食料・農業・農村政策審議会 食料産業部会(令和元年10月31日)議事録
日時及び場所
令和元年10月31日(木曜日)10時00分~12時00分
農林水産省 第2特別会議室
議事次第
- 開会
- 挨拶
- 部会長の互選について
- 報告事項
・食品産業をめぐる諸課題について - その他
- 閉会
議事録
10時00分 開会
- 神田企画課長
ただいまより食料・農業・農村政策審議会食料産業部会を開会させていただきます。
私、食料産業部会の事務局を務めます、食料産業局企画課長の神田と申します。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、部会の開会に当たりまして、塩川食料産業局長から御挨拶させていただきます。 - 塩川局長
食料産業局長の塩川でございます。
本日は、御多用の中、御参集いただきまして、心から御礼を申し上げます。
今年の台風は、15号、19号、それから21号の大雨と、かなり広範囲にわたって被災を受けておりまして、農業者だけではなく、企業や卸売市場など、我々の関係するところも被害があったと聞いております。今回の災害で亡くなられた方、また被災を受けられた方に対して心からお見舞いを申し上げます。
また、食料産業界の皆様には、緊急の食料支援として、これまで110万点あまりの食料を供給していただきましたことに、心から御礼を申し上げます。
本日は、食料産業部会委員の方が何名か交代されたということで、部会長の互選を行わせていただきたいと思っております。また、この中の何名かの委員も所属されていますが、食料・農業・農村政策審議会の企画部会の中で、5年に1回の食料・農業・農村基本計画の議論がこの秋から始まっております。基本計画の中で食品産業、流通、あるいは消費者問題も含めてしっかり決めなくてはいけません。本日の食料産業部会は、その企画部会の議論にも、こちらの部会としての意見をしっかりと反映できればという思いで、開催させていただきました。
忌憚のない御意見、活発な御議論をいただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。 - 神田企画課長
続きまして、本日は委員の改選後最初の部会でございますので、委員の皆様、座席の順に従いまして、五十音順で御紹介させていただきます。
まず、京都青果合同株式会社社長の内田委員でございます。 - 内田委員
内田でございます。よろしくお願いします。 - 神田企画課長
東京大学公共政策大学院経済学研究科教授の大橋委員でございます。 - 大橋委員
大橋でございます。どうぞよろしくお願いします。 - 神田企画課長
株式会社エムスクエア・ラボ代表の加藤委員でございます。 - 加藤委員
加藤です。よろしくお願いします。 - 神田企画課長
一般社団法人消費科学センター消費生活アドバイザーの工藤委員でございます。 - 工藤委員
工藤でございます。よろしくお願いします。 - 神田企画課長
株式会社クリタエイムデリカ社長の栗田委員でございます。 - 栗田委員
栗田です。よろしくお願いいたします。 - 神田企画課長
公益社団法人日本農業法人協会副会長の近藤委員でございます。 - 近藤委員
近藤でございます。よろしくお願いいたします。 - 神田企画課長
東京農業大学学長の髙野委員でございます。 - 髙野委員
髙野でございます。よろしくお願いいたします。 - 神田企画課長
キユーピー株式会社社長の長南委員でございます。 - 長南委員
長南でございます。よろしくお願いします。 - 神田企画課長
九州農産物通商株式会社執行役員の波多江委員でございます。 - 波多江委員
波多江でございます。よろしくお願いいたします。 - 神田企画課長
キッコーマン株式会社社長の堀切委員でございます。 - 堀切委員
堀切でございます。よろしくお願いします。 - 神田企画課長
株式会社ラルズ常務取締役の松尾委員でございます。 - 松尾委員
松尾です。よろしくお願いします。 - 神田企画課長
日本テレビ放送網株式会社解説委員の宮島委員でございます。 - 宮島委員
宮島です。よろしくお願いいたします。 - 神田企画課長
三菱食品株式会社社長の森山委員でございます。 - 森山委員
森山です。よろしくお願いします。 - 神田企画課長
なお、本日の部会につきましては、赤塚委員、網野委員、江口委員、難波委員の4名の委員におかれましては御欠席でございます。
本日の部会につきましては、17名の委員中、13名の御出席をいただいておりますので、全体の3分の1以上となり、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項及び第3項の規定により、会議が成立しておりますことを御報告させていただきます。
農林水産省側の出席者につきましては、お手元の座席表で御紹介に代えさせていただきます。
それでは議事に入らせていただきますけれども、本日の議事に従いまして、まず部会長の選出の議事に入らせていただきたいと思います。
部会長につきましては、食料・農業・農村政策審議会令の規定によりまして、委員の互選により選出することとされております。
つきましては、部会長の候補につきまして、どなたか御意見がありましたら御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
近藤委員、お願いいたします。 - 近藤委員
近藤でございます。
委員の互選ということでございますので、食料分野に関しては、それぞれ皆さん幅広い所見をお持ちの方がいらっしゃいますが、食料産業分野で非常に広い御見識と御活躍をされている堀切委員を部会長として推薦をさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。 - 神田企画課長
ただいま、近藤委員より、堀切委員を推薦する御意見がございましたけれども、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
- 神田企画課長
御異論がないようでございますので、堀切委員に部会長をお願いしたいと存じますけれども、よろしゅうございますか。
それでは、堀切委員におかれましては、部会長席のほうにお移りいただきたいと思います。
ここで堀切部会長から御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いいたします。 - 堀切部会長
皆さん、改めましておはようございます。
ただいま選任いただきました堀切でございます。大変僣越でございますけれども、部会長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
皆様御承知のとおり、食は、我々人が生きていくために欠かせないものであります。これは時代がどのように変わろうとも変わるものではありません。
一方で、人口減少ですとか高齢化、あるいは情報通信技術の進展など、我々を取り巻く環境が大きく変わっておりまして、食をめぐる産業や制度についても、他の産業と変わることなく、現状や将来を見据えて適切に変化を遂げていくことが必要と言われております。
本部会においては、食に関する非常に多岐にわたる審議事項がございます。委員の皆様とともに、また委員の皆様のお力をお借りいたしまして、適切に審議を進めてまいりたいと思いますので、どうぞ皆様の御助力をよろしくお願いいたします。 - 神田企画課長
ありがとうございました。
それでは、以後の司会進行につきましては堀切部会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。 - 堀切部会長
それでは、これより私が議事を進行させていただきます。
まず、食品産業をめぐる諸課題についてですが、事務局で本日皆様に御議論いただく論点を3点設定しております。事務局から御説明いただき、その後、論点を1つずつ区切って皆様より御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日の部会は12時までに議事を終了する予定となっておりますので、円滑な進行に御協力をいただきますようお願い申し上げます。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。 - 塩川局長
それでは、私から資料を簡潔に御説明申し上げます。
論点については最後に御説明申し上げます。
参考資料1は、企画部会で、特に食料産業分野に関係して、現行の基本計画と、それに今まで行われてきた取組、それから、今後の主な施策の方向が書かれてございますが、議論の中で御参照していただければと思います。
参考資料2は、後で申し上げる論点の3点にかかわる部分について、今日の御議論の素材としてまとめた資料です。まず、1ページ目です。これは言わずもがなでありますが、人材不足。これは食料産業分野だけではなく、日本全体で起こっていることです。グラフの左の人口推移、この中で特に15~64、ちょうどオレンジのところが、上の四角囲みにあるように、2013年に7,901万人ということで8,000万人を下回りました。直近、2017年で7,595万人まで下がっており、2040年には6,000万人を割り込むということが見込まれております。
それから、2つ目でございますが、右のグラフの欠員率を見ますと、飲食店・宿泊業は5.5%です。それから、食料品・飲料・たばこは3.2%です。調査産業計は2.7%で、これが平均ですので、これと比べると飲食業、食料産業関係が高いということがわかると思います。
2ページ目です。そうした中で、最近、外国人労働者への依存が高まっているわけです。下のグラフでは、全産業で146万人の外国人の方に働いていただいていますが、その3割が製造業分野ということです。その製造業分野の中で、左の円グラフが食品製造業分野で、11.9万人いるということですが、それぞれどういう身分で働いているかというのがわかると思います。
もう一つ、上の横の棒グラフの4番目に宿泊業、飲食サービス業が18.1万人とあります。このうち外食産業が、この右下の円グラフで、16.7万人となっていますが、資格別に見ますと、留学生等がかなりの部分を占めているのがわかると思います。
それから、全産業に占める食品産業の外国人就業者の割合が約19%である一方、全就業者に占める食品産業の就業者は7%です。つまり、7%と19%を比べると、食品産業がかなりの部分を外国人就業者に依存していることが分かると思います。
3ページですが、そのような中で、有識者の方に集まって議論していただき、食品製造業における労働力不足克服ビジョンを取りまとめて公表しています。
4つの障壁・課題とありますが、少子高齢化、労働力供給減少ということに加えて、特に食品製造業分野は2番目が問題かと思っています。食品産業が扱っている食品は、不定形、柔らかいなど、ロボットがなかなか扱いづらいものになります。また、衛生が大事で、カビやサビ等が付いてはいけないということもあります。例えば油が落下してしまうと食品に影響があるということで、ロボット化や自動化がしにくい分野だと思っています。
それから、3番目、これは食品製造業に限ったことではありませんが、全ての技術を自分のところで抱え込んでいる。これは他社との競合、競争の中で仕方ないことではありますが、食品分野であれば、例えば安全性のような部分はどこでも共通するので、自前で開発するのではなく、共通で取り組んでいくことによって、なるべく人手をかけないということが可能ではないかということです。
それから4番目、世代間の葛藤・摩擦ということで、私も含めて、団塊世代からその後は、ややもすれば精神的にもかなり強くて、体力にも自信がある。若い人の言うことは聞かない。一方で、若い方はそこまでではなく、仕事は転々とするし、入社したらその会社にずっといるというわけではないしという、働き方や人生設計も違うということで、こういうところで摩擦が生じているということだと思っています。
