人材戦略:「多様な人材と挑戦する風土」」へ | KIRIN CSV REPORT 2019 | キリンホールディングス

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非財務資本の強化
人材戦略:「多様な人材と挑戦する風土」へ

お客様や社会に価値を提供していくためには、「イノベーションの実現」が不可欠です。その基盤となる重要な組織能力の1つが「多様な人材と挑戦する風土」だと考えています。多様な価値観・専門性を持つ人材が“経営理念と戦略への共感”を軸に集い、ベクトルを揃えて、イノベーションの実現を通じて常に価値創造を目指します。

多様な価値観・考え方・能力・経験の掛け合わせによる、イノベーションの実現

キリングループの「多様性」

KV2027において、グループ共通の価値観に「多様性(Diversity)」を追加しました。「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ためのドライバーは、「多様性( Diversity)」であると確信しています。性別・国籍・障がいの有無などの外的なものだけではなく、価値観・感性・経験などの内的なものも含めた「違い」を受け入れ、臆することなくぶつけ合い、掛け合わせることで、新たな価値やイノベーションは生まれます。キリングループは、採用のあり方の見直し、働き方改革の取り組み等を通じて、多様な人材が集うグループへの変革を推進し、これらの変革を梃子にイノベーションの実現を目指します。

キリングループの「プロフェッショナル」

社員一人ひとりが、それぞれの現場・立場で仕事にコミットし、自身の能力を磨き上げ、「この仕事、この分野なら私が一番」という「専門性」を卓越した水準で追求していくこと、既存の枠組みにとらわれない発想を取り入れ自律的にチャレンジすることが、キリングループの事業を強くし、新しい未来を切り拓くと考えています。その源泉は一人ひとりの成長意欲です。年齢やキャリアや仕事内容に関係なく、成長意欲を持ち続け、伸ばし続ける社員を積極的に支援し、処遇し、成長の機会を用意することで、キリングループの事業を推進していく人材を育成していきます。

キリングループの「多様性」「プロフェッショナル」を推進する施策の一部

なりキリンママ・パパ社員がママ・パパになりきり、時間制約や突発事態への対応を要する働き方を1カ月間体験するキリン独自の取り組み。本人の労働生産性向上や、周囲の巻き込み、上司によるマネジメント等を通じた組織的なカバーにより、成果を出し続けられる組織風土づくりの一環。
“留職”制度若手の社員を対象に、新興国の民間非営利団体(NPO)や企業に派遣する制度。本業を生かしながら新興国などで社会課題に取り組む原体験を通じて、CSV経営を支える人材の早期育成につなげる。
Focusプロフェッショナル

コンピテンシー評価で、個々のプロフェッショナル力を高める
キリンビール マーケティング部門の取り組み

評価の公平性・透明性を高めたことで成長スピードが確実に向上

マーケティング部では、これまでもマーケティング組織能力強化のため、人材育成に取り組み、持続性のある育成の仕組みづくりに努めてきました。そして今回、中期経営計画で示された「人的資本の強化」に基づき、より一層マーケティングリーダーの育成強化を推進。中でもより力を入れて進めているのが、コンピテンシー評価です。
コンピテンシー評価の最も特長的なポイントは、人材に対する要求内容をすべて具体的な行動レベルにまで落し込み、その内容に対する評価まで可視化して公平性と透明性を高めたことです。これにより、上司がメンバーの成長や目標達成を支援するコーチングの言葉や方向性が統一されました。その結果、メンバーにとっては、プロフェッショナルとしての目標や評価を手にするために求められるパフォーマンス指標が明確になり、達成すべきゴールが具体的にわかることから、日々の業務に取り組む意欲が向上し、チャレンジする風土が育ち、成長スピードは確実にアップしています。

主力製品のブランドマネージャーにも必要な能力を身につけた若手を抜擢

また、コンピテンシー評価の採用により、メンバーは年齢に関係なく、求められる能力を身につければ、大きなチャンスを得ることができます。その一例といえるのが、ブランドマネージャーです。リニューアルした『一番搾り』や『本麒麟』のブランドマネージャーを務めているのは、30代半ば。お客様の生活に近いところにいる人材が、担当ブランドのビジネスに責任感と緊張感をもって取り組み、良好な結果を導いています。
もう1つ、新たな動きとして感じているのは、お互いに刺激し合うプロジェクトを自発的に立ち上げ、キリンビールにとって最適なマーケティング人材を自分たちで育て、組織全体の能力を高めようとしていることです。メンバーそれぞれが部内を見渡し、課題になっていることを把握。その内容が、マーケティングやブランドビジネス、さらには経営関連など、自らがプロフェッショナルとしてもつ専門性で解決できるとわかれば積極的に勉強会を開いてナレッジの共有を行い、課題解決に取り組んでいます。また、悩んでいるメンバーを集めてチームをつくり、自らの専門性を発揮してコーチングに励み、問題解決をリードしているメンバーもいます。
こうした取り組みが継続して進められる環境をいち早く根付かせることにより、常にマーケティングのプロフェッショナルを育成し、企業が掲げる業績目標の達成に貢献し続けます。

キリンビールの成果に基づき同様の仕組みをグループ全体へ拡大

このように、キリンビールで一定の成果があらわれてきたことから、今後、同様の仕組みを他グループ各社のマーケティング部へ展開していくことを計画しています。この仕組みをグループ全体へ確実に浸透させ、機能させることによってマーケティングをリードする人材をグループ各社で育成し続け、ステークホルダーの皆さまの期待に応えていきたいと考えています。

VOICE

企業の目標達成に貢献できるよう引き続きマーケティング人材の強化を推進します

コンピテンシーという明確な指標により、一人ひとりの人材を公平に、客観的に評価する仕組みが実現。その結果、チャレンジする風土が育まれ、責任をもって自らの業務に取り組むカルチャーが強く意識され、マーケティングのメンバーは着実に能力を高めています。こうしたマーケティング人材の強化が会社全体の強化につながり、企業の目標達成に貢献できるよう、これからも努力を続けていきます。

キリンビール株式会社
常務執行役員 マーケティング本部 マーケティング部長
山形 光晴