アンサンブル金沢の大阪公演は、広上のサービス精神が満載の大盛り上がり - 徒然草枕

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アンサンブル金沢の大阪公演は、広上のサービス精神が満載の大盛り上がり

翌朝は疲れが抜けないままに出かけることに

 翌朝は7時半に起床するが、ハッキリ言って目覚めは悪い。やはりここのところ心身の疲労が半端ないようである。しばしベッドの上でグダグダしていたが、ようやく起き出すと昨日買い求めていたミートスパが今日の朝食。うーん、体調を考えたらもっとあっさりしたものにしとくべきだった。

 チェックアウト時刻は11時なのでそれまではシャワーで体を温めたり、テレビをボンヤリ見たりで過ごす。11時前でチェックアウト。

 さて今日は昨日と同じザ・シンフォニーホールでのオーケストラアンサンブル金沢の大阪公演である。公演は14時からなのでまだ時間がある。とりあえずakippaで予約しておいた駐車場に車を置くと、昼食のために辺りを散策。

2日続けてのザ・シンフォニーホールである

 

 

昼食は寿司にする

 昨日は「イレブン」に立ち寄ったが今日はどうしようか。朝が麺類だったので気分として寿司辺りか。結局は「魚心」に立ち寄ってランチメニューの「海鮮ちらし(850円)」を注文する。

結局は高架下の「魚心」へ

 いわゆるよくある刺身の切れ端を集めた丼であるがなかなか美味い。CPを考えればまずまずの内容。

海鮮ちらしはなかなか美味い

 それにしてもこの店。以前からちょくちょく利用しているが、どうも昼時でも客が満員というのに出くわしたことがない。平日や夜がどうなのか分からないのだが、正直なところあまり長くないのではと嫌な予感がプンプン。世の中からどんどんと使える店がなくなっていく現状はどうにかして欲しいところだ。

 

 

喫茶にも立ち寄る

 昼食を終えてもまだ開場まで時間が1時間弱あることから、喫茶に入って時間をつぶすことにする。「喫茶珈琲店ピノキオ」に入店して「プリンと抹茶のパフェ」を注文。これをつつきながら時をつぶす。

続けて喫茶に入店

 内容的に悪くはないのだが、どうもこの店のメニューは私には甘味が強すぎるようだ。確かに昭和の喫茶店と言えばそういうところが多かった気がするが・・・。

悪くないんだが、少々甘さが強い

 

 

 開場時刻が近づいてきたのでホールに移動することにする。ホールに入ると別に飲みたいわけでもなかったアイスコーヒーを注文して喫茶で休憩。うーん、やはり都会で時間をつぶすためには何かと無駄に金がかかる。以前から感じているが、ザ・シンフォニーホールと京都コンサートホールは、付近で時間をつぶせる場所を探す必要があるな。

ホールへ

 ホールには開演10分前ぐらいに入場、私の席はB席で二階席の正面。図らずしも昨日の席のすぐ近くである。会場の入りは7割程度と言うところか。昨日のセンチュリーの方が入っている。

昨日の席とほとんど同じ場所

 

 

オーケストラ・アンサンブル金沢 大阪定期公演

[指揮]広上淳一
[共演]葵トリオ(ヴァイオリン:小川響子、チェロ:伊東 裕、ピアノ:秋元孝介)
[管弦楽]オーケストラ・アンサンブル金沢

ベートーヴェン:ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲 ハ長調 op.56
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第4番第3楽章(ソリストアンコール)
      六甲おろし(ボーナス演奏)
ビゼー(シチェドリン編):カルメン組曲
ウィリアム・J・シンスタイン:ロックトラップ(アンコール)
ビゼー(シチェドリン編):カルメン組曲より9.闘牛士(アンコール)

 まず一曲目は葵トリオをソリストに迎えてのベートーヴェンの三重協奏曲である。この3種の楽器の合奏でメインはチェロというのが面白いところ。ヴァイオリンはチェロのサポートに徹し、ピアノが時折変化を添えているという感がある曲である。

 さすがに葵トリオの掛け合い演奏が実に見事。音色が生きているというか、音楽に生命力が感じられる。バックのオケは8-6-4-4-3型という小規模編成なので、ソリストがかなり前面に出て、オケがそれを盛り立てるという本来の協奏曲の形をなしている。オケもアンサンブル金沢の名に恥じぬ見事なアンサンブルである。

 葵トリオの見事な演奏は、続いてのアンコール曲でさらに披露される。今度はかなりピアノが活躍するバランスとなっており、それとチェロとヴァイオリンの掛け合いが対抗するという印象。とにかく3人の息があっているというか、バランスが絶妙である。

 今回の公演では広上らしいサービス精神がフルに発揮されており、それがアンコールの多さに現れているのであるが、ここで唐突にボーナスとして登場するのが、阪神タイガースの優勝を祝しての「六甲おろし」。多分に大阪公演ということを意識してだろう。なお通常の小関裕而版と異なり、ヴァイオリンソロが入ったりなどやけに格調高い曲になっていたが、編曲は誰だろうか? もしかして広上? なお公演終了後でなく、ここで入ったのはこの後のカルメン組曲は弦楽と打楽器だけの曲なので管楽器が退場するからのようだ。

 

 

 後半はビゼーのカルメン組曲のシチェドリン編曲版。この曲はシチェドリンの妻でバレリーナだったマイヤ・プリセツカヤが「カルメン」を題材にしたバレエを計画したことから始まるという。最初はショスタコーヴィチに作曲の依頼を持っていくが「いやー、カルメンって言ったらやっぱビゼーがあるっしょ」と依頼を断られ、次にハチャトゥリアンの元に話を持っていったら「別に自分のところに持ってこなくても、あんたの旦那が天才作曲家でしょうが」と体よく断られたとか。で、シチェドリンは妻から作曲を依頼されるが、やっぱりビゼーの存在が大きすぎて無視することは出来ず、結局は編曲ということになったのだという。

 曲は打楽器大忙しの内容で、打楽器の音色が多彩なので管楽器がないという音色の乏しさを全く感じさせない内容。オリジナルから有名な旋律を引っ張ってきて独自の味付けをしている上に、途中で「アルルの女」からのファランドールまでなぜか乱入してくるという独得のもの。フィナーレなどはカルメンの劇的で悲劇的な結末を象徴していてなかなかに感動的。

 この曲はアンサンブル金沢との縁の深い曲だとプログラムにあるが、確かに「もしかしてこのオケのために作られた曲では」と思うほどにピッタリと決まっている。オケが曲に習熟しているとかいうレベル以上の曲に対するシンパシーのようなものまで感じられる気がする。獅子奮迅の打楽器陣の活躍と、それを支える安定してキレの良い弦楽陣の名演とか絡み合ってなかなかに劇的なドラマとなっている。

 大盛り上がりの場内の中で、いきなりさっきまで大活躍していた打楽器陣が出てきてのパフォーマンスのようなものが始まったから何だと驚いたんだが、後でロビーのホワイトボードを見て、これに曲名があったことにさらに驚いた。どちらかと言えばストリートパフォーマンスとかに近いが。

 で、これで終わりかと思っていたら、唐突に広上が指揮台に立って闘牛士をアンコール。まあ一番カルメンらしい曲である。オケの演奏もキレッキレで大盛り上がりで終了となったのである。

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