令和6年度第2回畜産部会議事概要:農林水産省
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令和6年度第2回畜産部会議事概要

令和6年度第2回畜産部会議事概要 PDF版(PDF : 914KB)

1.日時

令和6年5月24日(金曜日)9:45~12:00

2.場所

農林水産省 第2特別会議室(web併催)

3.出席委員

小針美和部会長、椛木円佳委員、宮島香澄委員、石田陽一委員、井上登委員、大山憲二委員、小椋茂敏委員、小山京子委員、庄司英洋委員、畠中五恵子委員、羽田香弥子委員、馬場利彦委員、彦坂誠委員、前田佳良子委員

4.概要

(牛乳乳製品課須永課長からの説明)

     乳価の安定と牛乳の安定供給のためには、牛乳需要に合わせて生乳を乳製品に仕向けることが重要。

     生乳需給の安定が全国的な課題であることを関係者間で共有・認識し、協調して取り組むことが重要。

     これまでの乳価引き上げが飲用牛乳の需給状況に影響を与えていることが懸念される。牛乳需要の減少傾向をいかに克服するかが重要。

 

(関東生乳販売農業協同組合連合会迫田氏からの説明)

     最近の牛乳需要の動向として、値上げ等による消費の減少や、より低価格帯の牛乳への需要のシフト等がある。

     需給調整のための取組として、需要期・不需要期の需給調整について、関係者と協力しながら日々実施しているほか、脱脂粉乳の在庫対策にも拠出。

     系統の生乳流通事業者に出荷する生産者に需給調整コストが偏っていることに、生産者から強い不満の声がある。需給調整機能維持のため、酪農乳業関係者全てに参加を求めるような制度が必要。

 

(株式会社MMJ藤本氏からの発表概要)

     今年から自社の乳製品加工工場を新設し、乳製品製造事業を開始。

     需給調整コストの偏りによる不公平感の解消のため、自主流通の余乳を加工に向けることが必要。

     他の自主流通事業者については、これまで加工に生乳を仕向けるのが難しい実態があったが、自社乳業工場で自主流通事業者の余乳を引き受け、加工していきたい。

     フリーズドライ牛乳等の加工乳製品の高付加価値化や、飲用牛乳についても積極的なPB開発やA2ミルクの取扱いによる需要促進に向けた取組を行っている。

 

(意見交換)

小椋委員:令和5年度の全国の生乳生産量は約730万トン、うち飲用向けは、数年前は400万トン以上あったところ、現在は380~390万トン程度であり、加工向けは約340万トンであった。飲用と加工の比率が6:4となっている。コロナ禍以降の令和3~5年度で大幅に飲用向け需要が低下し、加工向け需要が増加した結果、脱脂粉乳の在庫が過大になっている。国・乳業・生産者で脱脂粉乳の飼料転用を進めているが、生産段階での調整もそうだが、この在庫対策も需給調整の一つ。この需給調整を、系統内外問わず全ての生乳流通業者と、一律で進めて欲しい。そのための制度を農水省には一日も早く作ってもらいたい。MMJから、今年から乳製品製造を行う自社工場を新設した等、加工向けを増やすような対応をしていると説明いただいたが、MMJのみならず自主流通業者の皆に対応していただかないと不平等感が出てくる。需給調整は生乳のみならず、野菜・米等すべての産品について取り進めているもの。農水省、MMJからの意見をいただきたい。

馬場委員:迫田常務からご説明あったとおり、需給調整には酪農乳業関係者全ての参加を求めるようなルールが必要。脱脂粉乳・バターへの加工による季節ごとの需給調整の不可欠さ、その中で日々努力をされている指定団体の取組には頭が下がるが、生乳廃棄回避に向けコロナ禍等に行った大変な努力について、迫田常務に改めて教えて欲しい。また、季節ごとの需給調整コストを勘案しないような低価格帯の牛乳等が急増していることが、需給調整上の課題となっていることが良くわかったが、将来の酪農乳業界にとって、このような状況が続けばどのような影響が想定されるか教えて欲しい。

