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/169206.pdf
- 環境省自然環境局:特定外来生物 同定マニュアル 植物,https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/manual/10hp_shokubutsu.pdf
- 環境省自然環境局:日本の外来種対策,特定外来生物の解説,https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list/L-syo-11.html
- 国土交通省水管理・国土保全局:河川における外来植物対策の手引き,https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kankyo/gairai/tebiki.html
- 国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室侵入生物研究チーム:侵入生物データベース,https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/
- 農林水産省農村振興局農村政策部農村環境課(2018):子株で大量に増えて水利施設に押し寄せる,https://www.maff.go.jp/j/nousin/kankyo/kankyo_hozen/attach/pdf/gairai-12.pdf
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※このページの情報は、令和5年3月のものです。
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