食料・農業・農村政策審議会食糧部会 議事録(令和6年8月27日開催):農林水産省
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食料・農業・農村政策審議会食糧部会 議事録(令和6年8月27日開催)

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開会

午後3時00分 開会

  • 島本企画課課長補佐
    定刻となりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開会いたします。
    委員の皆様におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。開会に先立ちまして、本日の委員の皆様の御出席状況について御報告いたします。
    こちらに御列席の皆様、それから、今回、大橋部会長と宮島委員、山波委員、長部委員、金戸委員、菅原委員、藤尾委員がオンラインでの御参加ということになってございます。なお、馬場委員におかれましては、所用により若干遅れて御参加されるとの連絡を事前にいただいております。
    また、稲垣委員におかれましては、所用により途中で御退席される旨伺っておりますので、御報告いたします。
    それでは、開会に際しまして山口農産政策部長からごあいさつさせていただきます。山口部長、よろしくお願いいたします。
  • 山口農産政策部長
    皆さん、こんにちは。食料・農業・農村政策審議会食糧部会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
    先月に続きまして、ふた月連続の開催ということになりましたけれども、委員の皆様におかれましては、本日は大変お忙しい中御列席、そしてまた、ウェブによりまして御出席を頂きまして誠にありがとうございます。本日は、諮問事項はございませんけれども、先月予告しておりましたように、本年3月に御説明をいたしました米の消費及び生産の近年の動向につきまして、改めて御議論いただくということでお集まりいただきました。
    先月の食糧部会の場では、今後1年の見通しとしての米の基本指針について御議論いただきましたけれども、今回は少し中長期的な観点から米の需要、作付面積あるいは生産コスト等の状況につきましてデータを整理・分析いたしましたので、これをお示しいたします。
    委員の皆様には、今後の米の消費や生産の在り方について忌憚のない御意見、活発な御議論をお願いいたしまして、私のごあいさつとさせていただきます。
    本日はよろしくお願いいたします。
  • 島本企画課課長補佐
    ありがとうございました。
    恐れ入りますが、カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
    それでは、議事に入ります前に資料の確認をさせていただきます。資料は皆様の席上のタブレットと紙でお配りさせていただいてございます。ウェブで御参加の皆様におかれましては、電子メールでお送りさせていただいておりますファイルを御覧いただけますればと存じます。資料一覧に記載してあります資料があるか御確認をお願いいたします。
    もし資料の不足やタブレットの不具合等ございましたら、事務局までお手を挙げてお知らせいただけますれば幸いでございます。会場に御出席の皆様におかれましては、お手を挙げるなどしていただきましたら、御発言の際に事務局の方からマイクをお持ちいたします。また、オンラインで御参加の皆様におかれましては、こちらの音声が聴こえる状態にしていただきまして、御発言の際にはマイクをオンに、御発言が終わりましたらオフにしていただきますようお願いいたします。
    また、動作の不具合等が発生した際には、こちらもオンラインの方でのチャット等を通じて事務局にお知らせいただければ幸いでございます。それでは、この後の議事進行についてはオンラインではございますが、大橋部会長の方にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
  • 大橋部会長
    皆さん、こんにちは。
    大変お忙しいところ本日も御参集いただきまして、ありがとうございます。また、本日海外に出なければいけなかったものですから、オンラインでの参加となってしまって大変申し訳ございません。ライブ感ある形でできればなと努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    まず、本日は先ほど山口部長からもお話しありましたけれども、諮問がある会議ではないのですが、米の消費と生産の近年の動向についてということで、昨今お米についてはいろいろメディアでも取り上げられているところもございますので、そうしたことも含めながら皆さんに自由に御議論いただいて、今後の政策の立案なり運営なりに生かしていただこうということの趣旨でして、大変異例ですけれども、諮問のない会議ということで開催させていただくことになりました。是非自由闊達に御議論いただければなというふうに願っています。
    まず、事務局から資料を作成していただいていますので、そちらの方の御説明を頂いた後、皆さんから御意見を賜れればなと思いますので、まず、それでは、事務局の方からよろしくお願いいたします。
  • 武田企画課長
    農産局企画課長の武田でございます。
    それでは、お手元、今回は資料が一つだけですので、資料番号はございませんけれども、米の消費及び生産の近年の動向につきまして、事前に皆様方には相当時間を割いて御説明しておりますので、今日は先ほど部会長からもございましたとおり皆様方から御意見を賜るという場でございます。かなりアップテンポで少し飛ばしながら御説明をさせていただきたいと思います。
    まず、ページをおめくりいただきまして、1ページでございます。これもいつも見慣れた表でございますので、今回、中期的なこれまでの動向ということで、消費と生産の動向についての分析した資料ということでございますので、いつものグラフの図のところに2010年から2020年までの動態のところを記しているということでございます。この図に書いてございますように、2010年から2020年までの間に主食用米の需要量は14%の減少になっているということでございます。この14%という数字を少し頭に置きながら、以降お聴きいただければと思います。
    次、2ページでございます。今申し上げました主食用米の需要の見通しでございます。もうこれは皆様方に7月にお諮りしたので、よくお分かりだと思いますけれども、主食用米の需要見通しはここにございますように、1人の1年当たりの消費量に人口を掛けるという形で今見通しをしているということでございます。この真ん中のところの1人1年当たりの消費量でございますけれども、下のグラフのところの緑の棒グラフがございますけれども、近年はこの棒グラフの高さが小さくなっていることが分かると思います。
    すなわち消費量の減少度合いは緩やかになっているということでございます。一方、右側のグラフ、これは人口の推計なり将来推計でございますけれども、2020年代60万、2030年代70万、2040年代80万と減少の程度が大きくなっていくというようなことでございます。今はこの1人当たり消費量と人口を掛けると10万トン程度ということでございます。
    ざっくり申し上げれば、1人当たりのところが7、人口が3というようなものが現状でございますけれども、これからその比率は、少し7の方は7月にもお諮りしたようにこの棒グラフにもあるように緩やかになっていく、右のところは人口の減少が大きくなっていくというような感じになっているということを共有したいと思います。
    3ページでございます。需要なり生産の見通しについて各種試算もございます。ここに紹介してございますが、左側は私どもが基本法の議論の際に出したものということでございまして、今のトレンドをそのまま単純に置いた場合には2040年に493万トンというような試算、また、右側は今日ウェブで御出席いただいている藤尾委員も御参画いただいている全米販さんが日本総研さんに御依頼されて作った米穀流通の2040年のビジョンというようなことでございます。これまでのトレンドを少しきつめに見た現実的なシナリオと、あと、かなり全米販の会員各社の皆さんがいろいろ需要拡大の取組をしたということを加味した野心的な推計というものを二つ出しているというものでございます。
    4ページでございます。ここからまた3月にもお出ししたものを改めて出しているというところでございますけれども、4ページはお米なりお米の加工品、要すればいろんな形でお米を摂取いただいているわけでございますけれども、それをトータルにして1日1人当たりの摂取量の年代別の推移なりというものを見たものでございます。
    左側は年代別に消費量の推移を単純にグラフ化したものでございます。2010年ぐらいをポイントとして、それまでは茶色のグラフの60代がやはり平均よりも食べていたということで、60代がお米の消費を押し上げていたというようなことでございますけれども、2010年以降を境に逆に60代の皆様方は引き下げていて、グリーンのところの20歳代が引き上げるというようなことが分かるということでございます。
    また、右側のところはそれぞれの世代が何年か、10年、年を取っていった時にそれがどうなるのかということでございますけれども、このあたりも若い世代の方がお米の消費量の減少の幅が少ないということでございます。右側に二つ出してございますけれども、1980年代生まれの方々は2009年から2019年、ちょっと中途半端ですけれども、10年間で7.6%の減少に対して、1950年代生まれの方々、50歳から60代になるに当たって同じ時期に三角19.2%ということで、この辺の減り幅も多い。若年層より高齢層の方で米の消費の減に拍車が掛かっているような状況にあるということでございます。
    5ページでございます。では、それぞれお米に代わるものとして何を食べているのかということで、一つお米を使ったお弁当なりおにぎりあるいは菓子パンなり調理パン、そういったものをどのように消費されているのかということを整理したものが5ページでございます。左側がお弁当なりおにぎりのところでございますけれども、赤が平均のグラフでございまして、ここも2010年代ぐらいから、それまでは60歳代というのは平均より下だったわけでございますけれども、2010年後半から赤のグラフよりも多くなっている。グリーンの29歳以下のグラフのところはほぼほぼ一貫して赤より下だというようなことでございます。
    また、右側の他のパン、これは菓子パンをイメージしていただければ良いと思いますけれども、あるいは調理パンのあたりでございます。このあたりも2010年代後半までは60歳代は平均より少ないということでございます。一貫して緑の29歳以下は平均より少ないということでございますけれども、2010年代以降は60代の人たちも平均ぐらい菓子パンなり調理パンを食べているというようなことになっているということでございます。
    このあたりを60歳にフォーカスを当てて、その主食的なものについてどれぐらいお金を費やしているのかということを整理したものが6ページでございます。60歳代の主食に関する年間支出額を積み上げてみますと、下のグラフにございますように、一番下のグリーンのグラフが米の支出でございます。
    米の支出が大きく減少している中で、その次の積み木の薄いグリーンがお弁当なりおにぎりでございますし、あと、ブルーで囲んでいるところが菓子パンなり調理パンあるいは即席麺なり中華麺、パスタといったところの支出金額が増加している。
    このあたりは一つ、やはり御高齢になっていくに従って簡便志向が強くなっているというようなことが一つあるのかなということで、中食・外食的なものとか、あるいは簡易に調理できるようなものに消費が移っているということ、また、お弁当、おにぎりも含めて、あるいは菓子パン、調理パン、麺類は商品開発も非常に盛んでございますので、こういった手に取りやすいというようなところも出てきているのかなというふうに考えているところでございます。
