道内第2位の旅客数を誇る函館空港と観光資源
函館空港の2023年度の旅客数は166万人(北海道NEWS WEBより)。新千歳に次ぐ、道内第2位の旅客数を誇る空港である。
JAL、ANA、AIR D0などが羽田・伊丹・中部、また国際線としてエバー航空が台北からの便を就航し、国内外7つの空港と直行便で結ばれている。羽田–函館間は1時間20分、函館空港から函館駅まではシャトルバスで約20分だ。
また新幹線では、東京駅から新函館北斗駅が3時間57分、函館本線に乗換えて約20分で函館駅に着く。
観光資源も金森赤レンガ倉庫など函館港の散策やカトリック元町教会などエキゾチックな街並みは「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で一つ星。五稜郭や函館朝市は二つ星。函館山からのきらめく夜景は三つ星を得るなど観光資源にも恵まれる。
駅前地区では約1ヘクタールの再開発
一方、相次ぐ地方百貨店の閉店のご多分にもれず、駅前の老舗百貨店である棒二森屋の本館が2019年、アネックス館は函館駅前ビルとして存続していたものの2022年に閉店。また、五稜郭に近いテーオーデパートは2023年に61年の歴史の幕を閉じ、有効活用に向けて新旧入れ替わる時代になっている。
棒二森屋本館・函館駅前ビルの跡地は、駅前の一等地に約1.0ヘクタールという規模で「函館駅前東地区第一種市街地再開発事業」が計画されている。
再開発事業を行う函館駅前東地区市街地再開発組合の発表によると、「函館駅前の観光拠点とすべく、 観光客の受け皿となる宿泊特化型ホテルを整備 」で15階建のホテル棟、「市民と観光客とが交流する拠点となるよう」市民広場の整備、「様々な食文化を提供する」飲食店や専門店、 「地域住民の文化交流拠点となる」公共公益施設が設けられる。
また「都市型高層住宅を供給することにより中心市街地における居住人口の減少をくい止め、 郊外から中心 市街地への住み替えを促進する」25階建の住宅棟も計画されている。2028年10月以降、順次竣工の予定である。(画像とも2024年8月発表の函館駅前東地区市街地再開発組合事業概要書による)
函館の観光促進に必要なこと
そんな再開発地すぐ函館駅前から徒歩約5分に2024年7月6日に「OMO5函館 by 星野リゾート(以下OMO5函館)」が開業した。星野リゾートのOMOブランドは、テンションあがる「街ナカ」ホテルをコンセプトとしており、その街の魅力を掘り起こす「アクティビティ」やスタッフたちが足で情報を集めた「ご近所マップ」で知られる。
今回、さらに宿泊者限定での無料周遊バス「函館ぐるぐるフリーバス」を提供しているのが注目される。ホテルを起点とし、はこだて自由市場、ベイエリア、元町エリア、函館山ロープウェイそして五稜郭などに直接アクセスすることができる。
OMO5函館総支配人の中村光一朗氏は「函館の公共交通機関として路面電車は市民の足であるものの、行き先として観光地を巡るだけのものではなく、またバスの路線も観光地を一巡するものはなく、なかなかベイエリアと五稜郭方面の両方を周りにくいといった声があったことから、今回のサービスを設けた」と言う。
確かにこの「函館ぐるぐるフリーバス」に市内交通を組み合わせれば1日目は函館山ロープウェイとベイエリア、2日目ははこだて自由市場と五稜郭を無料で回れた。
中村氏は「函館には、新鮮で美味しい海鮮を提供する飲食店や市場が集積し、様々な温泉、異国情緒ある教会群やベイエリア、ミュランも注目する夜景や歴史の観光スポットなど魅力もたくさん。北海道と言えば新千歳からの観光が主になりがちだが、函館を目的地に来ていただけるよう、地元の魅力をアピールしたい」と抱負を語った。
直行便のある台湾からのインバウンドも多く、ポテンシャルを感じた函館の観光需要。駅前再開発とともに国内へのさらなるアピールが期待される。
執筆:
(おのあむすでんみちこ)