令和5年度第3回畜産部会議事録:農林水産省
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農林水産省

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令和5年度第3回畜産部会議事録

令和5年度第3回畜産部会議事録(PDF : 582KB)

1. 日時及び場所

日時:令和6年1月29日(月曜日) 13時56分~16時03分

会場:農林水産省 第3特別会議室(web併催)

2. 議事

午後1時56分開会
○新井畜産総合推進室長
それでは、定刻ちょっと早いですけれども、皆様おそろいでございますので、ただいまより令和5年度第3回食料・農業・農村政策審議会畜産部会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の中御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
私、当部会の事務局をしております畜産局総務課の新井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、小針部会長に議事をお進めいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○小針部会長
部会長の小針でございます。本日もよろしくお願いいたします。
それでは、初めに渡邉畜産局長に御挨拶を頂きたいと思います。渡邉局長、よろしくお願いいたします。
 
○渡邉畜産局長
畜産局長でございます。
本日は大変お忙しい中、食料・農業・農村政策審議会畜産部会に御出席を頂きまして、心から厚く御礼を申し上げたいというふうに思います。
まず初めに、今般の地震でお亡くなりになられた方々に改めてお悔み申し上げるとともに、被害に遭われました全ての方に心よりお見舞いを申し上げます。また、被災農家をはじめとする被災者の皆様への物資の支援などにつきましては、本日御出席の委員の皆様にも多大な御協力を賜りましたこと、この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。
震災についての農林水産関係の被害状況につきましては、後ほど御説明いたしますけれども、畜産施設の損壊に加えまして、断水や道路寸断による影響が続いております。政府としましては、1月25日に被災者の生活となりわい支援のためのパッケージを公表したところでございますので、農林水産省といたしましても、これに基づきまして引き続き関係省庁あるいは地方自治体と連携して、全力で対応していきたいというふうに考えてございます。
本日は、近年の畜産・酪農をめぐる厳しい状況ですとか、あるいは年末の畜産物価格決定の際の御議論などを踏まえまして、改めて畜産・酪農政策の現状と課題について御議論を頂きたいというふうに考えてございます。特に畜産農家の安定した経営のためには、需要に応じた生産あるいは国産飼料基盤に立脚した生産などが必要であるというふうに考えておりまして、これらを推し進めるための具体的な方策につきまして、この畜産部会という場において意見交換を行いたいと考えております。
委員の皆様におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を頂ければと思いますけれども、皆様の御意見に対して事務局からコメントするだけにとどまらず、委員同士の御議論も含めて是非この場で御発言を頂きたいというふうに考えてございます。様々な御意見をお伺いして、国としての考え方もお伝えしながら、今後の畜産・酪農政策の在り方を方向づけしていければというふうに考えてございます。
最後になりますけれども、我が国畜産・酪農の更なる発展に向けまして引き続き御協力を賜りますことをお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
報道の方はここで終了といたしますので、御退室ください。
 
(報道退室)
 
○小針部会長
それでは、議事を進めます。
まず、本日の配付資料の確認、御出席の委員の紹介、委員の出欠状況の報告などについて事務局からお願いいたします。
 
○新井畜産総合推進室長
まず、本日配付しております資料について確認させていただきます。
資料につきましては、会場の委員の方におかれましてはお手元のパソコン、端末の方に資料一覧、資料1から5、また、参考資料1、2の全部で7つのシートが表示されているかと思いますので、御確認いただければと思います。また、端末の使用など不明な点がございましたら、近くにいる職員に遠慮なくお問合せいただければと思います。
また、資料2の方に委員名簿がございますけれども、本日15名の委員の皆様に御出席を頂いております。そのうち二村委員、宮島委員、駒井委員、里井委員、馬場委員の5名の委員におかれましては、リモートにて参加いただいているところでございます。
なお、本日、椛木委員、井上委員、大山委員、川田委員におかれましては、御都合により欠席との連絡を受けているところです。
審議会に関する規定ですけれども、委員及び議事に関係のある臨時委員の3分の1以上の出席がなければ会議を開き議決することができないと定められておりますけれども、本日、規定数を満たしてございますので、御報告をいたします。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
本日の畜産部会の議事でございますが、まずは今般発生いたしました能登半島地震の対応状況等について農水省から説明いただきます。その後、畜産・酪農政策の現状と課題を説明いただくとともに意見交換を行いたいと思います。本日もできる限り効率的な運営に努めたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
まず、事務局から令和6年能登半島地震に関しまして資料の説明をお願いいたします。
 
○木下企画課長
企画課長でございます。
まず、資料3を御覧ください。
資料3で能登半島地震に係る農林水産関係の被害・対応状況ということで、畜産関係を抜粋してございます。この被害の状況は各県からの報告に基づくもので、まず石川県ですけれども、畜産農家で断水が43件、これは現時点ですけれども、一番多いときには48件ほどございました。それから、施設の損壊が43件ございます。全壊をしたりとかいろいろずれが生じたり亀裂が生じたりということがございます。その損壊に伴いまして、家畜の被害が3件報告されております。また、道路の損傷が22件ございまして、大型車の通行などが制限されたりしております。そのうち農場への出入りが不可4件となっておりまして、ここは停電とか断水の可能性ありということですが、断片的にそれぞれの農場の情報が入ってきているというような状況でございます。
下の方に行きまして、食肉センターで一部損壊・地盤陥没ということがございましたけれども、1月8日から屠畜は再開をしております。石川県におきましては、特に奥能登ですね、珠洲市、能登町、穴水町、輪島市の被害が大きくなっておりまして、それから、干拓地の内灘町でも断水が続いていたということで非常に御苦労されていたわけですけれども、この土曜日に水道が復旧をした聞いているところでございます。
また、そのほか、石川県ではかなりの場所で停電をしておりました。順次復旧はしておりますけれども、その停電している過程で発電機などを供給することによって、何とか発電ができていたというような状況もございます。
次に、新潟県でございますけれども、鶏舎の集卵配送ラインの破損とか採卵鶏の飼料タンクの破損、養豚場での浄化槽の排水処理管の破損、そういったものが報告されております。
富山県でも鶏舎の敷地内の鶏舎のすぐ隣の斜面が崩落をしているとか、鶏卵の保管場所の地盤が沈下をしているとか、豚舎の基礎や床が損傷したり、天井の梁に亀裂が入ったりというような被害が報告されておりますし、食肉の流通施設でも被害が報告されております。福井県でも養鶏施設の給水設備でポンプの故障といったものがございます。
次に、食料支援の対応状況でございますが、乳業の関係でここに書いてございますように、LL牛乳の提供ですとか、粉ミルクの提供ですとか、それから、現場の要請というものもございまして、液体ミルクの供給ということに特に乳業協会、それから、各乳業メーカーの方の御協力を頂きまして、ありがとうございます。
その下の情報提供というところですけれども、畜産局といたしましては、1月3日に飼料代金の支払い猶予についてという依頼の通知を出しているところでございまして、次の1月4日に停電なりしている中で家畜の飼養管理をどのようにすべきかというような通知を発出しております。それから、1月12日に配合飼料の価格安定制度に係る通常補塡基金の積立ての猶予等について通知しております。
それから、1月3日に、経営局が金融機関に対して資金の円滑な融通及び既往債務の償還猶予等についてという依頼の通知を出しているところでございます。
続きまして、次の2ページ目から1月25日に被災者の生活となりわい支援のためのパッケージというものが取りまとめられております。その内容について簡単に御報告させていただきたいと思います。
2ページにはポンチ絵が載っておりますけれども、内容は3ページ以降で説明させていただきたいと思います。
3ページ目、この3の災害関連資金の特例措置ということで、農林漁業セーフティネット資金の貸付限度額の引上げ、セーフティネット資金や近代化資金の貸付け当初5年間の実質無利子化といった措置が講じられているところでございます。
次に、その下の4番です。農業用機械や畜舎、共同利用施設等の再建・修繕への支援ということで、ここについては機械とかハウスも含めて、まず(1)ですけれども、農地利用効率化等支援交付金(被災農業者支援タイプ)を発動しました。これは従来、経営体育成支援事業と言っていたものですけれども、これが発動されて被災者の方の農業用機械とか畜舎の再建の補助率が上がっております。
それから、下の方の(2)で共同利用施設、こちらの方は強い農業づくり交付金の方もまた対象になっております。
その後、5の(6)、(7)、(8)のところに畜産関係がございますけれども、牛マルキンや豚マルキン、子牛の補給金の負担金の納付期限の延長の措置を講じております。
それから、7番目です。こちらが畜舎の簡易な補改修や瓦礫の撤去、揚水ポンプや発電機の借上げ、更に乳房炎の治療とか、従来からやっているような対策ですけれども、そういったものも今回もしっかりと発動させているというところと、あと、(8)で更にいいものをこの際作りたいということがあれば、畜産クラスター事業を使って施設の整備もできるというような内容を含むパッケージとして発動させたところでございます。
私の方からの説明は以上でございます。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
この件について御質問等はありますでしょうか。
それでは、続きまして、畜産・酪農政策の現状と課題等に関しまして事務局から資料の説明をお願いいたします。
 
