消費者志向自主宣言・フォローアップ
理念
- 食と健康の領域で、情熱をもって真摯にお客様に寄りそい、一緒になって幸せな未来をめざします。そして、技術に立脚した品質本位のものづくりを通じて、人々の健康で心豊かな生活に貢献します。
- 安全で安心いただける商品・サービスを提供し、お客様の声を大切にして満足度の向上を図り、信頼される企業をめざします。
- 社会と共有できる価値の創造(CSV※)という経営方針のもと、「酒類メーカーとしての責任」を前提に、「健康」「コミュニティ」「環境」という社会課題の解決に主体的に取り組むことで、お客様の幸せに貢献します。
- CSV=Creating Shared Value
取組方針
1.常にお客様の立場に立って考えるという企業風土の醸成
- お客様本位、お客様満足が第一であるという経営トップの考え方を、従業員との直接対話等を通じて社内への浸透を図ります。
- お客様が価値を認めご満足いただける商品・サービスを提供できるための社内研修を実施します。
2021年 主な取り組み・成果
(1)「お客様本位」の浸透と実践に向けて
創業以来の姿勢である「お客様本位」の考え方、お客様や社会の課題を解決していくことの重要性を“トップメッセージ”として、キリングループ全体への社内報や動画を社内イントラネットを通じて発信し、従業員が自ら考える機会を創出しています。コロナ禍により対面での直接対話は減少しましたが、経営陣によるグループ各社全国事業所の従業員との対話を53回(オンライン含む)実施し、浸透を図りました。
(2)社内研修の実施
- お客様からのお申出に対応する営業担当者向けに、応対品質の向上を目的とした研修を、オンラインにて開催しました。
- お客様相談室員の人財育成を目的として、お客様対応専門員資格の取得(一般財団法人日本産業協会主催)を推進してきました。消費者関連の幅広い知識を学び、お客様との直接の接点で、お客様に寄り添い、真意を汲み取ることで、適切な対応を可能にするための知識を習得しています。加えて、お客様相談室員の窓口応対品質の向上を図るためのCX(カスタマーエクスペリエンス)研修を通年で実施しました。
2.お客様の安心につながる情報の適切な開示
- 適正飲酒の啓発活動を継続的に行っていきます。
- 商品・サービスにかかわる品質情報のコミュニケーションを充実させることで、安心感や信頼感の向上につなげていきます。
2021年 主な取り組み・成果
(1)適正飲酒啓発への取り組み
- 酒類メーカーとして責任ある事業を展開することを社会へ向けて約束し、社会やお客様からの信頼と共感をいただくために、「アルコールの有害摂取の根絶」に向けた取り組みを発展させ、「責任ある飲酒に関するグローバルマーケティング指針」を策定、公開しました。
- アルコールハラスメントの危険性や自身のアルコール体質に合った適正飲酒を促す適正飲酒啓発動画を作成し、SNSを通じて展開しました。また、女性の飲酒に対する注意喚起を行い、理解を深めていただく動画を作成し、同様に展開しました。加えて、SNSを通じて飲酒運転根絶に向けた啓発を行いました。
- お客様の摂取アルコール量を自身で把握し、コントロールしやすくなるよう支援することを目的として、商品情報サイトで商品の純アルコール量の表示を行いました。
- 商品情報サイトに掲載していた適正飲酒に関する情報を、企業・IR情報サイトに統合し、それに併せて英語版サイトの内容を拡充しました。
(2)Webサイトでの開示情報の拡充
- 「商品・サービス情報サイト(www.kirin.co.jp)」の商品検索メニューを刷新し、画面を見やすく・検索しやすいようアップデートしました。また、健康や環境にひもづく商品に「機能性表示食品」や「熱中症対策飲料」、再生ペット樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」といったマークをつけるなど、社会的課題に関わる情報をわかりやすくお伝えする工夫を取り入れました。「健康食品」カテゴリーについては、キリングループの商品を一覧で閲覧できるようリニューアルし、さらに、ソフトドリンクや酒類商品と同様に、成分や原材料などが確認できる商品・品質情報ページの公開を開始しました。