宮島委員:二つ質問。一つ目は、不公平感がなく全ての酪農乳業関係者が参加する需給調整の仕組みとしてどのようなものが考えられるのか。二つ目は、牛乳の需要が減り、基本的にはもっと飲んでほしいということだと思うが、消費者との関係の中で何かできることはあるか。例えば消費者は、季節ごとに牛乳の供給量に差があるとは思わず、毎月同じ値段で買えるものと認識していると思う。それについては、正しい事実を認識していただき、季節ごとに値段に差があることを消費者が受け入れる場合、それは解決になるのか。関係者からすれば年間通して安定的な価格で売り続ける方がいいのか。また、米、砂糖だとSNSで広がる糖質制限ダイエット等、健康に良くないものとするような不要な評判により需要を落とすことがあり得るが、牛乳ではどうか。一般の人たちの認識で改善すべきことはあるか。

迫田氏:馬場委員からの質問について、まず予期せぬ需給変動への対応についてだが、コロナ禍で学校給食がストップし、関東管内で一日約500トンの学乳需要が消えてしまった。これについては、取引先乳業者や全国連と即座にやり取りをして、学乳需要分を場合によって地域ブロックを超えて他の乳業者に振り分け、生乳の廃棄を回避した。一部は巣ごもり需要で一般飲用分の需要が跳ね上がったという事情もあるが、日々行っている需給調整のためのインフラや、長年培ってきた乳業や全国連との関係が非常に大きな役割を果たした。

二点目に、この状況が続けばどうなるかについては二つ考えられる。まず、農協に生乳を出荷している生産者は現状に非常に強い不満を持っている。需給調整機能を維持するためにはコストがかかるが、そのコストは農協に生乳を出荷する生産者が負っている。生産者の合意がなければそのコストを賄うことが出来ず、需給調整機能が毀損される恐れがある。もう一つは、需給調整コストを応分に負担しているとは考えにくい安価な商品によって、合理的な価格形成が阻害されていること。一昨年の11月、去年の8月と2回に渡って飲用乳価交渉を行った。これまでも、飲用乳価に関しては関東生乳販連が全国に先駆けて交渉を行って、その妥結結果が全国の指標になってきたと考えているが、この交渉の場での最大の障壁は安価な商品の存在。複数の乳業者から「安価な商品がある状態では値上げが難しい。」と実際に言われた。現在も酪農経営は厳しいままであり、コストに見合う生乳価格にするためには、この問題をどうしても解決しなければならず、解決されなければ、生産基盤が毀損されて、国内の牛乳乳製品が十分に供給されなくなるのではと懸念している。

宮島委員からのご質問について、まず一点目に、不公平感のない需給調整の仕組みだが、川下の商品になった段階で需給調整コストを負担させるような仕組みは独禁法等のハードルがあって考えづらい。川上の酪農家段階で、例えば需給調整機能を維持するためのコストを何らかの形で負担するというのを、酪農家全員が参加するような事業等の参加要件にするというのが一つのアイデアだと思う。二点目に、牛乳需要が減っている中、消費者との関係で出来ることがあるかについてだが、これは合理的な価格形成において最重要点の一つ。消費者に今の酪農経営の状況を知っていただくことと、誤解を恐れずに言えば、日本の牛乳乳製品の値段は高いが、何故高いのかということを丁寧に説明して、国内で供給するためには「これだけのコストがかかるが是非手に取ってほしい」ということを丁寧に説明する必要。三点目に、定期的に牛乳害悪論が出てくるが、これにはエビデンスを持った冷静な反論が必要。J-ミルクのHPで牛乳の悪い噂が本当かどうか公表しているが、それをさらに周知する必要があると思う。

藤本氏:まず、小椋委員からのご質問について、脱脂粉乳の在庫対策も需給調整の一つであるという話だったが、仰るとおり脱脂粉乳の在庫対策というのは非常に重要で、自主流通事業者も同じように取り組まなければならない課題と認識している。ただ、発表でも申したとおり、自主流通は、加工施設を自前で持つ体力がないことや、既存の加工工場との生乳の取引が難しいことにより、これまで加工に仕向けることが事実上できない環境だった。これに対しては、自主流通全体として余乳の需給調整には加工乳製品で行うという方に、自主流通の生乳を誘導するような仕掛けを作っていきたいと思っている。弊社の自社工場はもちろんだが、色々な面で需給調整の様々な方法を提案し、そこにメリットを感じてもらうことによって、余乳を加工に誘導することができるのではと考えている。昨年J-ミルクで行った脱脂粉乳の在庫対策について、自主流通事業者からも拠出金をというご意見があると思うが、それだけでは需給調整の問題は解決せず、実際に自主流通事業者の製品を加工することでしか解決しないのではないかと思っていることから、自主流通の最大の事業者である弊社の役割として、自主流通事業者の余乳を最大限引き受けることだと認識している。

