家畜排せつ物の発生と管理の状況
ここでは、我が国における家畜排せつ物の発生や管理(処理・保管)について紹介しています。
1.家畜排せつ物の発生状況
家畜排せつ物(家畜ふん尿)の発生量は、畜種(さらに月齢)によって1頭(羽)当たりの概ねの年間発生量(ここでは「原単位」といいます。)がわかっています。
このため、わが国全体での年間発生量は、畜種(さらに月齢)毎に、飼養頭羽数に原単位を乗じることにより、推定することができます。
わが国全体で1年間に発生する家畜排せつ物の量は約8千万トンと推計され、近年、家畜・家きんの飼養頭羽数が増加傾向にあることから、わずかに増加しています。
畜種別にみた家畜排せつ物発生量(単位:万トン)
畜種 | 発生量 |
---|---|
乳用牛 | 2,186 |
肉用牛 | 2,480 |
豚 | 2,060 |
採卵鶏 | 727 |
ブロイラー | 583 |
合計 | 8,037 |
注:令和5年 畜産統計などから推計
我が国における家畜排せつ物の年間発生量を容積に直すと東京ドームの容積の約75倍に相当します。
これは、家畜排せつ物と同じくバイオマス資源として期待されている「食品廃棄物」(年間発生量約2,400万トン)、「間伐材・被害木を含む林地残材」(年間発生量約970万トン)に比べても非常に大きく、我が国におけるバイオマス資源の全体量(約2億4,210万トン)の概ね30%を占めています。
2.家畜排せつ物の管理方法
家畜排せつ物の管理(処理・保管)方法には、発生する家畜排せつ物の性状や処理後の利用形態に応じ、様々な方法があります。
我が国の場合は、国土が狭く、都市と農村の混住化が進んでいるといったことが背景となり、欧米では一般的でないたい肥化処理や浄化処理が多く行われるなど、諸外国に比べて多様な処理・保管方法が用いられています。
それでは、望ましい家畜排せつ物の管理方法とはどのようなものなのでしょうか?
家畜排せつ物の管理(処理や保管)の方法としては、できる限り水質汚濁や富栄養化の原因となる物質が河川や地下水へ流出・浸透しないような管理方法であるとともに、できる限り土壌改良資材や肥料としての有効活用が期待できる管理方法であることが基本的に望ましいと考えられます。
実際には、以上の考え方に、地域の自然条件、社会条件、畜産経営の状況などを考えあわせて、個々の畜産経営に適した管理方法を選択していくことが大切といえるでしょう。
3.我が国における家畜排せつ物の管理の状況
我が国で発生した家畜排せつ物は、どのように管理(処理・保管)されているのでしょうか。次の図をご覧下さい。
平成11年当時では、発生量の約8割が農地還元利用に有利なたい肥化、液肥化、乾燥処理、スラリー処理等に仕向けられていた一方、発生量の約1割は野積みや素掘りといった不適切な管理がなされ有効に利用されていませんでした。
たい肥化とは、植物や家畜ふん尿などを、好気的な(=酸素のある)条件で分解(発酵と呼ぶこともあります)させることです。
その後、家畜排せつ物法の制定など畜産環境対策の推進により、平成16年12月時点では、たい肥化、液肥化、乾燥処理、スラリー処理等への仕向けが発生量の約9割に増えるとともに、野積みや素掘りへの仕向け量については発生量の1~2%まで大きく減少しているものとみられます。
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