    次に、7ページ以降でございます。ここから生産のところでございますけれども、まず7ページは3月にお示ししたものと変更ございません。水田の面積なりあるいは主食用米の面積なり、あるいは主食用米以外の作物の面積をグラフ化したものでございますけれども、見ていただいて分かるように主食用米の作付、これは薄いグリーンで色が塗られているところでございますけれども、これは水田面積を上回るようなスピードで減少してきて、これは需要に応じた生産を進めてきているということで、こういったような状況になっているわけでございますけれども、一方で特に2010年代ぐらいから加工用でございますとか、あるいは飼料用でございますとか、あるいは輸出用といったところの国内主食用以外のお米の作付転換も進んでいるということでございまして、右側にくくってございますけれども、水稲の作付面積全体では10%、田本地の減りと同じぐらいだということで、お米の生産力としてはそれなりに維持できているのかなというところでございます。
    8ページでございます。今度はお米を作る経営体の問題でございます。8ページは3月にお示ししたものを少し見やすくしているということでございますけれども、個人の経営体数がこの2010年から2020年の間に40%ほど減少しているというものに対して、法人ですね、団体経営とここでは書いていますけれども、法人の経営体は非常に増加しているということで、同じ期間の間にプラス65%ということでございます。こういったようなことを受けて、それぞれの者がどういうふうに営農を行っているのかというのが9ページ以降から整理しているところでございます。
    9ページの左側でございますけれども、これは経営体数の推移ということで、先ほど見ていただいたものをまた違う形で少し規模別にまた整理したものでございますけれども、左側のグラフの赤でくくっているところでございますけれども、2ヘクタール未満、このグレーのところの棒グラフのところでございますけれども、2ヘクタール未満の小規模層は10年間で44%減少してきている。一方で15ヘクタール以上の大規模層は10年間で83.3%増加になっているということでございます。これをそれぞれ規模別の面積のシェアに置き換えたものが右側のグラフということでございます。
    見ていただいて分かるように、下のところのグレーのところの層が小さくなっているのに対して、一番上の少し薄いオレンジ色の層、ここが15ヘクタール以上になるわけでございますけれども、この10年間の間に13%から27%というようなことでございます。小規模な経営体の減少が進む一方で、大規模層が経営体数あるいは面積に占めるシェア、いずれも伸ばしているということで、大規模経営体に水田の集積がなされているというようなことがここから見て取れるということでございます。10ページでございます。これをまた少し団体と個人で分けて整理したものが10ページでございまして、左側は9ページで今しがた見ていただいたものを団体と分けてやったものということでございます。
    5ヘクタール以上の層も含めて、こういったところの面積のシェアが増加しているというようなことでございます。あと、右側は毛色を変えて、団体経営以外に一番上のところのピンクのところが団体経営で、その次のオレンジ色のところが農業所得が主のところ、次のブルーのところが農業所得が主なんだけれども、65歳以上の人が従事しているところといったところで、農業所得が主だというところに着眼を置いて、それが水稲の作付面積にどれぐらいのシェアを持っているのかというものを整理したものがこの図でございますけれども、見ていただいて分かるように2010年から2020年にかけて団体経営は11から19にシェアを伸ばし、
    また、農業所得が主である個別経営も38%から53%まで伸ばしてきているということでございます。次に、11ページをお開きいただいたらと思います。一方で、今度は年齢層の問題でございます。3月の時にグラフで出していたので分かりづらかったということでございます。左側に個人経営が上の表、下が団体経営でございますけれども、やはり赤でくくってあるとおり15ヘクタール以上層になりますと、個人経営でも35%ぐらいは40代が従事しているあるいは団体経営で見ても25%ぐらいは40代が従事しているということで、大規模経営体ほど若年層の割合が高いということがここからも見て取れるということでございます。
    12ページ以降、これまでは全国一つで見ていたわけでございますけれども、ここは中山間地では違う傾向があるのかもしれないということで、都市地域、平地地域、中間地域、山間地域に分けて分析をしてございます。まず、ここの12ページは水稲の作付面積と水稲の経営体数、それをただただ平地と中間、山間と分けて2010年から2020年の動態を追ったものでございます。水稲の作付面積に関しましては、やはり山間地域はほかの地域よりも減少率が大きいということでございますけれども、一方で経営体数はどの地域でも4割弱、この10年間で減少しているということで、全体の傾向は地域別に差があるわけではないということでございます。
    次に、13ページでございます。9ページとかで見ていただいた規模別のシェアがどう伸びていったかということでございますけれども、これをまた地域別に分類したものでございますけれども、いずれの地域類型においても5ヘクタール以上、ちょうどブルーのところが5ヘクタール、その上のオレンジが10ヘクタール以上、一番上の薄いオレンジが15ヘクタール以上ということになりますけれども、見ていただいて分かるように、5ヘクタール以上の占めるシェアが拡大していて、一番下のグレーのところの5ヘクタール未満の経営体のシェアは減少しているということでございます。また、特筆すべきはやはり中山間地域の方が平地地域よりもグレーのところが大きいというのも見て取れるということでございます。
    次に、14ページでございます。今度は水田で何が植わっているのかというものを整理したものでございます。これもまた都市、平地、中間、山間とやっているところでございますけれども、見ていただいて分かるとおり、非常にそもそもの高さで見ても平地のシェアが高いというわけでございますけれども、ブルーの上のところに幾つかカラフルな棒グラフをつけてございますが、これがいわゆる麦であったり大豆であったりというものを図示したものでございますけれども、販売目的の主食の水稲以外の麦とか大豆とか、あるいは飼料用米といったもののシェアは平地の方がシェアは大きくて、中山間の方が比較的小さいということがこの図から分かるということでございます。次に、コスト面についてでございます。
    15ページはいつも見ていただいているとおり、全国の規模別の数字でございます。お米は規模の拡大をしていくとコストが減少していく、そういった傾向がすごくはっきり出ているものでございます。16ページはそれをまた都市、平地、中間、山間ということで分けてございます。少し山間はサンプルが少ないので、あまりきれいに出てございませんけれども、そこを割り引いて考えていただいても、都市、平地、中間は特に如実に、あるいは山間でも少し割り引いて考えても、規模の拡大によってコストの低減が図られているというような傾向がある。水稲経営においては、規模の拡大が一つ今後の持続的な農業をしていく上での鍵になるのかなということがここからも見て取れるということでございます。
    17ページでございます。この規模の拡大の効果というのが何ゆえに表れているのかということ、これは地帯別に分けてございませんけれども、経費別に少し分析をしてみました。この粗収益と経費を並べて、その差を所得としてピンク色で図示してございますけれども、正にここで見ていただいて分かるように、5ヘクタールぐらいから所得の棒グラフが大きくなるということでございますけれども、逆に黒で囲ったところ、これは経費の中でも減価償却費であったり修繕費であったり、あるいは機械で人に頼んだりする時の賃借料及び料金といったものをくくっているわけでございますけれども、やはり規模が大きくなるにつれて、この黒で囲っているところは低減していくということが分かるということでございまして、正に規模の拡大によってこのあたりの経費が下がっていく、そのことによって所得が確保されるということがはっきり出ているということでございます。
    18ページ、これは3月にもお示ししているところでございますけれども、今見たようなことを所得面で見ると、例えば年間500万以上というところで一つ線を引くと、水稲、お米の場合は15ヘクタール以上がその規模に達するというようなことで、やはりそれなりの所得を確保しようとすると、規模が必要だということが出ているということでございます。
    そういったことを受けて、19ページでございます。少しここから事例も交えて御紹介したいと思いますけれども、大区画化によるコスト削減の事例ということでございまして、富山県朝日町の事例ということでございます。右側のところに幾つか御紹介してございますけれども、ここは標準区画1ヘクタールの大区画圃場でやっているということでございます。
    また、下のところに地図がございますけれども、基盤整備前と比べるとはっきり集約されているような状況が分かるということでございます。一番下に書いてございますように、私どもが大規模層の一つのコストのターゲットとしている9,600円を達成しているというような状況にあるということでございます。
    20ページは後継者の問題も3月と同じ資料でございますけれども、改めて確認をしてございます。規模別にみると、大規模層の方が後継者、下のところの薄いグリーンのところが5年以内に農業を引き継ぐ後継者を確保しているということでございまして、15ヘクタール以上ですと半数ぐらいが確保しているというふうなことでございます。この部分は規模が小さくになるに従って確保されていないということでございます。他方で一番上の濃いグリーンのところでございますけれども、確保されていないというところが15ヘクタール以上でも4割ぐらいあるということもまた一つ留意をしていく必要があるんだろうということでございます。
    こういった規模の拡大、大区画化あるいは誰に担っていただくのかというようなことを含めて、21ページでございます。今日も経営政策課長にお越しいただいてございますけれども、全国各地でこういった土地の利用の在り方であるとか、そういったことを一つのプランにまとめるということで、地域計画というものを策定していくことを進めているということでございます。そういった地域計画、これは前身の人・農地プランというものもあるわけでございますけれども、そういったものに基づいて幾つか先進的な取組をしているというものを22ページ以降、整理してございます。
    22ページは平地のところでございまして、ここは島根の松江の事例でございますけれども、全体で238ヘクタールの経営体ということでございます。
    3の経営の特徴のところの1ポツ目に書いてございますように、今しがた御紹介した地域計画の前段に当たる人・農地プランでこの経営体は中心経営体に位置づけられているということでございます。1個飛ばして3ポツ目でございますけれども、きちっと経営移譲計画を策定して、次世代にちゃんと経営移譲をしていく、さっきの跡継ぎいる、なしといったところにちゃんと手を打たれているというようなことでございます。また、一番下に書いてございますようにお米に関しても播種前契約をして、年内に全てのお米の販売先を決めているということでございます。
    次に、23ページ、24ページは中山間地域の事例でございます。23ページは新潟県糸魚川の事例でございまして、これは先ほど御紹介した事例と同じように人・農地プランの中心経営体に位置づけているということでございますし、また、2ポツ目にございますように非常に若い農業者が活躍をしているということと、あと、設立時からちゃんと第三者継承、しっかり誰がやるのかということを明らかにしながらやっているということでございます。また、水稲と併せて園芸作物ですね。ここではメロンとか、あるいはヨモギといったものを紹介してございますけれども、そういったものを組み合わせて経営を展開しているというものでございます。