- 「企業情報サイト(www.kirinholdings.com)」の「品質への取り組み」コンテンツを大幅に刷新しました。キリングループの品質方針や、食、ヘルスサイエンス、医それぞれの領域における安全・安心の取り組みについての紹介ページを設け、その中で、食領域だけでなくヘルスサイエンス領域の品質保証活動についての情報提供も開始しました。
3.お客様の声を活かす仕組みづくり
お客様からいただいた貴重な声を全従業員に共有し、より良い商品・サービスの提供に活かしていきます。
2021年 主な取り組み・成果
(1)お客様の声への対応と共有
お客様相談室では、ご連絡を受けた時点で、その内容を情報管理システムに入力し、社内の各関連部門と連携しながら、迅速かつ丁寧に対応しています。2021年は、電話、メール、お手紙で年間約48,000件のお問い合わせやご意見、ご指摘※をいただきました。
寄せられたお声は、翌日までに「日報」として社内共有する他、「月報」、「四半期報」、「トピックス」等のレポートを発信するとともに、お客様相談室の社内ポータルサイトで常時掲載し、全従業員に共有する取組みを継続しています。
また、何かお困りごとや知りたいことがあったときに、お客様相談室に電話やメールをされることなくお客様ご自身で解決していただけるようお客様相談室ホームページの「よくあるご質問」QAを適宜見直し、更新頻度を上げた他、AIチャットボットの回答により到達しやすくなるよう整備を進めました。
KIRIN公式ツイッターに寄せられたお声のうち、「商品が見つからない」という販売店をお探しのお客様には、お客様相談室でご案内しています。
- ご指摘=商品やサービスに対するお客様のご不満が形となって現れたもののこと。
(2)お客様の声を改善につなぐ仕組み
お客様から寄せられたご意見やご要望を取り入れ、商品やサービスの開発、改善、充実を図るために、お客様相談室と研究開発、製造、販売、企画などの関連部門が集まる“改善ミーティング”を毎月実施し、改善につなげました。改善につながった代表的な事例はホームページでご紹介しています。
4.社会課題の解決に資する商品・サービスの開発・提供(CSVの推進)
- お客様の健康増進につながる商品・サービス・事業を創造します。
- 事業活動を通じた地域活性化や、サプライチェーンの持続可能性強化により、地域社会へ貢献します。
- 事業活動における環境負荷軽減の取り組みを進めていきます。
2021年 主な取り組み・成果
(1)お客様の健康増進につながる商品、サービス、事業の創造
キリンホールディングスの独自素材「Lactococcus lactis strain Plasma (以下、プラズマ乳酸菌)」を使用した商品について、機能性表示食品制度の「健康な人の免疫機能の維持をサポート」に関する表示を持つ商品を、2020年度に続いて販売しました。さまざまなライフスタイル・好みに合わせて、免疫機能表示を持つ商品を購入・摂取できる環境の実現を目指しています。
2021年度の新商品として、例えばキリンホールディングスから、「キリン iMUSE プラズマ乳酸菌 サプリメント」 (7日分×4袋)、キリンビバレッジから、清涼飲料「キリン 生茶 ライフプラス 免疫アシスト」や「キリン 午後の紅茶 MILK TEA Plus(ミルクティープラス)」を10月に発売しました。さらには、「プラズマ乳酸菌」を使用した外部パートナー企業とのコラボレーション商品としては初となる、免疫機能での機能性表示食品も上市されました。
また、2019年に業務資本提携したファンケル社と当社がお互いの強みを生かして共同開発した「キリン×ファンケル デイリーアミノウォーター」を4月に発売しました。お客様にとって体調管理がより重要になる中、体内で常に使われていくアミノ酸や水分を毎日こまめに補給する、新しい健康習慣を提案しています。
(2)事業活動を通じた地域活性化、サプライチェーンの持続可能性強化による地域社会への貢献
- 日本産ホップへの取り組み
年々減少する“ビールの魂”と言われる原材料「ホップ」の国内における生産を継続するため、行政、生産者、地域の皆様と共に官民連携でホップの持続可能な生産体制の維持や生産地の活性化に向けた取り組みを継続支援しています。また、技術開発や育種開発にも取り組んでおり、自社商品を通じホップの認知を向上するとともに、安定供給と品質改善に取り組んでいます。
