農林水産大臣談話「食料・農業・農村基本法改正法の成立に当たって」
令和6年6月14日 農林水産大臣談話
|
五月二十九日、食料・農業・農村基本法の改正法が成立いたしました。
本改正法は、世界及び我が国の食料をめぐる情勢が大きく変化していることを受け、令和四年九月以降、現行基本法の検証・見直しに向けた検討に着手し、関係者の精力的かつ集中的な御議論を経て成立に至ったものであります。 関係各位の御尽力に対し、改めて、心から感謝と敬意を表するものであります。
本改正法は、現行基本法の制定から四半世紀が経過する中で、「食料安全保障の抜本的な強化」、「環境と調和のとれた産業への転換」、「人口減少下における農業生産の維持・発展と農村の地域コミュニティの維持」の実現を目指し、基本理念の見直しと、関連する基本的施策等を定めております。
政府としては、本改正法に示された施策の方向に即して、今国会で、食料供給困難事態対策法、農振法等改正法、スマート農業技術活用促進法が成立するなど、既に新たな農政の実施に着手しておりますが、引き続き、本年度中に新たな基本法に基づく食料・農業・農村基本計画を策定し、施策の具体化を着実に進め、食料安全保障の強化等に向けて農業の構造転換を図るための施策を集中的に実施してまいります。 中でも、食料の合理的な価格の形成や農業用インフラの保全管理に関する法制度等については、食料システムや農業生産の持続性確保の観点から喫緊の課題でありますので、基本計画と併行して検討を進めてまいります。
今後、我が国の食料・農業・農村は、気候変動等による自然災害の多発や栽培適地の変化、国内人口の減少に伴う国内需要の減少や高齢者の引退による農業従事者の大幅な急減など、我々がこれまで経験したことのない課題に直面していくことになります。 現在、社会全体が急速に変化し、「変動性」「不確実性」「複雑性」が取り巻く時代の中で、情勢の変化に対応するための課題を解決していくためには、これまでの経験や既存の方法では対応するのが難しくなってきています。このような状況下でも、あらゆる事態を想定し、国民に食料を安定的に供給し続けられるよう環境整備を図るのが国の責務です。そのためにも、農業の生産性向上と持続可能性の両立や農村地域社会の維持という難しい社会課題を克服しなければならず、官民一体となって、英知を結集して取り組んでまいります。
また、今回の改正では、生産、加工、流通、小売、消費の各段階の関係者が連携する食料システムという概念を新たに規定し、合理的な価格の形成や環境負荷低減など、持続可能性を高める取組を進めるため、関係者が一体となって取り組んでいくことを強く打ち出したところです。 本改正法が掲げる理念を実現するためにも、農業者、食品産業の事業者等の方々には、持続可能性との両立を図りつつ、より収益性の高い経営の実現を目指していただくとともに、消費者の方々には、こうした食料供給の背景について御理解いただき、食料の選択を通じて持続的な食料供給にも関わっていただくなど、食料システムの関係者それぞれが、これまでの経験にとらわれず、新たな情勢に対応した取組を行っていくことが必要となってきます。
今回の改正を契機として、農業・農村がこれまで果たしてきた役割を引き続き適切に発揮するとともに、農業者のみならず食料の供給に関わる全ての関係者が、自信と誇りを持って、農業を始めとする自らの事業に取り組み、こうした取組が国民から応援される社会を実現していかなければなりません。 農業者等の関係者の真摯な、更なる取組に期待するとともに、国民各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
|
農林水産大臣 ![農林水産大臣の署名](./attach/img/danwa-1.jpg)
|
食料・農業・農村基本法について、詳細はこちら
お問合せ先
大臣官房政策課
代表:03-3502-8111(内線3087)
ダイヤルイン:03-3502-8448