食料・農業・農村政策審議会食糧部会 議事録(令和2年7月30日開催)
開会
- 近藤農産企画課課長補佐
予定の時刻がまいりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開会いたします。
3月の当部会は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、資料による持ち回り開催とさせていただきましたが、本日はこのようにウイルスの対策を講じた上で、会場及びウェブでの開催とさせていただきます。
委員の皆様におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
開会に先立ちまして、本日の委員の皆様の御出席状況でございますが、ここに御列席の皆様、そして今回は有田委員、長部委員、平田委員、そして宮島委員におかれましては、そちらにスクリーンがございますが、ウェブで御出席いただいております。なお、加藤委員及び根本委員におかれましては、所用により御欠席との連絡を事前にいただいておりますので、御報告申し上げます。また、ウェブにより御出席の有田委員におかれましては、所用により途中退席される予定でございます。結果、全体の3分の1以上の委員に御出席をいただいておりますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条の規定により、本部会は成立しております。
それでは、開会に際しまして、加藤農林水産副大臣からごあいさつをお願いいたします。
農林水産副大臣あいさつ
- 加藤農林水産副大臣
皆様、こんにちは。御紹介いただきました農林水産副大臣の加藤寛治でございます。
食料・農業・農村政策審議会食糧部会の開会に当たり、一言ごあいさつを申し上げます。
委員の皆様方におかれましては、本日はお忙しい中御列席、そしてウェブにより御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。心より感謝を申し上げます。
まず、今月の九州地方をはじめ、日本各地を襲った豪雨災害によりお亡くなりになられた方々に、心からお悔やみを申し上げます。また、被災された方々にも、重ねてお見舞いを申し上げます。
今後、天候が穏やかに推移し、全国の産地が笑顔で出来秋を迎えられるよう、祈念をしているところでございます。
本年に入り、新型コロナウイルス感染症の影響により、食料の消費、供給をめぐる状況は大きく変化しております。大変難しい現実の下で、食料の安定供給の確保が最重要課題であることは論をまちません。
我が国においても、今後ともお米を安心して食べられる環境を維持していけるよう、生産者、消費者をはじめ、関係者の皆様方の御意見もお伺いしながら、お米の需要に応じた生産、販売に必要な取組を推進してまいります。
本日の食糧部会では、こうした現下の状況も踏まえ、この1年の米の需給動向等に基づき行う、「米穀の需給及び価格の安定に関する基本方針」の策定について諮問をさせていただき、委員の皆様に御審議の上、御答申をいただきたいと考えております。
委員の皆様方からの忌憚のない御意見、活発な御論議をお願いし、私のあいさつに代えさせていただきます。
本日はよろしくお願いいたします。 - 近藤農産企画課課長補佐
ありがとうございました。
なお、加藤農林水産副大臣におかれましては、次の御予定があるため、ここで退席されます。
(加藤農林水産副大臣退室)
- 近藤農産企画課課長補佐
本日の食糧部会では、各設備はアルコールで消毒するなど、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐための対策を講じておりますが、委員の皆様におかれましても、会場におけるマスクの着用につきまして御協力をお願い申し上げます。また、一定時間ごとに換気を実施いたしますので、あらかじめ御承知おき下さい。
議事の前に、本日の資料の確認をさせていただきます。今回の食糧部会におきましてもペーパーレス審議会とさせていただきます。目の前にタブレット端末、また、ウェブで御参加される委員の皆様には、電子メールで先ほどお送りさせていただいたファイルを御覧いただきますようお願いいたします。
資料名を順番に読み上げさせていただきます。資料一覧、議事次第、委員名簿、資料1「諮問の写し」、資料2「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針(案)」、参考資料1「米の基本指針(案)のポイント」、参考資料2「米の基本指針(案)に関する主なデータ等」、参考資料3「米をめぐる関係資料」、これはページ数が多いため2分冊となっております。それから、参考資料4として、米に関するマンスリーレポート、そしてその資料編となっております。
資料の不足などございましたらお申出いただきますようお願いいたします。
会場の皆様におかれましては、タブレット端末で指でも操作いただけるようになっております。一部、文字が小さい資料もございますけれども、真ん中のプラスのボタンを押していただけると文字が拡大するようになっております。また、御発言の際には、目の前に置かれておりますマイク機器の下部にございますボタンを押しますと赤色が点灯しますので、その後、御発言下さい。御発言が終わりましたら再度ボタンを押して下さい。
また、ウェブ参加の皆様におかれましては、常にこちらの音声が聞こえる状態にしていただき、御発言の際にはマイクをオン状態に、御発言が終わりましたらオフの状態にしていただきますようお願いいたします。動作の不具合が生じた場合には、周りにいる事務方に声をお掛けいただければと思います。また、ウェブ参加の方は、動作に不具合が生じた場合には、チャットまたはメール、携帯電話等により事務局の方に御連絡願います。
それでは、この後の議事進行につきましては、大橋部会長にお願いしたいと思います。
議事
- 大橋部会長
皆さん、こんにちは。お忙しいところ御参集いただきましてありがとうございます。また、ウェブでの御参加の方も、お忙しいところありがとうございます。
それでは、本日の審議会の取扱い及び議事の進め方について確認をしたいと思います。
本部会については、食料・農業・農村政策審議会議事規則第3条第2項の規定により会議は公開することとされています。また、本会議における皆様の御意見等につきましては、議事録として取りまとめの上、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
本日は、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の策定につきまして、農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に諮問がありました。事務局から御説明の後、委員の皆様方から御意見、御質問を頂戴した上で、基本指針の案が適当かどうかの議決をしたいと思います。
委員各位、それから事務局におかれましても、効率よく議事が進められるように、円滑な進行に御協力いただきつつも、活発な意見交換、あるいは御意見をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
全体としてこのような進め方で考えていますがよろしいでしょうか。
(異議の声なし)
それでは、議事の(1)米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の策定について御審議をいただければと思います。
まず、事務局から諮問文書の読み上げを行っていただいた上で、資料の説明をお願いいたします。
(1) 米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の策定について
- 佐藤農産企画課長
政策統括官付農産企画課長の佐藤でございます。本日は御参集ありがとうございます。
それでは、まず資料1、諮問を読み上げさせていただきます。
2政統第845号
令和2年7月30日
食料・農業・農村政策審議会会長殿
農林水産大臣 江藤拓
諮問
米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の策定について、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律第4条第4項の規定に基づき、貴審議会の意見を求める。
以上でございます。
それでは、今回は7月の食糧部会ということで、この1年の需給動向を踏まえた基本指針を新たに策定するというタイミングでございます。1年前の食糧部会のときには、新型コロナウイルス感染症というものがこのような状況になっているということは、当然予想できていなかったわけで、この数か月、本当に予期せぬ事態が起こり、お米の需給を取り巻く環境も大きく変化をしている中で、この基本指針の策定に当たりまして様々な検討も行いましたが、是非この場で、本日は委員の皆様方にこの間の様々な動きを踏まえた率直な御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、資料2が基本指針の案の本体でございますが、こちらは適宜御参照いただくこととして、この中身をポイントとして参考資料1で簡単にまず御説明をし、併せてこの参考資料2を使いながら、この基本指針の内容について、議論を深めるための材料を御提供したいと思いますので、よろしくお願いします。
では、まず参考資料1、米の基本指針(案)のポイントから御説明を申し上げます。
まず、上の段は最近の需要動向ということで、今回新しく数字をお示しすることになりますのが、右の上にあります民間流通における6月末在庫量の推移のデータでございます。これは当省が関係機関に御依頼を申し上げてデータを収集した数字でございますが、今年6月末現在の民間在庫量の速報値は201万トンとなりました。
参考資料2の1ページ目に、持ち回りでしたけれども、今年3月の食糧部会の基本指針の中身をお示ししております。3月の時点で今年6月末の民間在庫量については、左上の表のEの欄で、187万トンという見通しを示しておりましたが、今回数値としては201万トンということで、14万トン上振れしたということになりました。