そのような中で、ビジョンの3つの方策ということで、従業員のやる気を育てる、IT・機械設備の導入の生産性向上、多様な人材の活用とあります。1番の真ん中の四角のところの2つ目ですが、これは、例えばグーグルに色々なチームがある中で、生産性の高いチームに共通しているところは何かというと、心理的安全性ということだそうです。無知だと思われても、それでけなされない。逆に言えば、色々なことが自由闊達に意見交換できるということが、人材の成長にもつながっているということです。
2番目のところは、先ほど申し上げた自前主義から共通でできることがないかということで、農林水産省でもそのような取組に対して支援しています。
多様な人材の活用というのは、女性・高齢者・外国人を活用するということで、技能実習制度や特定技能制度などが始まっています。
それから、製造業だけではなくて、外食・中食産業でも生産性向上が大事です。なかなか良い施策があるわけではないのですが、取組が進んでいる企業を広く他の方にも知っていただくということを色々な省庁の事業を使いながらやっているので、御参考にしていただければと思います。
2つ目、流通の合理化です。昨今、トラックドライバー不足ということで、運賃も上がっておりまして、また、荷物がすぐに届かないという状況になってきています。特に食品につきましては、小ロットかつ多頻度で運ぶ必要があるということで、だんだん流通業界から扱いたくないという形になりつつあるという状況です。また、流通が合理化されていないことによって食品ロスが生じているのではないかという指摘もあります。このため、10月から検討会を始めて、ここを合理化できないかということを考えているところです。
今考えていることを次のページにまとめています。産地側では、まずストックポイントを設けていただいて、そこで一時的にストックをして、さらにそこから共同配送して、ちょうど産地と幹線輸送の間のところのストックポイントまで持ってくる。そこから、食品流通はほとんどがトラックで運ばれていますから、トラックで運ぶのですが、それを消費地まで一度に運ぶのではなく、例えば中間地点で引き渡すことによって、ドライバーが今まで2泊3日で行っているところを1泊2日で帰れるようにするということ。あるいは、トラックで全部運ぶのではなく、途中でフェリーや鉄道、バスで運ぶというモーダルシフトを進めていく。消費地サイドでは、今まで各スーパーに個別に運んでいたのを、スーパーからスーパーへ順繰りに荷おろしをしていく。あるいは、レストランを一つの集積ポイントにして、そこから運んでいく。さらに再配送もなくしていく。そういうことに取り組むことが大事だと思っています。
それに当たって必要なのが、一つは8ページのパレット化だと思っています。食品流通分野は、パレット化を進めておられますが、他の分野に比べて遅れています。また、パレットのサイズも分野によって異なっておりまして、パレットの共通化をしていないことで、輸送が合理化されていない部分もあります。
それから、トラックの予約受付システムがあります。例えば卸売市場にトラックが着いても、なかなか入れずに、トラックドライバーが数時間待たなければいけないということがあるので、このようなこともなくしていく。どの荷物がいつ出ていくということがわかれば、トラックドライバーはその時間を目がけて通っていけるので、こういうことも実証的に始めているところでます。
それから、9ページは、それをもう少し進めてパレットの管理をしていこうと。パレットは、色々なところで置き去りにされていて、パレットを買っている生産地、生産者側でその負担が大きいということで、RFIDというチップで、どこにそのパレットがあるかをわかるようにする。これもパレット単位でいいのか、もう少し進めて段ボール単位、あるいはコンテナ単位にすることによって、下の商品管理のプラットフォームにつなげていけないか。どの商品がどこまで来ているということが分かることによって、例えば消費地側でこれだけ売れているから、生産地側でさらに生産を増やさなくてはいけない。あるいは、何か事故が起こったときに、このロットを止めれば良いという、トレーサビリティーにも資するのではないかと思っており、図の右のように、さらに決済プラットフォームまでつなげていけば、かなり合理化が進むのではないかと思っています。
最後の課題は食品ロスです。10月は政府挙げての食品ロス削減月間になっておりまして、食品廃棄物の発生量自体は、上の四角にありますように1,970万トンということで、食品の廃棄物ですから、食品製造業からかなり出ているのですが、問題は、そのうちの食べられる部分ということです。家庭から出るものも含めて、今、643万トンの食品ロスが発生していると言われていますが、そのうちの半分強が、食品製造業、外食業から出ています。
それで、これをどう使っているかというと、肥料、飼料に使っているのが8割ですが、食品廃棄物は、まず出さないことが重要で、出た場合には、それをリユースする、あるいはリサイクルするという、この3Rをやっていかなければいけないと思っております。
出さないという点についても、なかなか難しいのですが、一つ流通面で何ができるかということで、これも何回か皆さんに御披露している話ですが、納品期限を緩和できないかと取り組んでいます。
今、例えば賞味期限が6カ月の商品であれば、小売に4カ月の賞味期限を残して納入するという形になっています。したがって、それを過ぎるとどこかで廃棄処分が行われているということですが、これを2分の1に緩和すれば、1カ月分、販売する期間が延びるわけですから、そのようなことを関係業界に取り組めないかとお願いをしています。飲料と賞味期限の長い菓子から始まっておりますが、今後、レトルトや即席麺に広げていきたいと思っております。大手のチェーンストアは取り組んでいただいているのですが、地方のスーパーではなかなか取組が進んでいないので、これから地方に浸透させていくことが大事だと思っています。
2つ目は賞味期限の年月表示ということで、平成30年9月17日と書いてあるものを平成30年8月と書くことによって、消費者の鮮度志向への対策にもなります。また、例えば小売店は、先に入ったものより後のものについては、それよりも新しいものしか受け付けません。例えば、先週入ったものが9月17日の期限のものであれば、9月16日以前のものは古いから受け付けないということが商慣習として残っておりますので、そういう観点から、日にちまで表示しなくても良いものについては月単位で管理したらどうか。併せて、科学的根拠に基づいて、賞味期限を延ばせるものは延ばすことに取り組んでいただいているところです。
最後のページですが、議員立法でできた食品ロス削減推進法が10月1日から施行されておりますので、これも御参考にしていただければと思います。
最後に、本日の論点です。
食品産業分野には、色々な論点がありまして、自由に御議論いただくと、色々な論点が出て収拾がつかないので、大変僣越ながら、今、申し上げた3つの観点について皆さんの御知見をいただいて、なおかつ、事務局側と議論をするのではなく、知見のある皆様方の間で、御議論をしていただければありがたいと思っております。
1つ目は人材不足です。他の製造業分野に比べて人手不足が厳しい食品産業において、どう克服していけばよいか。高齢者・女性・外国人の雇用拡大、AI・IoT・ロボットの活用を進められないかということです。
2つ目は食品流通の合理化で、先ほど申し上げた話が書いてあります。
3つ目は食品ロス削減で、これも先ほど申し上げた話ですが、それに加えて、例えば過剰な発注を避けるために需要予測の高度化、これをAIを使ってできないかということも一つの論点になると思っています。
以上です。よろしくお願い申し上げます。 - 堀切部会長
塩川局長、どうもありがとうございました。
それでは、今、3つの論点をお示しいただいたわけですけれども、順番に1つずつ皆さんからの御意見を伺っていきたいと思います。
通常、このような会議では、事務局から示された方針案について委員の皆さんが意見を述べて、それに事務局が回答するという形が多いですが、今回挙げられた課題は非常に解決が難しい課題、また多岐にわたる課題でもありますので、さまざまな分野の専門家の間で意見交換していただく中で、これらの問題についての理解を深めたいというのが事務局の意向でございます。つきましては、委員間での積極的な御議論をお願いしたいと思いますので、どうぞ御協力をお願い申し上げます。
それでは、これから、まず論点1の人材不足対応について、どなたからでも結構ですので、御発言をいただければと思います。いかがでございましょうか。
加藤委員、どうぞ。お願いします。 - 加藤委員
ありがとうございます。加藤です。
人材不足に対して、私、工業にもいて製造業をやっていましたので、工業的な視点で農業を見ますと、業務改善や業務フローの最適化のような視点がやはりとても弱いなと感じています。去年、今も継続してはいるんですけれども、京丸園さんという、この間、天皇杯が決まりました農家さんの出荷場を業務改善しようというので入りました。半年で1.5倍の生産性で、1年で2倍の生産性と、16人働いていたところが12人に減りました。何をやったかというと、ライン方式だったのをセル生産方式にして、従業員、パートさん、高齢な方が多いんですけれども、そういう方たちに対して「改善って何だ」と、どうやって考えていけばいいのかというのを、日々日々きちんと視点として持つように働いていただくということを、両方、人の教育とシステムというか、業務フローの改善というのをやって、すぐに効果が出ました。
他にも中規模の食品製造系の方たちの現場に改善の視点で入っていっても、やはり何か工業から見るとまだまだ、もう本当に数十年前の、まだ「改善をやれているのかな、やれていないのかな」というレベルのところが多いものですから、1つ、人材不足はなかなか自動化できないというのは重々承知なんですけれども、2つ問題が大きくあるなというので、やはり業務改善意識と、その知識の両方がまだ足りないなというのが1つです。
もう一つ、製造ラインに入るような産業機械をやっていたものですから、そこの視点で食品産業の製造ラインへの投資を見ますと、やはりゼロが1個足りないかなと。なので、工業系で設備投資が盛んなときは、工業側からするとあまり魅力がないお客さんになってしまっています。なので、難しい課題なのに、金払いが簡単に─言い方が悪いですか。金払いが悪いという対象産業になってしまっていますので、そこをどうクリアするか、私もわからないですけど、やはり人と協調して製造設備を入れるとか、産業機械とはまたちょっと違った視点で入っていかないといけないんだろうなとは思っています。その2点ですね。意識とお金の部分が不足していると。
以上です。 - 堀切部会長
どうもありがとうございました。栗田委員、どうぞ。お願いします。 - 栗田委員
製造側から言うと、ロボットやシステムは入れたいですが、我々の経常利益からいくと、そこまでの投資がなかなか自社だけではできません。我々の作っているものは末端売価が300円で、スーパーの粗利が40%ぐらい取った状態での納品をして、物流費は我々が全部払っている状態で、自社だけではなかなか投資をすることが難しいです。欲しいもの、使えそうなものは値段が高額で投資の勇気が出ない。では、それを投資することによって、減価償却が上がって会社が維持できるのか。赤字になったが、次の融資が受けられないとか、そのような色々な心配をするとなかなか投資ができません。
