特急きぬで東京に戻る
翌朝は7時半に起床。目覚ましを7時半にセットしていたら、その直前に「おはようございます。現在食堂が非常に混雑しておりますので、8時以降のご利用をお願いいたします。」の館内一斉放送で目を覚まされる。これは朝の起床ラッパか?
とりあえずまずは大浴場で朝風呂。これがなかなか快適で、まさに小原庄助さんの気分である。もっとも私はつぶすような身上は持ってないが。
入浴を終えるとレストランへ。8時を過ぎているがかなりの混雑である。メニューは結構多いが、中には品切れを起こしているものもある。もっとも品切れ分はただちに補充がされているようで、そこは遅れてきたら食べるものがないというスーパーホテルなどとは違う。
朝からしっかり頂くとしばし部屋でマッタリしてから9時半前にチェックアウトする。駅までは有料のダイヤルバスで移動するつもりで昨日フロントに予約している。今朝になってみると結構な雨で、バスを予約していて大正解だったと感じる。
バスは各ホテルの宿泊客を拾いながら鬼怒川温泉街を一周する。山は一部紅葉がしているし、渓谷もなかなか綺麗だ。昨日散策しておいたら良かったが、そんな時間はなかったし・・・。わざわざ重たい一眼レフカメラをぶら下げてきたのに、結局は全く使用せずである。まあ今回、鬼怒川温泉はなかなか良いところだということが分かったし、気が向いたらまた日を改めて再訪しても良い。その時にこのホテルが取れるかは分からないが、とりあえず伊東園ホテルだけは避けよう。全く、同じチェーンのホテルと言っても伊東園とは雲泥の差だった。やはりこれはチャィナクオリティとジャパンクオリティのレベルの差なのであろうか。
バスは15分ほどで鬼怒川温泉駅に到着する。私は昨晩既に特急きぬの指定席をネット予約済みである。さて後は列車を待つだけ・・・と思っていたら、人身事故の影響で一部の列車が運行取りやめにとの放送が。オイオイと思いながら駅員に確認したら、幸いにして私の乗車予定の特急きぬは通常通りに運行されるようだ。ただし事故の影響で車内販売がないとのことなので事前に茶を仕入れておく。それにしても今回は東武は呪われているのか? まあ人身事故の増加も「金持ちのバカ息子はノウノウと、庶民はさらに貧困に」のアベノミクス効果の一環だろう。日本もこのまま行くと、貴族のバカ息子が支配するゴールデンバウム王朝末期のような状態になるのか。「宇宙を手にお入れください」というキルヒアイスの声が聞こえてきた。安倍のような無能に無茶苦茶されるぐらいなら、人類も私に支配された方が幸福なのではなんて危ない考えが頭をよぎる。
列車は対向列車とのすれ違いの関係で数分遅れで発車する。さらば鬼怒川温泉。やはり日本全国どこでも、うまい飯と良い湯があれば天国である。後は美しい女性との楽しい思い出でもあれば・・・。私と一緒に温泉に行ってくれる女性については引き続き募集中である。
下今市で日光方面からの乗客が大量に乗り込んできて車内はほぼ満員となる。日光もかなりの観光客が来ていたのだろう。去年のこの時期に日光で大変な目にあったことを思い出す。あの時は大渋滞に出くわして、日光湯元温泉に到着するのに5時間以上かかってしまった。あの事件ももう一年前になるのか。なにやら最近は月日が流れるのがやけに早い。
八丁堀で昼食を摂るとホテルへ
いつの間にやら意識を失い、次に気が付いた時には春日部に到着していた。北千住は次である。最近は北千住辺りに到着すると「帰ってきたな」と感じるようになってきた。ただ今日宿泊するのは南千住ではない。地下鉄日比谷線に乗り換えると南千住を通過して八丁堀を目指す。今日の宿泊ホテルはドーミーイン八丁堀。ドーミーインは温泉大浴場などで人気を博して、ビジネスホテルにも関わらず外国人の人気ホテルランキング上位に食い込むようになり、おかげで宿泊料が急騰して私としては最近は足が遠のいていた。しかし鬼怒川温泉で豪遊?した後にあまりに粗末なホテルに宿泊するのは精神的にキツイと考え、今日はホテル代を少し奮発した次第。
八丁堀駅で降りるとホテルを目指すが、地下鉄からあがったところで目の前に中華料理屋「中華菜館 栄康園」を見つけたので、昼食を済ませておくことにする。もう昼時である。腹が減った。
注文したのはランチメニューの「担々麺と炒飯のセット(1050円)」。担々麺は私が予測していたよりは甘口。炒飯は私の好みの味付け。オフィスの昼食としてはなかなか良い内容。実際に今日は店内は昼食のサラリーマンらしい客層ばかりであった。