○三野畜産局総務課長
総務課長の三野です。本日もよろしくお願いいたします。
私の方からは資料4、5に基づきまして、畜産・酪農の現状と課題などにつきまして御説明申し上げます。
まず、資料4をお願いいたします。
今回も参考資料としまして、昨年の第1回の畜産部会で御説明申し上げました畜産・酪農をめぐる情勢の内容の更新したものをお配りしております。畜種別に牛・豚・鳥の基本的な情勢は既に御説明済みでございますので、本日はそこから更に絞って簡潔に御説明させていただきます。
まず、1ページをお願いいたします。
生乳の生産・需給関係についてです。左の折れ線グラフですが、北海道での増産が堅調に推移しておりまして、全国の生産量が増加してきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に、特に脱脂粉乳の需要との乖離、これが生じまして、その後、在庫低減対策が行われたところでございます。
2ページをお願いいたします。
品目別の消費データについてです。左右ともに灰色の棒グラフ、国内仕向け量の推移を中心に御覧いただければと思います。左の飲用はいわゆる巣ごもり需要などもありまして、1人当たりの消費量が伸びまして、近年は400万トン前後で推移しております。また、右の生クリームは流行に影響されやすいものですが、120万トン前後で推移をしております。
3ページをお願いいたします。
次に、輸入品と競合する乳製品ですが、一番左の脱脂粉乳・バターは生乳の需給緩和の結果、灰色の棒グラフでお示しをしております仕向け量が拡大しまして、輸入品との置き換え、これも増えてまいりました。一番右のチーズでございますが、40万トンを超えて推移しております。
なお、これらの乳製品の消費量の実績は、いずれも生産者、乳業者の皆様方の対策の財源、これを拠出いただきまして、値下げによりまして輸入品を国産品と置き換える、このことによって国内シェアを拡大させるということで実現しておりますので、言わば一時的な需要増であることを付け加えさせていただきます。
4ページをお願いいたします。
続いて、チーズについてもう少し詳しく見てまいります。一番左の折れ線グラフでございますけれども、約30年間、生乳全体の国内需要は1,200万トン程度で推移しております。真ん中の棒グラフですが、そうした中で飲用の仕向け量が減少する一方で、チーズの仕向け量は増加しておりまして、一番右のグラフのとおり、その中でもプロセスチーズ以外のナチュラルチーズの消費が増加しております。
5ページをお願いします。
更にチーズについて詳しく見てまいりますと、近年は競争力強化対策、これを国が講じておりますけれども、国産ソフトチーズの供給・消費が増えてきております。チーズ仕向けの乳価を見ますと、国産競争力が高いソフトチーズ仕向けのものが相対的に高くなっておりまして、抱き合わせ分、言わば国産品の使用条件に無税での輸入を認める、こういった制度でございますが、これを超えるプロセスやシュレッド原料のハードチーズは国際価格の影響を受けまして、相対的に低くなっております。このため、チーズ仕向けのものを増やせば増やすほど生産者が受け取る平均乳価が下がっていく、こういう状況というのがございます。
6ページをお願いします。
輸出でございます。アジアを中心に乳製品の輸出がされておりまして、着実に増加はしているものの、国産の生乳使用量を推計すると、国内の生乳生産約750万トンのうち輸出は2万トン弱というふうになっているということでございます。
7ページでございます。
酪農の経営関係でございます。飼養戸数は減少しておりますが、平成29年を底に令和4年度までの飼養頭数の増加と1頭当たりの乳量の増加、これに支えられまして、令和3年度までは生乳の生産量が増加をしてまいりました。
8ページをお願いいたします。
左の折れ線グラフは上から順に配合飼料価格、取引価格、そして、総合乳価とございますけれども、右にある北海道及び都府県の粗収入、コスト、そして、粗利益のうち灰色の線の粗利益に注目しますと、10年間隔で浮き沈みがあるのが御覧いただけるかと思います。その中で赤い矢印でお示しをしております現在の収支の悪化、こちらは平成19年、20年以来となります。この時期も飼料価格の上昇がございました。現状としましては、令和4年11月以降、4回にわたる乳価の引上げによりまして経営が支えられている、こういった状態となっております。
次のページをお願いいたします。
こちらはページ番号がございませんで、右側の肩に机上配付資料というふうにお示しをしております。こちらは今後更に検証・分析が必要というふうに私どもは考えておりまして、この場における委員の皆様の議論に向けたものということで御紹介をさせていただきますけれども、令和元年と令和4年を比較したデータになりますけれども、経営規模別の利益を見てみますと、少なくとも都府県では一定規模を超えると減益幅が拡大しているということがお分かりいただけるかと思います。これは規模拡大に必ずしも飼料基盤が伴っていないと。このことによりまして、生産コストが相対的に高かったことが主な背景というふうに考えております。また、経営の持続性・耐久性といったものが必ずしも経営規模とは比例しないということも言えようかというふうに考えているところでございます。
次をおめくりいただきまして、ページ番号が振っております9ページをお願いいたします。
酪農・生乳に関する制度関係でございますが、指定団体を介さない生乳流通、こちらは改正畜安法の施行の後、平成30年以降、年平均0.4%拡大しておりまして、令和4年度では全体の5.8%というふうになっております。
一番下の括弧内にございますが、改正畜安法の施行後の状況を踏まえまして、指定団体は翌年度の生産者からの出荷予定数量に大きな変更がある場合、これは出荷の申出に期限を新しく設定できるかどうかという点につきまして、年度内に省令改正をする方向で検討しているところでございます。また、需給緩和時の効果的な生乳需給調整につきましては、系統・系統外の生乳流通事業者の皆様に出席いただいております生乳の需給などに関する情報交換会、これを昨年11月に第1回目を開催したところでございますが、ここで議論しているところでございます。今後、その状況を畜産部会の委員の皆様方にも御報告しまして、更に議論を深めることとしたいというふうに考えております。
10ページをお願いいたします。
こちらで生乳の方は最後になりますが、右の表を御覧ください。地域や乳製品の別で違いはございますけれども、これまで稼働率を上げてコストを下げる、こういったことのための再編を含めた合理化が一定程度進んできているという御紹介でございます。
次に、11ページをお願いいたします。
続きまして、牛肉関係でございます。まず、生産と需給関係でございますけれども、まず一番左の折れ線グラフ、こちらを御覧ください。和牛の生産基盤の強化のため増頭を図ってまいりましたけれども、平成27年を底に繁殖雌牛の数は着実に増加してまいりました。また、真ん中にありますように酪農経営での和牛の受精卵移植の利用拡大もございまして、右の上の棒グラフにございますように、牛肉の生産量は増加をしてまいりました。
一方で、右側の下の棒グラフでございますけれども、牛肉全体の消費量はやはり新型コロナウイルスの感染拡大や物価高の影響を受けまして、令和元年度をピークに減少しております。国産牛肉の消費、こちらの中身を見てみますと、過去2年伸びている一方で輸入牛肉は減少している、こういう状況でございます。
12ページをお願いいたします。
次は輸出でございます。牛肉の輸出は着実に増加をしておりまして、令和5年は過去最高となる見込みであります。輸出には輸出先国の求める衛生条件などへの対応が不可欠でございますが、輸出対応型の食肉処理施設整備の支援あるいは認定の迅速化といったことにも力を入れております。
しかし、右側のピンクの点線四角囲み、こちらを御覧いただければと思います。2025年に1,600億、2030年に3,600億円と極めて高い輸出目標を掲げております。目標設定時に見込んだ中国への輸出再開がいまだ実現していないことなど、目標と実績に大きな開きがあるのが実態でございます。
13ページをお願いいたします。
価格の関係でございます。左の上の折れ線グラフ、枝肉価格の推移ですが、国産牛肉の生産量が増加する中で、物価高騰に伴う消費者の皆様の生活防衛意識の高まりなどの影響で、国産牛の枝肉価格、こちらは弱含みで推移しています。その下は和子牛の価格の推移でございますが、肉用子牛の生産頭数が増加をしております一方で、先ほど申しましたように枝肉価格の低迷、そして、肥育コストの増加によりまして、肥育農家の子牛の購買意欲が低下し、子牛価格は大きく下落をしているということでございます。
そして、右にお示しします小売価格でございますが、直近では国産の牛肉価格はおおむね横ばいとなります一方で、輸入牛肉は円安などを反映して上昇しております。しかしながら、輸入牛肉と国産牛肉の価格の開きというのはまだ大きい状況でございます。こういった状況も踏まえまして、増頭奨励ですとか和牛の受精卵移植への補助といった施策など増頭支援は一旦停止をする一方で、若い繁殖雌牛への更新を支援しまして、成長がよく肉質に優れた肉用子牛の生産を推進する、こういった方向で昨年度の補正予算などを措置しているところでございます。
14ページをお願いいたします。
こちらは消費者ニーズということでまとめております。これまでの畜産部会でも委員の皆様方からサシ偏重ではなくて値頃感のある牛肉、こういったことなど様々な御意見を頂いておりますが、左上の表のとおり値段によっては霜降り肉を購入するという方が半数以上を占めるという調査結果もございます。すなわち肉質もさることながら、やはり値頃感、価格が消費者ニーズに大きな影響を与えているということがお分かりいただけるかと思います。
その下に品目ごとの格付け分布がございますけれども、赤の和牛は4と5等級、そして、黄色の交雑は3等級、そして、青の乳用種は1等・2等級が中心となっております。国産牛肉という全体で見れば、一つの等級に偏ることなく各等級バランスよく分布しているということがお分かりいただけるかと思います。さらに、品目ごとの格付け分布と価格の関係を模式化したのが右のイメージ図でございます。サシ追求の高級路線、手頃な価格での適度なサシを追求する路線、低コストの垢身肉を追求する路線といったニーズがございまして、それらを和牛のみならず酪農家由来の交雑・乳用種も含めてある程度すみ分けをしておりまして、国産牛肉全体、更には輸入牛肉とも組み合わせて多様な消費者ニーズにお応えしているという状況であると考えております。
15ページをお願いいたします。
肉用牛の経営関係でございます。左の表になりますけれども、繁殖・肥育農家ともに戸数は減少しております一方で、1戸当たりの飼養頭数は増加しております。右の折れ線グラフは繁殖雌牛及び肥育牛の1頭当たりのコストの推移です。上の繁殖につきましては、緑色の生産費の総額、これを下の肥育については青の点線のもと畜費を除く生産費総額、こちらを御覧いただきますと、それぞれ横ばいでしたが、ここ数年は増加傾向というふうになっているのがお分かりいただけるかと思います。これらは約3割を占める飼料費の増加が一因でございます。
次のページをお願いいたします。
こちらのページも先ほどと同様ページ番号がございませんので、右肩に机上配付資料というふうにお示しをしております。先ほどと同様、更に検証・分析が必要というふうに考えておりまして、委員の皆様方の御議論用ということで整理をしております。飼養規模に着目した生産コスト、これ費用別に見てみますと、折れ線グラフでございますけれども、飼料費の高騰が見られ始めた令和2年から4年の平均を100とした指数でございます。左の繁殖経営では肥料の約4割を占める緑の労働費、オレンジの自給飼料費には規模拡大によるコスト制限が見られます一方で、100頭以上の層では粗飼料などの購入によりまして、青の流通飼料費が増加している、こういうことがお分かりいただけるかと思います。規模拡大が必ずしも飼料基盤が伴っていないことに留意は必要であるというふうに考えております。
右の肥育経営でございますけれども、緑の労働費につきましては規模拡大により大幅なコストの低減が見られます一方で、費用の約9割を占めるもと畜費、これは黄色でございますが、同じく流通飼料費、青でございますが、そのような傾向は見られないということでございます。
16ページをお願いいたします。
流通関係ですけれども、食肉処理施設は1日当たりの処理能力、そして、処理頭数は増加傾向でありますが、稼働率は横ばいです。下の参考にありますように、効率的な食肉処理の推進のため、引き続き再編・整備を推進しているところでございます。
次のページをお願いいたします。17ページでございます。
こちらから飼料の関係でございます。まず、国産の飼料の関係でございますが、左の表です。飼料自給率は全体で26%と横ばいで推移しております。右に飼料作物の単位面積当たりの栄養価の収量比較も掲載しておりますが、高栄養で濃厚飼料の低減にも寄与する青刈りとうもろこし、こちらの生産利用の拡大が私どもは重要であるというふうに考えております。このため、耕畜連携ですとかコントラクターの運営強化、水田から畑地への転換を含めました飼料生産を推進しまして、また、令和6年度中に策定することとしております地域計画におきまして、飼料生産を意識した計画の作成を促しまして、飼料の産地づくり、こういったものを推進しているところでございます。
18ページをお願いいたします。
こちらが配合飼料の関係でございます。飼料穀物のほとんどを輸入に依存している、こういう中で配分飼料価格の上昇、そして、高止まりが畜産経営に大きな影響を与えているということでございますが、この配合飼料の製造・流通コストを低減する取組、これも非常に重要であるというふうに考えております。このような観点から、配合飼料工場の再編が進められてきましたが、近年、平成30年度に107だったものが令和3年度で105と、二つの減少ということになっておりまして、それまでの減少数からするとやや少ないという状況になっております。また、配合飼料の種類も非常に多い状況ですが、生産者団体が商品の数を抑えて共同購入することによりまして、購入価格を引き下げているといった事例があるほか、飼料の輸送の面でも複数の飼料メーカーが製品の共同配送をすることによりまして効率化を図っているという事例も見られるところでございます。
19ページをお願いいたします。
配合飼料の価格安定制度についてでございます。令和2年度の第4四半期から令和5年度の第2四半期までの約3年間にわたりまして補塡が発動し、民間においては約1,200億円を超える借入れを行うなど大きな財政負担が生じております。この制度は配合飼料価格の急激な上昇が畜産経営に及ぼす影響の緩和という重要な機能を果たしてきた一方で、その持続可能性に懸念もありますため、早ければ来月にも農水省において各基金の関係者の皆様で構成する検討会を立ち上げ、より持続的な制度となるよう、制度の在り方について検討することとしたいというふうに考えております。その議論の内容は、畜産部会の委員の皆様方にも御報告してまいりたいというふうに考えております。
20ページをお願いいたします。
担い手の確保・新規就農などの経営支援の関係でございます。新規就農者の数は比較的初期投資の少ない肉用牛経営で多く、新規の雇用の就農者数は、法人化の進む養豚ですとかあるいは肉用牛経営で多くなっております。また、地域の実情ですとか社会情勢の変化に合った畜産経営を実現していくためには、個々の経営体が自らの経営判断を行っていただくということが必要であるというふうに考えておりまして、一般的に農業経営の中で畜産経営の青色申告の申請割合は高い方ではございますけれども、畜種間においてばらつきもございます。また、データ活用への支援として国としても畜産クラウドの活用推進を行っているところでございます。
21ページをお願いいたします。
労働力の関係でございます。この労働力不足に対応するため、省力化機器の導入ですとか外部支援組織あるいは外国人材の活用が進展しておりますが、右の表にございますように、1経営体当たりの年間の平均労働時間は5年前に比べていずれの畜種でも増加をしております。
22ページをお願いいたします。
次は家畜防疫についてです。家畜の伝染性の疾病につきましては、畜種別に国内における発生状況というのは異なっておりますが、牛では越境性の疾病である口蹄疫、こちらは平成22年の発生を最後に国内の清浄性は維持している一方で、韓国においては昨年5月、4年ぶりに発生が確認されております。豚につきましては、豚熱が平成30年に26年ぶりに発生して以降、89例が確認されております。鳥については高病原性の鳥インフルエンザが令和2年度以降、毎シーズン発生しております。また、アフリカ豚熱など我が国で未発生の家畜の伝染性の疾病も海外では発生をしておりまして、韓国では南部の釜山でイノシシでの発生が確認されております。引き続き水際対策に加えまして、農場における飼養衛生管理の徹底などによりまして国内の防疫体制の強化、こちらを図っていくことが重要であるというふうに考えております。
23ページをお願いいたします。
アニマルウェルフェアについてです。国際基準でありますWOAHコードに沿った国の指針を昨年7月に新たに発出しております。これまで生産者などへの周知を図ってまいりましたけれども、今後は実施状況のモニタリングを行いまして、将来的に実施が推奨される事項、こちらの達成の目標年を設定するなどアニマルウェルフェアの普及を図っていきたいというふうに考えております。
次のページをお願いいたします。24ページでございます。
家畜改良でございます。乳用牛では遺伝子情報を用いた改良手法による改良速度の向上などもありまして、1頭当たりの乳量は増加した一方、供用期間は短縮傾向にございます。肉用牛では和牛去勢の約9割が5等級・4等級となる一方で、肥育開始の月齢及び肥育終了の月齢についてはほとんど変化が見られないという状況でございます。
25ページをお願いします。
環境負荷軽減への対応でございます。政府全体の課題でもございまして、また、みどりの食料システム法の施行など農林水産省も品目問わず、環境負荷軽減の取組を強化しているところでございますが、畜産でも持続的な生産という観点から重要な課題であるというふうに考えております。
26ページをお願いいたします。
こちらは家畜排泄物の処理や利用の促進でございます。家畜排泄物の農業利用は約8割に達しますけれども、畜産が盛んな地域に偏在しているなどの理由によりまして、堆肥に過剰感のある地域が見られます。更に有効利用を進めまして、化学肥料の低減に資するため、堆肥の広域流通などの推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
最後のページをお願いいたします。
畜産業・畜産物に対する国民の皆様の理解醸成ということで1ページ設けております。畜産業は基幹産業としての地域の活性化、関連産業の雇用の創出、地域資源の活用など持続的な食料システムということで、ほかの多面的な機能も持ち重要であるということを生産者の皆様はもとより、消費者の皆様方にも御理解いただくことで引き続き我が国の畜産業が発展できるというふうに考えております。
また、生産資材の高騰などを端緒に、消費者の方々にも畜産物の価格上昇について御理解を頂きたいというふうに考えておりまして、現在、畜産物を含めまして適正な価格形成に関する協議会、これを農林水産省の方で立ち上げまして、議論がされている状況になっております。あわせて、理解醸成を進めるための情報発信にも努めているところでございます。
以上が資料4でございます。
資料5の方をお願いいたします。
本日は皆様方からいろいろ現状と課題に対する御意見等を賜りたいというふうに考えておりますが、やはり現場の方々、皆様からしっかり御意見、お話を伺うということで議論を深めることも重要でございます。資料5にありますような関係者の皆様方をお招きして、お話を伺いたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
私の方からの説明は以上でございます。
 