先日、経産省の方と話したときに、「昔は大きな金額の補助がありましたよね」とお話ししたところ、今はないと言われて、「必要であれば、もの補助(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)を申請してください」と言われたのですが、もの補助の上限が1,000万です。しかも審査が大変で、なかなかソフト系では落ちないとか、色々な話を伺っている中で、我々のような中小だと、今から手を挙げたいときにもうなくなってしまっている。大手さんがやろうとしたときには大きな補助があったけれども、現状はなくなってしまったというのが実際です。それと、当社を見ても、システムに強い人材が社内にいないという課題があります。昨日も社内で討論していたのですが、「システムの担当者が必要だよね」、でも、そのような人たちを育成する、または人材がいないということも実際にあって、自社で雇用できるのかというところも大きな課題になってきているなというところです。今日も大学生がうちの会社に来てヒアリングしていたんですが、やはり大手を望まれて、我々のような中小には手を挙げていただけないという実態の中で、中小がどうやってシステム化をしていくのかというところが課題で、費用と、実際に運用する、選ぶというところも大きな課題だと思っています。
あと人材面を考えたときに、当社も特定技能1号の申請を出していて、法務省はOKになったのですが、当社ではミャンマーとやっていますが、ミャンマー国の制度がまだ調っていないためにスマートカードが出ないという状況に追い込まれていて、ミャンマーの労働省が落ち着かない状態になっていて、来ないと言われています。
昨日、女性経営者とミーティングをやっていたのですが、「今後、高齢者・女性ではなくて、我々は障がい者とどう向き合うかも考えていかないとだめだよね」。障がい者の方をどううまく雇用するかという課題があります。当社では知的の方を雇用していますが、一番大きな市場は精神があり、精神の方とどう向き合って雇用できるかというのはなかなか難しいけれども、それに取り組むシステムが必要だよねという話をしています。1社取り組んでいらっしゃる運送屋さんがいて、お子さんがもともと精神のお子さんがおられて、慣れていらっしゃる。精神の子の心が分かるので、うまく雇用なさってやっていらっしゃるという事例があり、私としては、もっと勉強しなければいけないのかな、働き方の中で精神の方と向き合う働き方、長時間は難しいとおっしゃっていました。3時間ぐらいやって、それが限界。その方たちとどう向き合うかというところもやっていかなければいけないんだろうなというのを改めて思っています。
そのような中で、やはり中小の場合には人手不足のほかに「人財」、宝のほうですね。人としての色々な考えるツールを持っている人たちが不足するために、色々なことの取組ができていないという中での何らか制度が入ってくると、もうちょっと進むのかなというふうに思います。 - 堀切部会長
ありがとうございます。どうぞ、松尾委員。お願いします。 - 松尾委員
私は、食品スーパーなんですけれども、食品スーパーの場合は人件費産業とよく言われるんですが、外食同様に小売業は多品種少量で非常に生産性が低くて、安倍総理からも生産性が低い業界と名指しされているぐらいで、なぜ生産性が低いかというと、まず、日々の競争にさらされている。隣にも、その隣にもたくさん競合店があって、日々値段が変わる。時間帯で値段が変わる、サービスも変わる。その競争社会にあるというのと、多品種少量であると。それと、人を相手にしていると、お客様からクレームをいただいたら、そこで1時間、2時間、時には半日ぐらいつぶすことになるときもある。だから、いくら計画をきちんと作っても、そのとおりになかなかいかないという部分があります。
では、どうしたらいいのかというのは、なかなか答えが出ないんですけれども、例えば製造業とちょっと違う部分というのは、よく発注をするときに、自動発注、自動発注と今言われて、そうすると人が発注する時間がなくなるだろうと言われているんですけれども、実は自動発注とかというところ、要するに効率か効果で、効率はよくなるかもしれないですが、そこに新しい付加価値は全然生まれません。物を売るときというのは、昨日100売れたから100とったら95しか売れないわけで、発注というのは、昨日100売れた、今日は110売ろうと思って120発注するわけですね。自動発注はそうじゃないという部分がある。そこの効率と効果の部分をどう使い分けるかとかいう部分が、なかなか人材不足という、また3Kというか、そういう部分で、トラックドライバーも同じかもしれないですけれども、こういうふうに人手不足になったときに全く来なくなるのが小売業という部分です。
結局、どこにたどり着くのかといえば、先ほども出ましたけれども、技能実習制度をもっときちんと充実させてほしいなと。結局は人が足らないからやっている話で、建前上はそれは言えないかもしれないんですけれども、数年前に起きている事例が、賃金の未払いとか、そういうことばかり報道にも出てくるけれども、今、そんなことほとんどないと思うんですね。もっともっと今、我々の中でも、我々も今、1人1部屋でやっています。URを使って1人1部屋で、何か娯楽施設を作っている企業もあるし、もっともっと報道されている内容と違う部分で、いいものと競争社会になっているんですね。だから、そのような形で、悪いやつありきではなく、もうちょっと人を入りやすくして、人手不足が補えるような環境を作っていただきたいなという感じがします。
以上です。 - 堀切部会長
ありがとうございます。それでは、長南委員、お願いします。 - 長南委員
キユーピーの長南でございます。
先ほど中小のお悩みということで、人が入ってこない。大手には入ってくるかもしれないけれども、なかなか中小には入ってこない上に、投資もできないし、その回収も、ということだと思うんですけれども、実際我々は大手ということになりますけれども、我々のグループの全従業員、1万5,000人ぐらいいます。その中で、サラダ・総菜という伸びは高いんですけれども、売上が2割で、人材はそのうちの3分の1がサラダ・総菜だと。先ほど言われたとおりでございまして、非常にAIや省力化の機械化、ロボット化ということは進められるものは進めるんですけれども、なかなかそこまでかけられないことが多い商品だと思うんです。実際、大手も人を集めるのは非常に苦しんでおりまして、なおかつマヨネーズやドレッシングはかなり合理化が進んでいて、フロアを見ても人がいないということなんですけれども、逆に、サラダ・総菜は人がずっと並んでいて、日本人だけではとてもやり切れない事業だなと。
なおかつ、大手がいいかというと、それでも3割ぐらいが1年間で離職していくという現実なんですね。ですから、3年で一通りメンバーが入れ替わるぐらい替わってきている。何故かというと、やはり単純にコストやペイだけのことじゃなくて、新たに入ってくる人が働きやすいか、働きにくいかということが、その環境が非常に支配すると。つまり、疎外感があるんですね。改まって入ってきても、何となく自分の居場所がないだとか、流れ作業の中に会話がないだとか、そういったことに気づいてくると、先ほど言いましたように人材育成というんですかね。やはり理念だとかも含めて、この職場が働きやすいかということをまず感じてもらわないと。
一番最初は、やはり1カ月がポイントだということなので、我々、工場に入ってくるときに、いきなりラインの中にぽんと入れるのではなく、順番を立てて確実に、最初は誰でもできる遅いラインを我慢して、また、その人にはパートナーをつけて、ずっとその人たちを半年間見ていくということが、やはり「あなたの存在が」と、こういうことなんですね。特に外国籍の方なんかを見ますと、そのようなことがやはり一番大切なことで、省力化だとか、優しい工場だとか言われますけれども、やはり入ってきたときに、もう全然環境が違いますので、いくらお金をもらっても、やはりそこで働き続けたいという環境を作れるかどうかがポイントのような気がするんです。全般の悩みとは別に、これからますます日本人だけではやり切れない産業になってきますので、やはり機械化、合理化はもちろんやらなければいけませんけれども、受入れ体制などにやはり気配りをしないと大変になってくる環境になると考えています。
それと、もう一つには、日配をやっていると、こういった手間暇がかかりますけれども、やはり365日、24時間体制みたいな形で作り上げるというのは、これは限界が来ると思いますので、働き方も作り方も運び方も含めまして、やはり、D-2をいかにD-5だとかに延ばす、日持ち延長技術ということが、今後の働き方も運び方も、もっと言うなら食べ方も、買った人も、もう明日には切れるということになるんだけれども、そのまま食べるわけではないので、どうしても残るというストレスがありますよね。それが、やはり先ほど言ったように、D-2からD-5だとか1週間に延ばす、この技術ということが、これからの一つの大きなテーマになってくるんじゃないかなと考えています。このような中で、カット野菜もD-4がこれまで最大だったですけれども、国内初で今年からD-5まで延ばせるようになってきただとか、そんなことによって随分変わって、1日延びるだけでも相当ロスが出なくなるとか、こんなことにもつながるものですから、こんなこともテーマとしてやっていきたいなというふうに思っています。 - 堀切部会長
ありがとうございます。最初に加藤委員から、やはり投資が少ないのではないかと、環境づくりの一環として、そのような点については、大手として長南委員のところはどのような考え方で投資されていますか。 - 長南委員
我々も、未来投資ということでやっていくんですが、なかなかその回収に時間がかかると、結果的にIRだとかをやると、結果が伴わないと徹底的に叩かれますよね。「何のための投資なんですか」、「それはいつまでに回収できますか」と、やはりこれは株主に対しての、株価だとか、そういったところもあるので、やはり即効性がないことに、やりたいことと、今やれるかということはまた別なので、やはりどうしても即効性だとか、そういった効果が得られると説明ができる投資になってきて、この辺のところが歯がゆいところもあるんですけれども、この辺のところは、やはりバランスを取ってやっていかなければいけないかなということです。
ただ、いずれにしましても、投資しても回収できるということが難しくなってきているというのも事実でございますので、また一方で、品質管理からすると、インフラ投資というようなことはやはり避けられないので、やはり未来投資はしていきたい。例えば先ほど言った超高圧みたいな、今やっている日持ち延長のものをやりたいんだけれども、この辺が本当に価値として認められるかと、これは時間がかかるものですから、この辺のところが踏み切れないだとか、色々なことの悩みはあります。 - 堀切部会長
ありがとうございます。ほかにご意見はありますか。どうぞ、大橋委員。お願いします。 - 大橋委員
ありがとうございます。
確かに食品産業、後ほどの物流も含めて人材不足はマクロの影響もあるのだと思いますけれども、ただ、やはりこの業界として、食品産業が選ばれる職種、あるいは業界であるためにはどうしたらいいのかという、ちょっと前向きな視点で考える必要があるのかなと。人が足りないから外国人を活用しようとか、だから女性だとかと言っても、いずれ行き詰まるんじゃないかなというふうに思います。
そのような意味で、長時間労働の改善というのは、もうこれはマストだと思います。直していかないとなかなか、もうそもそも若い人は入ってこないと思いますし、新卒だけではなくて中途も積極的に採っているんだと思いますけれども、そういうところの中に、こうした先端技術というのは使えるところもあるかもしれませんが、ただ、これ、ここの克服ビジョンにもあるんですけれども、これ、延べ単で全ての地場の中小から大手さんまで、全部これでひとくくりにできるかというと、恐らくそういうことはないのかなと。それぞれ直面している課題も違うと思うので、もう少しきめ細やかな形で作り込んでいかないと、これを見て、うちは関係ないなというふうな感じで思われてしまうと、なかなか進まないのかなと思います。