この結果、この1年間の令和元年産を中心としたお米の需要量がどれぐらいだったかという数字が出てくるわけですけれども、この米の基本指針(案)のポイントの上のオレンジ色の棒グラフにありますとおり、計算すると、この1年の需要実績は713万トンということになりました。隣にある1年前の需要実績が735万トンですので、22万トンという大幅な減少ということになります。
この需要実績については、参考資料2の先ほどの3月時点の基本指針においては、我々は727万トンと見通しておりました。最近申し上げているとおり、残念ながら人口減少と高齢化により、米の需要量については毎年10万トン程度ずつ減少していくトレンドにあるということは、なかなか動かし難い現実でございますので、前年735万トンだったものが727万トンになるだろうと見通していたのですが、実際のところはそれよりも14万トンほど大きく減少してしまったということになります。
本日この後の皆様方との意見交換では、この需要の減少をどう分析するかということに、特に御意見をいただければと思っております。
この結果を踏まえた上で、次のこの先の見通しについて、基本指針の方でお示しをすることになっておりまして、これが米の基本指針(案)のポイントの方の下段の部分になります。
まず、今回713万トンと大きく減ってしまった需要量について、この後、来年にかけての1年間の需要量がどうなるかということの見通しにつきましては、下段の左側にありますとおり、これまで我々が採用している回帰式を用いた計算式に、減も踏まえて数字を当てはめると、715万トンということで、この1年よりは少し上向きになるという数字が出てまいります。平成25年ですけれども需要量が前年よりも30万トンぐらい大きく減った年がありましたが、その翌年は少し需要が戻るようなこともありますので、やはり大きく減ったら、その反動というのはあり得ます。次に、下段の右側の令和2年から3年の需給見通しのところを見ていただければと思いますが、まず、Aの在庫については201万トンということになり、そして、需要量は715万トンと見通します。Bの今年の秋に穫れるお米の生産量については、まだ現時点では何万トンになるのかというのは正直分からないところがあります。作付けの動向等は調査しておりますけれども、天候等の影響もありますので、現時点においてはこのBの欄は、参考資料2の1ページの令和2年3月の基本指針でお示しをしている709万トンから717万トン、いわゆる民間在庫量が安定供給を確保できる適正な水準になると言われているところと見合った生産量になるということで、今回もそのまま置かせておくこととして、令和3年、来年の6月末の民間在庫量の見通しは196万トンから204万トンということになると見通すこととしたいと思っております。
ただし、この表の注釈の欄に書かせていただきましたが、まず先ほど申し上げたこのBの生産量、709万トンから717万トンについては、我々が調べている産地の今年のお米の作付けの動向と、それから今後の作柄によっては、この数字よりも大きくなる可能性が十分あるだろうということを注1に書きました。
また、注2では、このDの需要量、715万トンということで計算では出てくるのですけれども、新型コロナウイルス感染症が今後どのような形で、どのような影響を及ぼすのか、まだ正直分からないところがあり、この715万トンという数字も、例えば下振れする可能性もあるのではないかと思っているところです。そういう意味では、このEの欄の196万トンから204万トンという数字が、これ以上に大きくなる可能性もあるというようにお示しをすることができると思っております。
この後は、参考資料2を少し御説明しながら、皆様方の御意見、これからの議論の御参考としていただければと思います。
1ページ目は先ほどの基本指針でございましたが、まず、今回そういう意味では見通しよりも14万トンほど需要量が減少した、このことは一体どういうことが背景にあるのかということを御一緒に考えていきたいと思いますが、1つの材料としては、まずこの民間在庫量の状況を2ページにお示ししています。
ここに出している民間在庫量は、先ほどの201万トンとはイコールではなくて、201万トンの6月末の民間在庫量は調査の対象が大きく広がっておりまして、生産者の段階の在庫と、出荷段階、販売段階の3段階の在庫をより広い客体で調査しているデータですが、それとは別に、毎月、我々は出荷段階である農協さんとか集荷業者さんが持っている在庫と、販売段階である卸業者さんなどが持っている在庫について、比較的規模の大きいところに限ってですけれども調査をしております。
赤で囲っておりますけれども、令和元年の7月から今年の6月までのこの在庫の推移を見ていただくと、昨年の9月から、前年よりも多い形で在庫があるということが分かります。昨年の12月の段階ではプラス17万トンという、新型コロナウイルス感染症が起こる前の段階でも、こうした大きな在庫の差が出ていたということですので、その後、感染症の影響もあって、今年の5月、6月も数字は大きくなっていますけれども、昨年の秋口の段階でお米がある意味、売行きがあまりよくなかったということが、ここで示されていると思っております。
ただ、この在庫は全国一本の数字ですけれども、やはり地域ごとに多少差があるということも踏まえておかなければいけないと思っています。
例えば、今、全国で2番目の生産量である北海道ですけれども、北海道の今年6月の在庫の量は、その前の年よりも1,300トン多いぐらいで止まっている一方で、例えば新潟県とか山形県などのように、前年よりも3万トン以上在庫が多くなっているような主産地もあるということで、やはり販売の状況は、各産地によって多少の濃淡があるのかなということが見てとれると思います。
それから、今度は販売の動向から見ていきたいと思いますけれども、4ページになります。我々は毎月、こちらも比較的大手の卸売業者の皆様に毎月の販売数量の動向の御報告をいただいているところです。これも元年の7月から今年の6月までの推移をお示ししております。小売事業者向けスーパーなどの精米商品向けと、中食・外食向けで分けてデータを出していただいているところですが、例えば昨年の10月、11月、12月はどちらも100%を割れているということで、やはりこちらの販売の動向から見ても、昨年、お米は秋口にあまり売れていなかったということが見てとれます。
ここで新型コロナウイルス感染症が年明けから出てきたときに、もう御案内のとおりですけれども、2月、3月の月末は東京都内でもスーパーからお米が消えるというような状況もあったところでございまして、2月、3月、4月と、小売事業者向けの方の数値は110%を超えるようなデータで、大変大きく売れたということです。5月は恐らくこの2月、3月、4月でたくさん買ったものが少しお家に溜まっていて、少し落ちていますけれども、6月はまた104%ということで、家庭用、小売事業者向けは非常に好調になっています。
一方で、やはり、中食、特に外食の方は、営業もできなかったということもあり、4月、5月は70%台と、ここで如実に新型コロナウイルス感染症の影響があったということが見てとれると思っております。
あと、参考にこのページの下には、家計調査の家庭での購入数量も出ておりますけれども、やはりこれも昨年の秋、10月、11月は前年よりも1割以上お米を買っていないということで、これがどうしてなのかなということを少し考えてみたのが5ページでございます。正直、ここは我々も推測の域を出ないところがございまして、是非業界の皆様方の御意見をお伺いしたいと思いますが、昨年の秋、こうしてお米が売れなかった状況がなぜあるのかということで、1つは、この説明のところにも書きましたけれども、今、お米のいわゆる相対取引の価格の水準というのが1万5,000円台ということで、この3年ぐらい、いろいろな評価があると思いますけれども、一般的には比較的高い水準と言われているところがございます。こうしたことが何らか消費行動、購入量の行動に影響を与えていて、どちらかというと消費者、実需者の皆さんが購入を抑えるような傾向が、もしかするとあるのかもしれないと考えたところです。
そして、もう1つ、やはり特に先ほどの家計調査などを見ると、10月、11月という数字が非常に悪かった。昨年の10月、11月に何があったかというと、10月から消費税が引き上げられました。8%が10%になり、ただ食品は軽減税率ということで8%のままではありましたけれども、やはり、外食業者さんはイートインは10%に上がったということで、外食全般を控える傾向の中で、外食で食べられるお米の量が控えられたということもあるでしょうし、お米は5キロだと2,000円ぐらいですけれども、スーパーで買物をするときに、単価から考えると、商品単価としては2,000円、3,000円というものは高額な商品とも言えますので、そういった価格の面で、もしかすると購入を控えるようなことがあったのではないかと思います。全体として、消費税が上がったから消費を抑えなくてはいけない、そういった中でお米になかなか、手が出なかったというようなこともあったのかもしれないという推測でございます。
他にも要因があったのかもしれないので、そうしたことを是非委員の皆様からもお話を伺えればと思います。
そして、6ページの新型コロナウイルス感染症の影響です。今7月ですし、まだ感染拡大が続いている中で、現時点では6月末までの分析になりますし、これからこの影響というのも拡大してくると思われますけれども、この感染症が米の消費にどういう影響があったかということです。1つは、確実にマイナスの影響になっている要因は、やはりインバウンドの需要が減少したということだと思います。これはもう外国人の方が日本に来なくなってしまい、その代替の需要というのはありませんので、完全にこの需要は消えたということになります。
