調査・研究実績
LEVOにおける調査・研究活動
- 調査・研究実績
- 公表レポート(IEA関係)
- IEA・国際共同研究 関連用語集
公表レポート(IEA関係)
2024年世界のEV 展望 2024(IEA Global EV Outlook 2024)
Global EV Outlookは、世界における電動モビリティの最近の動向を特定・評価する国際エネルギー機関(IEA)の
年次刊行物で、電気自動車イニシアチブ(EVI)のメンバーの支援を受けてまとめられたものである。
このレポートは、過去のデータの分析と予測(現在は2035年まで延長)を組み合わせて、EVや充電インフラの普及、
バッテリー需要、投資動向、主要市場と新興市場における関連する政策動向など、主要な関心分野を調査している。
また、EVの普及が電力や石油の消費、温室効果ガスの排出にどのような影響を与えるかについても考察している。
このレポートには、主要市場から学んだ教訓の分析が含まれており、EVの普及を支援する政策枠組みと市場システム
について、政策立案者や利害関係者に情報を提供するものである。
今回は、EVの手頃な価格、中古市場、EVとそのバッテリーのライフサイクルエミッション、中型および大型EVトラック
の充電によるグリッドへの影響の分析も取り上げている。
また、Global EV Data ExplorerとGlobal EV Policy Explorerの2つのオンラインツールも用意されており、ユーザーは
世界中のEVの統計や予測、政策措置をインタラクティブに調べることができる。
2023年エネルギー技術の展望(IEA Energy Technology Perspectives 2023)
<調査概要>
本報告書は、クリーンエネルギー技術のための安全で強靭かつ持続可能なサプライチェーンを構築するための重要事項を政策立案者に提示している。
クリーンエネルギーのサプライチェーンにおいて、製造技術とそれに依存する原料の両方で、潜在的に危険なレベルの“集中”が存在している。現在、中国はほとんどのクリーンエネルギーの製造技術と貿易を支配している。中国だけで2030年の太陽光発電モジュールの世界市場全体、電解槽の世界市場の3分の1、電気自動車のバッテリーの世界市場の90%を供給できる。
サプライチェーンのどの部分(得意部分)を国内特化し、どの部分(不得手部分)で戦略的パートナーシップを構築するか、あるいは第三国に直接投資するかを慎重に検討することが、各国の産業戦略における重要な検討事項となっている。
新しいインフラは、すべての国で新しいエネルギー経済のバックボーンを形成し、インフラ構築には時間がかかる(その原因の一つは許認可の遅れであることを指摘)。
大型燃料電池トラックの(各メーカーから発表されている計画を合計すると)供給は、IEAがロードマップで設定しているNZE(ネットゼロエミッション)の目標に対し、2030年時点で約50%(半分が不足)である。ただし、燃料電池自動車(FCV)生産のリードタイムは、(鉱物採掘や、インフラ構築より)1~2年と短く、挽回可能と指摘されている。
ブレークスルー・アジェンダレポート 2022(Breakthrough Agenda Report 2022)~自動車交通~
<調査概要>
パリ協定の目標達成に向け、COP26で5分野(電力、水素、自動車交通、鉄鋼、農業)におけるクリーン技術のイノベーションと普及を協力して加速し、すべての人がアクセス可能で安価なものにするためのこの10年間の目標が承認されました。この目標を達成するための打開策についての最初の年度報告書が「IEA ブレークスルー・アジェンダレポート※2022」として取りまとめられました。
※ブレークスルー・アジェンダとは、“目標を達成するための打開策”ということ。報告書にまとめられている5分野のうち、“自動車交通”について概要を報告します。
<成果概要>
自動車交通ブレークスルー目標 “ゼロエミッション車が新常識となり、2030年までにすべての地域で取得可能で、安価で、持続可能であること”
運輸部門は化石燃料の依存度が最も高く、最終エネルギー需要の95%が化石燃料であり、世界のCO2排出量の20%以上を占めている。ゼロエミッションの自動車交通への移行が進展しているが、2030年までにはZEVが新車販売の60%を占める必要がある。政策とエネルギー効率化対策が必要である。国際協力による実現条件にわたる行動が緊急に必要であり、政府は暫定目標を設定し、投資を動機づける政策に関するベストプラクティスについて情報交換を行う必要がある。また、電池のライフサイクルエミッションとその生産に関連する影響を最小限に抑える必要がある。中古車の国際貿易における自動車の効率と安全性を向上させるため、自動車取引に関する規制の調和に合意するべきである。