昼食を済ませるとホテルまでプラプラ。それにしも中華料理屋が目立つ町並みである。八丁堀と中国人に何か縁があるのだろうか。しばし歩いて橋を渡った先がホテル。ホテルに到着するとまだチェックイン時間前なので、とりあえずキャリーを預けて身軽になる。これから東京地域美術館攻略である。
まずはこれまた何度も通っている美術館。駅からのアクセスは良いが、その駅へのアクセスに今ひとつ難があるところである。
「ニキ・ド・サンファル展」国立新美術館で12/14まで
原色で女性をモデル化した独特の立像「ナナ」で有名な女流芸術家の展覧会。
初期の作品は「射撃絵画」などいかにもパフォーマンス優先であるが、この頃の作品はあまり面白いとは感じられない。やはり圧倒的に面白いのは「ナナ」登場以降。彼女は女性という立場についてのこだわりが多々あったらしいが、ナナはまさしく女性を象徴した像であり、そのダイナミックさは因習から解放された自由な女性のイメージそのもののようである。
私が個人的に興味を感じるのは、彼女の作品のデフォルメされた独特の形態もあるが、やはり極彩色を散りばめた色彩感覚である。まとまりがないように見えてしっかりと計算されている色配置は、彼女の感覚の鋭敏さを示しているようである。
なお場内には「ブッダ」なる座像があり、これは撮影可だったのであるが、果たしてこれは本当に「ブッダ」だろうか? 彼女の目を通せばこうなるということか。
美術館を出ると次の目的地まで徒歩で移動。ここはあまりにも成金オーラが強すぎるので個人的には苦手な施設である。
「逆境の絵師 久隅守景」サントリー美術館で11/29まで
久隅守景は狩野探幽に師事した狩野派の絵師である。なお表題に「逆境の絵師」とあるのは、彼は二人の子供を設けるものの、娘の雪信は探幽の弟子と駆け落ちをし、息子の彦十郎はトラブルを起こして佐渡に島流しになるという身内の不祥事続きで、探幽の元を離れることになったからである。
しかし一家離散の状態の中でも彼は絵画を描き続けており、それらの作品は彼の不幸な境遇など感じさせないような牧歌的でのどかな作品が多い。むしろ探幽の元を離れることによって狩野派の縛りもなくなり、結果としては彼独自の自由な境地が開花したという見方も出来るように思われる。
未だに謎も多く、その作品も制作年などが明らかでないものが多いという。今後さらに発掘と研究が進んで欲しい画家でもある。
カフェで一服する
疲れてきたのでここのカフェ「加賀麩 不室屋」で「不室屋パフェ(897円税込)」で一服することにする。わらび餅なども入った和の風味のパフェ。ほっこりと落ち着く。
一息ついて生き返ったところで移動。次の目的地は成金共の総本山の六本木ヒルズ。ちなみにミッドタウンもヒルズも共に地下鉄六本木駅最寄りということになるのだが、実際にはL字型に接続した二駅の両端なので、この間は結構歩かないと行けない。こういう乗り換えやら何やらの度にやたらに無駄に歩かされるのが東京の都市設計の根本的失敗でもある。
「黄金のファラオと大ピラミッド展」森アーツセンターギャラリーで1/3まで
エジプト国立カイロ博物館が所蔵する収蔵品から「黄金のマスク」が展示されると共に、古王国からその後に至るピラミッドの歴史を紹介する。
石造りの巨大ピラミッドが見られるのは、クフ王、カフラー王、メンカウラー王の古王国の3代のファラオの時代であり、この後はむしろ王家の力が弱まることによってピラミッドが簡便なものになっていったようである。一方で神殿建築などに力を入れ、副葬品なども凝ったものになったようだ。本展の目玉である黄金マスクなども、その工作の技術にはなかなか感心させられるものである。
ただこの目玉以外は今までの数あるエジプト展でも散々似たようなものが展示されており、これといって珍しく感じられるものはなかったというのが本音。さすがにエジプト展の類いはあまりにやり過ぎているのでは。
「黄金のマスク」ということで、西洋美術館の「黄金伝説展」と合わせて黄金セット券発売と相成ったようだ。ただあちらは確かにキンキラキンだったが、こちらは意外と黄金は少なく、黄金マスク以外はほとんど石像であった。
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