では、どれぐらい消えたのかということで、左側にグラフ等がありますけれども、少し我々の方で推計をしてみたのですが、仮に昨年と同じペースで外国人の観光客の方が日本に来ていたとすると、今年の1~6月の上期だと、1,600万人ぐらいは来ていたはずなのですが、実際これはほとんど1月だけの数字だと思いますけれども、今年は395万人しか来ていなくて、1,269万人ぐらいの外国人の方が来るはずだったのに来なかったということです。もしこの方々が来ていたらどれぐらいお米を食べていたのだろうなと計算をしてみまして、滞在中1日2杯ご飯を食べていたとすると、今、外国人の方は平均9泊10日ぐらい日本に旅行で来ているとするらしいので、それで掛けてみると、大体1.5万トン分ぐらいのお米の消費が無くなったという計算ができます。
外国人の方々は、なかなか今の環境ですと戻ってこないということで、そういう意味では、7月以降もこの数字が積み上がっていくことになる可能性はございます。
それから、先ほどから出ている、外食が営業自粛等々で非常に売上げが落ちているというのは、もう既に御案内のとおりですし、今日も報道されておりましたけれども、飲食店の閉店が相次ぐというような状況下において、やはり外食・中食の需要の減少というのは大きな影響かと思います。
他方、お米は外で食べなくなった分、家庭では食べるということになりますので、それぞれがどういう変化があったのかというのも、この6ページの右下でございますけれども、推計をしてみました。
結論だけ申し上げますと、中食・外食は、この3月から6月の4か月で需要量が8.6万トンほど減ったという計算ができ、一方、家庭の方は7.7万トン増えたという計算ができます。この中食・外食の8.6万トンの方に、外国人の方が来なくて食べなかった分もかなり含まれているとは思うのですけれども、8.6万トンと7.7万トンというのだけをもし比べると、やはり家庭で食べる量が、中食・外食で減った分をカバーし切れていない面もあるのかなというところでして、やはりこういったことで中食・外食の減少というのも、新型コロナウイルス感染症の影響としては1つ言えることかなと思っているところです。
以上が需要の減少の関係です。
ちなみに、7ページは参考までですけれども、御案内のとおり、やはり巣籠もり消費という中で、食を家で楽しむというような傾向が変化として現れている中で、ご飯食についても、右側の方ですけれども、パックご飯の販売数量をPOSデータで見てみますと、特に1月以降、高い伸びになっています。やはりご飯はパンや麺に比べると、食べるまで、お米を研いで、浸水して、炊飯器に入れて、炊いて、蒸らして、食べる、その後、片付けもするというような手間を考えると、他の穀物に目が向きがちなところもありますが、そういう意味でパックご飯、レンジで2分、チンをすれば食べられるというところに大変人気が高まっているということだと思います。
あるいは、やはりこの間、新型コロナウイルス感染症に負けないということで、免疫力を高める食事というものも、注目されている中で、お米についても健康機能性を売りにした商品というのが大変人気を呼んでいるというような傾向もございます。これからこの感染症と共存を当面していかなければいけない中で、お米の需要を伸ばしていくヒントとして、こういう動きを参考にしながら、様々な取組が行われると良いのかなと思っております。
続いて、参考資料2の8ページ、9ページ、10ページと、今の産地の作付意向の資料を入れております。今年の6月末現在で当省で各産地に聞いたところでありますけれども、現時点では主食用米の作付けについては、全国で見ると昨年よりも微減するという見通しが立てられるような作付意向になっております。先ほどの基本指針でお示ししている、今年の主食用米の生産量は709万トンから717万トンですけれども、昨年の生産量は作況99で726万トンということでした。これが微減ですので、そういう意味では、作況が平年並みであれば、昨年とそれほど変わらない生産量があるということで、この709万から717万トンという数字よりはやはり多い生産量が予測されるのが現時点であるということでございます。
11ページになりますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響で、やはり移動の制限もございました。なかなか対面でいろいろな意見交換をする、議論をするというのができない中で、毎年6月末までに生産者の皆さんには、今年どのような作付けを行うのかという営農計画書を提出していただき、主食用米の生産量等も方針を出していただくことになっておりますけれども、今年度につきましても、提出期限を実質的に8月末まで延長させていただいて、その時点まで追加・変更ができるようにと、今やっているところでございます。
本日、このお示しをした米の基本指針(案)に関するデータ等も踏まえながら、主食用米の作付けを、田植えはもう終わっているわけですけれども、仕向け先を最終的に変えるというような選択肢も取るべきかどうかということを各産地において是非御検討いただきたいということで、今、当省も含めて、産地と意見交換をしているところでございます。
12ページには価格の動向をお示ししております。今回、民間在庫の数量が200万トンを超えたということで、生産者の皆様からは、やはり米の需給が緩和をしている傾向にある中で、特に今年取れるお米の価格が下がってしまうのではないかという御心配の声が上がり始めていることは、我々も承知しているところでございます。
お米の価格といったときにいろいろな価格があって、ここに相対取引価格、スポット価格、小売価格、この3つをお出ししていますけれども、それぞれのお立場でどの価格に一番注目するかというのも変わってくるところはあると思います。現時点においては、相対価格は大変安定をしているところです。
そして、右側のPOSデータの小売価格、スーパーで買うお米の価格については、今回、新型コロナウイルス感染症の影響で、逆にスーパーで週末にお米1割引とかの特売セールがよく行われていたところですけれども、やはりスーパーの混雑を避けるという意味で、チラシがなかったり、セールも行われなかったりということで、全体的には昨年よりも小売価格が高い状態が続いています。
そして、真ん中のスポット価格だけ、この折れ線グラフで一部価格が下がっている銘柄があるのがお分かりだと思います。ここのページは少し小さいので、参考資料3の方には大きなものを載せております。必要であれば御参照いただければと思いますが、主に業務用として、中食・外食向けのお米として使われることが多い銘柄については下がっている傾向がありまして、そうではない、主に家庭用、あるいは比較的値段が高い高級なお米としてブランド化されている、山形の「つや姫」とか、北海道の「ゆめぴりか」などは比較的安定したもので推移しています。スポット価格は一時的に5月ぐらいからかなり下がりましたが、今は少しまた上向いてきているというようなところで、現時点においては、そういう意味では価格は全般的には安定しているところではありますが、今後の価格動向については注視していかなければいけないと思っているところです。
最後に、関連してお米の輸出のことだけ少し御紹介させていただければと思います。
13ページですけれども、新型コロナウイルス感染症の影響で輸出も滞っているのではないかと一般的には思われるところですが、実はお米の粒に関しては、赤で囲っておりますけれども、1~5月は前年の同期より30%、数量も価格もプラスに出ているところでございます。これは我々も少し予想外のところがあるのですけれども、やはり海外でも外食産業は営業ができず、そういう意味で巣籠もり消費が増えて、家庭でご飯を食べる機会というのが増えているようで、そのときに日本産米を求める、在住日本人の方だけではなくて、現地の方、特に香港とかシンガポールのようなところに対する輸出が伸びているのですけれども、そういったところでは小売需要が高まったということで、日本産米も輸出は大変順調に推移しています。
一方で、お米の中でも、コメ加工品の中でも、日本酒が残念ながら激減しています。これは国内の方も、日本酒は外食で飲まれることも多いこともあって、大変大きく減少していますが、海外の輸出も、昨年までは大変好調に推移していたところですけれども、今は3割ほど減少ということで、ここは輸出をもう1回盛り上げるということが必要かなと思っております。
最後に、米の基本指針(案)のポイントに戻っていただきまして、備蓄の運営について基本指針ではお示しをすることにしておりまして、右下にございますけれども、令和2年から3年の備蓄運営は、例年どおり、来年の6月末の備蓄量を100万トン程度ということで、適切に対応していきたいと思っております。参考資料2の17ページに備蓄米の資料を1枚入れておきましたけれども、政府がお米を備蓄しているということは、我々も広報というか、周知の仕方があまりよくなかった点もあるかと思うのですけれども、あまり知られていないことが多く、今回新型コロナウイルス感染症で、それこそスーパーからお米が消えたときに、「大丈夫かお米」、「心配だ」、「政府は備蓄しているのか」というお問合せを、結構我々の方にもダイレクトにいただいたりしました。政府として100万トン程度、そして、それとは別に民間の在庫があるということで、常に数か月分の在庫は日本の中にありますよということをお話しして、安心していただいた方がたくさんいらっしゃいました。そういう意味では、これからも政府が備蓄をしているということへの理解を正しくしていただけるような広報活動というのを、我々としてもしていかなければいけないと思っております。
以上、少々長くなりましたけれども、資料の説明とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
- 大橋部会長
ありがとうございました。
ただいま事務局から基本指針の案の諮問事項について御説明があったところです。これにつきまして、皆様方から御意見、御質問をいただきたいと思います。
まず、早めに御退出されると伺っているのが有田委員で、本日はウェブでの御参加ですけれども、もしよろしければ、まず有田委員から御意見、御質問をいただければと思います。いかがでしょうか。 - 有田委員
先に発言させていただきます。