    24ページは鳥取県鳥取市の事例でございます。ここは29年に農地組合を設立した時に地域の約9割の集積をしているというようなことでございます。また、3の2ポツ目に書いてございますように、基盤整備でここも中山間ではありますけれども、水田の区画を拡大したということで作業の効率を上げていると。また、先ほどの事例と同じように、3ポツ目にございますように少し効率化されたところで、余裕が生まれたところで高収益作物であるアスパラガスを導入しているというようなことでありまして、こういった区画整備をしていくことで経営の効率化を図って、別の稼ぐ余地を生んでいるというようなことでございます。
    25ページでございます。今まで縷々御説明してきたもの、特に生産面を中心にこのページではまとめてございます。まず、1番目のポツでございます。主食用米の生産量でございますけれども、長期的に減少傾向ということで、これは需要量に合わせてということでございますので、長期的に減少ということでございます。一方で、先ほど申し上げたように加工用とか飼料用あるいは輸出用といったところの転換も進めているわけでございますので、水稲全体では主食用米の減少ペースは緩やか、お米を作る力はまだあるというようなことで、今現状はそうなっているということでございます。
    また、2ポツ目でございます。個人の経営体は確かに大きく減少しているわけでございますけれども、団体、法人経営なり、あと大規模層が増えているというようなことで、集積・集約化が進んでいるということでございますので、主食用米の作付面積は稲作経営体が減っているほどは減っていないということでございます。
    また、3ポツ目でございます。最近では法人経営でございますとか、あと、先ほど見ていただいたように農業所得が主というようなところ、これまで稲作はどちらかというと農業所得が主ではないという人が担っているんだというようなことが一つ傾向としてあったわけですけれども、水稲においてもそうでないような状況になってきているということと、あと、規模の大きいところほど年齢構成も若いあるいは跡継ぎが確保できていると、そんな傾向があるということでございます。
    また、地帯別に比較いたしますと、4ポツ目でございますけれども、平地の農業地域で主食用米であったり小麦、大豆、麦、豆であったりといったところの作付シェアが大きくて、中間地域、山間地域ではそれが比較的小さいというようなことでございます。また、いずれの地域においても規模の拡大が進んできているということもまた確認ができましたということでございます。
    また、最後でございますけれども、中山間地域の方がコストは高いということ、ここはそういった現状ではございますけれども、そういった地域であっても規模が大きくなることによってなかなか難しさはありますけれども、コストが下がっていくという傾向も見て取れるということでございます。駆け足でと言いながら、いつものとおり少し説明が長くなりましたけれども、私からの説明は以上としたいと思います。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    今回に向けて新しい資料も幾つか入れていただいて、まとめていただいたのかなと思います。資料の構成は、前段は消費の話で、後段は生産の方の感じになりますが、生産の方ということで二つの構成からなっている資料になっていますので、皆さんから消費、生産、両方の点でも良いですし、どちらかでも良いですが、是非闊達な御意見を頂ければなと思っています。
    冒頭で申し上げましたけれども、今回諮問されている事項はないので、そういう意味で自由に日頃お考えのところをお話しいただいて、どちらかというと意見のやり取りができるような感じで進められると良いのかなという思いでいます。冒頭に外国からと言ったんですけれども、私は岩村さんの手だけ見ているような感じ、それから先はみんな見えているような感じなので、稲垣さんだけ見えなくて申し訳ないんですけれども、手を挙げていただければおおむね分かるんじゃないかと思います。
    あと、オンラインの方は挙手機能かチャットでも良いですが、お知らせいただければ私の方でハンドリングができるのかなと思います。漏れがあるかもしれないので、事務局はフォローいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。ということで、まずは残りの時間、どなた様からでも自由に御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
    それでは、山田委員からお願いできますでしょうか。
  • 山田委員
    今回の資料について丁寧に御説明を頂きまして誠にありがとうございます。ちょっと感想も含めて申し上げさせていただきたいと思いますけれども、一つは今、部会長の方からお話もありましたように全般の消費のお話を先にさせていただきたいと思うのですが、3ページに全米販さんの出したデータ、なかなか厳しいデータが現実的だということなのですが、正直言って、やはりこういう数字になっていくのではないかということは我々として肌実感があるのではないかなというふうに思っています。逆に野心的シナリオというのは、ある意味でなかなか相当難しいものなのかなというふうに感じております。
    やはり長期的には需要が減少するということは、しっかり我々として改めて現実として見定めていく必要があるのだと思います。先ほど60代でお米の消費が減って、若干パンとか菓子が増えているということも言われていましたけれども、私は小麦粉の方なので、小麦粉に関していっても、長期的に見た時に米が減少しているからといって小麦粉が伸長しているという事実は全くないのです。逆に言えば、小麦粉も同様に今人口減ということの中で落ちている。コロナ禍で多少需要が減って、今インバウンドで少し増えているとかそういう部分はありますけれども、やはりトレンドは人口減少や高齢化の影響によって需要が減少していくと。
    いずれにしても、その現実をきちっと見るということが必要なのかなというふうに思いました。その後に御説明の中で米の消費動態といいますか、特に今回は高齢層ということにスポットを当ててお話を頂いて、60歳代というのですか、そういうところで消費減少のデータも出されて、正に私の年代ですけれども、それが簡便志向等に起因するというようなお話もございました。
    私もそういう部分はあるかと思うのですが、ただ、この辺のデータというのを単に数式のファインディングではなくて、きっちりとこうした定性的になぜ本当にそういう現象になっているのかというマーケットサイドからのしっかりした分析をしないと、なかなかこうだからと言われて、じゃあ何をどう対策するかというのはなかなか生まれてこないのではないかなと。効果的な対応策はなかなか生まれにくいのではないかと。
    もっと言えば、やはりもうちょっと定性的に深掘りをしたマーケティングの部分をしっかり捉えていく必要があるのではないかなと。
    例えば我々食品会社だと、TI値と御存じかもしれませんが、これテーブルインデックスといって例えば1,000食当たりのメニューでどれだけ出現していますかなんていうのを分析しているんですけれども、間違いなく60代は確実にTI値が減っているのです。
    要するに出現回数が確実に減っている。量もさることながら頻度が減っているとか、それから、別のマーケティングのそういうもので定点調査もあるのですが、やっぱり20年前に比べて年代別の好みの差というのは以前より全くなくなってきている。簡単に言えば、60代でも伝統的和食を好んでいるというふうには限らない、例えばそういう志向も出てきている。こういうことをもっともっとやっぱり深掘りをしていくということは必要なのではないか。
    ただ、これは一般的に民間の業務だというふうには思うのですが、ただ、米に関してはやっぱり官民一体となってそういうことをもっと検討しても良いのではないかというふうに私自身は感じております。どうしてもお米になると、我々は主食というある種の文化も含んでいますので、非常に議論がエモーショナルになる感覚がちょっと私はするものですから、しっかりしたデータに基づいた議論をさせていただいた方が良いのではないか、また、そういうことを継続していくべきではないかなというふうに思っているところでございます。
    あと、生産面に関しては、今は農地集約とか、それから、生産性の効率だとか、それから、団体といいますか、個人ではなくてそちらの方に非常に進んでいるというお話を承りました。正直言って、私の個人的感想からすると、想像以上にそういうものがやっぱり進んでいるのだなという実感を持ちました。主食用の米以外の作物への転換も含めて、今の御説明の中でも地域類型別の進捗の何かばらつきとかそういうのはありますけれども、今までのそういう意味では別に皆さんがいらっしゃるからというわけではないですけれども、そういう行政の施策というのは確実に御努力したことが広がっているのではないかなというふうに思います。
    ただ、先ほど申し上げたように人口減少とか高齢化は、我々米もそうですけれども、みんな速いスピードでいっているので、じゃあ今動いている生産性の効率化とかそういうことが本当にキャッチアップできているのかと。そこはスピード感としてきちっと合っているかというと、それはどうなのかなという感じがいたします。
    そういう意味では、じゃあ需要減少のスピード感と今回の施策というのはどこまでマッチしているのかとか、そういうことを検証することも重要ではないかなと。じゃあ、そのためのKPIは何なのかというと、正直言ってちょっとよく分からないですけれども、だから、そういう意味ではKPI自体もやっぱり議論すべきなのかなというようなことを思いました。
    最後に、通常の部会ですと、どうしてもショートタームでの議論は重要要素が中心なので、今回はこういう若干ロングタームでの議論がそれぞれの立場での意見の広がりにとどまる傾向はあるのですけれども、こういう場で議論できるというのは大変良いのかなと思うので、今後もこういう場を作っていただくのがよろしいのではないかなというふうに思いました。以上です。
  • 大橋部会長
    多面的な御指摘を頂きまして、ありがとうございます。
    続いて、オンラインの藤尾委員からお願いいたします。
  • 藤尾委員
    今回の資料は2040年ということで、長期的な視点での消費と今後生産についての資料、非常によくできた資料をまとめていただいたと思います。そこで、ちょっと私が気になっていたのは3ページのところなんですが、国内の需要量ということで多分今までこの食糧部会の方でもそうですけれども、ずっと見ていたより多分消費の落ち方が緩やかになるんじゃないかというところだと思うんですね。
    それで、それはというと2ページのところで1人当たりの消費量の減り方と、それとあと人口が減った分の消費量の減り方が今まで農水省の方では1人当たりの消費量の減り方を7として、それで、人口の分で減ってきているのを3として捉えていたんですけれども、このあたりがちょっと変わってきているということで、1人当たりの消費量の減り方の方が緩やかになってきていて、むしろ人口の減り方の方が大きくなってくるだろうということで考えられて、2040年には需要量というのが493万トンということで、大体以前から農水省の方で統計的に取っている年間10万トンずつぐらい減るというところでは大きく変わっていないのかなと思うんですが、問題は需要量が493万トンということで大体予測は立ったという中で、3ページの横に全米販の方の現実的な見通しの方を見ていただきたいんですけれども、ここにおきましては、需要量は375万トンとなっております。
    ただ、これは私も全米販なのでちょっと知っているんですけれども、日本総研の方で出してもらったデータなんですが、これは玄米でカウントしているんですよね。ですから、精米においてはこれにまだ1割ほど足すので、実際の需要量というのは410万トンぐらいまで減るというふうに見ております。それで、それに対して生産量の方は363万トンということなので、このままいくと50万トンぐらい足りないようなイメージで作っているんです。
    ちょっとこの野心的なのは別としまして、それから考えると、先ほど農水省の方の生産のところの説明でいいますと、大型化を進めていくとか、大型化をすることによって収入が増える、利益が上がるということで、これから多分生産者が減っていく部分を面積を減らすんじゃなくて、大型化を進めることによって面積を維持していくという形で考えられているのかなというふうに思うんですが、せっかくですから、やっぱりこの生産量の2040年、農水省の方ではどれぐらい生産できることになるのかということで、ちょっと一度試算してほしいなという感じがするんですね。