結局、この業界にやりがいを見出すためにどうしたらいいのかということを個社で考えることも重要だと思いますけれども、ただ、やはり業界全体で、ちょっとそうしたことを議論する場がビジョンなのかもしれませんが、それぞれの地域地域で設けてあげるような何か仕組み、競争は競争でやっていただくんですけれども、ただ、業界における人材不足というのは全体で解決、そこは共同して考えていくような、ちょっと切り分けた視点が出てくるといいのかなと。そこにちょっと行政のやれるところがあれば、ぜひやっていただければなというふうな思いではいます。ありがとうございます。 - 堀切部会長
ありがとうございました。他にいかがでしょうか。宮島委員、お願いします。 - 宮島委員
ありがとうございます。
まず、今までの委員からも出たお話で、私も色々な産業を横串で見ているんですけれども、やはり少し他と違うなというふうに感じるところはあります。
1つは、技術もそうですけれども、持てるところをフルに、本当に最大限ぎりぎりまで考えて効率化を考えているかどうかというところに疑問を感じるところがあります。ですから、投資の問題、お金がかかってというようなところはあるとは思いますけれども、もう方向としては、技術の最大限の活用というのは、どの人たちにとっても避けられないと思います。そういう意味で理解が不足しているようなところがあるとすれば、そのあたりは、意思がないと、結局技術を導入しても使われないみたいなことになってはいけないので、意識とともにそこは上げていく必要があると思います。
2つ目は、人材のところですごく、ちょっと不思議に思うのは、人材のどこの部分の不足の議論をしているのかというところがあって、いくつか分かれると思うんです。まず、私の周辺の、もう一回働き始めた母親たちを見ますと、ずっと専業主婦でいた後、最初に復職するときは、割と食品企業が選ばれやすいんですけれども、いよいよ本気で勤めようというときになると、結構そこでやめます。だから、私の印象は、食品業界の人たちというのは、ここで多様な人材と言いながら、「女性・高齢者・外国人」と、まとめて書いてあるんですけれども、それぞれ本当は違うと思うんです。これ、まとめて、何となく比較的使いやすい低賃金労働者というような印象で、そこが足りなくなっているということを言っているのかなという疑念を持ってしまいます。
もちろんそれだけではないことは分かるんですけれども、女性は、低賃金労働の使いやすい人材としてまずは使われ始めたというところがスタートとしてはあると思うんです。今、世の中の流れとしては、もう意思決定分野、あるいは経営の分野、ボードのところに女性をどのぐらい生かしていくかということが本当に必要なところだと思うんですが、そこら辺の意識が、もしかしたら、企業というかレイヤーによっては足りない部分があるのかなと思います。
特に女性の活躍という視点で言いますと、今、とにかく短時間で働いていいとか、働きやすさというのは、それはもちろんなんですけれども、もっと必要なのは、その人がさらに伸びていく、そして自分の持てる能力を最大限発揮できる職場であるかというところにかかってきていると思うんですね。そうしますと、どんなに働いても、自分がその範囲内でしか働けない、その後のステップアップが見込めないというところに対しては目を向けなくなっていくんではないかと思います。
さらに言いますと、むしろ大企業も含めた企業の経営トップのところですけれども、そのような経営人材としても、ほかの産業は女性にすごく期待をしているわけですが、そこのところが大手の食品産業の会社の一部はすごくやっていらっしゃって、むしろ働き方改革もすごく進めていらっしゃることも承知はしていますけれども、中小の中には、まだ女性は経営人材のところに取り入れる人たちではなく、自分たちが使うというか、そういう人材としての認識のほうが強いなというふうなところもあります。
ただ、これから本当に人材が減っていく中では、今はまだ男の人たちだけで働いていたのが「はい、女の人たちも入れよう」、「女の人たちが足りなくなったから外国人を入れよう」、「色々な人を入れよう」というので何とかなっているように見えるんですけれども、本当にいよいよどうにもならなくなると思いますので、今、チーム内に入った人たちが、自分たちの能力を最大限発揮してフルに生かしてもらうためには、何をどういうふうに組み立てていったらいいのかということを本当に真剣に考えていただく必要があって、それは単に時間を短くするとか、そういうことだけではなくて、一人一人に対して、その短期間だけではない、ステップアップの道をちゃんと作りながら社内で働いてもらうということだと思います。
この側面においては、もしかしたら外国人の留学生とかは、多分短期的な労働者なので、それはそれで、むしろチーム作りとか、そういう意味での働き方で済むと思うんですけれども、長く働いてくれるかもしれない女性に関して、ある時期が過ぎると手放してしまっているというのはもったいないところがあると思いまして、人材活用では、まさに能力開発とか管理職や経営のところに、外国人もそうですけれども、多様な人材をいかに入れていくかというところをより進める必要があるのではないかと思います。 - 堀切部会長
栗田委員、どうぞ。 - 栗田委員
女性を管理職として十分な活用ができていないという御意見でしたが、決してそのようなことはなくて、まず、入ってくる人材の、特に最近感じるのは、中小に入ってくる中には、女性を武器にして出てくる方が人たちが多く、役職に就いてもらおうとしても、先に進まないというのも実態で、それに対して、今から20年前の方が、女性でも昇格したいという方が結構出てきていました。今とにかく、働き方改革のせいなのか何かわからないのですが、昇格を申し入れると「いや、私にはとてもとても」と言われることが比率が高くなってきていて、ちょうどゆとり世代、2011年に新卒で入った社員たちのところが結構まだ就職難で、男性も女性もなかなか一歩前に進んでこない。教育システムも出して、提示して学ばせるんだけれども、最後のところで何か違うというので、それは、でも男性も一緒です。別に男性だから、女性だからではなく、今の50代と比べると、今の30前後の子たちの緩さというか、入ってくる力がないというか、それはパートナーさんでも正社員でもみんな一緒です。たまに抜き出た子が出てくるんですよ。決して中小はやっていないわけじゃないということは言いたいです。
以上です。 - 宮島委員
ちょうどこの会議が望んでいる議論になったと思いますので、まずは中小というふうに簡単に言いましたのは、実は、ここに参加されている大手の企業のところは大分やっていらっしゃると思って言ったのですが、もちろんまさにマッチョな形の大企業は、もっと女性をうまく使えていないですし、これは大企業、中小企業の問題ではないと思っています。
この会議とはちょっと話がずれるかもしれないんですけれども、まさに女性の活躍のところでは、今話に出た「いや、自分は昇進しなくてもいいんですけれども」という人をどういうふうにしていくかというのが一番大きなテーマになっていると思います。その意味では、まずはトップが女性をより引き上げる、本当に経営人材として育てるという意識があるということがまずスタートラインなんですが、それがあったとしても、今おっしゃるように若い人がついてきていないという状況は承知しています。
ただ、それを分析していくと、それはケースによるんですけれども、いくつかケースがあって、まさに今日のテーマの世代間ギャップもありますけれども、やはり今の上の方の働き方を見ていて、自分はこういう部長にはなりたくないとかというのもある。つまり、今のモデルの中で部長をやるのは嫌で、別のモデルだったらできるとか、やはり大事なものが仕事以外にも色々と出てきて、そことうまくバランスできたらできる、あるいはこれができたらできる。「できません」というのは、日本の女性の育てられ方の特性の部分も多少あると思うんですけれども、つまり必要以上に前に出るなと言われて女性は育ちますので、その部分もあるとは思うんですけれども、今は、やりたくないと言ったからだめというのではなくて、もう一歩前に出て、この女性をさらに上に引き上げるにはどうするかということを含めて、これは大企業、中小に限らず経営トップが考えることが、その人の能力を一番大事にするという、そういうところに入ってきているかなと思います。
ですので、全体感からいうと、食品産業は相対的に女性が多いのに、その割にはやはり経営人材に入る割合に関しては少ない。女性がものすごく身近で入りやすい業種であるにもかかわらず、入り口のところにまだたくさんいて、本当の経営トップのところに行っていないということはものすごく残念に思っていますので、今の御意見のまさに悩みのところは、それは全企業共通だと思いますけれども、より食品産業はいい人を、いい女性、いい外国人や、いい多様な人材を経営に入れることによって、次のイノベーションを起こすというところを頑張っていただければと思います。 - 堀切部会長
ありがとうございます。松尾委員、最後にお願いします。 - 松尾委員
今、女性の方がおっしゃったのはもっともなんですけれども、そういった意味では、ここでの人材不足というのは、これは人員不足ですよね。例えば農業とか小売業とか介護とか、そういうところが人材不足、トラックドライバーとかと言われているというのは、高度な人材が足らなくて困っているのではなく、作業員というか、ワーカーとしての人員が不足しているという意味だと思うんですね。それの対応策という形で進めていったほうがいいのかなという気がします。 - 堀切部会長
ありがとうございます。活発な御意見をいただきまして、非常に話が広がっていきまして、単なる食品産業の枠を飛び越えまして、働き方なり人材育成の問題に広がってきたわけですけれども、まさにそのとおりだと思うんですね。食品産業の特異性云々ということを語るよりも、やはり先ほど栗田委員がおっしゃった、「じんざい」の「ざい」は「材」じゃなくて「財」で、やはりどうやって環境をつくって育てていくかということが大事なのであって、働く側もいろんな人がいるわけですね。女性も、障がい者も、それから外国人も、色々あるわけで、その一つ一つにやはりきめの細かい環境作りなどをしていかなければいけないのかなということではないかと思いますけれども、事務局のほうから何かコメントがあればいただけますか。 - 東野食品製造課長
食品製造課長でございます。この労働力不足克服ビジョンの取りまとめをいたしましたので、少し補足させていただきます。
今日はたくさん御意見をいただきまして、参考にさせていただきたいと思いますが、このビジョンを取りまとめるに当たって、10回ほど関係者の方に集まっていただいて議論をしました。この中には、大手の企業さんも、それから中小企業の方も一緒になって議論をいたしました。
それで、女性の話も、少し資料のまとめ方が乱暴で、女性・高齢者・外国人とまとめてしまったので、このような御印象を与えてしまったのかなと思いますけれども、女性の活躍については、北関東のおせんべいをつくっていらっしゃる中小の社長さんですけれども、女性のパートタイマーの方、それまでは単なる労働力としておいでいただいて、お互いにそういう意識だった。それが、女性のパートタイマーの方全員と定期的に社長さんが会合を持つようになって、色々な意見交換をすると、パートタイマーさんが単なる労働力ということではなくて、自分の会社という意識を持たれて、色々な経営改善、あるいは商品開発、色々な意見が出てきて、そういう話し合いの中から大ヒット商品も生まれたというようなお話をいただきました。まさに、これは大手ではなかなかできないと思うんですね。女性のパートタイマー全員と定期的にミーティング、中小ならではの改善策だろうと思いますけれども、今年、農水省では、そのような色々な良い御意見をいただきましたので、会社のお困りの方に集まっていただいて、またこういうことを議論する機会を作っております。