次に、宮島委員からの質問について、全国協調の需給調整の具体的な方法としては、消費者に向けてのアプローチと関連するが、商品を売るというところに関しては消費者のニーズを的確につかんでマーケティングの考えをもって消費者の求める美味しいもの、健康に良いものの提案を愚直にやっていくということでないか。消費者が価格の上下を受け入れないということではないと思うし、飲用牛乳は、他の製品に比べれば消費者が生活必需品と位置付けているため、値上げによる需要の低下もこの程度で済んでいるのではないか。新たな牛乳の需要を掘り起こすために、A2ミルクのような消費者のニーズを踏まえた新規需要の見込める商品を打ち出している。また、BtoBにも商機が眠っていると考えており、飲用牛乳だけでなくそちらも狙ってやっていきたい。

牛乳乳製品課須永課長:小椋委員からご質問があった点について、生乳には加工が不可欠だと認識。また、牛乳、脱脂粉乳の需要の低下等、生乳に係る全国的な課題を共有し、関係者で協調して対応していくことが必要。現在の生産者と乳業で構成する全国協調対策を維持拡充していくことを国としても支えていきたい。さらに、脱脂粉乳の在庫対策だけでなく、脱脂粉乳、牛乳の需要・消費面での対応を業界で協調して行ってほしいと考える。多様化する流通の中で、生産者・流通事業者に対する必要な規律を確保していくことも必要。本年4月に、生産者が流通事業者に対して行う翌年の生乳生産数量の申出にかかる期限に関する規律の強化を行った。本年度も、更に規律を強化するべき点がないか、実務面でどこまでできるのか課題はあるが、関係者の声を聞きながら検討・議論を進めていきたい。

 

(一般社団法人日本乳業協会本郷氏からの発表概要)

     乳業の基本的な役割は、生乳全量受入れと需給調整による酪農経営支援、生乳の加工処理・商品開発を通じた乳の価値向上、安全・安心な牛乳乳製品の安定供給、の3点。

     酪農乳業の現状として、生産コストの高騰から製品価格へ転嫁を行ったところだが、牛乳の販売本数は減少。

     今後は、無脂乳固形分の需要確保対策、需要のあるチーズの生産対策により、脱脂粉乳とバターの需要均衡と、生産維持を図ることが重要と考える。

 

(意見交換)

井上委員:現場の生産者の本音として発言したい。先ほどの資料で、値上げをすると消費が落ちる旨が書いてあり、理屈はそうかもしれないが、牛乳の値上げは他の食品や製品の値上げと比べてそれほど高いとは感じない。また、日本の牛乳が外国と比べて高いと発言があったが、生活水準が十分高いとは思えないネパールやベトナムでも販売価格は日本より少し安い程度で売れており、生産者手取りは1L当たり67円ほど貰えている。自分の地域でも経営難で廃業している経営があるが、そのような生産者からすると、安く売って自分の経営が潰れるくらいなら値上げしてほしいと思う。私自身35年前に酪農をやめて、5年前に酪農に再参入したが、状況が厳しく、いつリタイアするか真面目に考えている。今の酪農情勢はそれほど厳しい。

石田委員:酪農業界の厳しい状況を打破するためにも、JGAPや農場HACCPなどに個別に取り組んでいる生産者もいる。結局は全量集荷されて、合乳されてしまい乳価もそれほど変わらないが、それでも一つ一つの努力を積み重ねる取組を行っている。乳業メーカーとしては、そのような個別の取組を行う農家に、個別にプレミアム乳価を払って買いたいと思うのか教えてほしい。他にも、SDGsや有機物の循環などに取り組む農家に、通常の乳価にプラスアルファで買い取る、あるいは、応援したいという傾向があるのであれば、酪農家もそのような努力をするようになると考えるが、そのあたりについて伺いたい。