さらに、全国のクラフトブルワーに日本産ホップを提供し、その特徴を活かしたビールを各々持ちよって楽しむイベント“Fresh Hop Fest”をオンラインで開催しました。全国多数のクラフトブルワーが参画し、ビール市場の活性化に向けた取り組みが加速し、ビールを通じて人と人のつながりを増やしています。 - 日本ワインへの取り組み
2019年に開業した、「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」はワイン観光に取り組む世界最高のワイナリーを選ぶ「ワールド・ベスト・ヴィンヤード」を2020年に続き2年連続で受賞。キリングループのメルシャンは、“シャトー・メルシャン”事業を通して、「日本を世界の銘醸地に」をスローガンに世界に認められる日本ワインの発展を牽引するとともに、ワインづくり、ぶどうづくりを支える産地の活性化に貢献しています。
シャトー・メルシャンは、日本ワインの黎明期から続く新しい栽培方法の導入や醸造技術へのチャレンジに加え、日本ワイン全体の発展のため、新技術の公開をはじめ、ワイン産業を支える人材育成や遊休地活用、雇用の創出、草原・絶滅危惧種再生などに取り組み、地域、自然、未来との共生を目指しています。 - 持続可能な調達方針
キリングループは、自身が署名者である国連グローバルコンパクトの定める「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」分野における一連の本質的価値観を支持し、この原則とグループ方針に準拠した5つの取り組みテーマ(品質本位、コンプライアンス順守、人権尊重、環境保全、サプライヤーとの共存・共栄)に従って調達活動を行い、世界的視野での持続可能性を高めると共に、企業価値を向上させ、社会への貢献を図っていきます。そのため、「キリングループ持続可能な調達方針」(2017年9月制定)を2021年4月に改定するとともに「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」を定めキリングループ調達方針の実現に取り組んでいます。
(3)事業活動における環境負荷軽減の取り組み
キリングループは、環境に対する世界の動向が大きく変わって来たことを受けて、2013年に策定した「キリングループ 長期環境ビジョン」を見直し、社会と企業のレジリエンス強化へ向けた新たな長期戦略として「キリングループ環境ビジョン2050」を、2020年2月に発表しました。わたしたちはこの新しいビジョンの下、これからの世代を担う若者をはじめとする社会とともに、こころ豊かな地球を次世代につなげていきたいと考えています。
- 「キリングループ環境ビジョン2050」では「生物資源」「水資源」「容器包装」「気候変動」の4つの柱を重要なテーマとして掲げています。
「気候変動」では、SBTイニシアチブの新基準「1.5℃目標」の認定を取得し、国際的な環境イニアシアチブ「RE100」に加盟して2040年までに使用電力の再生可能エネルギー100%を宣言。新たな再生可能エネルギー電源を世の中に追加し供給量を増やすことに貢献していきます。 - 気候変動の影響を大きく受ける「生物資源」では、スリランカの紅茶農園に対する持続可能な認証システムの取得支援を2013年から開始し、2021年には認証農園の茶葉を使った製品の通年販売を開始しています。またフードロス削減に向けては製品の製造時期・賞味期限表示の大括り化を実施しています。
- 「水資源」では、国内の工場水源地保全活動に加えて、スリランカの紅茶農園内の水源地保全を実施しています。
- 「容器包装」では、国内の飲料グループ会社の紙製容器包装にFSC®認証紙を100%採用。ペットボトルでは2027年にリサイクル樹脂の使用割合を50%まで高め、2050年までにリサイクル材やバイオマスなどを使用した持続可能な容器包装100%化を目指しています。
キリングループは、複合的に発生し相互に関連する環境問題に対して、上記4つの課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)を、個々に考えて対応するのではなく、統合的に捉え、取り組んでいきます。
以上
2022年3月28日
キリンホールディングス株式会社 代表取締役社長