それからもう一点、設備投資が少ないという御意見もいただきました。これについては仕方がないところがありまして、せっかくできた新技術を囲い込んでしまう。大手の企業が囲い込んで、なかなか中小がその技術を使えない、あるいは使えてもものすごく高い機械になってしまっているということがあるんだろうと思います。それで、今年、ここに事業の名前が書いてありますけれども、みんなで、2社以上が協力してコンソーシアムをつくって技術開発をしよう。一からするのではなくて、2年ぐらいで物になるような技術のところを攻めていこう。それで、半分補助金が出ますので、できた技術は大手が囲い込むのではなくて、業界みんなで共有できるインフラのところをやろうということで、補助金を作ってやらせていただいております。
今年は、2チーム採択させていただきまして、一つは長南委員のところのキユーピーさん中心のコンソーシアムでございますが、電磁波を使って原材料の中身を透過させて異物混入を防ごうというような技術開発を2年でやろうということでやっていただいております。こういう原料の安全性というのは100%が当たり前ですから、そのようなところで競争しても付加価値は生まれないので、大手の会社が技術と、ある程度資金を出していただいてできた技術というのは、業界全体で裨益をする。それで中小の方もその技術を安く使えると、こういうことをやっていきたいと考えております。 - 堀切部会長
よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、時間に限りもございますので、2つ目の論点に移りたいと思います。食品流通の合理化について、どなたからでも結構ですので、御発言をいただければと思います。いかがでしょう。
加藤委員、お願いします。 - 加藤委員
すみません、またトップバッターで。
私たち、「やさいバス」という共同配送、小さい実需者と小さい出荷者をつなげるような仕組みをやっていて、ただ、その周りには大きな食品会社さんもいて、大きいロットを出す生産者さんは大きいロットを扱ってくださる方にマッチングするようなことをやっています。その共同配送をするに当たり、A社のカット野菜さんとB社のカット野菜さんがいたときに、同じ近くのバス停と呼ばれる集配所があるわけなんですけれども、そこで「一緒にしてくれるな」と。原材料の供給元がわかっちゃうのが嫌だということで、それだと合理的にならないんですけれども、という話になった経験がありまして、結局個別配送になったんですけれども、何か本当にそこが競争領域ですか、競う領域ですかというのを問いたくて、結局物流の、この流通の合理化って、結構経営者判断が大きいですよね。なので、すぐに現場の社員たちが判断をしてどうこうできるわけではない。例えば物流会社さんに協力いただこうと思ったときに、「私たちの流通のほとんどが、8割、JAさんのお仕事だからだめです」とか、そんなのはいっぱいあって、現場ではどうにもならない。トップダウンで決断していただかないと新しい取組はできません。しかもオープンイノベーション的な、共同で何か新しいことをしなければいけないということをしないと、この合理化って本格的にできないと思うんですけれども、そこはもう本当にトップダウンだなと思っています。そのトップがどんと、「俺たちの島を崩してくれるな」という方たちが多い業界なものですから、なかなか共同作業というんですか、協業みたいなことができないことが多いです。
一つ、経験上うまくいったなというのは、やはりきちんとマッピングをして、この色々な機能が、流通、人材の話もありました、機械もありました、設備もあります。では、自分たちの強みはどこで、自分たちの競う領域はどこで、一緒に作ったり共有したりした方がいい領域ってどこですかというのを、結構きちんと同業他社をいっぱい集めて協議した上で、みんなでマップをつくるということをすると、何となくみんな腹落ちして、やはり「いっせいのせ」じゃないんですけれども、競争領域、とても皆さんが今まで苦手だったクリエーションとかシェアとか、そういう領域に一部を踏み出しやすいかなというのは感じています。
なので、今、市場改革をやっているんですけれども、農水省さんが一人でも来ていただけると、周りが「おっ、やらなきゃ」と思う。ちょっと緊張感も走るものですから、そういう、我々みたいなちょっとイノベーション的なイメージが出せる地域の方々と、農水省さんのプレッシャーと、地域で新しいデザインを、地域デザインになるんですけれども考えていこうみたいなことは、ちょっと地道なんですけれども、やはり納得感を経営者が持たないと前に進めないものですから、そのような機会はいっぱい作った方がいいのではないかなというのは思います。
以上です。 - 堀切部会長
ありがとうございます。大橋委員、お願いします。 - 大橋委員
この資料にもあるんですけれども、物流のトラックドライバー、これ、ボスコンのレポートだと、2027年にもうかなり底抜けしてしまうというふうなレポートが出たりして、かなり大変な事態が来るという中で、多分食品加工物流は特に配送業者から嫌われているんじゃないかと思います。これもいくつか、もう既に論点は明らかにされているのではないかと思いますけれども、そもそも小ロットで手間がかかり過ぎるとか、あるいはパレットの積みかえ、自分で積んで、また積みかえるようなことをやらされるとか、フォークリフトも自分でやらなければいけないとか、あるいは検品も非常に多頻度であったり、日付の管理も結構日付ごとで細かくやらされるとか、要するに製品のサイズも、パレットの話がありますけれども全部違うわけですよね。そうすると、もう本当に手間がかかり過ぎて、あまりやりたがらないというところが実情なのかと思います。
物流全般でいうと、国交省さんは、非常にきっちり進めようとというか、非常に問題意識をお持ちだと思っていて、例えば荷主の勧告制度を入れたりとか、あるいは、運送約款を今回変えて、作業や待ち時間を料金化しようというふうな感じで、かなり思い切った取組をされているんだと思います。
農水省さんも、ちゃんと取り組まれたほうがいいんじゃないかと思います。これは、各社でやれと言ってもできませんよ。だから、これは全部標準化の話なので、ちょっと一歩踏み出して標準化するような取組を─これは民民の取引なので難しいというのは十分わかりますが、それは国交省さんも民民の取引でやっているわけで、そういうことをぜひやっていただかないとという危機感を資料から感じられないので、ぜひ危機感を持っていただきたいなという思いを非常に強く持っています。
以上です。 - 堀切部会長
波多江委員、どうぞ。 - 波多江委員
ありがとうございます。
食品というよりも、私は農産物という括りで発言をさせていただきたいと思います。私が住んでいます福岡県は、福岡県というよりも九州の農業と言っても良いのですが、どちらかというと近場の九州各都市や福岡市という消費圏ではなく大阪を中心とした京阪神、あるいは東京を中心とした京浜等の大消費地をにらんだ、特に農業の中でもとりわけ野菜や果物・花卉などの園芸農業とは、大消費地をにらんで発展してきたと言っても過言ではありません。私どもがよく語句で使うのは、いわゆる遠隔地輸送園芸地帯であると言っています。そういった農業形態の中で、今日のトラックドライバーの不足の問題も含めた輸送問題というのは大きな課題になっています。ところが、これにどのように対応しようとしているのかというと、各県ごとに、あるいは各産地ごとに対応策を協議しています。先ほどの加藤さんのお話ではありませんけれども、皆さんが壁をつくって、自分のところの情報を外に出さないというように、意外とこのような状況・動きがあります。しかし、私は九州を単位とした広域体制の中でこの問題を解決していくんだという協議を進めていくことが必要だと思っています。九州でなくても、県域を超えた場所で協議をしていかないと、効率的な、あるいは合理的な輸送問題解決を導くことが出来ないと思います。
そのように考えますと、皆さんが壁を作っていますので、誰かがこれを崩して、「皆さんと一緒に対応策を協議しましょうよ」という声かけをしないと前にすすみません。その役目というのが、それこそ農水省さんであったり国交省さんであったり、あるいは、関係する県行政が「県域を超えてやりましょう」というような声がけをして、イニシアチブをとっていくということが求められているのではないかと考えます。また、国もそのように、政策的に誘導していくということが求められているのではないかと思います。
それから、もう一つ、輸送上の問題で解決していく上で、特に九州はモーダルシフト化という部分を進めています。特に宮崎県さんなんかが力を入れて進めているのですが、ただ、モーダルシフトの問題で特に私が課題として対応が必要と思っていることがあります。それは、あくまで鉄道や船を使っての輸送ということになりますので、拠点となる駅まで、あるいは港までの輸送となります。そこから消費地に届けるためには、どうしても横持ちはトラック便に頼らざるを得ないというのが現状です。そうなってくると、なおさら県域を越えた広域での協議というのが必要になってきます。それからもう一つ問題になっているのは、技術的な問題なのですが、駅とか港でトラック便に積みかえるという作業のときに、どうしても荷扱いによる品傷みの問題、特に野菜や果物などの生鮮品は品傷みや品質劣化発生の問題があります。こういった問題を技術的にシステム化していくということが進められていけばモーダルシフト化が加速度的に展開していくと考えます。今、モーダルシフト化という部分が大量に運べる上では有効だと思われていますが、それが進まない背景には、そのような課題も技術的に対応していくという視野も今後必要になってくるのではないかと思います。
以上でございます。 - 堀切部会長
ありがとうございます。それでは、森山委員、お願いします。 - 森山委員
三菱食品の森山です。
この食品流通業界の権化のような会社の人間でございますので、一つ、最近の動きというか、考え方をお話しさせていただきたいと思うんですけれども、2つございます。
1つ目は、先ほど加藤委員がおっしゃっていた協業ということですね。これは、私どもの業界も中小から大きい企業まで、もう何百という会社があって、もう1社ではやれません。みんながもう分かっています。ついにそこまで来ました。これは、覚えていらっしゃると思いますけれども、クロネコヤマトさんの問題が発生して、もう2年経ちました。何ともなりませんので、最近は言葉を競争領域と非競争領域という言い方をしまして、必ず何が一緒にやれるかという形になってきました。
先ほど、九州の方の農産物のお話を聞きましたけれども、きっと同じはずなんですが、それを言い出す人が、これは農水省さんにお願いするというか、その業界のみんなで話し合わなければいけないんだろうと思うんですけれども、先ほど価格の問題や頻度の問題とかありましたけれども、そうはいっても、私ども、自負というか責任があるのは、食べ物を扱っていますので機械とは違うんですね。ですから、先ほどのちょっと破れたとか、ちょっと傷んだというのを、その「ちょっと」というのが非常に難しくて、そこを気にしながらやるから、先ほどのようないろんな問題が起こっているんです。