いろいろ御説明していただいた中で、分析が正しいかどうかというようなことも御意見いただければということでした。昨年、消費税が10%に上がる前にはどうしてお米がそれほど売れていなかったかということについては、私もどうしてだろうと思っています。もう少し情報収集をして意見を申し上げることができればよかったのですが、消費税について申しあげれば幾ら8%の据置きということであったとしても、価格は5キロで2,000円を少し出るくらいが相場です。購入時に高く感じる人もいるのかもしれません。少し脱線しますが、お米についてはやはり軽減税率というよりも、課税しない、0%にしてほしいと思っています。自給率でいえば、唯一の優等生ですし、様々な意味で重要な農作物です。消費が昔に比べて落ちているとしても、私たち国民が、お米の加工品なども含め、これからもしっかり食べていくことが必要だと思いながら御説明を伺っておりました。今年は新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言で自宅にいる時間が多くなり、お米の売れ行きが良くなった、備蓄のために購入した人もいたということもお聞きしました。テレビ報道でもそのようなことを伝えていました。 全体的な考え方、分析の御説明については理解いたしました。 それから、新型コロナウイルス感染症や水害で、つくづく思いましたのは、備蓄の重要性です。国の備蓄の状況は、心配はないのでしょうし、備蓄米の状況は存じ上げておりますけれども、やはり先ほどの御説明にありましたように理解してもらうためにもっと発信をしていただきたいと考えております。もちろん、私たちも努力しなければいけません。人口減少なども関係して消費が下がってきている、減少してきているということなのでしょうが、それに伴って減産、減反を進め、それに対して税金をつぎ込むことが健全なあり方なのかどうか悩むところです。農林水産省の事務方も様々に努力されながら数字を出していただいているようですが、日本の農業がこれからも持続可能であり、元気であり続けるための必要な支援と支えるための健全な税金の使途で、農業政策を進めていただきたいと考えています。 全体としてこの方向性については、承知いたしました。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、この会場の方も、あるいはウェブで御参加の方も、皆さんから御意見を伺いたいと思っております。ウェブの方は、もしチャット欄にいただければ指名いたしますし、会場の方は名札を立てていただくなり、手を挙げていただければよろしいと思いますので、是非皆様方からお願いいたします。
それでは、金井委員お願いいたします。 - 金井委員
それでは、3点ほど意見を申し上げたいと思います。
まず1つは、基本指針の需給見通しについてです。
政府がこの段階で作成するものとしては、こうなるのはやむを得ないのかとは思いますが、見通しとしては極めて甘いのではないかと思います。と言いますのは、この新型コロナウイルス感染症の影響で、令和元年産も非常に厳しい状況になっておりますし、今まさに第2波が出ているという状況になっているわけです。政府は政府としてテレワークを推進して7割削減とか言っていますし、実際、今、外食もしなくなっているわけですし、またこの後、特効薬もワクチンも、この先、1年で早々にできるような状況にはないのではないかというのは、報道であるとおりです。
それでこういう数字になっているのだと思いますが、既に令和2年6月末段階で民間在庫は200万トンを超えているということでありまして、私どもが非常に危惧していますのは、平成26年に米価が大暴落したわけであります。このときの数字はここに出ていますが、224万トンですけれども、このとき、多分需要は780万トンぐらいあったと思うのです。今、現在の需要量は、700万トン強の水準であり、その水準での200万トン超えというのは、平成26年のときよりも非常に影響が大きいのではないかと思って、非常に大きな危機感を持っています。
来年の6月末の民間在庫についても196万から204万トンと出ております。ただ、先ほど口頭で課長から、令和2年産が前年並みの作付けと説明もありましたが、今回の指針では709万から717万トンで、前回の指針と同じ数字になっています。令和2年産の作付面積がほぼ前年並みで微減ということからすれば、私どもが試算すれば令和2年産の生産量は今回の指針の数量よりも20万トンぐらい増えるはずです。そうしますと、更にこれに20万トン乗るということになりますと、大変大きな数字が予測されてしまうわけです。
どうしてそこまで言っておかないのかなというのはよく分からないのですけれども、ただ、いずれにいたしましても、この来年の在庫の数量、更にその後、秋に示される令和3年産の生産量のことも考えますと、もう本当に考えるのも恐ろしいぐらいの数字が見通せてしまうわけです。
是非ともしっかりこのことを現場に伝えてほしいと思います。我々も当然会議その他で現在の需給状況については危機感をもって伝えております。農林水産省とともにキャラバンで回っておりますが、ただ、米は1年1作ですので、昨年収穫した生産者はあまり実感がないのかなと思ったりもして、そこも含めて是非情報提供を進めてもらいたいと思います。
更に対策も必要だと思います。どうするかということになりますが、まず新型コロナウイルス感染症対策なのですけれども、米に関して言えば、ほぼ自分で売っている農家は別にしても、生産者からなかなか声が上がらなかったのではないかなと思います。政府からは、この3月から第1次補正、第2次補正と非常にすばらしい対策を出していただいていますが、米についてはなかなか現場の生産者から声が上がらず、ただ、卸等にはたくさんの在庫が残っているのだということだと思います。
新型コロナウイルス感染症はやはり予期せぬ問題でありますし、生産者に責任がある問題ではないのです。1年1作で長期保管ができるという米の特徴を踏まえた新型コロナウイルス感染症対策を早急に検討してもらいたいと思います。問題は出来秋に出てくると思います。それに向けてしっかり検討していただきたいのが1点です。
もう1つは、令和2年産です。農林水産省と我々JAグループはキャラバンで産地を回って、全力で非主食用米への転換推進に取り組んでいますが、8月31日まで営農計画の提出を延ばしていただき、あとひと月です。大変な時期でありまして、現場から言われているのは、今、飼料米とか米粉とかに転換しようとしているのですけれども、やはり主食用米から転換すると、どうも金額が合わないと。需給が大変な状況だというのは分かるのだけれども、個々の農家に行けば、幾らだという話になるわけです。時間はない中でありますが、非主食用米に対する支援として対応できる産地交付金の運用改善、地方創生臨時交付金の活用など、現場で言ってもなかなか聞いてくれない部分があるのです。だから、是非ともここは強力に、国から地方行政に対してそういうことの働き掛けを行ってもらいたいと思います。緊急で良いですから、この8月末までそれに全力を挙げてもらいたいと思います。
あと、需要の減少の話なのですけれども、確かにいろいろ理由があって、糖質ダイエットだとか、高齢化とか、肉食への転換とか、巣籠もりで運動していて食べないとか、いろいろあるのですけれども、価格が高いとか、安いとかということよりも、そういうことをしっかり数値で分析してもらいたいと思います。5キロ2,000円の話を課長はされましたけれども、一方では資料には、茶碗1杯27円ということで、米は経済的な食べ物と書いています。やはり大事なのは、生産者は再生産が確保できる価格ですし、消費者は生活できる価格だと思います。当然、実需の方はそれで経営が成り立つ数値でありますが、そこも踏まえて、私も何度も申し上げますけれども、おにぎりとかお弁当とか、是非資料を出してもらいたいのですけれども、一体、米の価格が幾らで、他の具材が幾らで、包装代が幾らで、食品廃棄のコストが幾らでとか、そういうしっかりした数値の分析をした上で、一体、適切な価格は何なのかと、生産者が再生産できる価格は何なのかということを踏まえて、米の価格が安いか高いかということも議論、説明をしていただきたいと思います。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、藤尾委員、お願いいたします。 - 藤尾委員
今、金井委員の方からほとんど説明されたわけなのですが、私も同感でして、やはりこの基本指針の見通しにおきまして、まず第1点がこの生産量のところです。709万トンから717万トンということで、今の現段階ではこのような見通しになるのかも分かりませんが、先日、農林水産省の方からも6月末時点での令和2年産米の作付意向におきましては、主産地の多くを含む25県が前年並みとなっておりましたので、このまま平年作でいきましたら、全中さんの方でも発表ありましたように、730万トンぐらいの生産量になるのではないかなと考えられるとは思います。
それと先ほど来、金井委員から話が出ておりますが、やはり需要のところもそうなのですが、この713万トンまで、令和元年から2年が落ちたところで、この令和2年から3年において715万トンまで需要が上がるという一応見通しを立てられておりますが、現状で言いますと、この2年間で30万トンぐらいの需要が落ちております。特にこの1年間で22万トン落ちたという中で、それで新型コロナウイルス感染症は第2波がまだ来ているさなか、果たして需要があるのかというところは、我々も疑問としております。
そのようなネガティブな部分を入れますと、やはり来年の6月末の在庫というのは、金井委員が言っておりましたように、この数字よりまだ20万トン近く、ひょっとしたらプラスになるのではないかと考えられます。
そうなりますと、先ほどの参考資料2の12ページで価格が出ているのですが、在庫数量と、価格は多分見合ってくるのですけれども、特に価格のところで言いますと、平成24年産米が1万6,501円となっていたのです。これ180万トンぐらいの在庫だったのです。それで翌年、224万トンまで在庫が増えて、それどうなったかと言いますと、1万4,341円まで平成25年産米は落ちています。この1年間で在庫が180万トンから224万トンまで増えたら、2,000円以上暴落していまして、更に翌年の平成26年産米が1万1,967円ということで、最安値が出ております。このときも224万トンの在庫が、大体220万トンぐらいの在庫になって、このときは減ったのですけれども、やはり220万トンぐらいの在庫があれば、2,000円ぐらい下がっているのです。
