小中高を中心に各教科の授業や探究活動などに関わっています。GIGA端末を活用した授業を数多く参観して感じている課題は「授業で端末をいかに活用するか?」や「児童生徒の主体性を大切にする」といった「行動レベル」に焦点が当たりすぎている点です。
児童生徒の頭の中「思考レベル」で推察すると、表面的な事実を調べて書き写したり、時間をかけて整形したりしているだけの単なる「作業」になっている活動も散見されます。
そのような「学習の浅さ」のまま、各自がまとめた内容や撮影動画をクラウドで共有して比較しても、その先の深い学びは期待できず、下手をすると相手のまとめを丸写しして終わってしまいます。各学校や教育委員会の研修担当の先生方は、授業実践において上記のような課題を抱いている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今、「深い学び」を実現するための授業づくりや学習評価(見取りと授業改善のサイクル)の支援がNext GIGAに向けて大事だと考えています。
これまで自分の専門である学習科学、認知科学の視点から、「端末活用(使うことや稼働率)」が目標ではなく、「深い学びの実現(資質・能力の育成)」のための授業研究や研修の実現に向けて複数の自治体に関わってきました。
例えば新潟県五泉市では「聴き合う関係性をつくり頭と心をアクティブにする授業デザイン」を大事にしていました。端末活用によって各自の入力内容を相互参照できますが、大事なのはその先に「どうしてそうまとめたの?」「どのような違いがあるの?」といった学びを深める対話活動です。それを引き出すためにはいかなる問いを持って活動に取り組むのか「問い(学習課題)」の検討も重要です。
調べ学習の「質」にも影響します。これらの検討を通じて実現した学習活動によって、最終的な学びの成果が都度クラウド上に蓄積されていくと、それらはまさに1人ひとりなりの個別最適な学習成果の記録です。
ICT活用によって学習評価が充実していくような支援も行っています。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年11月4日号掲載