そういうことはもう乗り越えて協議をしていかなければいけないというふうに思っていまして、ちょうど参考資料の中にもトラックの予約システムというのがございますけれども、これは一昨年、農水省さんの補助をいただいて、業界全体として半年ぐらいかけてつくりました。今日時点では、今、全国の12センターで作っています。私どもの会社で今3つやっています。中小の方ももう入ってきました。非常に安価に、みんなが使うシステムなので、これは独占ではございませんので、誰でも使えるようにしてありますので、やはり協業というものをいかに広めるか、そのためにはどのようなプラットフォームが必要なんだというふうなことがキーワードになるんじゃないかなというふうに思います。
2つ目なんですけれども、2つ目は、先ほどモーダルシフトとトラックシフト、トラックとモーダルの問題が出ておりましたけれども、実は、結局はどこかでトラックを使わなければいけないんです。長距離輸送は、多分来年ぐらいは自動運転の実験が始まると思います。でも、短距離回り、例えば各店配送だとか各個人の家だとか、これは恐らく10年ぐらいかかると思います。ですから、私どもは長距離トラックのことについては、どちらかといえば、みんなで乗せて、それが汽車であろうと、電車であろうと、船であろうと、そこは案外克服できると思っていますが、私どものやはり一番の課題は近距離回りのトラック輸送のことです。こちらの運送は、なかなかやはり頻度が多くて大変でございまして、それから大型トラックが使えない。2トン車、3トン車ぐらいしか使えない道が多うございますので、輸送のキーワードは、やはり短距離と長距離を分けて整理していかないと、一緒にすると話がごちゃごちゃになってしまうというふうに思いますので、ぜひそこの辺も考えられたらいかがかなと思います。
それから、申しわけないですけれども、先ほどの1番目のところで、皆さん、ちょっと安易に考えられていることがあるんじゃないかなと思って1つだけ申し上げますと、外国人材の話、ほとんど出ませんでしたが、今回の特定技能も思いのほか進んでいません。アジア、東アジアは特にですけれども、今、実は人材の獲得競争をやっています。ですから、日本は決していいポジションにはいません。もちろん試験はやらなければいけない、当然です。ですから、ふんだんに外国人が来るんだなんていうことは一切ございませんので、やはり受入れ体制、それから、先ほど教育という話がございました。この流通段階でも教育のことは非常に大事ですけれども、ぜひ女性の方、高齢者の方、それから障がい者の方、色々な方がいらっしゃる中で、外国人の人材に対しても、やはりステップを踏みながらの教育というものを充実させないと、それから生活環境のこと、先ほど松尾委員もおっしゃっていましたけれども、そこもやらないと来てくれなくなる。韓国も今、必死になって人を集めていますし、台湾もそうです。中国ももうすぐ人材を供出しなくなると思います。
そういう状況なので、ちょっとこれは余談でございますけれども、以上でございます。すみません。ありがとうございます。 - 堀切部会長
それでは、栗田委員、どうぞ。 - 栗田委員
すみません。チルド物流の商品をつくっている立場からいくと、物流をもう少し合理化するときに、リードタイム、発注からセンターまでに来る時間をもっと延ばしていただきたい。今日発注して、今日の何時までにセンターに持ってきなさいというお客様が多過ぎる。これが制限を受けていないので本当に大変なんですよ。短いところは4時間で持ってこいというようなお客様もいらっしゃいます。
あと、製造時刻の限定。これも結構つらいですね。一部お客様で、夜の1時からしか作っちゃいけなく、かつ車は4時に出せとか、そのようなことをやっていくと、共配したくてもできない。例えば車が半分ぐらい空でも出すしかないんですよ。いろんな共配システムを使っていますけれども、なかなかうまくいかない。
それともう一つが、当社では、多分30種類ぐらいの各スーパーさんのコンテナを扱っているんですが、あまりにも違い過ぎる。一時期、規格を統一するという話が、15~16年前でしたかね、ありましたよね。全く進まずに逆に増えてしまって、もうらちがあかない。さっきの省力化のところで、最後のコンテナが違うために、コンテナを自動で入れる機械があっても使うこともできない。あまりにも自由気ままな世界になっているのが、各お得意先別のコンテナが何か毎年ひどくなっているような気もしています。
それと、入り数。当社はデリカなので、発注単位が1です。これ、意味があるのかなと思うんですが、1個からの発注をいただいていて、それを店別ピッキングしてお届けするというやり方をしているんですが、私、スーパーさんを見ても、うちは例えば駅ナカのお客さんも入れているんですが、1個発注してもしようがないんじゃないかなと思って拝見しています。コンビニさんは2からです。2、3、4、5、スーパーさんは1、2、3、4、5なんです。これは何か規制を与えても、たとえ総菜だといっても1個売れる店は私はないと思うので、その3点について何か規制を与えていただけると、我々も少し効率化を持った物流体制が組めると思います。
以上です。 - 堀切部会長
小売を代表して、松尾委員。 - 松尾委員
ラルズの松尾です。おっしゃるとおりなんです、今の。
それで、僕がたまたま商品部と物流部と両方持っているので、非常にそういった面でやりやすいというか、分かりやすいんですけれども、経産省や農水省のこういう話は、国交省でも同じようなことをやっていて、この物流に関しては何が原因かというと、営業部と物流部の力関係なんですね。だから、物流部の人間だけが経産省の会議とかでも生産者と一緒に問屋さんを入れて一生懸命話しても、何も解決できないんですよ。営業の方が力があるからなんです。営業は多品種少量で1パックだろうと言うんですよね。だけれども、実際考えてみたら、そんなの意味ないんですよ。発注リードタイム、うちも、申しわけないです。やっています、3時間、4時間。今一生懸命戦っているというか、やめようとしているんですけれども、そうするとこんなに改善できるんだということを出すと、得する方がいいかなとすぐ変わるんですね。
だから、今一生懸命、物流側の人間、もっと頑張ろうと色々な会社とやっているんですけれども、根っこにあるのは、多分メーカーさんも、同じ社内の中の営業部と物流部の力関係みたいなものが多分あると思うんですね。だから、そこのところをもう少し持ち上げれば変わるというふうに、物流の中では全部その問題点も出ていると思います。 - 堀切部会長
ありがとうございます。長南委員、お願いします。 - 長南委員
すごくいい議論になってきているなと思うんですけれども、結局行き着くところ、共同配送といっても、やはり業界だと思うんですね。今言ったように、日配関係はそういった悩みの中で業界がやはり大手も中小も、そういった形の中でちゃんとインフラを整備していって、やはりみんなでやっていこうねという流れにならなければいけない。その典型が、例えばビールが先行していると思うんですけれども、ビールもあれだけのライバル社がありながら共同で配送してきているよねと。最近でいったら、J-オイルミルズさんと日清オイリオさんが業務提携する。あのことによって何が生まれるかといえば、船でそれぞれ3トンで運んできているものが6トンに、一緒にここまで運んで、日本に持ってこられるよねだとかって、そういうことに、やはり業界だと思うんですよ。
だから、我々も、やはり業界がまず最初にどうあるべきだということから議論に入っていかないと、いくら九州だ、エリアだといっても、県だってみんな仲が良くないですから、そういうことでなかなかうまくいかないのが現実なので、まず業界として、やはりリーダーシップをとっていくということが、これのやはり革新の行政になっていくのかなというふうに思うので、そこはやっていきましょうと。
それともう一つには、さっき言った検品なんですけれども、荷役作業の中で結構時間がかかるのは、さっきのリードタイムもそうなんですけれども、翌日にお届けする。日配だったら当日届けることもあるんですけれども、そこのところも、ものすごくやはり作業を圧迫しているということなので、ここのリードタイムをしっかり中1日でやるというペースをずっとやってきていて効果があるよと。
それと、簡単に言うと検品レスですよね。今、森山さんのところにもお手伝いいただきながら、2013年からずっとやっているんですけれども、やはり事前情報を出すことによって、待たされて、またそこで作業で数を数えて、この検品レスということで、検品をしないということをやっていくと、かなり作業性が上がるぞと、次の全体としての動きはそういったことをやっていかないと、なかなかここのところはもう解決できないのかなと、こんなふうに思っています。 - 堀切部会長
ありがとうございます。
そろそろ御意見も出尽くしましたので、この辺にしたいと思いますけれども、やはり基本は、私ども食品産業に従事する者の最終目的は消費者のためにということだと思うんですよね。ですから、例えば新鮮なチルド食品を、より新鮮な形で消費者に届けたいという小売業さん、あるいは小売業さんの営業部の考え方が、先ほど言ったような、何時までに何を作って何時までに届けろというのが、それが消費者のためになるということで多分なっていると思うんですけれども、やはりそういうことをもうちょっと整理して合理化すると、もっといいことが消費者に返せるんじゃないかということができれば、そういう無駄というか、必要悪になってしまっていると思うんですけれども、その辺をやはり何のためにそういう努力をしているかということを、もう一回原点に立ち返ると、やはり、お客様にとって何が一番メリットになるのかということだと思います。工藤委員、消費者を代表して一言いただければ。 - 工藤委員
食品ロスのことで少しお話しさせていただこうかなと思ったんですけれども、今お話がありましたので。
製造業とか、流通、企業、業界、皆様がそれぞれ御苦労なさって、難問を抱えながらやっていらっしゃることを伺いましたし、新聞紙上などもそういうことも書いてあります。そこで、店頭で商品を手に取る消費者なんですけれども、決してぼんやり取っているわけではなく、この商品がどういうところから来るのか、どういったものなのか、表示を見てどういったものが入っているのかというのを考えて取るんです。
実は、私ども消費科学センターというのは、消費者教育を55年やっているところです。消費者教育といっても、長い年月の中で、色々と様変わりもしましたが、やはり情報だとか、社会が変わったということを頭に入れるだけではなく、それによって私たちの暮らしがどう変わるのか、どう便利になるのか、こういったことまで先のことを見て勉強していけたらいいなと心がけているんですね。例えば食品ロス、大変な思いをして作られた食品、農産物など可食部分でもあるにもかかわらず捨ててしまうのが家庭で非常に多い。これも承知しております。それに関しては、ここのところに記述として、家庭のことも少し取り入れていただけたらなと思います。やはりそれは目にした方だとか、目にする者が気づくものでありますので、そこをお願いしたいということです。
あと、ロスを減らす取組ということでいくつか挙げていらっしゃいますが、この賞味期限の年月表示化、年月日表示から年月表示化にするという取組ですが、これは賞味期限表示のもの全てではないというお話もされましたけれども、もし、例えば平成30年8月という表示があった場合、どれだけ消費者が戸惑うかというのは、想像するんですね。ですから、やはりこういう表示にするとなったら、その背景、なぜこの表示にするかということをきちんと組み合わせて伝える努力をしていただきたい。もちろん私どももそれを学んでいく、知っていくということは必要ですけれども、やはり戸惑ってしまい時間のロスですから。