考えられるのは、もしこのまま来年の6月末が220万トンレベルの在庫だったときは、本当に780万トンの消費の中の220万トンの在庫で、ここまで価格のインパクトがあったわけですから、これは700万トンの消費の中で220万トンというと、多分想像できないぐらいの価格の下落になるかも分からないので、その辺りの対策というのはしっかりと考えていかないと、非常に我々でも怖いかなと思います。
それと、私らが一番心配していますのは、もし価格がそこまで大暴落しますと、やはり生産者のところに大きな影響が出まして、これによりまして、生産者がもう再生産価格を大幅に割るようなことがあれば、どんどんリタイアをしていくような状況になっていくのではないかと、その辺りも懸念しております。
また、これは対策としてなのですが、先ほど佐藤課長の方からも説明がありましたけれども、何とかして米の消費拡大というところに対する取組の中で、参考資料2の7ページに、パックご飯が少し取り上げられました。実際に米の消費のところ、当社で言いますと、この4月から6月、精米の方は当社は前年の93%ぐらいだったのですが、パックご飯の方は130%を超えていました。
この新型コロナウイルス感染症禍の中でおきましても、4月から6月、米の消費の方は外食を中心に大幅にダウンしたということもありまして、精米の93%、パックご飯は逆に130%以上あったということで、やはりこの辺りでかなりシフトしているところを、私らも感じております。
それともう1つ、この下にちょうど機能性のところを書いてあるのですが、実はパックご飯の消費が伸びている要因の1つとしましては、当社でもそうですけれども、パックご飯売場を見られたら分かると思うのですが、機能性のある、もち麦を入れたものとか、あと当社でいうと発芽玄米、ファンケルさんの発芽米のパックご飯とか、あとタニタ食堂さんとやっています「タニタ食堂の金芽米ごはん」とか、東洋ライスさんとやっています「ロウカット玄米ごはん」とか、あと最近でしたらピジョンさんと離乳食用の7か月、9か月の離乳食用のパックご飯とか、そういうものをどんどん商品開発していっているのです。お米に機能を持たせたような商品というのが、パックご飯の方ではどんどん開発が進んでおります。
このようなのもやはり消費が伸びている1つの要因かなと思いますので、ここには何とか我々ももっと力を入れていきたいと思いますので、以前にも申し上げましたけれども、今、パックご飯の方は主食用米の原料として我々も使っておりますが、できましたらこれを加工用米の原料として対策を打ってもらえればと思います。今、やはりパックご飯の方も、この近年の米の値上がりによりまして、だんだん単価が上がってきておりますので、もう少しこの単価のところを見直すことによって、もっとこの需要が拡大するのではないかと思います。そこのところをひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
それと、輸出のところ、先ほど佐藤課長から説明ありました。これが参考資料2の13ページにありまして、当社も輸出も5,000トン近くまでなってきております。オールジャパンで言いますと、大体当社は3割弱までシェアを、今、持っているのですけれども、先ほど佐藤課長が言われましたように、これは我々も意外だったのですが、確かに今年の1月、2月、3月ぐらいまでは中国向けの輸出がばたっと止まったような状態だったのですが、4月から一気に中国向けの輸出が復活しまして、逆に5月、6月は前年を上回ったというような状況になってきております。
それで、これは巣籠もり需要もありますし、従来でしたらやはり富裕層、または向こうに住まれている日本人の方が主なお客さんだったのですが、そこからだんだんと一般の家庭の方にも、徐々にですが普及されるようになってきておりますので、この輸出というのも、ある意味消費拡大の1つの大きな策になるのではないかということで、ここにおきましても、今、まだまだ課題はたくさんありますが、その課題を農林水産省の皆さんの力を借りながらクリアすることによりまして、もっと中国向けの輸出が広がるのではないかと思っております。
私の方からは以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
その他の委員、ウェブで御参加の委員も是非、何か合図を送っていただければ指名いたしますので、お願いいたします。いかがでしょうか。
では染谷委員、お願いいたします。 - 染谷委員
生産者の立場から、今回の米についていろいろ話をさせていただきたいと思います。
在庫の量、それから生産量については先ほど課長から話がありました。私の農場では市内の小中学校に給食用の米を出しているのですが、今回、新型コロナウイルス感染症の影響で、3月、4月、5月と学校が休みになりましたが、3月分の既に発注があった分についてはいろいろと対策がとられ、補助があるということだったので、柏市、流山市、松戸市の子ども食堂に全部寄付しました。
ただ、4月分、5月分については、これが在庫として30トン近いのですけれども、それを業務用に販売したのですが、この価格が1俵当たり1万2,000円なのです。参考資料2の12ページには、業者間の価格ですけども千葉のコシヒカリが1万3,000幾らというのはありますが、実際に農家から売った価格というのは、これよりも安くなってしまいました。
今回、これだけ業務用の米が安いということは、令和2年産の米にその価格が影響してくるのではないかなと心配しています。これがもし実際に1万2,000円という価格が米の買上げ価格になったとき、10アール当たりの収入といったら10万円にならないのです。10アール当たり8俵だったとしたら9万6,000円になってしまう。これでは農家が米の生産意欲をなくすのではないかなと思います。実際には米が余っている、また消費量も落ちている、人の数も減っていく、だから別にもう生産者は減っても良いと考えるのではなく、これは食料の安全保障とか、また安定供給ということを踏まえて、米の生産量、また農家戸数を考えていかなくてはいけないのではないかなと思います。
高齢者が今、農業ではかなりのウエイトを占めるのですけれども、よく聞くのは、基幹的農業従事者の年齢が、65歳以上が68%になるので、あと10年たったら68%、70%がリタイアします。そこに今度若い人たちがどれだけ入ってくるか、いろいろ数字は出ていると思うのですけれども、そういう中で、やはり自分としては農家の数を減らしてはいけない、それとまた農地を荒らしてはいけない、それを一番大事に考えています。
この価格の低下が農家に与える影響、また、どう農家が行動するのか、いろいろ心配になるのですけれども、是非、食料の安定供給、また自給率の向上を考えるならば、その辺も踏まえて、これから農家の指導をしていただければと思います。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
他はいかがでしょうか。
では、まず大桃委員から、その次、山田委員という順番でお願いいたします。 - 大桃委員
皆様のお話を聞いていて、非常にお米の需要が減っている、ますます大変な時期が来ているということがよく分かるのですけれども、備蓄米が増えるということがまず、いけないという感覚があります。いざというとき、私たちの命は何で守られるのだということになるので、備蓄米をうまく使うような方策はないのかなと考えます。本当にいざというときのパックご飯をまたそれで作るとか、この新型コロナウイルス感染症で大変な人に少し生活支援のような形、お金ではなくお米で渡すとか、今まで持っていた備蓄米があるということもアピールしながら、人を救うことができるような方策というのはできないものなのだろうかと考えました。なかなかそういうことは難しいというのかもしれませが、お米の需要が落ちているのは、ある種マスコミの責任もあると思うのです。こういうふうに美味しいですよということだけではなく、先ほど委員が言われたように、機能性がこれだけ高い、特に新型コロナウイルス感染症の時期なので、お米が意外に免疫力を保つのに良いという研究発表も出てきているということをお聞きしていますので、そういう効用の部分というか、機能性の部分をアピールするとか、一緒になってメディア戦略していく。広告で電通さんとか博報堂という高いところもありますけれども、PRという形でボトムアップしていく。下の方から、ああ、こんなに美味しいですというようなPRの形というのも取れるのではないかなと思います。
予算が少なくても、効果的な新しい方法で考えても良いのではないかと思います。画一的な今までのやり方だけではなく、もう抜本的に変えるというのであれば、いろいろな意味で備蓄米を本当に知ってもらって、喜んでもらって、食べてもらうようなメディア戦略というのがあっても良いのではないかなと思いました。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、山田委員、お願いいたします。 - 山田委員
佐藤課長からいろいろお話を承って、まず1つ、結論からしますと、今回の基本方針につきましては、私どもとしては順当ではないかなと考えているところでございます。
ただ、今まで御説明いただいた中で、金井委員や藤尾委員からもお話がありましたが、私なりに考える論点とするとやはり大きく2つなのかと思っています。私の方は生産の方はよく分からないので。
1つはやはり需要が本当にこういう水準でいくのかどうか。それによって来年の6月末の在庫の数字が変わるわけですから、この需要が本当に713万トン、更に次は715万トンと、ある種、見え方とすると、落ちた部分の反動みたいな形に見えるのですが、本当にそういう一過性で捉えて良いのか、若しくは新型コロナウイルス感染症みたいなものだけで見て良いのかというところを、やはりもっと精査しなくてはいけない。これは我々民間も、今、正直言って、これから需要がどうなるかというのは、一生懸命見ているところですが、まさに同じようなところなのではないかなと思います。
