「日本三美人の湯」の源泉を掛け流しで 出雲大社と美肌温泉の癒やし旅 「湯の川温泉 湖静荘」 【コラム:おんせん! オンセン! 温泉!】
「日本三美人の湯」をご存じでしょうか。つるつる、すべすべな「美肌」になれる温泉として、群馬県「川中温泉」、和歌山県「龍神温泉」、島根県「湯の川温泉」の3カ所に与えられた称号です。1920年代に国鉄内の組織である鉄道院が発行した「温泉案内」で、「肌の色を白くする」という効能が謳(うた)われていたことがルーツとなり、このように呼ばれるようになったそうです(諸説あり)。歴史ある「美人の湯」の温泉ということですね。
今回は、そんな「日本三美人の湯」の一角をなす、島根県の「湯の川温泉 湖静荘(こせいそう)」をご紹介します。湯の川温泉は、出雲空港(出雲縁結び空港)から至近距離にあり、「出雲大社」へもアクセスが良いことから、島根を巡る旅で人気の温泉地です。
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湯の川温泉からほど近い「出雲大社」
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「湯の川温泉 湖静荘」の外観
島根県出雲市に湧く「湯の川温泉」は、現在10軒弱の温泉宿や温泉施設が点在する静かな温泉地。出雲空港(出雲縁結び空港)から車で5分ほどの距離にあり、鉄道利用ならJR山陰本線「荘原(しょうばら)駅」より徒歩10分の好立地です。また、出雲大社へは車で約30分と、島根観光の拠点として、根強い人気があります。神々の国・島根県らしく、古事記に登場する、美人神「八上姫(やかみひめ)」が見つけた温泉、という伝説が残る神話の湯としても知られています。
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清潔で広々とした館内
そんな温泉街の玄関口に位置する「湖静荘」は、黄色のシンプルモダンな外観が印象的な老舗宿。施設は決して新しくはありませんが、館内は掃除が行き届き、清潔に保たれており、気持ちよく過ごすことができます。
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大浴場(木の湯船)の全景
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大浴場(岩の湯船)の全景
お風呂は、男女別の大浴場内湯のみ。どちらも昭和を感じる、レトロなタイルが敷き詰められている浴室です。片方は15人ほどが入れる広々とした木の湯船。もう一方は、5、6人サイズのこじんまりとした岩の湯船で、それぞれ趣が異なります。
泉質は、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉。この温泉成分がベールとなって肌を包み込むことで、水分が補給され、しっとり保湿。ベールの効果は保温も兼ねており、血の巡りが良くなることで、透き通るようなクリアな「美肌」を手に入れることができるそうです。また、豊富なカルシウムは、鎮静効果が高く、疲れたお肌をやさしくいたわってくれる美容液のような温泉です。
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日本三美人の湯の源泉を掛け流す「湯口」
お風呂は、50度で湧くこの源泉を、加水・加温・循環・消毒なしの「完全掛け流し」で提供しています。湯量も豊富で、浴槽の淵からは、源泉が絶えずサーサーとあふれ出ていて、爽快です。湯のフレッシュさも抜群で、湯温は少し熱めの適温。温泉に身を沈めると、ふわっと甘くて芳ばしい湯の香りが鼻腔(びこう)をくすぐります。無色透明なお湯は、つるつるでトロトロな感触。肌にまとわりつくような浴感は、夢心地のひとときでした。
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夕食一例
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ハタ・ヒラマサ・タイ・サーモンのお造り
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しじみ汁配合の黒ビール
「日本三美人の湯」のゆえんは、食事にもあります。日本海の鮮魚や中国山地の山菜などを使った料理は絶品です。
この日の夕食は「ハタ・ヒラマサ・タイ・サーモンのお造り」「真フグのたたき」「イサキの塩焼き」「ホタテのヒモの柚子胡椒和え」「タイと季節野菜の天ぷら」などが食卓を彩りました。それをおかずに食べるご飯「出雲産きぬむすめ」もおいしかったです。併せて、飲み物に「しじみブラック423」を注文。宍道湖のしじみ汁が入っている黒ビールで、濃厚なコクと甘みの中にキレがある飲み口は、湯上りに最高の一杯でした。
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旅の終わりに出雲空港で食べた「出雲そば」
10月が終わり、やっと本格的な秋を感じる今日この頃。長かった夏の蓄積した疲れを、お肌に感じる方も多いのではないでしょうか。そんなときは、「日本三美人の湯」の一つである湯の川温泉で、トロトロの美容液のような温泉と、出雲大社参拝で、心身共に癒やされてみてはいかがでしょうか。
【湯の川温泉 湖静荘】
住所 島根県出雲市斐川町学頭1948
電話番号 :0853-72-0339
【泉質】
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉(低張性 弱アルカリ性 高温泉)/泉温50.5度など/pH:不明/湧出状況:不明/湧出量:不明/加水:なし/加温:なし/循環:なし/消毒:なし ◆完全掛け流し
【筆者略歴】
小松 歩(こまつ あゆむ) 東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター★)、温泉入浴指導員、温泉観光実践士。交通事故の後遺症のリハビリで湯治を体験し、温泉に目覚める(知床での車中、ヒグマに衝突し頚椎骨折)。現在、総入湯数は2,500以上。好きな温泉は草津温泉、古遠部温泉(青森県)。