それから、先ほど食品ロス削減推進法の話もありましたけれども、ここに消費者、事業者に教育・学習、知識の普及・啓発ということですね。こういったものも情報の受け渡しだけになってしまわないように、理由、背景、それからどう変わっていくか、これをしっかり伝えていただきたいのと同時に、消費者としても、そこら辺は努力していきたいと思っております。
ありがとうございました。 - 堀切部会長
ありがとうございます。
それでは、お話がもう3番目の食品ロスの削減のところに入ってきていますので、その論点について御意見のある方、いかがでしょうか。栗田委員、お願いします。 - 栗田委員
食品ロスと言われて、私は、当社の食品ロス率、知らなかったので聞いてみたら、食品ロス率という単位をとっていませんでした。食品のリサイクル率というところでのエコアクション21の審査を受けているので、食品のリサイクル率は調べて、実際廃棄に出たもののうち、何%リサイクルされているかということについては会社として取り組んでいるけれども、食品ロスということについては取組ができていませんでした。
話すと、難しいねという話があって、当社では小麦粉に水を入れて加算していきます。原材料で入れたものから出ていったものという差し引きがなかなか難しい課題だねという話があって、ここが義務づけられていくのであれば、どう取り組むかというところをやらなければいけないねという話をして終わっている状態で、分からないというのが実態です。
ただ、食品を捨てている原因の一つにあるのが、今、原材料、添加物、原産国表示のところで原材料を捨てています。野菜を捨てるという比率は大変少ないです。それに対して入荷された冷凍食品、チルド食品、常温品について表示が全て義務づけられていて、似たようなものだけれども使えないから廃棄するということがあります。それが一番大きな廃棄につながっている。製品化になったものの廃棄よりも、そちらの方が大きい状態で動いている。例えば、見た目は一緒だけれども原産国が違うものが一部入っているために、カルテから外れるから、これは廃棄しましょうと。それが10キロ入りで、例えば10ケースを捨ててしまうとか、そういう形になっているので、カルテがしっかりあれば、見た目が一緒であれば信用していただいて使っていいというところがなければいけない。ただ、お客様から言われるのは、原産国が一つでも違ったら使っちゃいけない。例えばスパイスの原産国が違ったら、例えばエジプトがインドになったらもうだめですと言われるような状態のところが変わっていくと、我々も使うものについて、もう少し原材料を捨てなくて済むような感じで思っています。
本当に今、1商品お総菜をつくると3センチぐらいのカルテをつくって提出して、それで許可をもらって出荷するので、何か変わったらだめですよというのが、今、現状の私たちの作っている立場です。 - 堀切部会長
ほかにいかがでしょうか。松尾委員、お願いします。 - 松尾委員
ちょっとこれはお願いなんですけれども、昨日、CGCという団体で、同じような話をしていて、明日、実は経済産業省で製配販会議があるんですね。内容はみんな同じなんですね。ただ、一個一個見ていくと、例えば食品ロスの問題であれば、経済産業省で話しているのは加工食品の話なんですね。ここで話すと、生産者の方もおられるので、やはり生鮮食品の話が中心になると思うので、それは例えば加工食品の話であれば返品を減らそうとか、3分の1ルールとかいろいろあるんですけれども、それはフードバンクにつながる話なんです。ただ、生鮮食品の場合は、生産者や工場の中では、一部食品ロスにつながる、フードバンクにつながる部分もあると思うんですけれども、小売業から出る総菜工場とかだと、混ざり物が多くて使い道がほとんどないんですね。だから、その辺、分けたほうがいいのかなという感じがします。
例えば、2番目の食品流通の合理化でも、加工食品と生鮮食品で全然違うと思いますし、加工食品はメーカー、問屋、小売業─小売業にはECとかも全部入れたとして、これは経済産業省で話していて、やはり生産者、市場、小売業という食品流通の合理化という部分は、この場で話したらいいのかなというふうに、色々な部分でその辺がごっちゃになっている部分があるので、工夫したらいいんじゃないかなと思います。 - 堀切部会長
森山委員、お願いします。 - 森山委員
ちょうど、この資料にもございますけれども、今年の10月1日に施行された、食品ロスの削減の推進に関する法律というのは、これは議員立法でできたわけなんですけれども、そういう法律があるということももちろん知っていますし、食品ロスのことについて、先ほどフードバンクの話もございましたし、色々な話があるんですけれども、やはり強制力があるというか、反対側のインセンティブがあるというか、確かに大事なことだからそうしよう、今、SDGsの話もございますし、ESGという考え方もございますので、もちろんそういったこともやっているんですけれども、日本全体でその気になるような、もっと押すような施策をしないと、みんなの努力というか気持ちに頼っている。気持ちが大事なんだとおっしゃるんだったら、そのとおりだと思いますが、それだけでは進まないと思います。
たまたまこれは食品ロスの話ですけれども、プラスチックの話なんかも、やはり我々、いつまでにどういう数字をと宣言するんですね。宣言すると、それに合わせて今度は一生懸命やるんですよ。食品ロスについても、もちろんここの中にいつまでに、2030年に2000年の半分と数字が出ています。でも、その2030年って相当先なので、やはり何か、法律というのはそういうものかもしれませんけれども、条例でも政令でもいいですから、もっと積極的になるようなことをやらないと、なかなか進まないんじゃないかなと。
私ども、フードバンクに対して商品を供給したり、それから、リサイクルのために、例えば店頭から回収して、それからそれを肥料工場に持っていったり、松尾委員がおっしゃったとおり、ぐちゃぐちゃに混ざっていますよね。栄養素が色々ございますので、平均値を出すしかないから、それで最終的には肥料にしか行かないんですね。でも肥料に使えるので、使おうということでやっているんですけれども、もっとその気になるような、後ろから押していただけませんでしょうかというお話でございます。 - 堀切部会長
ありがとうございます。宮島委員、お願いします。 - 宮島委員
ありがとうございます。
食品ロスに関しても、流通もそうですけれども、全体として、多分消費者のニーズに応えているということがなかなか行動を変えられないことだと思うんですが、それは人材も含めて、今もっと大事に思うべき、この先ずっと続くと思ってはいけないものを、日本は必要なほど大事にしていないんじゃないかというふうな視点に立った場合に、今の発注とか、そういう先ほどの短時間のリードタイムや、それを延ばすということは、多分消費者が変わらないとなかなか変わらないということなのかなというふうに思いました。
そうすると、一つは、今進めている世の中の意識の変化というか、食品ロス削減月間が始まったのはいいと思いますけれども、これをさらに進めていくということになると思うんですが、その場合に、今の御意見にもあったように、業界なり行政が音頭をとって少し変えてみたら、そこで消費者はそんなに困るのかなと思うような要素もあるなと思います。例えば今の、食べ物を何時間以内のものを運べというふうに言われていることに関しても、消費者は、それはそこにあれば、より時間の新鮮なものがいいという意識はあるんですけれども、ちゃんと説明して、これは世の中の全体から考えると相当なロスを生んでいるから、このぐらいでいいんじゃないのということを理解すれば、それで「いや、そうじゃなくてもっと短いものが欲しい」とか、そう思う消費者というのが実はそんなに多くないのではないかと思っていて、業界の皆さんの努力と消費者の希望がちょっと過剰にずれているというか、消費者はそこまで期待していないし、そこの時間の差まで見ている人はあまり多くないと思うんだけれども、そこにすごく努力をされていることによってロスが生まれているところがあるんじゃないかなというふうに思います。
なので、変える手法としてはもちろんいくつかあって、世の中の人が、皆さんのこういう思考がどのようなロスを生んでいるかということを知らせるということはまず一つなんですが、あとは、具体的な動きとして、業界の方がそれをアナウンスしながら、「だから私たちはここはもうちょっと緩くしたいと思いますが、消費者の皆さん、御理解ください」というようなことをやる。あるいは、今お話があった、少し行政が後押しをして、その業界を少し指導するように、全体最適というか、特に持続性、日本がいろいろなものを無駄にせずに、それは食品だけでなく、さっき話題になった人材もなんですけれども、色々なもの、今あるものを最大限に有効にしていくための方法というのを、やはり一歩前に進めることかなと思います。
1つ質問がありますのは、賞味期限のところで、月に変えるということのメリット、デメリット、両方あると思うんですけれども、会社の方から見て、日付じゃなくて月にするというのは、どのぐらい、どのようなメリットがあるのか。数字を変えるところなのかというのを伺いたいと思います。疑念というところであったように、もしかしたら消費者から見ると、月にしたほうが買わない期間が長く、これはもう消費期限なり賞味期限なり切れてしまうというふうに思ってしまって廃棄が増えるという可能性と、その労力との見合いが、私、ちょっとよく分かりませんので、教えていただければと思います。 - 長南委員
明確に、月にすることによってメリットとデメリットを、ここできっちり、ちょっと答えることはできないと思うんですけれども、ただ、いずれにしましても、今の先入れ先出しが流通全般にわたって相当な人員とロスを生んでいることは事実でございますので、ここに対するメリットの方が、どれだけということは別にして、いいだろうということで、今の段階ではお答えをさせていただきたいというふうに思います。
それと、今ずっとお話を聞いておりまして、一つこんなことを言うと、上に盾突くわけではないんですけれども、いつからこんな日本になったのかなというと、これは一つは賞味期限、消費期限をつくったからだろうと。昔は、製造年月日があって、母や祖母に聞くと「これ、ちょっと色が変わっているけど」と、御飯一つだって、かびが生えても上をちょっと洗えば、取ればとかって五感を駆使して食べた記憶があるんですね、缶詰なんかでも。「これ、食べられる」と言ったら、「うーん」、においをかいで「大丈夫だ。行け」とかみたいな、こういうことがものすごくあった。もったいないということがあったのに、何か今は、消費期限はやはり食べられる期間だから「はい、捨てて」みたいなことが全てにおいてロスを生んでいるようなことなので、これが先ほど言った意識の一つのベースに、まして日本が自給率が100を超えているんだったらいいと思うんですけれども、年々下がっている中でこれはないよねということだと思います。
我々、メーカーとして取り組むことは取り組みますし、特に我々として、キユーピーとしては何をやるんだといったときに、やはり代表的なところは、日本で一番使っているのは卵とキャベツでございます。卵に関しては、もう100%、殻まで土壌改良材にして全部使うようにしました。これを逆に言うと、業界全体に我々がこういったものを普及していかなければいけないのかなというふうに思います。