    これ全米販の方では、2015年に米を作っている農家さんが115万人いたと。それが2020年には85万人まで減っていると。2040年には30万人まで減るという計算をしているんですよ。米を作っている農家さんが。そこから面積はある程度大きくなるという試算でやって363万トンと出てきているんですよね。
    ですから、このあたりを農水省の方で一度生産量の方、2040年には生産量がどうなるかということのイメージを作っていただいた方がより需要と生産のギャップというのがどうなるかというのが今後の問題点になるかなというふうに思いましたので、私の方から是非そういった資料の方も検討していただきたいなというふうに思います。私からは以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    続いて、いかがでしょうか。
    それでは、馬場委員、お願いします。
  • 馬場委員
    まず消費動向につきましては、今後も中長期的に人口減少が進み、国内の需要量の減少傾向は避けられない状況にあるという中で、需要の減少を少しでも緩やかなものとして、また、合理的な価格形成に向けた理解醸成を図る上でも、消費者に対して水田農業の実情に対する情報発信や、米の消費拡大の取組を強力に推進する必要があります。
    資料では、若年層では比較的米の消費減少が抑えられるということが示されています。将来の米消費の中心となる若年層や子ども世代に対して、米消費を効果的に促進するということが重要であり、学校給食や学校教育等での食農教育の促進も含めた施策の充実をお願いします。
    JAグループにおいても、国消国産運動の展開等により理解造成や需要の喚起に取り組んでまいります。また、生産面ではこれまでの大規模経営層への農地の集積が大きく進んできたことが示され、今後もその傾向は強まるものというふうに推測されていますが、生産現場からは担い手の農地の受託が限界を迎えているとの声も多く聞かれるところもあり、また、資料の20ページには15ヘクタール以上の経営体でも4割強が後継者を確保されていないという数字も示されており、水田農業の持続可能性については非常に厳しい状況にあります。
    資料の3ページでは、米の需要、生産の見通しについて試算が紹介されておりますが、試算方法によりシナリオは変動しますが、将来的にどこかの段階で国内需要量に対して生産が賄えない状況に陥る可能性も想定して、生産基盤の維持・強化に向けた施策を拡充して、関係者が一丸となって取り組む必要があります。
    具体的には4点申し上げますが、1点目は将来にわたって安定運営できる水田営農への支援、2点目は合理的な価格形成の法制化および経営安定対策の強化、3点目は生産人口の減少や気候変動を踏まえた生産性向上・低コスト生産、高温対策等への支援、更に4点目は実効性のある地域計画の策定および実行に対する支援等について、取り組みへの支援をお願いします。また、地域類型別の生産動向についても資料に言及がありましたが、いわゆる中山間地域では平地に比べ生産コストが高く、水稲以外の作物の作付も限定的であることが示されています。一定の条件不利性を持つ中山間地の水田農業や地域の維持の観点から、中山間地域への支援の拡充というのをお願いしたいところであります。
    食料・農業・農村基本法の改正を踏まえ、今年度末には次期食料・農業・農村基本計画が策定されます。また、令和9年度以降の水田政策のあり方についても今後議論がされるものと承知しております。これらの議論においては、本日示された消費、生産動向等を踏まえ、申し上げました施策・支援の充実について十分御考慮いただきますようお願い申し上げます。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございました。
    続きまして、いかがでしょうか。
    それでは、まず平田委員からお願いして、その後、岩村委員でお願いします。
  • 平田委員
    ありがとうございます。平田でございます。まずは、しっかりした資料を頂いて、ありがとうございました。消費動向についても非常に詳しい資料ですばらしいなと思ったんですけれども、ちょっとそこを置いておいて、産地の状況に絞って発言をさせていただきます。今、馬場委員からもありましたが、産地の生産力が主食の消費量を賄えない事態が起こり得るという発言がありました。
    ですが、資料を見る限り、今現在では個人経営体が10年で40%減少ということですけれども、これはやっぱり肌感覚に合っているなというふうに思います。
    農村にいると、いろんな役職だったりみたいなものがすごく忙しくなっていて、これはやる人が減っているということでありまして、そうなるのも納得だなというふうに思いました。そんな中でありながら、7ページの資料では水田の作付全体の減少が10%にとどまっているということなので、先ほど武田課長からもありましたけれども、主食の生産する力を産地が失ったということではないんだということが出ているのは少し安心したところでありました。
    一方で、このことというのは小規模農家のリタイアした農地を有望視されている担い手が引き受けて大型化しているということは資料のとおりであって、その中で少し産地の雰囲気をお知らせしますと、一般的な家族経営であったり、つまり常時雇用をしていない、考えていないような経営体ではおおよそ肌感で規模が20ヘクタールぐらいのところでそろそろかなという声が聴こえるような気がしています。
    これも今回の資料を見ていて非常に思ったんですけれども、例えば15ページの資料では、60キロ当たりの生産費が一旦下げ止まるところが20ヘクタールのところにあるんだなということがあったり、それから、あとの資料では雇用労賃が増え始めて、所得の伸びが鈍化するあたりがその辺にあるということも見えるなというふうに思っておりました。
    ということからすると、やっぱり農業経営体に心理的なハードルはその辺のところにあるんだというのが見えるなというふうに思って、肌感覚と合っているなというふうに思いながら見させていただいたところです。にもかかわらず、要するに小規模農家のリタイアはこれからむしろ加速するんだろうということが言えるかと思います。
    多くの中心担い手がそろそろお腹いっぱいだなというふうになりつつある中でこれからリタイアが加速するということなので、次の手をもし打ち損じるようなことになってしまうと、水田作付そのものの減少はたかが知れているんですというこれまでの今現在の傾向だけを見て楽観視することはできないということなんだろうというふうに思います。
    今改めて説明をして、藤尾委員からもあれがありましたので、よくよく思いましたけれども、この全米販さんの2040年の生産力363万トンですか、これはもう我々生産側のサイドとしては少々屈辱的といいますか、驚くようなことなんですけれども、こうならないように次の手を打たなくちゃいけないというふうに思って拝見をしました。
    選択肢ということなんですけれども、現状の選択肢の中では土地改良事業が生産規模の拡大をするのに有効だということについては、もう明らかだと思います。単純に作業機が大型化して作業スピードが上がるということだけではなくて、実は例えば水管理に係る時間は大幅に縮減できますし、面的に集約する効果も土地改良の過程は非常に効果絶大です。
    ただし、これは多額の公費を使わせていただくということになることですので、それはあるものの、主食需給の力を保持するという観点からすると、生産インフラの近代化というのは、これはマストというふうに考えます。
    そこにプラス、今様々研究していただいているようなスマート生産技術がどういうふうに実装できるかということと、あえてそれにもう一つ加えさせていただくとすれば、農業経営者の経営マインドといいますか、経営に対する考え方を醸成する、向上させるということが必要なのではないかなというふうに考えております。産地が消費者の皆さんからの信頼を失うことのないように頑張りたいと思います。以上でございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    続いて岩村委員で、その後、宮島委員にさせていただいて、ここで一旦切らせていただいて、もし事務局の方から何か御感触なり、何かあればそこでコメントいただくということで進められればと思います。
    それでは、岩村委員、お願いします。
  • 岩村委員
    ありがとうございます。事務局の皆様には、資料の御説明とこのような議論の場を設けていただき、感謝いたします。まず、山田委員の先ほどの御発言に関連しまして、消費動向を深掘りする必要があるという点はまさにそのとおりだと思っています。3ページに、1人当たりのこれまでの消費量に人口推計を掛けるという形で需要量を見通してきたとございますが、回帰分析しているので、これはやはり過去のトレンドであるデフレ下での消費行動が影響を与えます。
    他方で、前回、値段が安かったので米が選好されたという御説明があったかと思いますが、これからの人口減少や人口構成のボリュームゾーンである団塊ジュニア世代の方もあと15年すると年金生活者となる中で、政府が目標としている2%という形で緩やかなインフレが継続するのであれば、円の購買力等も相まって生活防衛的に米が選好されるということも十分想定し得る事態ではないかと思っています。
    そうしたことも含めて、消費動向については丁寧に分析される必要があると思っております。農業の供給力強化については、農地の集積・集約とスマート農業を進めることが必要だと思っています。これは食料安全保障にもつながる課題と認識しています。そこで2点申し上げます。
    1点目は農地の集積と集約についてです。事務局の本日の御説明でも農業経営の大規模化推進の必要性について言及されたところでありますけれども、他方で担い手の農地集積の現状を見ますと、令和5年度のシェアが60.4%であり、政府が目標としてきた80%は未達の状況にございます。来年の基本計画策定に向けて新たな目標数値を策定するものと認識しておりますけれども、今日の資料の21ページ目にもありますとおり、将来の農地利用の在り方を明確にする地域計画の一層の活用を促していただいて、農地の集積、更には農地の集約、こういったものを推進して是非生産性の向上、また、担い手不足への対応をお願いしたいと思っています。
    2点目はスマート農業です。先般、北海道大学大学院の野口教授からお話を伺う機会がありました。技術が進展するスマート農業は、農作業の自動化、ロボット化、データの利活用を通じて、深刻な労働不足の解消や技術の継承、生産性向上、品質の向上、収量の増加といったことが期待できるということのことでした。
    この中でローカル5Gの整備も課題でありますけれども、もう一つ切実な課題として、ロボット農機の活用に関連し、圃場間の公道移動に関する規制緩和が必要ではないかと思っています。無人走行で公道を移動する際には走行の許可が必要となりますが、事実上制約が多いということで、無人による自動走行の障害となっているということもございます。この件に関し、私どもも規制改革要望ということで例年、秋に公表しておりますが、貴省の所管外ではありますけれども、是非応援していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
    以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    続いて、宮島委員、お願いいたします。
  • 宮島委員
    本当に今までなかったような新しい資料も含めて丁寧な分析の資料を作っていただいて、ありがとうございます。
    60代の人たちは、今はパンとかを食べる、ある意味若者と同じ部分もあるんだけれども、一方でお米や弁当の形になると結構食べるんだなとか、そういういろんなことが分かったと思いますので、こうしたことをまた需要予測にも反映させていただきたいと思います。生産に関しましては、かねてより向かっていきたい方向にだんだん行っているということが分かりました。引き続きやはり大規模化で稼げる稲作をするための努力、それを妨げるものを除いていく努力ということをして集積していく必要があると思います。特に法人で若い人材が働いているということは、改めて期待できるところだと思います。