○小針部会長ありがとうございました。
それでは、事務局からの説明を踏まえまして意見交換に移ります。
なお、資料5にありましたヒアリング対象者の選定につきましては、お招きできる人数にも限りがありますので、最終的にどなたをお招きするかについては、部会長である私と事務局に御一任いただければと存じます。
今日の意見交換ですけれども、御発言については挙手制により行いますので、積極的な御発言をお願いします。リモートで御参加の委員の皆様には、挙手ボタンにてお知らせいただければと思います。また、発言の回数は制限しませんが、皆様から御意見を頂きたく存じますので、簡潔にお願いできればと思います。
議論に入る前に、先ほど資料4の説明がありましたけれども、非常に広範囲なものをコンパクトにまとめていただいて感謝申し上げたいんですけれども、皆様の中でここのところをもうちょっと詳しく聞きたいなど、この資料について御質問がありましたら、議論に入る前にまずそちらから伺いたいと思いますけれども、委員の皆様、御質問、御意見等ありますでしょうか。
すみません。そうしたら私から1点教えていただきたいのがありまして、5ページの生乳のチーズの関係なんですけれども、ちゃんと理解がし切れてない部分があって、まず一つは抱き合わせ分のところが少し私は理解が足りないので御説明をいただきたいのと、その結果、今どういう状況にあるのかを御説明いただいていいですか。
よろしくお願いします。
 
○須永牛乳乳製品課長
牛乳課長です。
5ページの資料ですと、右上のところでチーズ向け乳価ということで、生産量のうち4分の1ほどがソフト、3割ちょっとがハードで基本的に抱き合わせ、抱き合わせ外として約4割分がハードというような形で国産生乳が使われているというのが現状だと思っています。この抱き合わせがこれぐらいの量になっている原因は二つあって、一つは抱き合わせが関税割当てということで数量が限られている分だけが無税になると。その数量を超えるか否かということと、あとは関税割当ての外側で有税で入ってくるものがありますけれども、それと抱き合わせをしたときのバランス、どっちが有利かというのを各輸入される方々が判断した上で、それぞれ手にしているチーズ、原材料がありますので、それとのバランスを取りながら考えているというのがこの現状のバランスになっています。その上で今こういう結果になっているというのが今の現状ということです。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
平均乳価が下がっていく状況にあるというのは、制度の仕組みとしてそうなるということなのかと、ここの書きぶりの意味がどっちなのかなということです。
 
○須永牛乳乳製品課長
それは制度の仕組みとしてということです。一定の関割の量を超えて国産生乳を原材料として使おうとすると、関割外のところは関税を使わないといけない、直接輸入する商品と競合するので、どうしてもそこと競合させるためには値段を下げざるを得ないということで、一定量を超えると今の制度上、今この瞬間でも国産生乳の価格を下げないと競争力を持てないと、そういう意味です。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
それでは、二村委員、お願いいたします。
 
○二村委員
質問です。
すみません、聞き漏らしたかもしれないのですけれども、21スライド目の労働力不足のところで、1頭当たりの年間平均労働時間が酪農では減少傾向だが、それ以外のところでは増加傾向ということでした。この増加傾向の要因というのは、単純に人手不足というふうに考えてよろしいのでしょうか。省力化をずっと進めてきたはずなのにどうしてだろうと思ったので、中身を確認させていただければと思います。よろしくお願いします。
 
○小針部会長
よろしくお願いします。
 
○木下企画課長
この21ページで1頭当たりの労働時間は、搾乳牛では下がっているんですけれども、それ以外の子牛と肥育牛、肥育豚というのは上がっているということになります。生産費調査で飼育管理のうち飼料の調理や給与の時間、敷料やきゅう肥の搬出といった時間の内訳があるんですが、子牛ですと、敷料の搬入やきゅう肥の搬出、そういったもので増えていたりとか、その他という項目で、個別事情で疾病予防のための衛生管理に要する時間が増えたんじゃないかと、ちょっと推測ですけれども、されております。あとは自給の牧草に要する時間が増えたのではないかと言われています。
肥育牛ですけれども、肥育牛は飼料の調理や給与、給水、そういったものが増えておりまして、飼料費が上がっているので、配合飼料以外のものを少し調達しようとか、そういったものを混ぜようとか、そんなところで増えているのではないかということが推測されております。
肥育豚ですけれども、その他という項目なんですけれども、疾病の予防にいろいろ飼養衛生管理基準の遵守が求められておりますので、そういうところに費やす時間が増えているのではないかというふうな推察をしているところでございます。
 
