家畜排せつ物法管理基準と施行状況
ここでは、家畜排せつ物法に基づく管理基準の内容や基準への対応状況などを紹介しています。1.家畜排せつ物法における「家畜排せつ物」とは
家畜排せつ物法では、後に示す畜種に該当する家畜からの排せつ間もないふん尿だけでなく、稲わら等との混合物、乾燥物、発酵後のたい肥や液肥といったものまでを含めて「家畜排せつ物」として取り扱うこととしています。
理由は、次のとおりです。
- たい肥とふん尿の状態は、一連の形状等の変化の過程で連続しており、明確に仕分けることが困難となる場合があること
- ふん尿のみならずたい肥等についても、不適切な管理によってふん尿と同様に畜産環境問題を引き起こす恐れがあること
2.家畜排せつ物の「管理」とは
家畜排せつ物法では、家畜排せつ物の「管理」を、家畜排せつ物を処理したり保管する行為としています。
もう少し具体的に示すと、次のようになります。
- 「処理」とは、たい肥の原材料としての加工、乾燥処理施設における乾燥、固液分離、水分調整等の幅広い行為を含みます。
- 「保管」とは、家畜排せつ物に加工を加えることなく保っておく行為です。
3.家畜排せつ物法に規定された「管理基準」
家畜排せつ物法第3条第1項により、「たい肥舎その他の家畜排せつ物の処理又は保管の用に供する施設の構造設備及び家畜排せつ物の管理の方法に関し畜産業を営む者が遵守すべき基準」(管理基準といいます)が定められています。
また、同第2項において、「畜産業を営む者は、管理基準に従い、家畜排せつ物を管理しなければならない」とされています。
4.「管理基準」の適用除外
飼養規模が小さい場合は排せつ物の発生量が少なく環境への影響が小さいことを考慮して、 以下に示す飼養頭羽数の場合は管理基準の適用を受けないこととされています。
ただし、以下の飼養頭羽数に該当し法律上の管理基準の適用を受けないからといって、野積み・素堀りを行うことは好ましいことではありません。義務づけではないものの、管理基準を守ることが望まれます。
- 牛の場合 10頭未満
- 豚の場合 100頭未満
- 鶏の場合 2000羽未満
- 馬の場合 10頭未満
なお上記の畜種に該当しない家畜(例:ヤギやダチョウなど)については管理基準の適用対象となりません。
5.「管理基準」に違反した場合
上記のとおり小規模な飼養頭羽数の場合を除いて、畜産業を営む者が管理基準に反した家畜排せつ物の管理を行っているケースに対して、都道府県知事は以下に掲げるような行政指導や処分を行うことができるとされています。
- 管理基準に従った管理が行われるための必要な「指導及び助言」(法第4条)
- 指導又は助言を受けた後も、なお管理基準に違反している場合、一定期間内に違反状態を解消すべき旨の「勧告」(法第5条第1項)
- 勧告を受けたにもかかわらずこれに従わなかった場合、一定期間内に違反状態を解消すべきとの「命令」(法第5条第2項)
なお、命令に違反した場合には50万円以下の罰金に処せられる(法第15条)ことになります。
また、都道府県知事は、「指導及び助言」や「勧告及び命令」を行うために必要な報告を畜産業を行う者に命じたり、職員を事業場に立ち入りさせ検査するなど「報告の聴取及び立入検査」(法第6条)を行うことができるとされています。
この報告をしなかったり、虚偽の報告をしたり、検査を拒んだり、妨げたり、忌避した場合には、20万円以下の罰金に処せられることになります。(法第16条)
6.「管理基準」に関する経過措置
家畜排せつ物を適正に管理するための施設の整備には一定の期間が必要となるということを考慮して、管理基準の一部には猶予期限(管理基準の適用を猶予する期限)が設定されていました。
猶予期限が設けられた項目と適用時期(施行日)は以下のとおりですが、平成16年11月1日から全ての項目が適用(本格施行)されています。
- 構造設備に関する基準(施行規則第1条第1項第1号イ及びロ)については、平成16年11月1日(既に適用)
- 管理の方法に関する基準のうち「家畜排せつ物は管理施設において管理すること」(施行規則第1条第1項第2号イ)については、平成16年11月1日(既に適用)
- 管理の方法に関する基準のうち「家畜排せつ物の年間の発生量、処理の方法及び処理の方法別の数量について記録すること」(施行規則第1条第1項第2号ホ)については、平成14年11月1日(既に適用)
7.管理基準の遵守など法の施行状況
家畜排せつ物法の施行状況調査(令和5年12月1日時点)の結果によれば、ほぼ全ての農家が管理基準を守っている状況でした。詳細は以下リンクの通りです。
家畜排せつ物法施行状況等調査の結果について(令和5年12月1日現在)(PDF : 642KB)
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