    就活する大学生たちが企業を選ぶということと同じような文脈の中で、農業法人を選ぶということができるように、農業をやる人たちが全然別の人たちなんじゃなくて、普通の就活の選択肢に入るようになっていけば良いと思います。
    そうでないと、今若い世代が少なくて人材獲得競争は本当にすごい中で、どこの産業も若い人たちを入れようというふうにしているわけでその中で競争に負けてしまうと、やっぱりまた若い支え手がいなくなってしまうと思いますので、この若い支え手を引き付けている部分を大事にしながら進めていただくということが良いと思います。
    もちろんいろいろ難しい問題がある地域もあると思いますけれども、今回例を挙げていただいた地域の協力例など、まずは地域をどのようにしたいかということを話し合っていくということが一番大事だと思います。そうした話合いが十分でないまま、単に衰退へ任せていくというようなことがどの地域でもないように米の需要を盛り上げて、そして、やっていくということが必要かと思います。
    その需要なんですけれども、今回いただいた資料とはちょっと離れるかもしれないですけれども、やはり今の米が足りないと言われている状況に関してはとても気になっています。前回の部会でも話題になったんですけれども、足りない米は一部の米だけであって、全体としては足りないわけではないということで、ちゃんと説明を聴いた担当の記者たちもそのように報道をしてきたわけなんですけれども、特にここに来てその説明ではなかなか一般の人が納得してくれないような状況にまで至ってしまっています。
    担当者も説明に困っているかなと思うんですけれども、一体どうしてこんなに説明できないほど店頭から米がなくなってしまったのか、これは予測と違ったのか。もちろん暑かったから不作だったとか、災害があったとかいろいろ伺いたいなと思っております。さらに、備蓄に関してもいろいろな御意見があります。
    これは非常に政策的に難しい部分だとは思うんですけれども、一般の人から見ると、足りない時のための備蓄でしょうと。何で足りないのに出さないのという割と素朴な質問になってしまいまして、それに対して大臣などが慎重に考えていますというお答えをされてはいるんですけれども、なかなか一般の人を納得させることができていないという状況になっているなと思っています。
    なので、場合によっては備蓄の基準や備蓄というものに対する考え方が政策の人と国民の受止めと違うかもしれないとか、理解が十分ではないかもしれないとか、いろいろなことを考えて、そこをちゃんと発信していくようにしていただかないと、国民の側の納得感がなくなってしまうのではないかと今とても心配しています。このあたりは現状、やっぱり予測を超えてしまったのか、あるいは備蓄に関してはもうちょっと丁寧に説明できる余地があるのかを伺いたいと思っています。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    一旦ここで区切らせていただいて、事務局の方から御質問というか、こうした御要望みたいな形のものもあったというふうな認識ですけれども、現時点での御感触を伺えますでしょうか。
  • 武田企画課長
    企画課長の武田でございます。まず1点、私の方からお答えできる、例えば見通しのことでございますとか、あと、最後の宮島委員から現下の情勢についての御質問がございましたので、そこをお答えして、それぞれ消費の動態なりあるいは生産の動態なりについては今日担当課長も見えてきておりますので、そちらから答えていただきたいと思います。
    まず、需要の関係あるいは生産の見通しに関してでございますけれども、まず、需給見通しにおいていろいろ今日お出しした資料は10年間ぐらいの動態ということでございますけれども、山田委員なりあるいは岩村委員から御指摘ございましたこのあたり、今は確かに全体の需要を人口で割ってということのインデックスをトレンドで解析して人口を掛けるという形でございますけれども、その動態自身がこれまでのトレンドと同じどおりでいくのか、違うふうになるのかというあたりについて、この前7月にも御指摘いただいたところではございますけれども、このあたりは丁寧な分析をしていって、これが必ずしも定量的にできるかどうかというところはございますけれども、定性評価を含めて今の推計の方法をまた代えていくことも含めて、何か知見を得るような分析をしていきたいというふうに思ってございます。
    また、藤尾委員から2040年に向けて農水省も生産の見通しをだすべきとありましたが、まず1点言っておくと、資料3ページの左側にございます2040年の需要の見通しは、これはかなり単純化したものでございますので、しかも、この出した時点でのトレンドをそのまま表しているということで、どちらかというと藤尾委員の御指摘にもございましたように、10万トンずつ減っていくみたいなものをただただ2040年まで伸ばしたというようなものに近いというふうにお考えいただければと思います。
    また、2040年の生産の見通しでございますが、このあたりの中長期的な生産の見通しに関しましては、私ども改正した基本法に基づきまして、これから基本計画の議論をしていきます。
    そういった中で、また生産、消費併せて中期的な見通しも立てていくというようなところでございますので、そういった中でまたお示しできるものがあればお示しをしていきたいというふうに思っているところでございます。また、私の方からは最後に宮島委員から御質問ございました。今私ども全体的な需給の状況は、7月にお話ししたとおり逼迫した状況にはないというふうに考えてございます。それは全体の民間在庫の水準が需要に対して、需要との比率でいえば過去にもあったような、そういった在庫の率であるというようなことでございます。一方で、かなり今の在庫水準そのものは過去と比べると絶対値は低いという状況であるのは、まず間違いないと。
    そういった中で8月に入って、南海トラフの地震の情報でございますとか、あるいはその直後に神奈川県の西部地方で地震もございました。あるいはその後、台風もあったというようなこともあって、かなり消費者の皆様がそういったことを受けて買い込みの需要が発生したというようなことがあるということでございまして、ここは今既に西南暖地に続いて千葉、茨城の早いところのお米が出回ってきているような状況でございますので、徐々に回復をしていくんだろうというふうに見通しているところでございます。
    そういったことで、宮島委員の御質問に対しては予測を超えていたのかということであれば、今も予測の中に入ってはいますけれども、少し消費者の皆様の需要が先に動いているというような状態がやはり店頭での品薄なり、あと、行ってもないというような状態があるというふうに認識しているということでございます。それでは、消費なり生産の動態について担当からお答えしたいと思います。
  • 尾室穀物課長
    消費の関係でもうちょっと深掘りをして、いろいろと分析されてはというような山田委員、また、岩村委員の方からありました。これについては確かに私も今日の資料を見て、40代、60代、20代でやっているんですけれども、今の60代でいえば20年前は40代であったということで、その辺をスライドさせた時にどうなるのかといろいろ分析の仕方はあると思うので、少しやっていきたいというふうに思っております。
    また、馬場委員の方から子供世代に対するアピールというお話、これも重要だと思っています。この間、こども霞が関デーということで親子で農水省を見学していただいたんですけれども、恐らく農水省は全省庁で一番来客が多かったというふうに思っております。
    そんな中でお米の展示もやったんですけれども、サクナヒメというアニメとのコラボしたのもあって、たくさんお子さんに来ていただいて、ツイートをしても非常に反応が良いということで、若い世代、子供世代も含めて興味は高いんだろうというふうに我々は思っておりますので、そこをしっかり今後もやっていきたいというふうに思っております。
    また、生産面に関しては、平田委員の方から20ヘクタールが家族経営では限界というようなお話があったと思いますが、その辺は私も現場の話を聴くにつけ、そんなところかなと思っているんですけれども、一方で、私が役所に入った二十数年前、30年近く前になるんですけれども、その頃は多分家族経営だと20じゃなくてもうちょっと低い10とか15ぐらいが限界だと言われていたので、そういう意味では技術も進歩していて20に来ているということで、今後またスマート農業というようなお話もありましたけれども、家族経営でもそういう技術の力で限界を上げていくというのはあろうかと思いますし、更にやはり農地の整備というのは一番効くというのはもちろんそうでございますので、そういった圃場整備も併せて進めながら、技術と圃場整備の両面で少ない担い手でいかに農地を維持していくかというのをしっかりやっていかなきゃいけないなというふうに思っております。
    消費の方の話では、消費者にグループインタビューなんかをやってみると、いろいろ炊飯の手間が大変だとか、炊飯器の手入れが面倒だというようなお声があったりとか、あとは炊いた御飯を冷凍保存されている方もありますけれども、保存の話とかお米そのものの保管とか、米飯の手間がハードルになっているといった声が聞こえてきています。水と無洗米を入れておいてボタンを押したら炊ける炊飯器もあるというふうに聴いていますので、そういうのがまた普及してくるようだと変わってくるんじゃないかなというふうに思っております。私の方からは以上でございます。
  • 平野貿易業務課長
    貿易業務課長でございます。山田委員の方から小麦粉の需要について御指摘ございましたので、お米の話ではございませんけれども、今手元にありますデータを簡単に御参考までに紹介したいというふうに思っております。
    小麦につきましては、まず食用小麦の1人当たりの消費量でございますけれども、これは令和5年度直近で31キログラムという水準でございます。直近10年間で一番多かった年が平成29年度でございましたが、その時は33キログラムでございましたので、それ以降傾向的には減少しているというようになってございます。また、私どもの方で製粉企業さんの方に小麦粉の生産量というのも毎月アンケートさせていただいてございます。
    これにおけます生産量を見ましても、やはり同じように平成29年度あたりをピークに直近まで減少傾向にあります。それは用途別に見ましても、パン用、麺用、それぞれ傾向としては下がってきているように見て取れます。また、5ページの世帯主の年齢階級別の他のパン、調理パンの支出金額についても御指摘ございましたけれども、これは金額ベースであるため、年を追う毎に上昇しているというようになっているというのが結論だと思います。
    その他のパンにつきましては、年間購入数量について数量ベースの数字がございますので、それを見ますと、平均で見ましても、60歳代に限って見ましても、少なくとも直近10年ほどはあまり上昇しているという傾向は見られませんので、この金額ベースでみた場合上昇しているという傾向は、単価の上昇というのが寄与しているのではないかというように考えてございます。
    麦につきましては、毎年3月に麦の需給見通しというのを策定してございます。先ほど山田委員の方からロングタームでの議論が有益だというようなお話がございました。米のように潤沢な資料を御用意できないと思っておりますが、麦につきまして、どういった資料を今後お示しすることができるかということについて検討してまいりたいと思います。以上です。
  • 上野経営局経営政策課長
    経営政策課長の上野でございます。馬場委員から実効性のある地域計画の策定とそれへの支援措置というお話を頂いたのと、あと、岩村委員から農地の集積・集約に向けて地域計画のより一層の推進をということで御意見いただきました。地域計画につきましては21ページの資料にございますとおり、令和7年3月末に向けて今全国の市町村で取組が行われているところでございます。