○小針部会長
二村委員、よろしいでしょうか。
 
○二村委員
ありがとうございました。
短期で見るようなものではないのかもしれないですけれども、やはり要因をきちんと把握していくことが、いろいろな施策が有効に働いているかということとの関係でも重要だと思いましたので、引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 
○小針部会長
あと、もし委員の皆様、特に生産者の皆様で肌で、労働力不足と感じられているところなど御発言あったらよろしくお願いします。
小椋委員、お願いします。
 
○小椋委員
小椋です。よろしくお願いします。
今の労働力不足はどの分野、農業関係のみならず商業、建築、商店、観光を含めて、どの分野を含めても労働力不足というのはもう間違いない状況でありますし、そこに外国人技能実習等々を農業分野、漁業、商業は入れていると思うんですけれども、そのコストもままならない状況かと思います。また、そこで労働力不足の中で労働コスト削減というふうには、どの職種の皆さんも取り進めていますし、農業分野においても当然そういう努力はしているんですけれども、それ以上に労働対価が上がっているということで、先ほど資料にも出ていますように、そういう数字になっているのが現状だと私は現場サイドから見てもそういうふうに認識をしております。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
そうしましたら、里井委員、挙手されていますので、よろしくお願いいたします。
 
○里井委員
フードジャーナリスト、食団連の理事を務めています里井です。よろしくお願いします。
すみません、手が挙がっていたタイミングはちょうど部会長と同じ質問でして、資料についてという質問のときに手を挙げておりました。実は全く同じページ、チーズのページ、5ページ目のところで同じ思いで手を挙げていたという意思表示で、下げずにおりました。同じ思いを思いました。
説明を聞きまして大丈夫だったんですけれども、非常に私、飲食団体連合ですとか消費者の側から見て、生乳に関してはこのソフトチーズの需要というものが大変増えてきており、生乳に関しましてもチーズの国産力というのをどれぐらい高めていけばいいかというところがかなり大きな議論の点にもなっている背景がありましたので、この資料において何かさーっと読んだだけでは、一生懸命頑張って仕向けを増やしていけばいくほど生産者が受け取る平均乳価が下がっていくみたいな結末に聞こえてしまったので、ちょっと私もそこを把握したく手を挙げておりました。大体の状況は把握できましたので、こちらに関しては以上です。
労働力不足に関しまして話が次になりましたので、私も少し意見を申させていただきますと、同じ飲食団体の方でも常に労働力不足というのは考えられる中、同じようにやはり外国人の方々の労働力又はロボット化・AI化というものをすごく頼りにしている部分です。資料を拝見している中で、畜産の方でもロボット化をされて労働力不足というものがいろんな面で削減されていっているというのを拝見させていただくのですが、やはりどこまで行ってもきめ細やかな対応というのが重要になってくると思っていて、単純に例えば搾乳という点においては、ロボット化することで大丈夫なことがあったとしても、やはりロボット化できないところ又は外国の方も手助けになるけれども、そうではないという思いというもののずれがすごく出てくる非常に細やかな対応というのが現場はあるんじゃないかとお察しします。
ですので、最後の最後まで導入された後のヒアリングの状況ですとか、その後、労働力不足がどれほど解消されているかという企画から実行から、その後のいわゆる会社で言う報連相というもののスパン的な記録というものが今後継続になっていく、これがひいては後継者不足、いろんな面での対応になっていくのかなというきめ細やかな対応というのは今後もお願いしたいという意見です。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
事務局から補足の御発言、コメントがあればお願いしたいと思うんですが、大丈夫ですか。
ありがとうございます。
小椋委員、お願いいたします。
 
○小椋委員
小椋です。よろしくお願いします。
私から2点意見を述べさせていただきたいと思います。まずは昨今のコスト高、また、飼料高に対して先ほども説明ありましたけれども、自給飼料、自給粗飼料の拡大という説明がありましたけれども、これはもう当然の話であります。そのためには自給粗飼料、これを拡大して、生乳の原価、また、コストを下げると。また、肉牛経営もそうでしょうけれども、コストを下げるというのは当然のことですけれども、しかしながら、昨今のこのコスト高、機械は高くなっている、燃料は上がっている、人件費は上がっている、全てコストが上がっている状況下であります。機械に関しては、クラスター事業の2分の1リースというものがありますけれども、しかしながら、こちらも単純更新というものは認められておりません。こういう要件の見直しというものを検討していただかなければならないですし、また、先ほどお話ししたように機械以外のコストですね。燃料からドライバーから全てのコストが上がっている。また、輸送、粗飼料の収穫のときに輸送に関しては自前でトラックを持って搬入されている方もありますけれども、地元の建設業、ダンプに委託というのもかなり例があります。こちらもコスト高によってダンプ1台の運賃が相当上がっています。
ですから、粗飼料を収穫するにも全般的なコストが上がっておりますので、粗飼料拡大も何らかのやはり対策をしていかなければ、国・農水として対策・対応を打っていかなければ粗飼料、自給飼料の拡大を幾らうたってもなかなかそれが拡大していかない、ひいてはコスト削減にも結びついていかないのかなと思いますので、是非今後、これからはそういう協議をしていかなければならないのかなと私は認識しております。
それともう一点でありますけれども、配合飼料の価格安定制度です。こちらも通常補塡、異常補塡、また、緊急補塡等々を打っていただいておりますけれども、この緊急補塡も3期連続ということで一旦終了というふうになるのかなと思います。しかしながら、こちらも先ほどからお話ししているように、全畜種平均で一時よりは若干下がったと思いますけれども、それでもトン当たり9万5,000円程度しております。この状況が今の為替を見ますと、恐らくまだ続くのかなと思いますし、先ほども説明ありましたように安定基金も今マイナス、銀行から借入れをしている状況下でありますので、しかしながら、この安定基金制度というものは来月、関係者を集めて協議、説明会を持つというお話もありましたけれども、やはり何らかの形、どういう形でこの基金制度が持てるのかどうなのか、その負担はどうなるのかというのは当然協議にはなりますけれども、これだけ高止まりしている状況で先が見えない、為替が円高になってくれればいいですけれども、そういう状況もなかなか見込めない状況でありますので、何らかのやはり配合飼料安定基金制度、これを是非近々のうちに構築していただきたいなと、そういうふうに意見とさせていただきます。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
多岐にわたっての課題、コストの御指摘がありましたが、一度ここで飼料の部分に絞って、ほかの皆様、御意見がありましたらお願いできたらと思います。
庄司委員、お願いいたします。
 
○庄司委員
飼料工業会の庄司でございます。
飼料のことということで、まず今回、資料にもしっかり書いていただきましたし、それから、討議の場を立ち上げるということで非常に歓迎いたしますし、飼料工業会としても全面的に協力をして議論させていただきたいと思っております。
その中でやはり幾つかの論点があるんですけれども、例えば価格上昇時の激変緩和と高止まりの際の生産者支援ということの考え方、それから、基金がマイナスに陥ることによる生産者の間での不公平感、飼料価格による支援とマルキンなどの生産物での対策の在り方、中小農家の支援と食料供給バリューチェーン全体の自立的・持続的発展、こちらの視点、それから、最終的に民間と政府の負担の在り方、非常に複雑かつ多岐にわたる課題があるので、しっかりと議論をしていくことが大事かなというふうに思っております。
特に現在の基金は、先ほどの資料19ページでしょうか、その大部分が民間負担で、最終的にこれは飼料メーカーもショックアブソーバーにはなっていますけれども、これを価格に織り込んでいかなければ会社自体がつぶれてしまうという状況下の中、その仕組みに対する理解度が低い生産者、それから、その声を押す関係者がとにかく補塡ありきということで走った面もあるかと思います。その中で制度とその精神を業界全体で正しく理解した上で議論する、これが非常に必要ではないかなと思います。タイミングといたしましては、令和7年4月から基金というのは新しい4年間の事業年度に入ります。その中で生産者と基金で契約をする中で、特に異常補塡につきましては、現在600億円の借金を抱えていて、農家の方々とこの基金が次にもし発動したときにお金のありかもよく分からない中で、本当にこれをやっていいのかどうかとかなり切実な問題になっておりますので、しっかりこれから議論させていただいて、持続可能な制度、これを作って日本の畜産を支えていきたいなというふうに思っております。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
馬場委員、お願いいたします。
 
○馬場委員
ありがとうございます。
今、配合飼料価格安定制度等についての御意見がございましたけれども、いずれにしても配合飼料価格が急激に急騰して高止まりする中で、生産現場では緊急補塡や特別対策も含めて配合飼料価格安定制度による補塡金が発動することで何とかその危機を乗り越えてきたというか、これまではそういう経過であったというふうに思っております。様々な意見があるというふうに御説明がありましたけれども、生産現場からはこの制度を評価する声も多く聞いておりますし、このようなセーフティネットは必要だというふうに考えています。畜産・酪農経営にとって、その影響緩和に重要な役割を果たしているということを十分踏まえつつ、関係者の御意見を聞きながら生産現場の納得感が得られるような結論、議論を進めていただきたいというふうに思います。
私からは以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
前田委員、お願いします。
 
○前田委員私の方も資料4の19ページ、先ほどから上がっています配合飼料価格安定制度について私なりの考えを申し上げたいと思います。
今から申しますのには当然賛成で納得できる方とそうじゃない方もあると思いますけれども、私は特に養豚の代表的な立ち位置もあって、先ほどから皆さんおっしゃったとおりのところと繰り返しにならないところを話していきますと、この異常補塡基金の方、緊急補塡ですかね。第1、第2、第3まで出ましたので、2024年の第4期はもう出ないというルールづけ、立て付けになっていますので、そうしますと、今度は出ないと。今ちょっと1、2、3月というのは養豚で言えば冷え切った、価格が上がらない可能性があるので、マルキンが出るんじゃないかということが想定されています。決まったわけではありません。このときにマルキンが11年間出ていないんですね。11年間出ていなくて、今度出るかもしれないし、出ないかもしれないという状況です。
ちょっと私たちはやっぱり思うのが、飼料安定基金は大変感謝しております。一方で、マルキンの方が11年も出ていないという中で、両方に人件費あるいは煩雑な事務処理が並行して走っているということです。これはやはり国の支援なしではやれないことですから、国費から出ているというふうな理解をしております。そしてまた、間に入っていらっしゃる飼料関係の皆さんがこの人手不足の話も出ていましたけれども、人手不足の中で煩雑な事務作業をせざるを得ないという状況にあります。それがマルキンと関係ない分野の畜種もありますけれども、マルキンの中で牛とか豚はその2本走っているんじゃなかろうかと思います。
それで、私としたら、いろんな意見はあると思いますけれども、マルキンをベースにした、そして、飼料基金もこれはキャッシュアウトしちゃいけませんので、いろんな施策をしないといけないと思いますけれども、マルキンをベースにしたそういう新しい一本化した制度をすることによって、できるだけ無駄な事務費とか人件費を省きつつ、シンプルでスピード感のある制度ができないだろうかと思っております。この際、飼料基金がなくなってマルキンといいますと、タイムラグが出てきてキャッシュの方を心配される方もいらっしゃると思いますので、これは公庫さん辺りのセーフティネットだけで足るとは思いませんけれども、その上限を撤廃したり新たな仕組みを作って、トータルで畜産業界が守られていく、また、公平な制度になるようなものを考えています。これをすることによって、国産飼料の作付けも増えていく可能性があると思いますので、その辺のところで様々本当によく考えないといい制度にはならないと思いますけれども、ここに抜本的な改革が必要と。そうしないとこの制度が持続できないんじゃないかという中において、そういうことを私は考えております。よろしくお願いします。
 