昨年の10月から需要が落ちました。これは確かに我々も同じ小麦粉で販売している中でも、やはり消費税の増税による消費マインドの低下というのは間違いなくあったと見ていますし、そういうことがあったのではないか。その中で、今度新型コロナウイルス感染症が来たわけなのですけれども、ではその新型コロナウイルス感染症の数字で見てしまうと、全部その感染症のせいになってしまう。そうではなくて、もともとのある部分の問題が新型コロナウイルス感染症によって増幅したのではないかという物の見方をしたときに、ではそれは何だったのだということを、やはり明快に考えるべきところがあるのかなと思います。
先ほどもいろいろな数字を出してみたけれども、我々もそうなのですけれども、では米が減って小麦が増えたかというと、実は小麦粉の消費もあまり増えていないのです。それは業務用のところで外食ですとか。そうすると、では人口がこれだけ減ったので、それだけ全部減ったのかというと、それでも数字は合わないのです。
それでは何が影響しているのかという部分も、ひょっとしたら食品ロスとかそういう問題があるのかもしれない。そういうことも含めて、やはりもっと精査をして、その需要の見通しというのを、本当にこれで良いのかというのを考えるというのがポイントの1つなのかなと思います。
もう1つのポイントは、需給見通しが正しいのか、正しくないのかというところで、来年末の先ほど来出ているように、6月末の在庫が本当に200万トンをどれぐらいオーバーしてしまうのかという話です。200万トンをオーバーしてしまうということが問題というよりも、200万トンをオーバーしてしまうことによって価格形成が変わってくるというところが問題なわけで、そうだとすると価格形成とは何なのかということです。基本的には需給バランスで価格が決まるというのは、これは当たり前の話です。だけど、今回の場合みたいに、もし本当にそこまでいくと、急激に価格が変わってしまう。要するに急激に変わること自体が大きな問題だとすると、それをなだらかにするために我々はどうしたら良いかというのを考えるべきテーマなのかなと。ただ、今、それに答えを出すと言われても、正直言って私もそんな考えはありませんけれども、意趣とすればそういうことなのかなと私自身は捉えておりまして、その辺を是非また皆様で御検討いただければと思います。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、まず真砂委員で、次に金戸委員という順番でお願いいたします。 - 真砂委員
ありがとうございます。
3点ほどお話をしたいと思います。1つは藤尾委員、山田委員も仰っていた来年の需要量715万トンというところなのですけれども、これは需要推計のやり方、これは最小二乗法か何かでやっておられると思うのですが、この参考資料1の図から見ても分かるように、この22万トンの減というのはあまりこの推計式に影響を与えていないような形になって、その結果出てくるのが715万トンということで、2万トン増えるという形になっているわけです。その2万トン増えるという説明ができるかどうかというのは、この22万トンがなぜ減ったかということとの関係なのですけれども、22万トンがなぜ減ったかが分からない。そんな中で2万トン増えるという説明が果たしてできるのかどうかということ。それであれば、理由は分からないけれども、22万トン減ったので、来年も同じ713万トンということで、需給見通し上は置いた上で、全体の需給を考えた方が素直だし、分かりやすいのではないかということで、私はこの715万トンというのを713万トンに変更すべきではないかという意見であります。
それから、2つ目は、どうも皆さんのお話を伺っていると、この在庫が200万トンを超えると、これまでも価格が下がってきたということで、新聞などにもそういうふうに書いているし、何となく関係者の共通の認識なのかなと今伺っていたのですが、通常の商品であれば、供給が需要を大きく上回るということであれば、価格が下がって、供給が抑えられて、需要が増えて、需給がバランスするということ。もう普通の商品はこれでおしまいなわけですけれども、米の場合は、金井さんも少し言及されておられましたけれども、こういう消費とか、それから流通の情報をビビッドに生産現場に伝えて、来年産の米をどうするかという、こういう手法もあるわけでして、それでしっかり現場の方で抑制した姿を見せれば、それで価格に良い影響を与えるという方策が米の場合にはあるわけですから、是非そこはそういう形で、この場面をしのいでいくということではないかと思います。いろいろな対策というような話もございましたけれども、通常の商品ではないルートが米には特別に用意されているわけですから、その方策でもってやっていくということかと思います。
数年前に、いわゆる減反廃止、行政による生産数量目標の配分というのもやめて、市場参加者の中で需給を解決していくという局面になったわけですから、この部会としても今の、そういう意味では、そういう事態になった初めてのケースなので、それをどう生産現場でしのいでいったのかというのは、この部会としても、是非、今後注意深く見ていきたいなと思います。
それから、3点目ですけれども、これもよく出る議論で、米が余る、すぐ備蓄を増やせという話になるのですけれども、備蓄は、備蓄のために備蓄しているわけですから、必要な備蓄数量をどう考えるかという議論なわけであって、非常に米が余ってきたら備蓄を増やせという議論は、これは少し備蓄米の考え方としては論外の議論ではないかと私は思います。
以上、3点申し上げました。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、金戸委員、お願いいたします。 - 金戸委員
来期715万トンの需要の見通しは高いと思います。前期比22万トン減の今期の713万トンは4月から6月の新型コロナウイルス感染症禍による消費減少を反映しており、感染拡大が収束していない今の状況が7月以降も続くであろうことを考えれば、715万トンは過大だと思います。
弊社はコンビニに弁当やおにぎり、調理パン、サンドイッチ、麺類、惣菜などを納品しておりますが、来店されるお客様は、弁当やおにぎりなどの米飯商品を必ず買おうと来店されるわけでなく、陳列されている様々な商品カテゴリーから食べたい商品、美味しそうだと思う商品を買われるわけで、米飯商品は米以外の主食商品との競争下にあります。従って、来店の目的買いとなる魅力ある米飯商品を提案し、魅力ある売り方を考えなければ、人口減少による毎年10万トンの需要減少をただ眺めていることになります。人口減少の影響は米以外の主食商品も同じですから、例えば、1斤1,000円の食パンや原料や製法にこだわった麺や総菜などと競合して、米以外の主食商品の販売シェアを取るような施策が必要だと思います。
米の売り方にしてもスーパーでは5キロ袋が主流ですが、夫婦2人と子供2人の家庭を想定したような荷姿では、多くの世帯で食べきるのに日数がかかります。1世帯の購入量が毎月5キロ位だとすれば、家庭の在庫が減ったときに、月に1回だけ補充する食料という感覚で、買うときのワクワク感は少ないと思います。更に5キロ袋では、その日の買い物の合計額が大きくなり、ときにお客様の購買意欲はマイナスに働くと考えます。もっと1キロ袋、2キロ袋を店頭販売の主流にして、1キロ袋の販売価格を5キロ袋のキロ単価に合わせ、各産地の新しい銘柄を順番に買って味を比較し、米を買うのが楽しみとなるような販売政策を採るべきだと思います。 - 大橋部会長
よろしいですか。ありがとうございます。
おおむね、今日会場にお越しの委員の方からは御意見をいただいたので、もしウェブの委員の方々からも御意見をいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
では、まず宮島委員にお願いして、その後、平田委員、よろしければ長部委員にも御発言いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 - 宮島委員
ありがとうございます。よろしくお願いします。
詳細な分析をいろいろありがとうございます。やはり今回、新型コロナウイルス感染症の問題はあるのですけれども、ただ、それだけではなくて、傾向を見ますと、明確に需要が減っているという状況が見てとれると思います。ここをやはりしっかりと受け止めていかなければいけないのではないかと思います。
食の教育をする、あるいは先ほど発信をするというのがありましたけれども、国民を説得してお米を食べてもらおうというようなお話がかねがねあって、それはもちろん必要なのですけれども、それだけで一体どこまで伸びるのかなと思っています。今回、自宅にいることが増えてお米を食べることが多くなったという御家庭もありますし、一方で自宅でもパンや麺の方が楽だという声も聞きました。やはり新型コロナウイルス感染症もあるのですけれども、需要が減っていくことに対してどうするかということを、更に踏み込んで分析したり考える必要があると思います。
お米を家で炊こうとすると、炊くのに時間がかかるとか、まとまった分量を炊かなくてはいけないとか、共働きで帰ってきて、すぐにご飯にしようとしたときに、その日に何人がどのぐらい食べるかはっきりしないような家族構成のときには朝から予約もしにくくて、やはりすぐできるものに流れてしまうという傾向は、周りを見ていてもあると思うのです。
説得したり教育したりして食べてもらうという努力はするとして、更にどういう形だったら食べてもらえるかということを、徹底的にやはり追求する必要があるのではないかと思います。あらゆる産業がニーズに合わせて、限界まで、どうしたら自分が売っているものを買ってもらえるかということを工夫する中で、もちろん食料の安全保障というのはあるのですけれども、一般の人が、食料の安全保障のために米を食べようとか、普段そうはなかなか思いませんので、発信にしても、どういったメリットがあるのかということを、もっと国民の皆さんが腑に落ちる形で分析をして発信することで、食べてもらう工夫のいろいろな選択肢を作っていくことが必要なのではないかと思います。