    それで、策定の今現在、令和5年度の実績では全国で265地区程度で、6年度末までには2万2,539地区で作るということで、今急ピッチで全国で取組を進めているところでございます。それで、私どもの方からすぐに完璧なものを作るというのではなくて、まずはできる限りのもので良いので、一つ作りましょうということで、そういう方針で今作っておりまして、それを作った後もきちんと毎年度ブラッシュアップしながらより良いものを作っていきましょうという方針で説明させてもらっているところでございます。
    今後はこうした地域計画を正に核として様々な施策を進めていくことになると思いますので、支援措置につきましてもしっかりと講じていきたいというふうに考えております。また、岩村委員の農地の集積・集約を進めていくのも、この地域計画を基本としてやっていくことになると思いますので、そこも頑張っていきたいというふうに考えております。
    それと、平田委員から経営マインドを醸成させることが重要だということでお話を頂きました。今回の基本法でも第27条に農業法人の経営基盤強化を図るための経営管理能力の向上という規定を新たに設けまして、そういう取組をしています。具体的には今現在も経営局の方で措置している農業経営就農支援体制整備推進事業というものの中で、まずは農業者向けの研修プログラムだとかあるいは財務分析とか生産管理のソフトのようなものを今作っているところでございまして、それをまた来年度以降いろいろ使っていきたいと思っていますが、そういったものを使ってもらうために農業経営人材の育成に向けた官民協議会というのも6月に設置しまして、とにかく経営マインドの向上というところもしっかり取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
    以上でございます。
  • 武田企画課長
    企画課長の武田でございます。今、担当課長から縷々お答えしたもの以外に少し私の方でまたお答えできていない部分もございましたので、お答えしたいと思います。馬場委員からございましたように水田政策、先ほど基本計画の話を申し上げましたけれども、水田政策も令和9年産以降の水田政策について基本計画の中でもその方向性について議論していくことになってございますし、また、他部局と連携しながらということでございますが、合理的な費用を考慮しながら需給なり品質に基づいた価格形成、また、そこに合理的な費用を考慮していくといった価格形成に関しても同様に検討を進めていっているところでございますので、そこに対して私どももしっかりと参画していきたいということでございますし、これまでも講じてきてございます経営安定対策も引き続きしっかりとやっていきたいというふうに考えているところでございます。
    また、中山間に関してもいろいろな課題があるということでございますし、今日の資料の中でも一つ規模の拡大が将来方向にあるということでございますけれども、一方で、それだけで済まないところもあるということでございますので、このあたりは関係部局と共有したいと思います。
    また、岩村委員からありました規制緩和の部分、正に私も前職の物流のところでもいろいろこういったあたりの課題は共通するところがあると思いますので、また関係部署とも協力をしてやっていきたいというふうに思ってございます。
    あと、宮島委員から御指摘あった備蓄の役割でございますけれども、これは皆様方にもいつもお諮りしている基本指針の中でこの備蓄の役割というものは明記しているところでございます。この食糧法にも明記してございますけれども、指針の中にも明記してございまして、大凶作なり連続する不作などによって民間在庫が著しく低下する場合に、そういった場合に備蓄の放出をするというようなことになってございます。
    また、その放出に当たっては食糧部会において、その必要性に関して議論をしながら農林水産大臣が最終的に決定するというようなことになってございますので、先ほど申し上げたとおり、現状において全体需給としては逼迫している状況にはないという認識でございますので、今回備蓄の放出には当たらないというようなことでございますけれども、引き続き現下いろいろ御不便をかけている向きがあるのは私どもも重々承知してございますので、そういった検討での状況あるいは全体の需給、価格の動向など引き続きしっかりとやっていきたいと思いますし、あと、集荷業者の皆様方あるいは卸売業者の皆様方にもしっかりとこの端境期においての安定的な流通について働きかけを強めていきたいというふうに思ってございます。
    以上でございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    残り40分少々ですので、なるだけ多くの方々にお話しいただきたいと思います。
    まず、稲垣委員からお願いします。
  • 稲垣委員
    詳細な資料を本当にありがとうございました。なかなか興味深いものがあるかと思います。感想めいたことで恐縮なんですけれども、需要の点については細かな分析というのもあったんですけれども、取りあえずは目先の短期の需給のやり方です。なかなかこれブラッシュアップはしていっていただきたいと思うんですけれども、そんなに違ったこともできないのかなということなので、これは合目的に短期の需給のスキームをどうするかという話で考えていただければ結構じゃないかと思います。
    それで、長期の需要、3ページ目なんですけれども、この手のものは随分20年、25年の話ですので、こういうトレンドだということで、あまりこの数字に重きを置いて議論してみても手戻りが多いんじゃないかというように思います。その中でこれは野心的シナリオの話、こういうのは正直言って無理だろうと思うんですけれども、まず輸出の話ですね。輸出も一生懸命やっていただきたいと思うんですが、金額の話は別にして、量的にはそんなに大きなものにはならないんじゃないかというのが私の正直なところの感想です。
    それから、結論から言うと、需要は動かせないものだというのが私の信念でありまして、いろんな施策をやりますけれども、特に米の需要を増やせということは、要するに端的に言うと麦を食うなというか、あるいは太っちゃえということになりますので、これもそんなには食べる口が減る以上動かないんじゃないか、大きな図柄としては3ページ目のようなことなのかなと思います。
    それから、供給サイドの話について言うと、これは構造改革が大分進んだという評価があって、それは確かにそうなんですが、逆に言うと、私これ30年ぐらい断続的にこの仕事というかこの関係をやっていますけれども、まだこんなところかというのが正直なところで、スピード感としてまだまだというような気はしています。
    やり始めた時、60代の人がしばらくしたら引退するからと。今や私も軽く60を超えており、がたがきていますけれども、それなりに元気ですので、当然のことながらそれはないと。その次は70になったらといって、70になっても今の技術体系の下では農業を続けられるということで、さすがにもう80、90におなりになってくると無理ということで、切羽詰まっているところだろうとは思いますやはり集約化ということでコストを下げながらやっていっていただくということだろうと思います。
    それで、少しその点に関して申し上げると、最後のまとめのところで全水稲での作付面積の減少が主食用米より緩やかというのは、これは割合肯定的に評価しているような気がするんですけれども、主食用以外の水稲の作付は、ある意味では主食用に対するバッファーなので、そんなにバッファーの幅が増しているというのは、私としてこれはいかがなものかというように感じております。
    それから、平地農業のところで米以外のもの、これをかなり作っているというのも、これも何となく肯定的に捉えられているようなんですけれども、要するにやっぱり平地の方が水稲を作りやすいので、地域政策としての問題は別にして、中山間の方で米を作るのをやめていただいて、なるべく平地に集めるということが正しいんじゃないかと思っていますので、ここのところもいかがなものかというように思っております。
    それから、これは昔申し上げたことがあるかと思うんですけれども、最後に幾つか非常に良い例を、優秀というか、すばらしい例を挙げていただいていて、これでふと思ったんですけれども、やっぱりどれだけ所得を確保するかという中で、米だけでは無理だと思うんですね。
    都市の労働者並みの所得をなるべく確保できるようにしたいということなんですが、米だけだと半年しか働かないということで、裏作をどうするかと。裏作は今メロンとかアスパラとかありましたけれども、農業でも結構ですし、それから、機械のメンテ、そんなこともやっておられるようですし、私は昔アメリカで結構な大規模のところですが、そこでもやっぱり何か機械のアタッチメントを付け替えると、下水工事とかできるんだそうです。
    だから、公共事業を請け負っているとか。公共事業でも何でも良いんですけれども、そういったところ、これは食糧部会の話を越えて農水省全体でもあろうと思いますし、もっと言うと、農水省以外も含めてということだと思うんですけれども、経営体としてどれだけ所得を確保できるか、そういうことも少し頭に入れて施策をやっていただければというように思っております。甚だ雑駁な感想で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    私を抜いてあと8人いて、30分なので、ちょっとお時間だけ若干気にしつつお話しいただければと思います。
    オンライン、まず2名いるので、その後、小林委員の順でお願いしたいと思います。
    まず、金戸委員、お願いします。
  • 金戸委員
    直近で、三つ四つのスーパーを回ってみると、実際にお米が売られていない。売られていても2キロ袋が一つ二つ棚にポツンと置かれている。残りのスペースはすかすかというような状況が普通に起きているものですから、そうなると、やはり米が売られていないならほかのもので夕飯を作ろう、明日の朝は、パンでいいやというような購買行動となり、消費者がお米から離れていくのを助長しているように感じます。
    今回の生産量、それと需要全体の合計数字はご説明いただいた通りなのでしょうが、できましたら例えば、家庭用として内食ではどのくらいの需要、中食、外食ではそれぞれどのくらいの需要が見込まれるのかを、区分して数字でお示しいただくと、1人が1年間にどれだけの量を食べている、人口推移に基づく全体量の需要見込みとの整合性が確認できると思います。
    また、生産量に関しても全体でこれだけの量が見込まれます、作れますというのと、もう少し細かく地域別に、東北とか北陸とか九州とかという幾つかの地域に大きく括り、あるいは主要銘柄別に、どのくらいの生産量が見込まれるというのも早めに資料化されると、外食や中食の業界では、現在使っている産地銘柄はこれだけれど、将来的にこれでは量が不足する見通しなので、別の産地銘柄に代えようという動きも早めに取れると思います。
    一般消費者もそうでしょうが、米なら何でも良いという人は少なくて、どの産地のどの銘柄を食べたいという買う側の嗜好やこだわりはあると思いますので、その辺りまで踏み込んだ需給の数字の見える化をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    続いて、山波委員、お願いします。
  • 山波委員
    山波です。本日もよろしくお願いします。
    事務局の皆さん、本当に丁寧な資料をお作りいただいて、ありがとうございました。私の方から簡潔に1点に絞ってお話しさせていただきたいと思います。今日は中長期的な視点からということで、需要の方と、それから、供給の方、そちらの方にスポットを当てて議論していただいているところだと思うんですけれども、私は農業経営者として地方で生産の方に携わっている者としての生産の方でのお話をさせていただきたいと思いますが、今ほど生産の方でたくさんの緻密な資料を御提示いただきましたけれども、全く実際に携わっている人間としてもこういうような感じなんだろうという肌感覚と合っているんじゃないかなというふうに考えております。
    そういう中で一つ、全体の日本の中での農地の面積が変わらない中で生産に携わる生産者又はそういう団体の数が減っていく中で、どうしても今度は生産力というところが私どもは一つ危惧されるんじゃないかなと。
    今までと同じように同じ面積をたくさんの方々が手をかけて作ってできた量と、どうしてもICT、AI、自動化、こういった新しいツールというのは使っていくんですけれども、なかなか行き届かないところが大規模化していくことによって出てくる、そういったことで生産力が落ちていく可能性というのが一つ懸念されるんじゃないかなと思います。
