誕生日の話 - 高等遊民前夜

高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

誕生日の話

 土曜日。誕生日。だんだんと歳を取ることがどうでも良くなっていき、それを年々心地よく感じている。成人して以降はどうでも良さが日増しに加速して、私の中で歳を取ること=加齢したという意味以外のすべてを失っている。それが加齢したことのいちばんいいことなのかもしれない。

 夫がアフタヌーンティーをご馳走してくれるというので、今池駅からほど近いマッシモ・マリアーニというカフェへ来た。結構昔からあるお店で、コーヒーやスイーツがたくさんあって夜遅くまでやっており、「大人の隠れ家」を掲げているお店。ギャルソン風にビシッとキメまお兄さんたちが食事を運んでくれる気合いの入ったカフェだ。こういうのが好きな人は名古屋に来たら絶対立ち寄って欲しいなと思う。


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 テラス席が人気だけれど、直射日光のなかの飲食はさすがにしんどかったので夏場は室内で食べた方がいいなと反省した。ともあれ珈琲も軽食も美味しくて、上々な誕生日になった。

 食後。昨日から上映開始しているルックバックを観たいな、と思い今池駅から伏見駅までまあまあの距離を歩いた。流石に公開二日目だから無理かなと自分でハードルを下げつつ、道すがらスマホで予約状況を見るとまだ空いている。その場で2席確保した。入場前に原作漫画のネームが特典でもらえる。座席についてパラっと捲ったが、ネームの段階でもうほとんど完成形でびっくりしたところでシアター内は暗くなった。満席だった。

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 映画。とても良かった。クリエイター(とクリエイターを推すファン)への讃歌のような映画だった。ものづくりをする人へのリスペクトに溢れていて、エンドロールが作り手から始まるところにもそれは表れていた。ただただ原作に忠実で、余計な改変は中で、付け足された映像に違和感はないことがシンプルに良かった。

 映像も良くて、アニメには通常、原画マンとアニメーターがいるけれど、この映画はすべて原画で構成されていると前情報で聞いていたから、作る過程の途方もない力技を思って圧倒された。とにかくすごいものを見たという感慨が残った。

 劇中音楽が過剰にあざといというか、然るべき場所で計算高く私たちを泣かせようと盛り上げてきているな、という意図を感じて、そこはもっと淡々としてていいのにな、って思った。まあでもそこは個人の好みなので、こういうドラマチックな感じが刺さる人にはすごく刺さるだそうといった感じ。このあざとさはharuka nakamuraの良さだと思う。観客の情動を揺さぶるためにやっているのであればとても最高しているんだと思った。

 余談だけれど、上映時間が小一時間しかないというのも、一部では賛否があるようだけど、私は好ましく受け取った。もう少し短い映画や映像作品が増えてもいいのになって思っている。次の用事までちょっと時間が空く時とかに、短い映画を観れたらいいのになって思うことが結構ある。最近の映画、長いんだよね。150分超えがざらにありすぎて、映画を見ることを目的でして設定して外出しないとなかなか観られない。これを機に短い映画が流行らないかな。