キャベツに関しては、中芯をとって外側をとると大体4割近くロスが出るんですね。これをやはり全部が飼料だ、肥料だとできるわけではないので、どういうふうにしているかといったら、これは大学の先生たちにも全部研究しまして、色々なものに、家畜に食べていただこうということで、最初はいろんな形で豚に食べさせたんですね。そうしたら、豚は見事にやせるんですよ。これは目的が変わって、これはいかに野菜が健康かということを証明したようなもので、今はどういうふうにしたかというと、サイレージの中で発酵で乾燥で、牛、乳牛の方ですね。これが大臣賞をいただいて、これが乳の出がよくなるだとか、これがやはりメーカーなので、これを逆に言うと、こういった野菜全般に対してキユーピーが少しリードできるものはリードして、全体の廃棄しているものを使って、そういったふうに価値としているものだとか、やはり先ほども話したように、みんなで広げても絶対に進まないと思うので、業界として、特にその中のリーダーとして何をするんだということをやはり明確に示していって、それに対して行政が応援するぞということが間違いなくスピードを上げるということだと思いますので、私はそのようなことをやはり考えていかなければいけないかなというふうに思います。 - 堀切部会長
ありがとうございます。
そろそろ時間も近づいてまいりましたけれども、まだ御発言をいただいていない委員の方で、もし何かあれば。髙野委員、近藤委員、内田委員、お願いします。 - 髙野委員
非常に皆さんの意見、参考になって、それぞれのお立場で分かりました。
若い人を教育する立場ということなんですけれども、先ほどありましたように、本当に今の若い人たちがどこまで考えて食べているのかな、それから、消費期限とか、そういうところをどこまで意識してやっているのかなというのが、多分、いろんな企業のモデルといいますか、そういうところで新しいもの、新鮮なものをたくさん提供することはいいことだというふうにずっと進んできたのが、これはさっき出ました、日本が経済大国であったときにはいいんでしょうけれども、これからそういう時代ではないので、やはり日本人の身の丈に合った、このような流通や働き方とかいうのが、やはり考える必要があるのかなというふうに思いました。
今日の3つのテーマ、本当に関連していて、やはり日本人は優しいので、すぐにおもてなしというと、お客様のためにということで何でもかんでもやってあげましょうという、そうではなくて、やはりここまではできませんよということを、あとは自己責任ですよということもはっきりさせる必要がこれからあるのではないかなというふうに思いました。
本当に、先ほどの商品の期限表示というのは、これは本当にインパクトが大きな出来事だったと思うんです。私も製造年月日でずっと育ってきましたので、「これはどのぐらい食べられるのかな。これは2年間とか3年間」とかって、開けてみて、においをかいでという時代だったので、これ、日にちから月にしてもどうなのかな。今でも製造年月日を書いているのもありますよね。それでまた消費期限も書いている。例えば、何カ月間、何年間はおいしく食べられますよとか、そのような表現のほうが、何かみんな考えるようになっていいのではないか、自己判断ができるようになっていいのではないかなと。何となく日にちが決められると、そこまでに仕事をして頑張ろうというのが日本人の大きな特性で、食べ物も食べ切るのもそういうふうになってしまうのかなというふうに思った次第です。
どうもありがとうございました。 - 堀切部会長
今のお話は、食育でも議論が出ておりますね。大体、賞味期限と消費期限の違いを消費者の方は本当に知っているのかと。何かございますか。どうぞ。 - 波多江委員
部会長がおっしゃったところと関連する部分もあるのですが、食品ロスの中で問題視していかなければいけないというのは、データにも出ていますように、可食部の廃棄量の問題だと思っています。その中でも、特に発生率が高いのは食品製造業、あるいは外食産業というふうに言われているのですが、私は、工藤さんが言われたように、家庭の問題も重視していかないといけないと考えています。なぜ最終的な消費段階でこれだけ食品廃棄が出ているのかということの背景には、こども食堂のような問題はあるのですが、総体的に飽食傾向にあるからだと思います。裏を返して言えば、私も60代半ばになるのですが、我々の世代を含めて食料飢餓の経験がないんですね。そのようなこともあって、今日の中にどう対応を展開するのかと考えると、部会長がおっしゃったように食育だと思います。食育の中でも、特に食べ物の大切さに加え、もう一つは、食料確保という部分が将来危機状況になってくるおそれ、懸念ということが十分秘められていることをもっと訴えていくことが必要と考えます。
その中で、農業生産力の低下なり、あるいは農業生産基盤の脆弱化、そういった懸念がある中で、今、企画部会の委員の方々もいらっしゃいますので、あえてこの場で発言させていただきたいのですが、今、食料・農業・農村基本計画の見直しが今議論されています。低下する食料自給率の目標をどのように考え構築していくのか。あるいは、先ほど言いましたように、農業の生産力低下、生産基盤の脆弱化に対してどうように強化していくのか。また、農業・農村の果たしてきた多面的な役割という部分、あるいは農村の文化の継承をどうしていくのか。そのようなことも国民的な議論として、今真剣に議論していかないと、本日は食品ロスの削減の問題を議論していますが、食料確保の問題の方がに大きな問題になってくる。そのようなことにならないかと懸念し、危惧しています。 - 堀切部会長
ありがとうございました。近藤委員。 - 近藤委員
全体で言いますと、取組の方向として、産地、幹線輸送、消費地とありますけれども、ぜひ情報化を加えていただきたい。ウーバーイーツの食品流通分野を早く作っていただきたいなと思います。農産でいうと、満車率が41%しかなくて、一方では非常に車両の確保に困っている、困っていると言いながら、そういう実態があるというのをどういう方法で改善できるかを、今の時代ですから早く農水省が音頭を取っていただきたい。全部これ、農水省と経産省と国交省。こう言えば、これは経産省です、これは国交省ですと言われて終わってしまっている現状がありますので、ぜひ農水省でやっていただきたいなと思います。
それから、食品産業全体で見たときに、農業の1次側からいうと、6次化を一生懸命言っていて、例えばジャガイモをジャガイモで出すのではなくて、例えば皮をむいてボイルするぐらいまでは農村部でやるとか、そのような社会的な分業も、少し政策の中で意識をして位置づけていく必要があるのではないか。そのような意味では、農村に食品産業をちゃんと根づかせていくということも、社会的な分業というか、組み合わせの合理性を追求するという視点があまりなくて、先ほどキャベツの話が長南委員から出ましたけれども、大体歩留まり50ぐらいですよね。ということは、半分は運賃をかけて持っていって、牛の餌か豚の餌にされているというのがあって、これは農村部でやると、もう少し有効に運賃をかけないで回せるというようなことを、産業政策的にやはり少し考えていく必要があるのではないかなという気がしますので、せっかくこのような部会があって、色々な御意見がありますけれども、もう少し今までになかった視点を加えていただいて、次の政策につなげていただければ大変ありがたいなというふうに思います。 - 堀切部会長
ありがとうございます。それでは、内田委員、お願いいたします。 - 内田委員
3番というよりは1と2のことに関してなんですけれども、人材不足に関しましては、まず人を集めるということが大事なのと、あと効率化をするということ。それと、もう一つ大事なのは、やはりやめないように持っていくということが企業としては大事なのかなという意味では、やはり仕事の意義というものを社員に対して十分に教えていく、教育していくということが大事なのかなというふうに思っております。
それと、2番の物流の効率化の件ですけれども、今、パレット協議会を開きまして、全農さんにも入ってもらって、11型パレットで基本的にいくという方になっているんですが、パレットサイズだけではなくて、やはりEUですと40×60の箱の規格があって、それに合わせてパレットを決めて、それに合わせて自動倉庫のサイズを決めて、それに合わせてトラックを決めてということで、そこで空間的にはロスが生まれないように全て規格が決まっているんですけれども、日本はそれがどうも中途半端で、パレットのサイズだけ決めてもあまり意味がないことだとは思うんですね。ですから、箱であるとか、全てのスペースを効率的に使えるように考えてもらったら、もっと効率化していくのではないかなというふうに思いました。
以上です。 - 堀切部会長
ありがとうございました。
皆様、活発で貴重な御意見をたくさんありがとうございました。事務局におかれましては、委員の皆様からいただいた御意見も参考として、今後の施策の検討を進めていただければと思います。
それでは、全体を通じて事務局からお話をいただければと思います。よろしくお願いします。 - 福井食品流通課長
食品流通を担当しております。今日は、たくさん、一つ一つ踏み込んでお話を聞かせてもらうことばかりで、大変勉強になりました。ありがとうございます。
1カ所だけ御説明させてもらいたいところがありまして、大橋委員から、しっかり危機感を持ってという御指摘をいただきました。そのとおりだと思います。ただ、まだアウトプットはちょっと中途半端ですけれども、危機感だけはしっかり持っているところでございまして、1つ御紹介したいのは、今回御説明させていただいた食品流通合理化検討会、こちらも、物流全体について政府で色々な動きがある中で、特に食品については、その議論を待っていたのでは、もう間に合わないのではないかという危機感から、我々の方から国交省さん、それから加工食品で協働させてもらう経産省さんにお声がけをさせていただきまして、何か国交省さんの動きの中で農産物に使えることがないかとか、そのような議論を今始めさせていただいているところでございます。これからもしっかり危機感を持ってやっていきたいと思いますので、色々とアドバイスをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 - 堀切部会長
それでは、塩川局長からお願いします。 - 塩川局長
今日は貴重な御意見ありがとうございました。企画部会にも頂いた御意見をしっかり反映できるようにやっていきたいと思いますが、2点だけ、補足的に御説明をさせていただきたいと思います。
1つは、いつから製造年月日が賞味期限になったか。これは、私の記憶が正しければ、当時、日配品の製造年月日を消費者がものすごく気にするということで、夜中の0時から、製造を始めるという、製造現場に負担をかける方法をとっていたということで、製造年月日ではなくて賞味期間の方にしようということになったと、そういうことが議論の発端だったと記憶してございます。
もう一つ、我々も、スーパーに行くと牛乳は後ろから取るということがやはりあるわけです。コンビニの総菜のところへ行けば必ず製造時間を見る。消費者に対する教育という話が先ほどありましたが、情報提供をしっかりしていかないといけません。これは消費者が起点となっていますから、我々の方も、消費者庁、あるいは環境省と連携をして、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
以上です。 - 堀切部会長
ありがとうございました。大変活発な御意見をいただきましてありがとうございました。議事進行が至りませんで、大変申しわけございませんでした。
それでは、進行を事務局にお渡ししたいと思います。お願いします。 - 神田企画課長
堀切部会長、大変ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、本日の食料産業部会を閉会とさせていただきます。
また、次回の会議につきましては、委員の皆様の御関心なども踏まえまして、部会長とも御相談の上、改めて御案内させていただきたいと存じます。
本日は誠にありがとうございました。
12時00分 閉会