    その辺ももし事務局の皆さん、お忙しいとは思いますけれども、ある一定の面積当たりの収量とか、そういったものがどういうふうに変わってきているのかというのをまた出していただけるとありがたいかなと。
    ただ、それをそのまま生産力が落ちていくことで経営は成り立っていくのかというと、そういうことにはならないので、もう本当に御尽力いただいて作っていただいた地域計画というのが本当にこれから生きてくるんだろうと思っております。
    令和7年3月末までに地域計画を策定するということを法定化されておりますので、今地方で一生懸命作っておりますけれども、なかなか現場で多くの方々が関わる中で、やっぱり緻密にまでは作れないという現状があると思いますので、是非とも事務局の皆様には、先ほどもお答えはいただきましたけれども、7年3月以降も半年なのか1年なのか、きちっとまた地域の方々で話し合いながら、またその時の流れとともに新しいものを作っていく、そういう地域の場を作っていけるような、そういうふうにまた推進していただければと思っております。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    続いて、小林委員、その後、澁谷委員、菅原委員でお願いします。
  • 小林委員
    皆さん、詳しい資料等を御説明いただき、ありがとうございます。皆さんから動向ですとかトレンドについてはお話がたくさんありましたので、企画課長からもお話ありましたが、中山間部での農業についてと新規就農等をする若者世代として、ちょっと僭越ながら肌感をお伝えさせていただければと思います。
    実際、中山間部でも面積が広がればある程度利益が生まれるというところは、資料16ページ等にも書かれていますけれども、確かにそういった面もあると思います。ただ、中山間部というのはやはり面積を広げれば広げるほど平地よりも手間が掛かるというところも知っていただきたいなと思いますし、資料のようにコストが下がる15ヘクタールとかそういったサイズ感になってくるまで広げるというのは、実際かなりハードルが高い。
    まず、面積を貸して下さるか、用水等、地域との連携の面でも課題がありますし、面積が大き過ぎることも新規で始めるのにはかなりリスクがあります。また、村自体が高齢化をしていて、10年後の村自体の存続自体も課題です。この資料に出ている2040年になると私は50歳になります。そんな中で、この村に住んで農業をやっていけるのか、そういったことも考えると、よりハードルが高いなというのは感じています。
    又は山間部においては、そもそもの収益分岐までの面積が取れないということもあるんじゃないかと思います。
    実際に自分も法人として生産から販売まで携わっていく中で、輸送費、人件費、資材とかが年々高騰していて、もちろんある程度のサイズまで広げて付加価値化をすれば大丈夫というお話もあるのは理解できるんですが実際には社員を入れてやるとなると収支が逆転してしまって法人経営として米だけに専業していくことというのはかなり現実的ではない、難しいなというふうに肌感としては感じています。
    また一方、補助金や助成金等サポートもありますというお話も以前いただいておりますし、実際私自身もそういったものはたくさんサポートを見させていただいたり、検討させていただいたりというのもあります。しかしながら、やはり手続は複雑でハードルが高い、農繁期以外にもやることも多く、新規就農していく中でそういった手続の方まで手が回るほど余力があるかと言われると、それはちょっとかなり難しいなというのも実際に感じております。
    こんな状況からいうと、平地に集約していくべきであるという方針についても理解できますし、やってみてやはりそうだなという納得感もあります。ただ、昨年というのは平地の方で水不足で断念された方だったり高温障害が多かったというお話もある中で、私たちのエリアは高温でも山間部というのは水が豊かであったり、高温の被害が少ないというところもあり、農業におけるメリットのような部分も感じていまして、この地を守りたい、守るべきであるのではないかという思いもあります。
    じゃあ、そういった状況の中、今後どうするのが正解なのかと聞かれてしまうと、実際に私自身も悩んでいます。きっと私たちだけではなくて、こういった高齢化の進む村や土地が日本にはたくさんあるのではないかと思います。本当にお米が好きで食べ続けるために農業を始めたけれども、やってみると想像以上に難しいなというふうに感じておりまして、中長期的に様々な問題、すぐには解決できないような様々な課題が含まれているなと私自身も感じているので、今日みたいなこういった機会をお忙しいところお時間を割いていただけることに大変感謝しています。
    だからこそちょっと突っ込ませてお話をさせていただけるのであれば、地域計画のようなプランのようなもので、もう少し農業への入り口を広げていくことはやはり急務なのではないかなと思いますし、若手の人たちが先輩方に聴いたり地域からのサポートを受けられるような、若手の担い手に寄り添った対応というのは今後の計画に含んでいただけると大変参入障壁が下がってくるのではないかなと感じています。資料の数字だけで見るというところではなく、この中長期で考えると、多角的に知って考えていく、検討していくべき課題がいっぱいあるなと率直な感想をお伝えしました。ありがとうございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    続いて、澁谷委員、お隣でお願いします。
  • 澁谷委員
    澁谷です。資料の御説明、本当にありがとうございました。私からは今現在の米穀小売店の現状について少しお話をさせていただければと思います。
    ここ2週間ほど特にやはり電話が鳴りやまなかったりですとか、店頭にやっぱりお客様がお米を求めて買いに来られて、朝一番に来ないともう全て売り切れてしまうという形で、お客様はやはりいろんなところに行ったけれども、5件、6件回ってもなくて、ここでやっと見つけられたよとか、ここでも売り切れてしまったねという形で非常にちょっと混乱しているような状況が見て取れます。
    ちょうど端境期ということももちろんありますし、業務用のお客様などお約束している方の数量も見込みながらの販売になりますので、やはり全てを出してしまうことができなかったりして、そうすると、お店にないというふうに思うと、どんどん混乱に拍車が掛かってしまって、ちょうどここ数週間はメディアの方のお問合せも非常に多くて、最初はなぜないんですかというお話だったんですけれども、ここ1週間はカリフォルニア米とかタイ米用の炊き方を説明してほしいというふうなお声を頂いたりですとか、本当に逆に言うとそれだけお米に対しての思いといいますか、すごく大切に思っていただけているんだなということは伝わってくるんですけれども、供給が全てきちんとできていないということに対してちょっと残念な思いもあったりするので、お客様たちにももう千葉米ですとか茨城とか私たちのお店でも入ってきているので、安心して下さいねと。
    もう新米は今年すごく出来が良いというふうに農家さんは仰って下さっていますよという御説明はさせていただいているんですけれども、まだやっぱりちょっと品薄感があるので、不安が不安を呼んでしまって、いつも5キロ1本で良いのにもう一本、もう二本という形で、あと、見つけたから送ってあげようという形で買われる方が多くて、より一層、先ほど需要が先に動いているというふうに仰っていただきましたけれども、そういった形でちょっと拍車が掛かっているかなというふうに感じています。
    その中で可能な限りお店でも御説明はさせていただいているんですけれども、農水省の皆さんにも今もう入ってきているよとか、需給は逼迫していないんだよということを先ほど宮島委員が言ったように、本当に消費者の方が分かっていただかないと恐らくこの混乱というのがなかなか収まっていかないかなと思うので、これからもできるだけ発信をしていただいて、丁寧に御説明をしていただけると非常に助かります。
    今回、需給のバランスというのが非常に難しいんだなということをすごく感じた令和5年産だったかなというふうに感じていて、最初に藤尾委員から需要と生産のギャップをどう見るか、今後2040年に向けてというお話を頂きましたけれども、令和5年産を見ていると、本当にそのことがどれだけ米価についてもそうですし、安定供給についても大切になってくるかなと思うと、本当に農家さんが再生産できる米価はもちろんのことですけれども、消費者の方に安定供給できる需給のバランスというのが毎年、毎年、本当に大切に見ていただいて、こういった場を設けていただきながら消費者の方にも発信して伝えていっていただければと思いますので、担い手の方をこれからどれくらい確保していけるのかということも含めて、全体のバランスをしっかり確認していただいて、この需給のバランスというのを令和5年産を振り返っていただいて続けていただければと思います。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    続いて、菅原委員、お願いいたします。
  • 菅原委員
    菅原です。よろしくお願いします。
    まず、資料の作成、あと、御説明ありがとうございました。私からは、私が今住んでいる地域のことについてお話しさせていただきたいなと思います。いつも私はお話ししているんですけれども、ここ二、三年、農地を手放す方が本当に多いです。農地を任せられることが多くなりまして、この地域でも大規模化が進んでいる、大規模経営をする方が多くなりました。なんですけれども、農業をやめる人が多くて、農地を手放す方が多くて、受入れ先が見つからないということも多くなりました。
    担い手さんたちもすごく限界に来ている中で、耕作していない農地も増えているなというふうに感じています。農地が増えれば人手も必要になってきて、雇用したいんですけれども、なかなか雇用も進まないという状況です。
    私と同じぐらいの世代の生産者に聴くと、農地も増やして雇用も増やしてこれからどんどん行くぞという感じの方はとても少ないように感じています。できるだけ現状維持を目指してやっているような方たちがいますし、じゃあ人手がいなければスマート農業を今進められていますけれども、このスマート農業を進めていこうという感じでもないです。スマート農業を取り入れるにも、その資金はどこから出すのか、維持するためにコストも掛かってきますので、どこから出すのかということにもなってきます。
    資料の中にも大規模化すればコストも幾らか抑えられるというふうなデータも出ていますけれども、実際の感覚としては、やっぱり資材とか肥料も値上がりしていますけれども、機械ですとか修繕費、人件費が上がっていますので、全体的に値上がりしているので、コスト削減になっているかどうかというのは実際のところ感覚としては、あまり下がっているなという感覚はないです。
    私も米と小麦を中心に生産していますけれども、まず、一後継者でもありますし、経営者でもあるんですけれども、これから続けていくためにも生産者の手元に残るような支援とか仕組づくりというのをこれからお願いしたいなと思っています。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    続いて、二村委員お願いします。
  • 二村委員
    ありがとうございます。御説明と資料をありがとうございました。
    私の方からは御説明と、それから、皆様の御意見を聴いて何点か意見を述べさせていただきたいと思います。一つ目は宮島委員からも御指摘がありましたこの1か月ぐらいのお米をめぐる状況というのは、非常にいろいろなことを示唆しているなと思いましたので、是非重要なケースとして打った施策やコミュニケーションがどうだったのかということを分析していただきたいと思います。再三御説明ありましたように、量的に足りないわけではないということだと思いますけれども、今回思いましたのは、需給というのは量だけではなくて、タイミングが合わないことによってこういう事態になるんだと思いました。その点ですとか、その前に打たれた一部加工用米向けの備蓄米の放出などもあったと思いますけれども、そういった施策ですとか、それから、情報発信の在り方がどういう効果があったのか、あるいはどういうよくない効果があったのかも含めて是非分析をしていただきたいと思いました。これが1点目です。