本郷氏:生乳は基本的には合乳されることから、分離流通が大きな課題ではあるが、特別に良い生乳を作ることには、是非取り組んでほしい。そのような取組が広まり、メーカー・生産者・生産者団体の間を上手く繋ぐことができれば、特別な飼養に取り組んでいる地域の生乳を分離流通し、プレミアム価格で取引するなど、特別な対応をすることは可能だと考える。具体的には、大手乳業では特定の地域において生産した生乳を有機牛乳として販売している例がある。

彦坂委員:私は3年前から牛乳の定期購入を始め、牛乳の消費が増えた。一方で宅配牛乳が少なくなってきており、ほとんど見なくなったように感じる。宅配牛乳の形態が無くなってきている理由について伺いたい。

また、これは畜産経営の現場としての実感だが、やはり、物流費が問題。原料や生産物の販売に関わる物流費のほか、労働市場で競合するときに、上げなければならない人件費も反映される農産物の価格が必要だと思う。

本郷氏:宅配牛乳の減少については様々な理由があるかと思う。元々は宅配が中心であったが、スーパーが台頭してきて、スーパーで購入されるようになり、宅配牛乳は大きく減少した。これにより、需要規模が縮んできて、後継者が減るなどした結果、更にスーパーでの購入が増加したのではないか。宅配牛乳はまだなくなってはいないので、しっかり続けて販路を増やしていきたい。

 

(ながさき西海農業協同組合森田氏からの発表概要)

     市場開催月により取引頭数に偏りがあることや出荷頭数の減少等を理由にR2年に宇久小値賀家畜市場と統合。

     統合により毎月の市場開催となり、出荷頭数の安定や子牛の斉一化、購買者の増加に繋がった。

     市場の統合に向けて、検討会や協議会を開催し、関係者の合意形成を図り、課題を整理。

     統合のメリットは出荷者全体が享受することから、出荷者全員から一律の負担金を徴収し、市場が遠くなる生産者の輸送費を補助している。

 

(意見交換)

井上委員:家畜市場の統合には大賛成。私自身、北海道で、市場に牛を売る側と買う側の両者の立場であるが、市場が大きくなればなるほど様々な種類の牛が集まり、購買者も集まることから、出荷者・購買者の両者にメリットがあると感じている。日本全国で市場の統合を進めていただきたい。

大山委員:市場統合により出荷月齢が短くなったとのご説明であったが、毎月の市場開催になった事により、タイミングよく出荷できるようになった結果かと思う。繁殖農家の高齢化に伴い300キロを超えるような大きな牛を扱うことが大変になっている中、早期に子牛を出荷することは、早期に肥育が開始できるという点でも利点となると考えている。早期出荷は個人的には非常に良いことと感じている反面、早期出荷による出荷時体重の低下に伴う価格下落や開設者の手数料の問題などのデメリットもあると考えている。市場統合に伴い出荷月齢が早まったことによるデメリットは感じているか。

森田氏:市場統合前は、農家によっては350kgを超え、極端な例だと400kgにも達するような子牛が上場されることもあり、むしろ、月齢が若いにもかかわらず300kgになるような育ちの良い子牛が貧弱に見られてしまうこともあった。月齢は若いが体重が大きい、というのは良いことであるが、月齢が高く、その分体重も大きいような子牛がいるという事は、出荷される子牛のバランス(斉一性)が悪くなってしまうこともあり、農協管内で足並みをそろえて子牛の斉一化を進めていこうと話しているところ。購買者の皆様にも、出荷される子牛の品質が安定してきたと評価を得ているため、引き続き、子牛の斉一化に取り組みたいと考えている。

馬場委員:統合のメリットを発揮できている良い事例である。市場統合により購買者が増えたとのことだが、購買者の獲得に向けて取り組んだこと、また、今後どのように購買者を増やしていくのかということも併せて教えていただきたい。

森田氏:購買者が増加したという点については、市場統合前は離島にのみに行っていた購買者が平戸口中央家畜市場に来るようになったことが要因。購買者層は統合時とは変化しており、波があるような状況。現在は、市場開催前に情報提供を行う中で購買者誘致を行っている。今後の購買者誘致の方法については引き続き、農協として検討しつつ、購買者への情報提供に努めていく。