財政状況を見ますと、日本のあらゆる業種が新型コロナウイルス感染症で大変だから助けてくれということになっていて、もう先が本当に見えないような状況になっていると思います。そうした国の状況を見ながらそれぞれの業界がやはり国民のニーズを十分に酌み取りながら、努力をする中で解決をしていく必要があるのではないかと思います。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございました。
それでは、平田委員、お願いしてもよろしいですか。 - 平田委員
平田でございます。
まず、指針案について、大筋では異論はございません。ただし、ここまでの議論の中でも幾つか指摘があった、令和2年産の生産量の上振れの可能性について、産地の肌感覚でもあり得るという感想を付け加えます。
山形は昨日、一昨日と大雨になりました。当方の置賜地方ではあまり大きな被害が出ず、ほっとしていますが、現下の新型コロナウイルス感染症があり、大雨があり、はたまた毎年のように台風が来たりと様々な災害があって、非常に困った時代に、日々の農作業にあたっています。
今回の新型コロナウイルス感染症をきっかけにした米流通価格の下落が予想されます。ここ数年の農政が功を奏し価格は上位安定となっていましたが、佐藤課長御指摘のように、それが消費意欲を冷やして今回の下落のベースを作ったとすると、非常に心配な事と思っています。生産者は、価格が上がると、目の前で財布が膨れますので単純に嬉しいものです。けれども、長期的にみると、それによってお客様を失っている可能性があるという指摘なわけですから。
また、産地、産業界全体を見渡すと、生産者の減少に歯止めがかかりません。いかに次世代の新しい担い手を獲得するか、さらにその人たちをどうやって育てるか。目の前に突き付けられた課題になっております。
先ほど金井委員から、再生産価格が保たれなければ、産業界を維持できないとの指摘がありました。これが重要なことはいうまでもありません。しかし、単に払われる報酬が上がれば生産者が育つのかというと、そう簡単ではないなというのが今の実感です。良い報酬を最優先に求める人なら最初から農業を目指して来ないように思います。国民に求められる、生産者として仕事に誇りが持て、且つ消費が伸びる魅力ある農産物を作る。これを通して高まっていく自分を実感できる、そんな状況を作ってあげなくてはいけないということを感じているところであります。
以上でございます。 - 大橋部会長
どうもありがとうございました。
それでは、お待たせいたしました。長部委員、お願いできますでしょうか。 - 長部委員
よろしくお願いします。
令和3年への見通しの数値においては、いろいろな見方もありますし、今年は新型コロナウイルス感染症のイレギュラーな状況もありますが、一旦はその基準値を作るという方向性として異論はございませんので、良いかと思います。
お米の需要が減っていることに関して、昨年の消費税増税がやはり多少後押しをしていることは日本酒の場合も同じであり、生活を守るというところで、どうしても消費モードが落ちていることも1つの要因とは思いますが、長いスパンで見てもやはり生活様式が変わったり、食生活が変わったりする中で、お米の需要はこれからも減っていくのではないかと思います。日本酒もまた同じように並行して減っていくと予測をするのが正しいのではないかと思います。それから、どうやって需要を増やしていくかに関しては、海外の方に日本産のお米のブランド化をもっとPRし、また、アフリカなどの食料難の国に対して、資金の支援をすることも大事ですが、現物として日本のお米を供給することも国内の生産と需要の活性化に繋がるのではと思います。
それから、米は単独ではなくおかずとともに食べますので、その辺りで日本特有、地方特有の農水産物との組合せで、農林水産省ならではの企画を行えば、地方の活性化にも繋がっていくのではないかと感じました。
それから、以前の会合でも申し上げましたが、将来の長期の需要を維持するという計画でいうと、やはり子供たちがいかにこれから育っていって、大人になったときに、日本の米が美味しいと食べてくれるかが大切で、それはやはり日本の食文化の維持にも繋がることですので、食育のところで、もっとお米と触れることや、農家に子供たちを連れていって、田植えをするところに触れさせることで、米と日本人という、この接点をもっと増やすような教育もしていくべきではないかと思っております。
それから、私は蔵元ですので、今年は新型コロナウイルス感染症のことで、特に地方の蔵が非常に困難を極めていらっしゃると思います。家飲み需要でパック酒や量販用は好調ですが、軒並み業務用の飲食店で伸びていた地方蔵の地酒は、非常に苦難の度合いが高くなっている状況です。
国産の原材料を支えていただいているのは、やはり米であったり、地方の農業です。簡単に言いますと、地域や作柄によりますが、私たちの蔵元からすれば、米の安定供給となる農業への支援や、それから将来に向けた投資をしっかり行っていただけるとありがたいと思っています。
農林水産省では、いろいろ酒の需要開発のためのホームページ、オンラインを使った企画などに対し約3億の予算を出していただくということですので、是非そうした取組を続けていただきながら、また国税庁の方も輸出米に関して大きな助成や規制緩和もされ、将来への投資というところでしっかり考えて、長期的な目線を持っていただければ良いと思っております。
国税庁より輸出の和酒に関しての予算をいろいろ作ってはいただきましたが、実際のところは4月、5月以降、自粛モードでイベントは全て廃止になっていますし、その予算の使い回しも管轄は違いますけれども、横断的に日本の国として、省庁を越えて協力していかに米の需要を、農業を守っていくかというところを、国を挙げて内閣府の方でやっていただけたら良いのではないかなと思っております。
ありがとうございました。よろしくお願いいたします。 - 大橋部会長
どうもありがとうございました。
それでは、ウェブで御参加の方も含めて、一通り委員から御意見をいただいた形になっているのですけれども、もし追加的に御発言があればいただければと思いますが、では金井委員、よろしくお願いします。 - 金井委員
すみません、一言だけ言いたいことがありまして、今後かなり需給が緩和するというのは共通認識だというように思います。この後、出来秋とか含めて大変な数字が出るのは予想できます。この生産量もほぼ、かなり低い数字で出していますので、ちょっとやそっとの不作だったら数字は変わらないと思います。
そうしますと、この後出てくることは、令和3年産の生産量をどうするかということになってくるのです。単純に計算するとすごい数字になってくるのでありまして、ここをもう1回大局的に考えてもらいたいことがあるのですけれども、新しいシステム、いわゆる減反廃止、生産調整の見直しという制度になって、年間の需要量よりも大分低い生産量を作ってきたのです。ここ数年は不作で何とか需給がバランスしてきたということからすると、恐らく大局的にこの構造は変わらないと思うのです。何か起きて、場当たり的にやったとしても、この大きな構造は変わらないので、前回のときにこの生産調整の見直しを食糧部会で議論していないのです。
今の仕組みについて機能するかどうか、また改善することがあるのか、新しい基本計画に即してどうするか、食料安全保障をどうするかを含めて、検証して、必要なことがあれば改善の検討をするという議論を、是非この場でやっていただきたいと思うのです。これは今すぐの話ではないのですけれども、新型コロナウイルス感染症は確かにありますけれども、単純な大きな方策とか、そういう問題ではなく、構造的な問題なので、これは1回、是非検討していただきたいと思います。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、まず政策統括官からお願いします。 - 天羽政策統括官
所用がありますので退席をさせていただきますが、2、3点コメントをさせていただいて、あとは部長以下に委ねていきたいと思います。
多くの委員の先生方から御指摘いただきましたとおり、この昨年から今年に限らずなのですけれども、需要の減少をどのように理解するのか、分析をするのかというのは、特にこの1年を振り返ると大きな課題と改めて認識をしているところでございます。今回いろいろ工夫をしてみましたけれども、まだまだ足りないなと今日改めて認識をした次第であります。更にいろいろな工夫をしていきたいと思います。
その上で、需要量の見通しについてでありますけれども、複数の委員の方々から、715万トンという数字には違和感があるということですが、例えば、実績の713万トンに仮置きするというのも考えられるのではないかと、そうすべきだといった御意見もいただいたところであります。
ただ、ここの点につきまして、役所の考え方を御説明したいと思います。参考資料1のポイントの左下の今後の見通し等というところがございます。赤いドットを付けた折れ線グラフの推移、これが実績を基にした回帰式で、ドットが実績で、実線が回帰式で引いた線でありますけれども、年によってこの線より上にいったり下にいったりしていますが、ならしてみると、この式の上に乗っているということでありまして、課長から先ほど申し上げたとおり、計算上715万トンという数字が出てきます。でもそれは違うのではないかという、実感に合わないというお言葉もいただいて、これは中でも議論をしたわけでありますが、右側の上の需給見通しの注のところに、私どもも自覚症状があるものですから書いたわけですけれども、ではこの回帰式ではない別の数字を置くとして仮に考えたときに、どういうふうに置けば良いのかということも知見がない中で、現時点の役所としての見通しとしては、この注2にございますとおり、過去のデータを用いてトレンドで算出しました。ただ、新型コロナウイルス感染症の状況等によっては、下振れする可能性があるというように注記をさせていただいたところであります。これが役所の考え方でございます。
もう1点、来年の6月末在庫が大幅に上振れする懸念があるというような御意見を、たくさんの委員の方々からいただきました。このような需給の現状に鑑みて、今まさに、やれること、やるべきことというのは、冒頭の金井委員の御発言の中にもありましたけれども、今年は作付計画の提出期限を8月末ということにさせていただいています。この需給状況を御認識いただいた上で、これまで主食用と思って作付けをしてきたけれども、その仕向け先を主食用から飼料用や輸出用、米粉用などの主食用以外に仕向ける取組をやっていただくよう、金井委員など系統の方々とも一緒にキャラバンということで産地に対して説明をしております。この1か月、更にそこをしっかりやっていくということが、将来への心配を減らすためにも必要だと考えるわけであります。