    それから、二つ目が大規模化をしていく時にどういうプロセスなり課題があるのかということを思いながら御説明と、それから、皆様の御意見を伺っておりました。資料の中にも好事例が紹介されておりますけれども、人・農地プランの中心経営体に位置づけられたというところがかなりキーなのかなとは思うのですが、一方で、こういう中心経営体に位置づけられるようなところはどういうふうに育成されてきたのかというそこのところがもう一つの鍵になるのではないかと思いました。
    もう一つは、皆様の御意見を伺っていまして、大規模化していく、特に20ヘクタール以上になってきた時の課題などをもう少し細かく見る必要があるのではないかと思いました。その課題とそれに対応した施策の検討が必要ではないか。それが二つ目です。
    それから、3点目に需要がこの後減っていくという3ページのグラフがありました。需要が減っていく時に生産の部分はもちろんですが、サプライチェーン上の様々な設備ですとか、そこに関わる企業だったり組織体だったりというものも当然量が減っていけば効率が落ちていきますので、それをどう維持するのか、あるいは効率を上げるのかというところも課題になると思いました。そういう課題もあるのではないかという指摘です。
    それから、最後に気候変動が起きてきておりますので、気候変動やそれに伴う風水害がどうしても増えてくると見ざるを得ないと思っております。
    そういった時に、一つは今も取り組まれていると思いますけれども、暑さに強いお米を作っていくですとか、あるいは風水害が起きにくいような整備というようなこともあるかと思います。もう一つは経営上のリスク管理というのでしょうか、どうしても経営体も大きくなってくると、そういう災害が起きたり被害を受けりした時にダメージが大きいというようなこともあるかと思います。
    こうしたことを経営上のリスクとして捉えるようなことはもいろいろな企業でされていると思います。農業の方でもされているかとは思いますので、もし取り組まれているようなことがあればお伺いできればと思いました。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    山﨑委員は御発言、どうですか。
  • 山﨑委員
    御丁寧な説明と、また、このような機会を設けていただき、ありがとうございました。
    生産現場から現在の状況を2点ほど述べさせていただきたいと思います。
    大規模な生産団体は後継者が確保されていると資料にもありましたけれども、農業への若い世代の人たちへの参入という視点から述べさせていただきたいと思います。今、大学生は水稲よりも野菜や果樹が人気であり、弊社は毎年母校に学生インターンシップを応募しているんですが、今年は応募がなかったという状況でありました。コストを考慮しながら魅力ある農業、すなわちもうかる農業を実現していかなければ農業への若い世代の人たちの参入は難しいのではないかと思いました。
    2点目ですけれども、今お米不足ということで現場も市場も大変混乱しております。お米不足の影響で先月の食糧部会でも述べさせていただいたんですけれども、1年以上も取引のないお客さんからのオーダーや百貨店、また、直売所からの大量のオーダーで弊社でも在庫が品薄の状況です。
    弊社では、弊社のお米を気に入って買っていただいている今現在のお客様には引き続き供給したいために、新規のお客さんは断っているという状況で、大量オーダーのお客様に関しては数量を制限して販売しているという状況です。これからお米の数量は逼迫していないという説明を引き続きお願いしたいと思います。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    最後、もし長部委員、よろしければどうでしょうか。
  • 長部委員
    ありがとうございます。今までかつてなかったような緻密な資料をそろえていただいて、ありがとうございます。
    皆さんからいろんなトレンドの話もされてきたんですけれども、25ページにそれらの細かな統計や分析数値から見たおまとめを頂いていて、これは全体としては前向きでポジティブな捉え方だなとは思うんですが、実際のところ、比較した比率とかシェアだとかを数値として見ればもちろん正しく大切なんだと思うんですが、少し違う現実がここの隙間に潜んでいるんじゃないかなというふうに感じました。
    絶対的に農業に注力する人というのは減少する、これは紛れもない事実だと思いますので、宮島委員が仰ったような農業へ就労する人口をどう増やしていくかというのは、将来的に日本国民にとって根本的な重要な課題だと思います。
    そういう意味で、例えば農業大学や学部にも農学部がありますが、その人たちが卒業して、じゃあ農業に従事するかといえばあまりしないんですよね。食品会社や製薬系企業に就職することが多いと思います。そこで、なぜそうなるのかというところなんですけれども、やはり所得の低さとか、それから、労働のきつさというのがこれは絶対あると思います。その回避として大型経営のスマート農業というのももちろんあると思いますけれども、やはり日本という地理的な問題もありますから、そこで地域、地域の特性を生かした細かな行政からの支援、目線というのがこれからますます必要になっていくのではないかなと思いました。
    大規模農業とか大規模経営体ほど、年齢構成も若い傾向があるという話はもちろんそのとおりなんだと思うんですが、現実的には若手の絶対数は少ないと思うんですね。あと10年経てばやめていく数の方が必ず多いので、そういう大規模農業にそぐう地域や山地など、地域性にそぐった農地の整備や対策をこれからますます、更に丁寧に推進していただいたらというふうに思いました。あと、学校給食ですが、地域により違うのかもしれませんが、保育園も運営している立場から見ると、全国の給食でもっと米を提供してはと思います。
    子供たちはやはりパン食が好きな傾向で、家では冷凍のピザとかを簡易に朝御飯で食べてきたりしている家庭もある、小さい頃から三つ子の魂と言いますが、幼少期からの食習慣は大人になればパン食になってしまうことが多いと思うので、やはり学校給食や保育園などで米を食べる献立をもっともっと食育として推進していくべきではないかなと思います。
    それから、最後にやはり自然災害、気候変動が非常に大きくなっている昨今ですので、備蓄米は適量だとは言いつつ、もちろん国家予算で買わないといけないというリスクもあるんですが、備蓄米の数量は年々そうした状況を見ながら見直されてゆくのが正しいのではないかなと感じております。ありがとうございました。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    ちょっとお時間も迫っているので、事務局の方からポイントを絞って何かレスポンス等あればお願いします。
  • 武田企画課長
    それでは、私の方から一括してお答えしたいというふうに思っております。まず、現下のお米の品薄の状況でございますけれども、ここはこれまでの取組なども反省しつつ、他方でしっかりと情報発信なり情報収集、あと、流通段階への働きかけをしっかりやっていきたいというふうに思ってございます。
    また、それ以外の部分で生産の方、消費の方、それぞれもう少し細かく分析しろという話と、あと一方で、あまり細かく分析すると、なかなか良い分析結果も得られないというところもございますけれども、特に規模の拡大が小林委員も御指摘あったように中山間でなかなか難しい面もあるし、また、二村委員からも御指摘あったとおり、それぞれの事例がどういうプロセスを経ていくのかというこのあたりは、今回のものはマクロで見ているわけでございますけれども、少しプロセスなんかも含めて見ていく、あるいは金戸委員から御指摘あったように地域とかそういったところでも見ていく、あるいはそこは金戸委員からもございましたように、消費の面ももう少し分析できるところをやってみる。将来はここからあれかもしれませんけれども、これまでのところの分析はもしかするとできるかもしれませんので、そこのトライはしていきたいというふうに思ってございます。
    また、気候変動への対応なりそういったところについても、昨年も高温、渇水の状況ということで、これに対して対策も打ったところでございますけれども、そこについても引き続き今週も台風が来るというふうなことでございますけれども、いろいろ注視しながら必要な対応を打っていきたいというふうに思ってございます。あと、食育の関係などまたちょっと今日はお時間がないからあれですけれども、いつも机の上に置かせていただいている資料の中には、そのあたりの分析した資料もございますので、またそこはお時間を改めて御説明する機会を設けさせていただければと思っております。
    一旦以上でございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    本日、私もオンラインで声も割れていたというふうな御指摘もあって、大変お聴き苦しいところ申し訳ございませんでした。
    私も言いたいことはあったんですけれども、ちょっとどこかで言わせて下さい。
    今日、一言で申し上げて、今回の会議は通常と違う会を設けさせていただいたんですけれども、皆様から開催に関してポジティブな御発言が多かったのかなというふうに思っています。そういう意味で、事務局にもお手数だとは思いますけれども、機会を見て、こうした形のより中長期的なことを議論できる会をまた設けていただくことを御検討いただけるとありがたいのかなと思っていますし、本日様々な御意見を頂きましたので、是非こちらの方を施策の方にしっかり反映していっていただければと思っています。
    以上です。
    事務局の方にお返しします。
  • 島本企課課課長補佐
    大橋部会長、すみません、オンラインでの御司会を頂きまして、ありがとうございました。
    それでは、お時間もございますので、閉会とさせていただければと存じます。
    閉会に際しまして、改めて山口農産政策部長からごあいさついただきます。
  • 山口農産政策部長
    本日は長時間にわたりまして御議論いただきまして、大変ありがとうございました。
    本日、米の消費及び生産の様々な点にわたりまして、忌憚のない御意見を頂きました。今回頂戴した委員の皆様の御意見をしっかりと受け止めさせていただきまして、今後の施策の検討、推進に反映させてまいりたいと考えてございます。
    特に中長期の視点では、先ほど武田からもございましたけれども、今後食料・農業・農村基本法に基づきまして、新しい基本計画の議論が進んでまいります。基本計画そのものは企画部会での議論ということになりますけれども、私どもここで今いただいたような御議論を踏まえて、どういった形で基本計画の議論に反映させていったのか、あるいはこういう形で我々として例えばこういう推計等を深掘りしていったのか、こういったところのフィードバックというのは、食糧部会の方にも適宜させていただければというふうに思ってございます。
    それから、短期的な視点では、やはり今の米の需給の状況ということについても幾つか御指摘を頂きました。私どもの役割としては、やはり適切な情報発信あるいは供給を担っていただいている皆様方へのいろいろなやり取りを通じた安定的な供給の確保、こういった点も必要かと思っております。消費者の皆様への情報発信も必要だと思っております。その点も引き続き続けてまいりたいというふうに思ってございます。
    本日の精力的な御議論に御礼を申し上げまして、閉会のごあいさつといたします。
    ありがとうございました。
  • 島本企課課課長補佐
    それでは、以上をもちまして本日の食糧部会を終了させていただきます。
    委員の皆様におかれましては、長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。




      午後5時04分 閉会

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