 

(全国農業協同組合連合会廣岡様からの発表概要)

     JAグループとして全国食肉センター協議会を運営。

     食肉センターが直面する課題として特に要員不足と施設老朽化がある。

     課題解決に向けた取り組みの一環として、全国食肉学校での技術者の育成や静岡での施設再編計画や岐阜での輸出対応型施設の整備に取り組んでいる。

     食肉センターが抱える問題は畜産バリューチェーン全体の問題として捉える必要。

 

(意見交換)

井上委員:飛騨食肉センターの輸出対応は良い例。和牛などの高級食材は海外での消費が重要であり、輸出認定を受けた食肉処理施設がまだまだ必要。食肉処理施設の輸出認定の取組を進めて頂いていると思うが、まだまだ足りない。私も200t近く海外に輸出しているが、まだ需要があると感じる。特に、ドバイ等のハラル圏に大きな需要・マーケットがあるが、ハラル認定を受けた食肉処理施設が無く輸出できないのが非常に歯がゆいと思っている。

食肉学校の役割は大きい。食肉はほとんどがブロックで輸出されるが、海外には日本のように各部位に細かく分ける技術がない。この技術を海外に教えないと、うまく販売してもらえずもったいない。今後、食肉学校の技術者の役割は海外でも大きくなってくることから、より一層生徒を増やして、伸ばして頂きたい。

廣岡氏:輸出だけでなく食肉学校の役割に対する期待の大きさについても改めて認識したところである。学校にもこうした期待を伝えるとともに、今後の事業運営にも役立てていきたい。

小椋委員:牛乳もそうだが、和牛肉の消費も滞っている。販路拡大にはやはり輸出が重要。全農でも力を入れて取り組まれているが、一番の課題は食肉処理施設の衛生条件かと思う。まだまだEUやハラル圏等に販路はあるが、食肉処理施設の衛生条件をクリアしなければ、相手国に輸出できない。全農が中心となって、今まで以上の販路拡大と、和牛肉の消費拡大を取り進めて頂きたい。

廣岡氏:まだまだ食肉センターの課題も多いが、一つずつ解決しながら取り組んでいきたい。

大山委員:食肉は野菜とは異なり、と畜のプロセスを経なければならないという特殊性を理解した上でご質問したい。牛を出荷してと畜してもらう場合、全農に委託して家畜商等に輸送してもらった後、自治体が設置した食肉処理施設に入っている民間業者にと畜してもらう。その後の処理についても、内臓は業者が異なるなど、かなり複雑な経路であることは間違いない。一方で、例えば、飛騨ミートは開設と中に入っている事業者が同じであるし、海外のミートパッカーもシンプルな構造になっている。日本の牛肉の流通システムが経済性や合理性、意思決定、変化に対する対応力やスピードの面においてデメリットがあるのではないかと感じているが、このことについてご意見あれば教えて頂きたい。

廣岡氏:食肉センターには、豚のみ取り扱う会社や、家畜生体を購入し処理加工したうえで販売会社に販売するシンプルな形態、委託を受けて加工販売を行うところなど、様々な経営体がある。発表でも申し上げたような食肉センターの老朽化や人員不足等の課題の解決に向けては、それぞれの流通システムにおける経済性、効率性といった課題の整理が必要とされる場面もあるかもしれないが、いずれにせよ、食肉センターが個別で解決することは非常に難しく、生産者から販売者まで一体になって議論することが求められるのではないか、と認識している。

小山委員:牛肉の輸出認定を受けた食肉処理施設は全国に何施設あるのか。

猪口課長:先ほどの発表にもあった通り、食肉を輸出する際は食肉処理施設が輸出先国の認定を受ける必要がある。一部重複もあるが、アメリカ向けの輸出施設は16施設、EU向けは12施設、台湾向けは28施設、タイ向けだと81施設など、基準が厳しい国ほど認定が取れている食肉センターは少ない状況にあり、一番基準が厳しいアメリカ、EU向けの輸出認定取得を目指して施設整備を行っている。

 

(以上)

お問合せ先

畜産局総務課畜産総合推進室

担当者:請川、河田、松山
代表:03-3502-8111(内線4888)
ダイヤルイン:03-6744-0568

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