○小針部会長ありがとうございます。
松田委員、お願いします。
 
○松田委員飼料に対する質問の途中で申し訳ないんですけれども、時間がないので全体に対して乳業の意見を述べさせていただけましたら有り難いと思います。資料で御説明いただいた内容に対する我々の考えも含んでいると御認識を頂きたいと思います。
まず、少子高齢化に対してしっかりと対応していかなきければいけないと考えています。人口減少は確実に起きてきますので、生産者の意欲を損なうことのないように生産抑制を回避するという観点からも、新たな需要を確保するための新商品開発あるいは輸出の拡大に取り組むことが重要であると考えております。
2点目は、食料安全保障の確立を図るための政策の必要性についてであります。世界の人口が増加し、あるいは異常気象が頻発する中、先ほど出ていました飼料価格の高騰あるいは円安の進行などによって、食料・農業・農村基本法の検証作業において食料安全保障が重要な論点となっており、そういうことを認識しなければいけない時代になってきております。このため、今後の畜産・酪農政策の検討・立案に当たっては、不測の事態はいつでも起こり得ることを前提に、具体的な政策による裏付けのある食料安全保障を確立していただくことが重要であると考えております。
3点目は、これは先ほど御質問なり御意見が出た話ですけれども、チーズの関税がゼロになることへの対応についてであります。チーズの関税率といわゆる関割制度の問題については、食料安全保障の議論とも関係をいたしますので、将来の酪農生産、そして、とりわけ北海道の酪農生産を考えると最重要課題の一つだと考えております。現行制度のまま何の対策も講じずに関割制度を廃止すると、約25万トンの生乳の行き場が失われる可能性があります。その結果、2年連続での生産抑制からようやく解放されようとしている矢先に、国の政策によりまして改めて追加の生産抑制が必要ということになりかねず、生産者の意欲を大きく損なうことが懸念されています。このため、具体的な政策による裏付けのある対応策の検討が必要であると考えております。
そして、4点目は需給調整コスト抑制のための生産者間の公平性の確保でございます。これは2018年度に改正されました畜産経営安定法、いわゆる生乳流通制度改革の下で生産者が生乳の出荷先を自由に選べるようになるとともに、それまでの生産基盤強化対策が功を奏しまして、2019年度から生乳生産が拡大基調となりました。他方、同年度末にはコロナ禍によりまして業務用を中心として乳製品需要が大きく減退したことから、需要が大幅に緩和しているところであります。こうした中で、生乳廃棄の回避や需給の均衡を図るために系統内取引を行っている生産者が乳製品の過剰在庫処理対策費を負担し、かつ生産抑制にも取り組んでいるところであり、これらの取組を国も支援していると承知をしております。
他方、系統外取引を行う生産者は対策費を負担することなく生産も逆に拡大をしているため、その生産拡大により生じる需給調整コストは、系統内取引を行う生産者が負担をさせられているということになります。これでは需給調整のための財政負担も増加することになりますので、生産者負担も含めまして、全体的な需要調整コストを抑制するためにも、生産者間の公平性が確保されるような運用の改善が必要であると考えております。
そして、最後の5点目でありますけれども、SDGs等の国際的な潮流への対応についてであります。
国際的な課題でありますSDGsについては、乳業協会としても乳業各社によるこれまでの取組実態の調査等を通じて地道に普及・定着を図っているところであります。他方、酪農分野については、昨今の生産事情あるいは経営環境が非常に厳しいものであったことから、ほとんど検討が進められていない状況にあると認識をしております。しかしながら、国による度重なる緊急支援対策や生乳取引価格の段階的引上げ等もありまして、徐々に経営状況が改善しつつあることから、今後は生産者の取組について、その方向性を明確に示し、指導・支援していく必要があると考えております。
以上、乳業の立場から5点意見を述べさせていただきましたので、よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
事務局の方から御回答をよろしくお願いいたします。
 
○廣岡飼料課長
飼料課長でございます。
まず、配合飼料価格安定制度につきまして多くの委員の方から御意見を頂きました。今般、令和3年以降の配合飼料価格の急騰に対しまして、これはちょっと繰り返しになるかもしれませんけれども、配合飼料価格安定制度により総額でこの19ページにもお示ししたとおり5,660億円という多額の補塡塡を行ったところでございます。うち国費も2,000億円を超える額ということでございますし、借入金も1,242億円の借入金をもって補塡塡を行ったということでございます。この補塡塡により委員の方からも御発言がありましたけれども、畜産経営への影響緩和や激変緩和という観点で重要な役割を果たしたというふうに考えております。
一方で、この制度は今お話ししたとおり巨額の財源負担を要する場合がある仕組みということでございまして、その持続可能性に課題があるというふうなところで意見交換というか、在り方について検討してまいりたいというふうに考えてございます。
この制度につきましては、もうこれ以上の借入れをしてまでの塡補塡はしなくてもいいのではないかという意見がある一方で、この制度による塡補塡を引き続きしっかりしてほしいという生産者の方々がいらっしゃるということも理解しておりますので、そういった声をしっかり聞きながら検討してまいりたいというふうに思ってございます。
自給飼料の方についてもお話がございました。自給飼料は、飼料高騰というのもありますけれども、特に酪農・肉用牛につきましては自給飼料をしっかりと生産していかなくてはいけないというのはもうおっしゃるとおりでございまして、私どももコントラクターの規模拡大であるとか、あるいは耕畜連携でありますとか、あるいは今回国産飼料の品質表示をして販売したときに支援を行うといったものも新たに加えたりして、しっかりと自給飼料生産、国産飼料の生産・利用の拡大に向けた対策をやっていきたいというふうに思っております。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
 
○木下企画課長
企画課長でございます。
先ほど小椋委員の方から自給飼料の拡大でコストを下げていかなければいけないというのは、そのとおりでございます。そういった中で、機械、燃料や人件費が上がっている、そういう中で畜産クラスター事業を例に挙げられまして、単純更新はなかなか認められないということもございました。国としては、補助事業は新たな取組をされる、そういうことにリスクがあるので、そういったリスクを回避するために2分の1とか3分の1、そういったところを補助するということで何とか生産者の方に前向きな新しいことをしていただきたいということで事業はさせていただいておりますので、機械が古くなったので単純更新するということについては、基本的には減価償却費などを貯めて、それを次の更新に活かしてもらうということだと思っております。
そこは畜産に限らず横並びで同じだと思いますので、できれば今後の畜産・酪農の在り方を考えるときに、どういうふうなことを支援すれば更によくなるかみたいな前向きなことで御検討を皆さんにしていただければというふうに思うところでございます。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
松田委員が3時10分で御退席ということなので、松田委員の御意見への御回答がありましたら先にお願いします。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、委員の皆様からほかに御意見、御質問等ありましたらお願いします。
彦坂委員、お願いします。
 
○彦坂委員
やはり飼料についてなんですけれども、国産飼料原料について様々な取組があって、飼料米ですとか子実とうもろこしですとか様々な例を挙げていただいているんですけれども、やはり近年、子実とうもろこしに取り組まれる方が多いんですけれども、それも含めて飼料米の取組も要は飼料米から子実とうもろこしに置き換わっていって、結局置き換わりで国産の飼料原料の種類は多くならない、増加しないというようなことがないように、子実とうもろこしは子実とうもろこしでしっかり増産していきながら、現存の飼料米についても飼料原料として検討するようなことがあれば有り難いかなというふうに思っています。
私、採卵養鶏をやっているものですから、鶏とお米はすごく親和性がいいんですよね、原料として使うときに。そういうこともあってそういうふうに思っているのと、もう一つ、庄司委員にちょっとお聞きしたいんですけれども、昨年の与党への政策要求の場に出たときに様々な団体が政策要求するんですけれども、飼料工業会さんだけが飼料米についての政策をしっかりやってくださいというふうな発表をされたんですね、飼料メーカーとして。使っている私たち、養鶏も飼料米についての政策要求をしなかったんですけれども、飼料工業会さんが飼料米についての発言をされたのがすごく印象的だったので、飼料工業会として飼料米についてどう考えられているか。それは庄司さんにいきなり振られても困っちゃうなというところはあるかもしれませんけれども、そういうところでもし飼料米についての飼料工業会としての考え方みたいなものをちょっとお話しいただけると有り難いなというふうに思っているんですが。
 
○小針部会長
庄司委員、お願いいたします。
 
○庄司委員
それでは、御質問にお答えいたします。
飼料工業会として、飼料メーカーとして大事なことは、生産者の皆様に競争力があって栄養価が同じようなものを絶えず探しておりまして、その中では飼料米というのは特にとうもろこしの急激な上昇局面においては競争力が出るということで、たまたま国が進めていた飼料米の拡大の政策とこれが非常にマッチしたというところがございます。
これを我々としてはもちろん予算の範囲内というところが飼料米の場合は性格的にあろうかと思いますけれども、目的を達成したから終わりではなくて、やはり日本の国土と気候とお米の相性は僕はいいと思っていますので、実際にアメリカでとうもろこしをやっていた経験からすると、日本の国土であったり気候であったり、サイレージ用のデントコーンは別にして、子実用とうもろこしの単収はなかなか上がらない地域も多いし、農機具も新たに導入しなければいけない。そうすると、なかなかこれは大変な道だなと思っていますので、今、彦坂委員がおっしゃったように両面で進めていただけると、飼料メーカーとしてはしっかりそれを我々のお客様、生産者の方々に供給する選択肢が広がるということが言えるかと思いますので、要望させていただきました。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
小椋委員、よろしくお願いします。
 