今年の3月末に策定された基本計画の議論の際に、飼料用米の生産努力目標を70万トンと設定をするに当たって、その前は110万トンだったわけですけれども、数字を下げるというのは心配だという御意見もいただきましたが、今、足元の実績は40万トン程度で、まだまだ飼料用米の作付けをする余地はあるわけですし、実需者である飼料メーカーの方も引き受ける用意はあると言っていただいていますので、ここはもう一段、先ほど申し上げた仕向け先の変更ということをしっかり取り組むように、役所もやっていきたいと思います。 - 大橋部会長
どうもありがとうございます。
もし続いて事務局からあれば、お願いできればと思います。 - 佐藤農産企画課長
委員の皆様、御意見ありがとうございました。
多岐にわたる御意見をいただきましたので、1つずつ細かく御回答するのはなかなか難しいところもありますので、かいつまんでとなってしまうことを御了承いただきたいと思います。今、政策統括官のコメントに加えて、1つは、様々な分析は我々もこれからも深めていきたいと思っておりますし、先ほど金井委員が御指摘をされたような大局的に考えるということも、もちろんこれからもやっていきたいと思いますけれども、今回、3月に、食糧部会は持ち回りになってしまいましたが、企画部会の方で食料・農業・農村基本計画というものを5年ぶりに改定をして見直した中でも、先ほど金戸委員からもありましたとおり、人口減少、高齢化で、トレンドとして需要が10万トン減っていくということを、所与のものとしてもう諦めるということではなくて、基本計画の中では、我々この1人当たりの消費量を是非下げ止めるべく、様々な取組を関係者の皆さんと一緒にやっていくということを、この基本計画の中には書かせていただきました。
今後10年間、更にその先を見通した中で、それこそ日本人の人口が減っていくのはなかなか食い止めるのが難しい中で、お米の消費を少しでも盛り上げていくようなことというのは、今後も様々な場を捉えて、しっかりと考えていきたいと思っております。
それから、お米に対する国民の皆様の理解を促進するようなPRの在り方ですとか、それから販売戦略といったようなところにも御指摘をいただきました。そうしたことは当然、実際に現場で取り組む皆様も意識をされていらっしゃると思います。前向きな取組を我々としても積極的に後押しできるようなことはしっかりとやっていきたいと思っております。
取りあえず私からは以上です。その他、特に藤尾委員から御指摘のあった点について回答したいと思います。 - 堺田穀物課長
藤尾委員の方から、パックご飯に対する支援をということで、需要が堅調に伸びているパックご飯について、私どもとしてもしっかり需要を拡大していくという意味でも、取組を進めていければと考えているところでございます。
パックご飯の取組につきましては、例えば今回新型コロナウイルス感染症対策の中で、輸出を含めてこのパックご飯に取り組んでいくという事業者の皆さん方に、この施設整備面での支援を位置付けて拡大をしていく。あるいは、これは御承知かと思いますけれども、これもまたパックご飯の輸出を取り組む場合には、新市場開拓用米としての支援もさせていただいております。そういったところで、トータルでパックご飯に対する後押しをしているということで御理解をいただければと思います。なかなかこの主食用として消費されるところに対する直接的な支援ということにはなりませんことを御理解いただければと思います。
それから、政策統括官の方から、令和2年産の需要に応じた推進を更にしっかり取り組んでいくということで発言がありましたけれども、担当としても、これは本当にしっかり汗をかいていきたいと思っております。
先ほどの参考資料2の3ページに、各県別の在庫の状況を分かりやすい形で整理をさせていただいております。こういった数字をしっかりと現場まで伝わるように努力していきたいと思いますし、そういった中で、お米の用途別の組合せをどうしていったら良のかということをもう一度しっかり判断をしていただけるように、取組を進めていきたいと思います。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
ほかの委員の方でもう少しという方はございませんか。
闊達な御議論ありがとうございました。様々御意見をいただきまして、多くの御意見の中には、今回、そもそも米の需給を取り巻く環境というのは新型コロナウイルス感染症だけで説明できるものではなくて、かなり構造的な問題もあるのではないかと思います。そういうものもしっかり踏まえて、分析をしっかりやるべきではないかというような御指摘をいただいたものと思っています。その点については、事務局においてしっかり御検討をしていただければと思っています。
他方で、本部会として、今回、農林水産大臣から諮問のあった基本指針について、今日決めなければならないという状況でもございます。数字については、今後検討の中で新しい考え方というのも、また皆さんと一緒に御議論させていただきたいとは思いますけれども、今の考え方というのは、いわゆる直線の回帰式に当てはめたときの考え方ということでありますので、取りあえずそこを踏まえた数字として、今回の基本指針について議決を採らせていただければと思っていますが、適当と認めてもよろしいかどうか、皆さんの御判断、議決をしたいと思います。いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
- 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、ウェブの御参加の委員も含めて、異議なしといただきましたので、そのように進めさせていただければと思います。
食料・農業・農村政策審議会令第8条第2項の規定により、議事の決定に必要とされる出席委員の過半数を超えてもおりますので、本件については適当と認める旨、議決をいたします。答申(案)を事務局から配付をしていただきますので、ウェブ参加の委員の皆様方は電子メールにて御確認をいただければと思います。そして、合図いただければと思いますので、お願いします。
(答申案配付)
- 大橋部会長
それでは、皆さんこれでよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
- 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、本食糧部会の議決につきましては、食料・農業・農村政策審議会令第6条第6項の規定により、審議会の議決とするとされておりますので、後ほど食料・農業・農村政策審議会として農林水産大臣に適当と認める旨の答申をいたしたいと思います。ありがとうございます。
(2) その他
続きまして、議事の(2)その他につきまして、事務局から何かございますればお願いします。
- 佐藤農産企画課長
ございません。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、本日予定の議事は以上となります。
最後になりますけれども、本日の議事につきましては議事録として整理し、公開することとなります。その整理につきましてですけれども、これも私に御一任いただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
- 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、進行の方を事務局にお返しいたします。
本日、本当に活発な御議論ありがとうございました。 - 近藤農産企画課課長補佐
大橋部会長、どうもありがとうございました。
閉会に当たりまして、平形農産部長よりごあいさつ申し上げます。 - 平形農産部長
本日は長時間にわたりまして、またウェブ会議ということで、大変聞き苦しいところがございました。その中でも御議論いただきまして、ありがとうございました。
本日の議題であります米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の策定につきましては、適当と認める旨の答申をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日、様々な点について、文字どおり忌憚のない御意見をいただきました。新型コロナウイルス感染症がございまして、なかなか例年にないような動きになってきておりまして、それをできるだけ織り込んで、指針を作ろうとしておりますけれども、まだまだ数値的に準備ができないところがございます。ただ、この22万トン減ったことも一応織り込んで作っているつもりなのですけれども、今年の秋に向けまして、更に状況がどうなるのかということも含めて、是非十分なものを出していきたいと思っております。
また、この新しいシステムになってから、やはり一番大事なのは、どういう売行きになっていて、それを卸さんがどんな認識をして、それを出荷団体の方にどう伝えて、それが生産者の方に伝わるというところが一番大事なところであります。そのところが、もし、こういう状態なのだけれども、生産者の方に伝わっていないというのであれば、どこのところにもっと改善する余地があるのかということについては、しっかりこの場でも議論をしていただきたいと思いますし、我々も事前契約の研究会等をいろいろやっているのですが、準備しながらも皆さんにこうやって御報告する時間がなかなかないのは、大変残念に思っております。是非次回はそういったことも議論していただきたいと思っております。
本日、議論していただいたことを今後の施策の検討、推進に反映をさせてまいりたいと考えております。重ねて本日の精力的な御議論に御礼申し上げ、閉会のあいさつとさせていただきます。
ありがとうございました。 - 近藤農産企画課課長補佐
以上をもちまして、本日の食糧部会を終了いたします。
ありがとうございました。
閉会