第50回全日本教育工学研究協議会全国大会・東京都港区大会では区内の小学校及び小中一貫教育校4校が授業を公開する。
本大会実行委員長である髙松政則校長(港区立小中一貫教育校赤坂学園赤坂小・中学校)に大会に向けた取組について聞いた。
本校は開校30年を迎えた赤坂小学校と開校76年の歴史をもつ赤坂中学校が1つになり、2023年4月に開校した港区3校目の小中一貫教育校です。
赤坂学園が建つ高台は、南に東京ミッドタウン、東にアメリカ大使館、北西には東宮御所や迎賓館までを含み、数々の史跡が残る地域であり、1950年5月9日には天皇・皇后両陛下が本校をご視察されるなど歴史と伝統のある学校です。
赤坂・六本木といった日本有数の繁華街の中に位置しているにもかかわらず、東京ミッドタウンの緑と一体となった緑の多い静かな環境にもめぐまれた最新の設備を備えた教育施設です。
今回、記念すべき第50回全日本教育工学研究協議会全国大会東京都港区大会が、港区立小中一貫教育校赤坂学園をメイン会場として開催できることに大きな喜びを感じるとともに、ご支援をいただいた関係者の皆さまに感謝を申し上げます。
本大会は、10月25日(金)・26日(土)の2日間にわたり、「NextGIGA~創造性を育むICTを活用した新しい時代の教育を目指して」をテーマに、発表校である本校を含め、港区立麻布小学校、白金小学校、小中一貫教育校お台場学園の4校が大会のテーマに合わせそれぞれの学校で研究を進めてきた成果を公開させていただきます。
麻布小学校では、児童の学習を支える『問い』をどのようにもたせるのか、児童に学習を委ねた上でどのように指導者が支えるか、学習の深化に向かう思考の仕方とICTリテラシーを日常的にどのように育成していくか、についてICT機器を利活用し問題解決したり課題探究したりする授業デザインづくりを研究し、授業改善に取り組んできました。
白金小学校では、児童の「伝えたい!」という思いを育む魅力的な言語活動の設定や、表現の「内容」や「伝え方」の充実を図るためのICTを活用した自由進度学習の進め方等について、研究を進めてきました。児童が自己の学びやすさに合わせて学習方法や内容を選択・決定したり、自己の学習状況を基に学習を調整して粘り強く学んだりする姿をご覧いただければと思います。
お台場学園では、教員主導の一斉講義型の授業からの脱却を図り、児童生徒が自分で課題を設定し、自分の進度で学習を進める「自由進度学習」に取り組んできました。同じ学級の中でも異なる課題・学習方法(教科書、インターネット、先生や友達に聞く)に取り組む姿や、教員が学習進度を把握し、児童生徒に適切なタイミングでサポートを行う、令和の日本型教育にアップデートした授業をご覧ください。
赤坂学園では、小中一貫教育校として「個別最適な学び」を実現するための学び方を系統的に育成しています。
小学校低学年から中学年にかけては、学び方の選択肢を増やすことを授業に取り入れ、同時に授業の目的に応じた情報スキルの習得も進めています。小学校高学年から中学生にかけては、習得した情報スキルや学び方を、自ら選択して使用することで、個別最適な学びを実現していきます。
小中一貫教育校の強みを活かした教育活動、授業の実態に即した系統的な学び方の育成過程にご注目ください。
また、大会の初日の午後は文部科学省初等中等教育局学習情報基盤・教材課の寺島史朗課長、東京学芸大学の高橋純教授の講演や公開校4校の研究主任によるパネル討議を予定しています。
港区教育委員会教育情報参事官(文部科学省初等中等教育局視学委員・GIGAスクール戦略担当)の中川哲氏をファシリテーターとして、1人1台の情報端末を活用し、どのように研究に取り組み、どのような授業をデザインしてきたのか等について語っていただきます。
GIGA端末が整備された当初は、インターネット環境が十分とはいえず、デジタル教科書や教材等を使いたいがスムーズに使えないという思いをもつ教員もいました。現在は10G回線となりスムーズに学習環境にアクセスすることができています。
さらに、教育工学に関わる研究や実践の発表、協賛企業による展示やワークショップなどが予定されています。
本大会がご参加下さる皆様にとって意義深い大会となりますことを願っています。経済活動・情報発信の拠点であり、国際性豊かな都市港区で皆さまをお待ちしています。
詳細はこちら:第50回全日本教育工学研究協議会全国大会 東京都港区大会
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年10月7日号掲載