○小椋委員
2回目ですけれども、よろしいですか。
配合飼料価格安定制度についてですけれども、先ほど私も意見をいたしましたけれども、様々な取り進める派あるいは財源を理由に否定される意見、様々な意見があろうかと思いますけれども、やはり我々が生産した生産物が全て資材物価高騰の価格転嫁ができれば、これは何ら問題ないのかなと思うんですよ。あえて所得保障的な飼料の基金制度も必要ないのかなと思いますけれども、現実そうはなっていませんし、簡単には価格転換が全てできるかと言えばできないかと思います。
その中で、価格転嫁できない部分が飼料の安定基金制度なり国からの様々な今対策を頂いておりますけれども、そこで資材物価高騰分を吸収しているというのが現状でありますので、今後においても確かに借入れを行ってマイナス財源で進めている事業ではありますけれども、そこでどういうことができるのか、どういう仕組みができるのかというのは当然協議しなければならないと思いますけれども、やはりこの飼料の安定基金制度というのは継続していただいて、先ほどからお話ししておりますように資材・飼料高騰分をここで少しでも穴埋めしていただかないと生産現場は経営が持続できない、ひいては日本から牛乳、肉豚、肉牛、鶏卵もそうですけれども、生産ができないという状況になっていきますので、是非御理解、御説明をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
すみません、先ほど彦坂委員から養鶏の話があったので、畠中委員からも何かありましたら併せてお願いします。
 
○畠中委員
養鶏というか、先ほどからおっしゃられているような飼料価格に対する補塡塡とかそういうのは、もう本当に去年あれがなかったら今うちもあるかというぐらいのみんな生産者はあれで何とか生き延びているけれども、今後どうなるのかという環境に今みんなあると思いますので、そこについては皆さんが意見を出されているように、もっときっちりいろいろ考えていただいて今後につなげていただきたいなと思っていますが、それ以外のところで何点か今回ちょっと思いましたのは、一つは先ほど最初に出た労働力が足りない、不足という点で、しかも、それなのに1頭当たりの時間数は増えているというのはなぜかみたいな話になりましたが、今はそれがもう当たり前だと思うんですよ。酪農辺りは私が大学時代、平成元年に大学を卒業した、獣医科を卒業した時代に見た現場よりもはるかに機械化されていて、確かにIT化もされていて、この三、四十年の間に省力化できたなと思うけれども、ほかの畜産現場、ほかのところでそういうところもあると思いますが、養鶏なんかはその当時からかなり機械化・自動化も進んでいたので、その時代からほとんど変わっていないんですね、自動化は。なのに今みたいな鳥インフルエンザが発生したから石灰をまくとか、非常に高度な管理を求められるとか、物すごく今までかかっていなかった部分での時間のかかり方がすごいし、コストももちろん石灰代にしろ何にしろ、消毒代にしろ何にしろ全てコストはアップしているんですよね。
そういう疾病対策、ましてや今度は分割管理とかという案が出てきましたけれども、あれは結局今までせっかく省力したことをわざわざ反対側に進めることなので、もうどんどんやっぱりコスト削減どころか労働力はどんどん負担が増えていく状態、ましてや単純に時給もみんな物すごく上がっている。この10年間、20年間で本当に1.5倍とかというレベル以上の上がり方をしているところ、これは今後も下がりようがないわけですね。だから、コスト削減なんて現場ではもうできるわけがないと思っています。ましてや飼料とかはそのときの相場によって上がったり下がったりするかもしれないけれども、それ以外の大部分はコスト削減なんかできるわけがないという前提で、なのに生産物は値段をなかなか上げられない、相場でしか決まらないとかというような立場にいる生産者が畜産の場合は特に多いと思うんですが、そこを何とかコスト削減どころかどんどん上がっていく前提で、やっぱり全てのことを議論していただかないと政策というのは今後駄目になる、何の役にも立たなくなるんじゃないかなという危機を非常に感じています。そこはもう念頭に皆さん置いていただいて、何とかそれが実現できるような、コスト削減できなくても生き延びていけるような農業政策にしていただきたいなと思っています。
あともう一つはこちらも出ましたけれども、先ほどから出ている自給飼料の生産に関わる話ですが、みどりの食料システム戦略とかという部分、最後の方ですね。ここで今説明でもありましたけれども、人・農地プランで地域計画を作って来年まででしたか、地元で地域計画を作って、その遊休農地などをどういうふうに仕向けるかとか、そういう農地をどういうふうにしていくか地元で今検討しているという話がちらっと出たと思います。私も今農業委員をしているので、それをやっと今地元でちょっと会議が始まったところなんですが、全く地元の生産者というか土地・農地を持っている人たちは、このみどりの食料システム戦略とか人・農地プランという言葉すら知らないです。ということは、その人たちに幾ら飼料のためにいろんなことを計画してくれとか言っても、それすら知らないから、そんな議論にならないんですね、特にうちの地元なんかでは全然議論にならない。
やっぱりここをもうちょっと農林水産省なり農協かもしれないし、地元の行政かもしれないけれども、そこら辺も掘り起こせるような議論にできるようにリーダーシップを取っていただかないと、それを私たちは淡い期待を持って、この人・農地プランで自給飼料を作ってくれる農地が増えるんじゃないかとか思ったりしているけれども、実際の現場ではそんな議論に全く今現在はなっていないということをお知らせしてというか、是非ここはリーダーシップを取ってもらって、がんがんそっちの方に進んでいけるような動きにしていただきたいなと思っています。よろしくお願いします。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
馬場委員も手が挙がっていますので、御発言をお願いします。
 
○馬場委員
すみません、途中で出ないといけないので、意見を申し上げたいと思います。
まず、資料にありました能登半島地震についてでございますけれども、25日に公表された支援パッケージにおいては、畜産・酪農分野において特に道路の破損や断水等により水や飼料が供給できないという課題、その対策も含めて支援を盛り込んでいただきまして、感謝申し上げます。被災者の皆さんへの支援の内容を十分周知の上、引き続き復旧・復興に向けて被災地に寄り添った対応をお願いいたします。
次に、いろいろ各委員から御意見が出ています畜産・酪農分野における課題も山積する中で、これから中長期的な視点で議論をするということで今日課題の整理がされたところでありますけれども、食料安全保障の強化を柱とする食料・農業・農村基本法の改正が今国会で審議されます。畜産・酪農においてもこの改正基本法の下で持続可能な畜産・酪農経営の実現を通じた生産基盤の維持・拡大、食料安全保障の確立に向けて十分な議論が尽くされることを期待いたします。
目下の課題は皆さんからありましたとおり、最大の課題は飼料をはじめとする生産コストの高止まりであります。耕畜連携の強化とか自給飼料の活用とか生産性向上に向けた新技術の導入とか、事故率の低減や家畜改良などあらゆる方策によって所得を確保できる畜産・酪農経営に向けた道筋を描いていくことが必要であります。加えてコストの上昇、高止まりを踏まえた先ほどお話しした適正な価格形成の実現ということや万全な経営安定対策の確立が必要であるというふうに考えています。コスト低減策には国産飼料の生産・利用拡大に向けた取組が鍵となるというふうに考えていますが、現場実態を踏まえて課題の洗い出しが十分行われるよう、農産局なども含めて農水省全体として議論、対応いただくことが重要であるというふうに考えます。
次に、生乳や牛肉の需給の問題であります。
人口減少などによって需要減が想定されるものの、食料安定供給の観点からは前向きな議論を行っていくためにも、中長期的な需給を見通す際には需要の創設や輸出の拡大ということをどう図っていくかという観点も含めて検討を行っていただきたいと思いますが、とりわけ生乳の需給調整の在り方については、畜安法の省令改正に係る検討や系統・系統外の意見交換会など具体的な対応を進められていただいています。酪農家間の不公平感やそれに伴う地域の分断が生じているという現場の声がある中で、一定の取りまとめに向けた御検討をお願いいたします。
また、指定団体以外の生乳の取扱いも先ほどありましたが、増加しております。系統・系統外にかかわらず、全国の生産者、乳業者、国が一体となった需給調整が今後ますます重要になるというふうに認識しています。国産バターの1人当たりの消費量も堅調に伸びる中、国産脱脂粉乳が足かせにならないよう、今後も需要拡大・需要喚起や業界協調の中での取組の後押しをお願いいたします。
私からは以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
石田委員、お願いいたします。
 
○石田委員
 
神奈川で酪農をしております石田です。
今回、配付していただいた資料にはなかったんですけれども、逆になくてちょっと自分としては不安があったというところとして、2024年問題の物流費ですね。こちらが畜産経営、酪農経営に対してどのぐらい影響が出てくるのかというところが私の勉強不足もあるのかもしれないんですが、現場に全然情報として下りていないというのが現状で、4月から物流業界がそのような関係になる中で、とりわけ酪農についてはローリーがないと出荷もできないわけで、例えば購入飼料を自給飼料に切り替えるとか、そういった形でコストをいじれる問題でもなくて、自動的にやはりそこはコントロールできないところでコストが上がっていくと。ただ、それがどのぐらい経営に影響してくるのかというのが読めていない、情報が畜産農家まで来ていないので、2024年問題がどのぐらい酪農経営に影響を及ぼすかというところの分析をどのような形でされているのかとか、また、それに対する対策等々がもしあればちょっとお聞かせいただきたいなと思っております。
 
○小針部会長
牛乳乳製品課長、お願いします。
 
○須永牛乳乳製品課長
24年問題については、何かこの4月のタイミングで明確にこの世界が、例えばこの価格がこういうふうになるとかという何か明確なものがあるというよりも、残業規制の問題だとか労働基準の規制が変わるということで、むしろ各現場でそれぞれお付き合いのある物流事業者との間でそれこそ何が起きるかということをそれぞれのお付き合いの方々と探りながら、その出口を探っていくということが必要なのが今の現状だと思っています。
そのためにも、単に物流事業者との間で値上げしますから、はい、どうぞとは皆さんのところでならないと思っていますので、どういう物流体制がいいのか、どういう工夫が可能なのかというのを考えていただいているということかなと思っています。我々も昨年末に対策を決める際に、そういう意味で合理化の取組を進めていただきたいということで対策の一部にその考え方を入れたということかなというふうに思っています。
 