ブレークスルー・アジェンダレポート 2022(Breakthrough Agenda Report 2022)~第3章 水素~
<調査概要>
パリ協定の目標達成に向け、COP26で5分野(電力、水素、自動車交通、鉄鋼、農業)におけるクリーン技術のイノベーションと普及を協力して加速し、すべての人がアクセス可能で安価なものにするためのこの10年間の目標が承認されました。この目標を達成するための打開策についての最初の年度報告書が「IEA ブレークスルー・アジェンダレポート※2022」として取りまとめられました。
※ブレークスルー・アジェンダとは、“目標を達成するための打開策”ということ。報告書にまとめられている5分野のうち、“水素”について概要を報告します。
<成果概要>
水素ブレークスルー目標 “手頃な再生可能・低炭素水素が2030年までに世界的に利用可能になる”
再生可能な低炭素水素の利用可能性と受容性を高めるために、国や企業が協力して、水素の導入およびより大きな取引市場(購入契約含む)を創出することが当面の優先事項である。これは、2020 年に 100万トン未満であった生産量を、2030 年までに年間約 1億4,000万~1億5,500万トンにまで拡大する必要があり、生産への投資も促進することになる。国や企業は、すでに水素が利用されている分野において、化石燃料を利用した生産から脱却するための施策をコーディネートし、鉄鋼、船舶、エネルギー貯蔵といった水素の新しい用途への普及におけるベストプラクティスを共有する必要がある。実証プロジェクトの数や地理的分布を増やし、学習したことを深く共有するとともに、的を絞った技術的・財政的支援をする必要がある。これは、より多くの国にとって、より早い時期に水素の利用を可能にし、かつ安価にするために重要であろう。安全基準、運転基準、排出基準を国際的に合意するための努力は、広範な普及と取引を可能にするために不可欠であるため、加速されるべきである。
バイオエネルギータスク共同プロジェクトの概要報告書
《再生可能ガス-普及、市場、持続可能な貿易》
(Renewable gas - deployment, markets and sustainable trade)
<調査概要>
再生可能ガス(Renewable Gas:RG)として、バイオメタン(及びバイオガス)、非生物起源再生可能ガス(非生物起源の再生可能メタン:グリーン水素+捕捉CO2(化石起源ではない))を対象に脱炭素を進めるうえでのバイオメタン及び再生可能メタンの普及状況、市場動向、再生可能ガスの貿易に関する概要調査を行い取りまとめている。
<成果概要>
バイオメタン原料は現在、主として堆肥や廃棄物である(嫌気性消化による発酵で製造)。コスト、土地利用等の観点で、エネルギー作物を原料にする製造は収束の方向にある。バイオガスによる発電は、太陽光、風力よりもコスト高いため、固定価格買い取り制度が必要である。バイオガス(及びバイオメタン)は化石天然ガスと比較して経済性がないため、脱炭素の移行にはCO2プライシングが必要で、経済性がないことが最大の課題となっている。
非生物起源再生可能ガス(非生物起源再生可能メタン、以下、再生可能メタン)は、使用する電力とメタネーションのための炭素源が、再生可能メタンによる炭素排出を軽減するための鍵である。国際貿易は世界のエネルギーシステムを脱炭素化するための重要な要素になる可能性があると予想している。
令和3年度 道路輸送の脱炭素化における輸送用再生可能燃料の役割
(The Role of Renewable Transport Fuels in Decarbonizing Road Transport)
<調査概要>
現在の各国の政策、自動車保有台数の予測、および再生可能輸送用燃料の利用可能性に基づいて、道路交通部門の脱炭素化において再生可能燃料が果たす役割を定量化し、各国の違いや、脱炭素化のための選択肢、成功した政策事例などを検討、整理した。
<成果概要>
2060年の輸送用燃料需要の最大30%を代替するのに十分な持続可能な原料をバイオ燃料生産に利用することができる。
ライフサイクルの観点から評価すると、バイオ燃料は化石燃料よりも大幅にGHG排出量を削減できる。現在、カリフォルニア州で提供されているバイオ燃料の平均的な炭素強度は、15?65gCO2e/MJである(化石燃料である軽油とガソリンの炭素強度は95)。将来的には、バイオ燃料の炭素強度はさらに低下すると予想され、廃棄物処理によるGHG排出回避のクレジットを取得したり、CCSと組み合わせたりすることで、正味でマイナスになることもある。
先進バイオ燃料のコストは生産経路によって異なり、ほとんどの場合、ガソリン換算で1リットル当たり0.35~1.58ユーロと、現在の化石燃料換算のコストを大幅に上回っている。先進バイオ燃料技術は現在、開発の初期段階にあるため、さらなるコスト削減の可能性が大きい。
などが明らかになった。