○小針部会長
飼料課長、お願いいたします。
 
○廣岡飼料課長
飼料課長でございます。
飼料に関しても何点か御意見、御質問がありましたので簡単にお話ししたいと思います。
まず、配合飼料価格安定制度につきましては、これはもう先ほども申し上げたとおり検討会の方で検討させていただくということなんですけれども、いま一度ちょっと簡単に御説明したいと思うのは、やっぱりこれは全畜種一律で出るということと輸入穀物の価格の変動だけで発動するかしないかが決まるということで、あくまで急騰に対する激変緩和、影響緩和というものだということをいま一度お話ししておきたいと思います。
それから、地域計画についてお話がありました。これは九州のある自治体とかはもう既に飼料作物を入れた地域計画を出している自治体もあります。すごく自治体によって取組に差があるというのは事実だと思いますけれども、私どもからもしっかり飼料作物を入れた地域計画が作られるようにしっかりと促していきたいと考えています。
それから、飼料用米についてもお話がありました。ちょっと一言だけ申し上げさせていただきますと、17ページにも面積当たりの栄養価がどれぐらい取れるかというのもお示ししていますけれども、飼料用米、それから、稲WCSにつきましては、これは米の生産調整の関係で多大な、巨額と言ってもいい財源の投下がなされているということも考慮する必要があると考えます。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
宮島委員、手を挙げていらっしゃいますので、御発言をお願いします。
 
○宮島委員
音声、大丈夫でしょうか。
 
○小針部会長
聞こえております。
 
○宮島委員
日本テレビの宮島です。よろしくお願いいたします。
現場の方々などからいろいろな御苦労のお話があったり、様々な努力のお話があって、皆さん本当に御苦労されているなということを改めて感じています。私は比較的マクロでいろんな業種を見ているので、御自身たちで持続可能性を考えていらっしゃることがすばらしいなと思います。特に財政との関係で見ると、短期的な補助金や短期的な支援というのはもちろんみんな賛成だし、本当に頑張っていただきたいと思うんですけれども、この先、長期に続く事象に関しては中長期的な対応策を考えていくということが一番大事ではないかと思います。つまり短期的な正に激変に関して、これはガソリンとかもそうですけれども、お金を投入していても起こった変化が持続的になってしまったら、そこからは物すごい国費が投入され、それに関してはそれぞれの施策と国民の納得感をはかりにかけるしかない状況だと思います。
そういった中では、支援策ももちろん皆さん業界の方々の納得感は重要なんですけれども、そのコストを負担する様々な人や生産物を頂く方々も含めて、全体の中での納得感というのがすごく大事だと思います。今回は配合飼料に対する補助というのは全体から見ると相当力を入れたなと思います。だから、これをそのまま維持できるかというとそういうことはなくて、かつ全体で見ると、日本の国力がどんどん落ちている中から見ると、一時的な円高はあるかもしれないけれども、日本の通貨がすごく強くなるみたいなことは、為替は分かりませんが、それを前提にしてはいけないのではないかと思います。
この状況の中で、しかも、労働力もどんどん減っていく中でどういうふうにするかということを考えなければいけないので、何よりも今度できる検討会には中長期的な綿密なデータ、先ほど流通のお話もありましたけれども、運送とかそういったことも含めた全体的な予測データをできるだけ出して、その状況に対してどういうふうにやったら持続可能性が高いかということをすごく考える必要があるかなと思います。
例えばお肉に関しても、じゃあ今後皆さんの好みはどうなるのか。確かに輸出に対しては、例えばA4、A5の脂肪分の多いお肉というのは人気があるんですけれども、日本の国内の人たちが今経済力とか自分の健康とかというのを考えたときに、みんなが欲しがるのはどういうものになっていくとか、そういう今後の見通しも含めたところで需要に応じたものを生産していかない限り、世の中の一般の人の支援に対する同意というのは得られないのではないかと思うので、そうした複数の条件を丁寧に一つ一つ見て、検討会で検討していただければいいと思います。よろしくお願いします。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
小山委員、お願いします。
 
○小山委員
宮城県で繁殖牛を飼っております小山と申します。
先ほどから餌の関係とか肉の関係で様々な助成金制度をしていただいて、そのことが今の私たちにとっては支えになっております。でも、いつまでもこんなのでは駄目だという現実を見ていかなくちゃいけないというのはよく分かることでして、例えば先ほど肉の話が出たんですけれども、サシが少ないと和牛の肉はまずいのかしら、ブランドの産地はサシが少なくともほかの産地とは違って値段が高いというところもあります。
私たちの牛は肉の格付け、霜降りで値段が違いますが、おいしさがどのぐらい違うのか、オレイン酸含量でどのぐらいのおいしさが違うのかと言われると、ちょっと私たちには分からないところ。余りにもA5にこだわり過ぎて種牛、種雄牛に人気が集中して受精卵につながっている現状で、そういうところもあるので、行く行くはもっと肉のおいしさというか、その辺を加味していただきたいというのと、あと、先ほどから出ていました地域計画という中で、私たちのところもこれから始まりつつあるんですけれども、うまく飼料生産できるように自分たち、私も農業委員なんですけれども、そういう畜産の牛たちとかの餌を作れるような環境、中山間地でして条件的にも多分適しているんだろうなと思いますので、やっぱり和牛は地元から、日本の土地から作ったもので育てていきたいというところがありますので、そういうふうに持っていきたいと思います。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
それでは、続いて羽田委員、お願いいたします。
 
○羽田委員
ありがとうございます。
やっぱり今皆さんの話を伺っていて、喫緊の課題は飼料なんだろうなと思っております。その飼料に関しましては短期かもしれませんけれども、いろいろと支援策を考えてくださっているのだなと思っております。私が意見というよりもちょっと皆様にお伺い、現場の方にお伺いしたいことがありまして、飼料にしても光熱費全て上がっている中で、価格転嫁が難しいとちらほらと御意見を伺ったんですけれども、どうしてそこで価格転嫁が難しいのかということを伺いたいと思います。
というのは、それは逆に考えると、どうすれば価格転嫁ができるのかというのを考えた方がいいのかなと思うので、そこでどうしてできないのかというのを伺いたいと思っておりますが、教えていただけますでしょうか。
 
○小針部会長
是非生産者サイドの方で御発言を頂ければと思いますが、まず小椋委員、お願いいたします。
 
○小椋委員
価格転嫁は全てのコストを価格に乗っけていただければ、先ほどもお話ししましたけれども、我々生産者サイドとしては経費、原価が上がった分、売価になるわけですから、先ほどからお話がいろいろ出ています配合飼料の基金ですとか国からの支援ですとか、あるいは様々な支援というのは必要ないかと思いますけれども、価格転嫁をすれば売価、店頭価格に跳ね返ってくるわけですから、そこで消費者の皆さんが受け入れてくれれば何ら問題ないと思います。ただ、消費者の皆さんはやはり安いもの、安心・安全な食べ物、食料、なおかつ価格の安いものを追求するというのは当然でしょうから、この価格転嫁をすれば消費者の皆さんが買っていただければ何ら問題ないかと思います。理解をされて国産の食料、農畜産物が安心・安全だと。幾ら高くても国産のものを私たちは買うよということで買っていただければ価格転嫁ができるかと思いますけれども、先ほどもお話ししているように、そこを受け入れてもらえるかもらえないか、そこが一番の問題点だと思います。
しかしながら、流通の分は現実、価格転嫁されております。包装資材あるいは製造コストに係るコスト高、それは売価に反映されております。しかしながら、何回も言いますけれども、我々が生産をした農畜産物、これがなかなか価格転嫁になっていない。その部分が価格転嫁になれば更に店頭の価格が高くなりますので、そこを消費者の皆さんが受け入れてもらえるかどうか、買っていただけるかどうか、そこが一番問題なところだと思います。
 
○小針部会長
お願いいたします。
 
○彦坂委員
畜産物でよく言われるのは、卵は輸入が少ないから国内の需給の分だけという話をされるんですけれども、その反面、やっぱりお肉の場合には輸入されてくる外国からの輸入品との価格の競合が多分あるのかなと思います。
あと、自分のところの鶏卵を見た場合、様々な販売の仕方はあるんですね。うちを例に挙げると、相場でお取引しているテーブルエッグはうちの中の全体の恐らく50%ないと思うんですね。四十数%、残りはお取引先と価格を基本的に決めて、固定の価格でお取引をしている形なんです。卵についても販売の形態が昔みたいに全量が相場で売られているんじゃなくて、取引先と固定の契約、うちはこれぐらいの価格で売りたい、生産コストも含めてこれぐらいで売りたい。それを認める、認めないということで価格が決まっている部分があるので、農産物の中では割と特異的な位置にあるのかなと思っています。
今の相場がぐっと下がっていますけれども、今下がっているものよりもかなり高い値段でお取引先に販売しているものもあるんです。でも、逆に相場で売っていないものに関しては、例えば昨年に相場が高騰したときに、みんなが相場で売っていたら多分店頭売価は400円ぐらいになっていたと。だけれども、それが300円を余り上回らない価格でいっていたのは、相場で売っているものもあったし、あとは固定の価格で売っているものが値上がりしたのは、相場が上がっているから値上げをしたんじゃなくて、飼料コストが上がっている分だけ上がってください。物流費が上がっています、資材が上がっていますということで価格を上げさせていただいている分があるので、そういう面では、そういう取引形態がないとなかなかコストの話はしづらいかなというふうに思います。
ただ、これだけコストが上がってくると、相場で売っていたものに関しても相場のベースでこういうふうにお取引していましたけれども、餌の価格が高くなって、国のいろんな制度もありまして、飼料安定基金の納付がある分はそれを当然お取引先も差し引いて実質コストはこれぐらいだよねという話になるんですが、それがなかったときには、じゃあやっぱりこうなりますと。あと、石田さんがお話ししたように物流費が上がった分はネットで上がる分ですから、物流費が上がった分は相場の条件になっているけれども、物流費分は検討してもらえませんかという話を多分していかないと生きていけない時代が来るのかなというふうに思っています。
そういう面では、まず認めてもらえるかどうかは別にして、しっかり交渉してみると。今うちの実情はこうなので、相場で取引しているんだけれども、ベースのコストはこうだよと。これだけコストが上がっているんですということを商談の場でとりあえずお話しするようなことは少しずつ増えていく必要があるのかなと。それは採卵だけでなくて、例えば野菜を作られている方たちも市場でもう、需給だけで値段はぼんと決まっちゃいますので、様々なコストアップを反映する場所がないんだよねという話をよくお聞きするんですよ。そういうのも含めて需給で価格が決まることは大事ですけれども、その下支えするようなコストの分を反映するという仕組みは必要かなというふうに思っています。
あと、物流費に関してなんですけれども、石田さん、私の周りで聞いているだけの感じなんですけれども、幾らかということは言えないけれども、前までは例えばトン3,000円値上げしたいですよといったときに、いや、それは何とか頑張って、うちも苦しいから2,000円にしてくれ、1,500円にしてくれと交渉したんですけれども、今それをすると、じゃあ運びませんとか車を減らしますとか、会社を辞めますという段階になってきているんですよ、物流のところは。極端な例ですけれども、昔はそんなことは本当になかったです。取りあえず売上金を確保しなきゃいけないし、減車をしなきゃいけないために仕事を取っていましたけれども、今はやっぱり物流のところは本当に伸び切ったゴムみたいになっているので、それだと会社を辞めるという判断をする運送屋さんがぽつぽつ話を聞きますので、多分交渉した部分は変な言い方をすると丸飲みせざるを得ないかなというふうに僕自身は覚悟しているところなんですけれども、ちょっと余り関係ない話でしたけれども、そんな感触でしたので、以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
石田委員はジェラートを売られているじゃないですか。多分ジェラートを作るところもコストは結構様々なものがアップされていると思うんですけれども、今の状況でその辺り、価格設定などどういうふうにしようとか考えられていることはありますか。
 
○石田委員
ありがとうございます。
ちょうど適正価格というところの御質問に対して私も御意見を言おうと思ったんですけれども、正にそこで、やっぱり6次産業化は個々で、1件、2件とかでやっているような、やっているようなというか、販売戦略を立てるという面では、そこはそんなに難しいことではないというか、私のところでも加工販売のところは売上げ規模でいうと3,000万円ぐらいですけれども、生乳生産量のうちの3%ぐらいです、生乳を自分のところで使う分としては。そちらの方に関しては、実際10年前に私が立ち上げたときよりも1個当たりの商品の価格はほぼ2倍にしております。この2年でそのぐらいまでゴンゴンと上げたんですね。お客さんの総数は変わらずに単価を上げたので、実際この2年でかなり経営としては改善が図られました。
それはなぜかというと、簡単に言うとやっぱりブランディングで、お客様を変えたということができるからそれができたんですよね。だから、今までよりもアッパーの所得の方々をターゲットにSNSで誰に届かせるかだったりですとか、広告でしたり店内の見え方、接客サービスの仕方というところを変えるということでお客様を変えた。結果的に単価を上げる、価格を適正にできたというところがあります。だから、それは自分のところでコントロールできる範囲であればの話なので、アイスクリームにかかわらずお肉ですとか卵ですとかを個々で販売されている場合であればそれが可能ですけれども、やはり国産の自給率を高めながらということであれば、その国産を買えない人は輸入を買ってねというわけには当然いきませんので、やっぱり畜産物全体の適正価格化を図るためには、自分はやっぱり結論を言うと賃金増、一般の消費者の方々の所得をアップさせるようなところが最終的に畜産物も適正価格で買っていただけるという形になると思うので、やはり農業政策と経済政策というのがもう本当に連結して考えていかないと、農家だけのプロダクトアウトの考え方でコストが上がったから上げますよという話ではなかなか現実的にはならないので、やはりそこはしっかりと生産者としても気を付けて考えていかないといけないかなと個人的には思っております。
 
○小針部会長
石田委員、ありがとうございます。
二村委員から手が挙がっていますので、御意見をお願いいたします。
 
○二村委員
ありがとうございます。
私も今価格転嫁のやり取りのところで非常に考えるところがありました。今ほどお話しがありましたように、単純に価格を転嫁すればいいのかというと、結局それを買う人がいなくなるという結論になってしまってはしようがないので、価格を適正に上げて、でも、それがちゃんと需要に結びつくような、そういう工夫が多分必要だと思っています。こういう議論でよく伺うのは、コストが上がっているからコストを転嫁するという非常に単線的な議論のイメージがありますが、多分そうではなくて、どういうものが求められているのか、それは品質だったり量だったり売るタイミングだったりいろいろなものがあると思うんですね。そういったものをきめ細かく調整していくことで、需要はちゃんと確保しながら価格を上げていけるような、何かそういう工夫をしないと、単純にコストがこれだけ上がったからこうですということだと、全体で言うとあまりよくない結果になってしまうのではないかと思いました。何らかきめ細かな対応ができるような構造に持っていく必要があるのではないかと思いましたというのが一つです。
それから別の件で、飼料の国産化のところは、自給率を上げていくことを考えたときに非常に重要な課題だと思ういます。いろいろ施策はされているようですけれども、この資料を見ましても、国産化率が横ばいということです。ここはやはりどういう施策をして、そのときどこに公的なお金を使うといいのか、どの部分は市場の原理みたいなものに任せた方がドライブがかかるのか、など、目標としてこれぐらいの飼料自給率にするためには、どういうことが必要なのかというのを考えるべきではないかと思っております。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
すみません、駒井委員、まだ御発言がされていないので、お願いいたします。
 
○駒井委員
よろしくお願いします。
皆さん大変コストの問題、我々市場関係者も生産者の方々の御意見を聞いていますと、やはり飼料高、コスト高、そういったことで非常に御苦労なさっておられます。また、我々市場の関係者もやっぱりコストのかかることはHACCPに絡む衛生面から、また、いろんな検査の資料とかそういったものも全てコストは上がっているんですが、何とかコストを抑えつつ会社のみんなで頭を痛めております。
牛肉の生産、需給や輸出については、牛肉の輸出については輸出対象国の数量も増加していますし、アメリカ、EUを対象とする処理施設に課せられるハードルが高いですよね。現場では依然として資金面、技術面、両面での課題が重くのしかかっています。なおかつとりわけ一番大きな問題はスポット、いわゆる血斑ですね。お肉に血の斑点ができる、このスポットの補助金、生産者に補助金を出しているわけなんですが、ここらはもう不可避の大きな問題点になっております。また、これは是非政策として時宜を得た息の長い支援が必要であると思っております。
また、牛肉の生産、需給関係については2020年以降、牛肉の需給構造へのインパクトとして新型コロナの発生、紛争や円安による物価高騰がありました。これら予想外のインパクトにより牛肉消費は一旦家庭内の消費の方にシフトしましたが、時間を経て元に戻ってきたように思います。一方、豚肉・鶏肉の家庭消費の増加は維持されているようです。これらの動向を一時的なものと見るか、ある程度定着するか見極めることも重要だと思っております。
次に、消費者ニーズに対して黒毛和牛、交雑種、乳用種の全体で多様な消費者ニーズに対応している状況と分析されておりますが、和牛去勢の卸売価格は14ページにあるとおり平成28年以降停滞傾向にあります。また、日本食肉格付協会の報告では、令和4年度和牛去勢のA5規格の比率が60%に達しております。それも今まで生産者の方々の卓越した肥育技術、また、飼料関係者の方々の長年にわたる飼料の改良といった結果ではあると思います。また、長期肥育、特定の種への利用集中など搬送問題と対応している価格など将来にわたる課題も伴っております。研究者、改良現場で脂肪交雑、偏重是正の努力があることは承知しておりますが、その努力の一方で食肉卸売市場ではA5の牛肉がA4、A3よりも高く取引されているのも事実です。生産サイドだけではなく、流通サイドも巻き込んだ対策が必要と考えております。
また、牛肉の流通関係といたしましては、食肉処理施設の再編整備に触れられておりますが、食肉卸売市場も産地食肉センター同様に老朽化や手狭な敷地により処理の高度化が困難な状況にあることには変わりませんので、公的な支援が必要と考えます。また、食肉処理施設である我々弊社でありますが、食肉処理に関わる人手不足、内臓処理に関わる人手不足、こういったことも含めまして、弊社でもエジプト人が1名、ペルー人が1名、前にはカット加工要員でベトナムの人も雇用しておりました。そういった状況を踏まえながらの中央市場の運営というのは非常に厳しい状況があるというので、今後とも支援をお願いいたしまして、私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。
 
○小針部会長
駒井委員、ありがとうございました。
前田委員、お願いします。
 
○前田委員
自給飼料について、輸入が滞った場合、牛の方は粗飼料を食べさせられますが、豚とか鶏、とかはちょっとそれがないので、濃厚飼料にしか頼るものがないと。おかげさまで飼料用米は使わせていただいて、技術的には鳥も豚も50%までは使えるというふうに考えております。だけれども、それが100%に持っていけない以上、子実とうもろこしの量を増やしていけないと餌として完成しないのかな。重ねて言えば、菜種であるとか大豆かす、そういうものも増やしていかないと本当の国産、自前の飼料にはならないと。そういうことができれば、差別化していける国産飼料を食べた肉を販売していければいいなと思っていますけれども、まだまだ道ははるか遠いかなと思っております。
それで、先ほど彦坂委員のお話にあったように水田活用補助金を飼料用米と子実とうもろこしで取り合っているというような側面もちょっとあるのかなと思います。それが補助金によったりいろんな活動によって田んぼの補助金が、今私たちも田んぼと畑で子実コーンをしていますけれども、田んぼは黒字になり得ます。しかし、畑は子実コーンをしたときに10件ぐらいずっと九州全域でやってもらっていますけれども、黒字がほとんど無理です。ということは、1年目はちょっと興味本位で作られても、2年目、3年目にされるかというのが。もしされるとしたら田んぼの方たちだけです。そういう現状が今見えてきております。
つきましては、国内に田んぼは55%、畑が45%というシェアの中で、畑に補助金を出すのは難しいというのはいつもお聞きしていますので、だとすれば飼料作物を作る上で種とか、あるいは防除に対する支援が1年限りではなく、拡大分だけではなく、やっぱりそれに対して補助をしていただくと、それが延々に出るのか、3年なのか5年なのか。3年はかかるんですね、どうしても軌道に乗るのに。やってみようという気持ちは3年、5年ないと皆さん取り組めないような状況もあると思いますけれども、何か畑ですね、耕作放棄地にもなり得る畑を活用して飼料穀物を作れないかということで、従前のいろんなルールはあると思いますけれども、一歩ちょっと踏み出した中で考えていただいたら、何か支援いただけたら飼料穀物も増えていくのではないかなと思っております。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
今までのところで事務局からコメント、御回答ありますか。よろしいですか。
そうしましたら、委員の皆様からほかに御発言ありましたら。よろしいでしょうか。
それでは、すみません、時間が実は4時までというのに4時2分で超過しておりますので、どうもありがとうございました。
本日の畜産部会はここまでとさせていただければと思います。
最後に事務局から御連絡をお願いいたします。
 
○新井畜産総合推進室長
長い時間、御議論いただきまして、ありがとうございました。
今後の畜産部会でございますが、おおむねですけれども、1か月に一度程度の頻度で開催していければと考えております。説明いたしましたとおり、生産者等へのヒアリングを今後生産者ですとか関係の方からしていきたいと考えておりますので、次は、もう1月末ですので3月に入るかと思いますけれども、ヒアリングを行っていきたいと思っております。日程についてはまた別途調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
それでは、これをもちまして畜産部会を閉会させていただきます。ありがとうございました。
午後4時03分閉会

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